それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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毎朝似たようなやり取りがラボの前で起こるらしい


キャロルとウサギと時々じゃないサイガさん

P基地、キャロルのラボへと続く廊下を歩いているのはウサ耳のようなリボンが特徴的な、そしてこの基地での現副官であるFive-sevenである。

 

両刀ガチ勢やらインモラルバニーやらと今までの言動や行動のお陰で色々言われている彼女ではあるが能力は確かであり、副官になる前からも有能な存在として、そしてキャロルの副官となってからも変わらずその評価を保ち続けているのだから能力が本物である証拠だろう。

 

さて、そんな彼女がどうしてキャロルのラボに向かっているのかと言えば、そろそろ朝食の時間だからである。指揮官となったキャロルだが休日になると時間が許す限り、否、時間が過ぎ去ろうと研究開発などの作業を続けてしまい、気付けば業務開始数分前だったということが過去にあってからは毎朝、こうして声を掛けに行くことになっているのだ。

 

「ふんふんふ~ん」

 

勿論ながらFive-sevenはこの業務?には不満なんてものは欠片もなく、毎日ウキウキ気分で彼女のラボへと足を運ぶ……のだがそんなFive-sevenの楽しみは彼女が来てから変わってしまった。

 

別に不満を抱き始めたとかではない、この大事な大事な、命に等しいレベルで業務を横取りしようとする存在が現れたのだ。

 

「……」

 

「……」

 

ラボの前、あとはインターホンを鳴らしてキャロルを出迎えるだけ、それだけだったFive-sevenだったがその足は反対方向から現れた一人の人形によって止まった。来たのは割と最近なのだが此処に来るよりも前、キャロルが旅をしていた頃に彼女が知り合ったという人形、その名は『Saiga-12』と睨み合う、いやこれはもう視線に帰れよお前という声なき言葉が籠められているのは鈍い者でもすぐに分かるだろう。

 

だが当然ながらSaiga-12は退かない、寧ろお前が帰りなさいよと視線を返しているではないか。この副官相手とは思えない態度と視線にFive-sevenは口元を若干ひくつかせつつ

 

「随分な態度ね、とても新人とは思えないわ」

 

「この基地って、作戦中でもなければそこまで上下関係ないってユノちゃんから聞きましたからね」

 

「確かにそこはその通りだしこの基地の良い所ではあるわ、で?クソレズSG人形がキャロルのラボに何の用なのかしら?」

 

火蓋を切った、その目にはコイツいい加減にしろよという感情が一切隠されずに現れていることから分かるように、このやり取りはSaiga-12がこの基地に配属された翌日から行われていた、初めこそは副官という立場から穏便にどうにかしようとしたが

 

「あ?ド変態バニーに指揮官を任せられるわけないじゃないですか、馬鹿じゃないんですか?」

 

当の相手がこの態度と口調で返してきたので即日開戦した、因みに語る前もないと思われるがSaiga-12もそっち系の人形である、おかしい他の基地のSaiga-12という人形は別にそういう人形ではなかったはずなのだがと誰かが言っていたが悲しいことに特異点P基地の彼女はガチらしい。

 

「はんっ、アンタに任せるよりは断然安心できるわよ。少なくとも私はキャロルに手を出そうとは(まだ)思ってないから」

 

「なぁに良い子ちゃん振ってるんですかね?それとドロドロな欲望の塊の副官様じゃ指揮官に触れるだけで汚れるからワタシに任せくださいっていうのが分からないんですか?」

 

「ハハハ、笑える冗談ね。貴女以上にドロドロなのは居ないと思うのだけど?」

 

ピリッと両者の間の空間に火花が散るような幻覚に襲われる、やっぱりコイツ嫌いだわと言葉にせずとも両者が思っているのは明白な空気である、一回ブチのめすかと互いに身体に力が加わり、目が、表情が本気のそれに変わり、そして……

 

カシュ~とラボの扉が開かれ、現れたのはグリフィンの制服の上から白衣を着ているキャロルが物凄く気怠そうな視線を目の前に飛ばせばニッコニコ笑顔のFive-sevenとSaiga-12

 

「おはよう、キャロル……その様子じゃまた寝てないみたいだけど」

 

「おはようございます、指揮官。でも駄目ですよ、しっかり寝ないとお肌にだって悪影響がありますから」

 

「……あぁ、おはよう」

 

ほんの一瞬前までの空気はどこへやら、まるで初めからこんな空気でしたよと言う感じの二人に軽く額を抑えてからキャロルは挨拶を返し、だがそれはそれとしてだと前置きから

 

「朝から人のラボの前で騒々しい、はぁ、もう少し仲良くはできんのかお前らは」

 

「やだなぁ、副官とはそりゃちょっっっと揉めたりはしますけど基本的には仲は悪くないですよ~」

 

「えぇ、それにあれよ、喧嘩するほど仲がいいって言うじゃない、だからキャロルが心配することじゃないわよ」

 

10人中10人がこう答えるだろう、いや、絶対に嘘だろそれと。笑顔を浮かべ声と言葉では確かに仲のいい感じが醸し出されているように思えるだろう、だがそれは何も知らない第三者から見ればと言う冠が付きこの基地の、ユノでさえもこの二人が今纏っている『お前のせいで怒られたじゃねぇか』と言うオーラのようなものを感じることが出来てしまう。

 

それを理解しているからこそキャロルとしても軽く頭痛の種になっていたりする、両者とも何が厄介と言えば仕事は完璧以上にこなせるくらいに能力があるという部分だろう、有能だからこそ厄介でもあるのだが

 

「ならまぁいいがな、お前たちが此処に居るということはもう朝食の時間だろ、行くぞ」

 

故に彼女が毎回出す答えは放置しようだった、一応一線と言うのを理解している二人なので惨劇になることはないし、もしガチで喧嘩が始まっても殺したりはしないだろうというある種の信頼感があるからというのもある。ともかくキャロルは短くそう告げてからカツカツと歩き出せば二人もその背後を付いていく、がここでキャロルの視線が切れるので

 

「はいはーい、お供しますね指揮官(と言うわけでさっさとどっかに行ってくださいよド変態バニー)」

 

「今日は和食が中心らしいわ、一〇〇式が張り切ってたわね(キャンキャン吠えてるんじゃないわよクソレズSGが)」

 

また一瞬だけ視線と視線がぶつかり火花が散る、がキャロルにはその一瞬の火花が感じ取れたのだろう歩みを止めて二人の方を見ずに、だが割と冷たい声で

 

「喧嘩は、やめろよ?」

 

次はないからなという言葉に二人は今度はキャロルにバレないように睨み合ってからニッコリと笑みを浮かべ

 

「了解です、指揮官」

 

「勿論分かってるわ、キャロル」

 

その言葉にキャロルはどっと疲れた感覚に囚われた、何が悲しいと言えばそう、これはまだ朝が始まってすぐのやり取りだということだろう……




なんとビックリ、これ再来週に続きます。

Saiga-12(P基地)
元は他の基地からの敗走人形がスラムに流れ着き、放浪していた頃のキャロルが一晩お世話になったお店に住み着いていた。のだがキャロルに一目惚れをし、後にスラムから抜け出してグリフィンに戻りこの基地へとやってきた。

なので元のSaiga-12より口調が荒かったり、何かとすぐに手が出たりとする
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