それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
初対面の男性に彼女から挨拶を返すという快挙とも言えるファーストコンタクトを迎えたシャフトとジェイクなのだが、そこから互いに沈黙が流れた。とは言ってもこの場には子供たちやM16達も居るのでずっとというわけでもなく、気を利かせたM16が
「よっ、元気そうに働いているようで感心感心」
「M16さん、何時戻ってたのですか?」
「あ!
如何にもな悪ガキと言った感じの子供がM16を指差して高らかにそう告げ、辺りの空気は固まった。
実際に彼女の髪は13年経過した結果、その間もあのコンテナを使った攻撃をしてたが故にまだギリギリ灰色とも言えるそれは真っ白に染まっている、ともかく突然なその行動にシャフトを言い放ったその子供に駄目でしょと告げてIDWとイングラムはM16から顔を逸して肩を震わせ、ロペラとフトゥーロとジェイクは苦笑をそれぞれ浮かべ、シドは元気のいい小童じゃなと豪快に笑い、そして言われた本人であるM16は、ニッコリと笑みを浮かべてから
「だぁれだ~?このピッチピチのお姉さんに白髪だとか言った悪ガキは~?……お前かぁ!!」
「逃げろー!!」
「わー!!!」
M16がその子供を見つけて両手を上げて声を上げればシャフトの周りに居た子供たちは全員一気に外に飛び出すように走り出し、彼女自身もそれを追いかけて行き、そして残されたメンバーの一人であるIDWが一言
「いや、オメェがコイツの仕事ぶりを見たいって言ったのに出ていってどうするにゃ……」
「あ、あの、それじゃあ、失礼します」
見ようによっては逃げるようにシャフトも一つ礼をしてからM16と子供たちを追いかけるように中庭へと出ていく、その様子にジェイクは気を悪くするとかは無かったしIDWもそれには気付いていたが
「ま、気にするな少年」
「アンタまで少年呼びかよ。いやまぁ、話は姐さんから聞いてたし気にしちゃいねぇよ、ただ、思ったよりもはっきり受け答えしてくれて驚いてはいるが」
彼の中では一目散に逃げられるくらいは事情を聞いた時点で考えてはいたのだがまさか挨拶まで返されて、しかも今も逃げるようにではあるが会釈をしてから出ていった、それが驚いたらしい。
それに関してはロペラとフトゥーロも同じである、がシドとIDWだけは
「変わりてぇって思ってんだろ、じゃなきゃオメェに会釈すらしねぇよあの嬢ちゃんは」
「その通りにゃ、そもそもにして今のシャフトなら男性相手に怯えたりはしないにゃ、ほぼ無関心に業務的な事を言って去っていく、それこそロボみたいににゃ」
「確かにそうかも、じゃあ何か私達も知らない切っ掛けでもあったのかな?フトゥーロは知ってる?」
「ううん、でもちょっと嬉しいかな、ユノさんとクリミナさんに伝えたら今日の夕食が豪華になりそうですね」
容易に想像できるのが最高に笑えるにゃとIDWが笑うが、その間にも彼女は何かあったっけなと記憶を探っていく、が
(少なくとも此処で働いてる間には無いにゃ、ともすれば家庭?うーん、だとしたらルキア辺りから漏れそうなはずにゃ)
分からない、がまぁ何かあったのだろうと結論付けてから彼女はジェイクに点検する設備などの場所は覚えているかと聞いてみれば、向こうも仕事で来てるんだったと気を取り直してから地図も頭に入れてはいると答えてから
「じゃあ、お仕事を始めますかね」
「お願いね~、お昼になったら一声かけるから~」
このようなやり取りがあったのが十数分前、そして今は道具一式を運びながら点検箇所を回ってはしっかりと丁寧に診て行き、破損ないし故障箇所が発見されればレポートを付けてから修復を行い、というのを繰り返していた。
「ほぉ、これは思った以上に手際が良いにゃ」
「……なぁ、アンタは俺に付いてきて良いのか?」
「仕事か?ならば問題ないにゃ、私はここの従業員とかではなくて唯の遊びに来てる老猫だからにゃ」
老猫ってどういう意味だよとジェイクが本気で疑問に思う、遊びに来てるとは言っているが明らからにその姿はレイディアントガーデンのスタッフとも言える姿、とても遊びに来ているという格好ではない。
が、ジェイクが先にそれらを聞くよりも前にIDWから彼に問いかけを始めた
「して、お前さんは今、相手とか居るのかにゃ?」
「は?」
「彼女とか居るのかって聞いてるにゃ」
「聞いてどうするってああはいはい、良いから答えろっていうんだろ?居ねぇよ、こちとらジイさんのところで修行してたし、なんかこう別にそういうことに興味もなかったしな」
その答えにいい男がもったいねぇこと言ってるにゃとカラカラとIDWが笑う、どこに笑う要素あったんだよとジェイクが作業の手を止めずに呆れていると、しかしそうかと前置きをしてから
「じゃあ次、オメェから見てシャフトはどう思うにゃ?」
「シャフト?あぁ、さっきの娘か……どうって、まぁ怯えちゃいるけど芯があるようには見えたな」
芯があるように、その返答は少々予想外だったIDWは感心したように声を漏らしてから、どうしてそう思ったのかと聞いてみる。少なくとも初見で、あの態度の彼女からそれを見抜くのは難しいなんてものではないはずだと
「何でって言われても、はっきりとした事は言えないとしか。ただ、簡単に物事を曲げたりはしないだろうなって、分かんねぇけど」
コイツ、中々見る目がある男かもしれないにゃ。そんな評価をジェイクにしている同時刻、M16も何故か似たような質問を彼女にしていた、無論、彼が居るとかそういうのは聞くまでもないのでしてないのだが
「えっと、ジェイクさん?」
「そうそう、さっきの少年よ、シャフトからああやって挨拶の言葉を返すって珍しいことが起きたから何か感じたのかなって思ってな」
「感じた……こと、ですか?」
M16からの質問にシャフトは少し考える、事前に彼が来ると言うのは聞いていた、それに自分を変えたいという感情もあった。だから初対面でも頑張って挨拶してみようと彼を見た時に、彼女は
「悪い人じゃないな、って思って、それから」
「それから?」
「分からないのですけど、今までの男の人と違って言葉が素直に出てきました」
彼女自身もどうしてかの理由は分からないのだろう、戸惑っているとも感じる声から出てきた答えにM16はなるほどねと納得をしてから、ビクビクしてたように見えたそれはもしかしたら恐怖ではなく
(緊張?ふぅむ、これはちょっっっと確かめてみたいな)
ヨシ!と彼女は一つの選択を取ることにした。それは昼食時、ジェイクが一旦休憩にするかと考えたと同時にM16にちょっと来いと拉致られるように運ばれたところには
「へ?」
「おい、流石に姐さんと言えど鬼みたいなことをするなら怒るぞ」
「大丈夫大丈夫だっての、それに私も此処に居るからよ、3人で仲良くお昼としようじゃないの」
面と向かって会話させてみようという段階を物凄い勢いですっ飛ばした選択だった。
因みにジェイクの見た目はバイハ6の彼をもうちょっと若くした感じだよ。
……じゃあ俺、トレセンとランドソルとハンター業務してくるから