それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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思えばこういう場面無かったなと


三人でのんびりと

犯罪組織相手に大捕物を繰り広げ、その後は基地に帰宅した……と言ったはずの彼女たち三人が基地に辿り着いたのは夕方間際、もっと言えば夕食一時間くらい前である、しかもまだ車内であるが基地の正門が見えてきた辺りで運転手をしているサイガがポツリと。

 

「やっと、帰ってこれた」

 

「まぁ分かってはいたけど面倒だったわねぇ」

 

「チッ、事後処理くらい本社の方で勝手にやればいいだろうが……」

 

前回、キャロル自身を囮に潰した犯罪組織、あれがなんてことのない小規模のモノであれば事後処理はキャロルの言う通り本社が済ませていただろう。

 

だが今回のそれは割と規模が大きかった、結果として囚われていた子供の数も多く、更には本社からP基地へ依頼をしたというのも手伝って時間がかかりに掛かってしまった。

 

「それにしても親元に帰せない孤児だったりした子をガーデンに丸投げなんて思い切ったことしたわね」

 

「D08みたいに此処でとは行かないからな、あの本社の膝下の街でも良かったかもしれんが信頼できる所と言うとあそこしか無かった、幸い孤児院の数は十二分であり民間学校もあそこが先駆けになっている」

 

「と言うか、ここと信頼関係が厚いとは言えよく丸投げをガーデンは受け入れましたよね……」

 

「『未来ある子供に暗い表情などさせられるか』がマルコ爺さんの言葉だ」

 

まぁともかく今日は業務終了だと告げながら車が正門に着けば、迎えたのは一日外に出ていた彼女たちに変わり事務作業を行っていたナガンとユノ、そしてその腕に抱かれているルキアの姿を確認したキャロルがまず

 

「祖母上、ユノ、今日は済まなかった。急に事務作業を押し付けてしまって」

 

「構わぬよ、どうせ暇している身じゃからな」

 

「うんうん、勉強も今日はお休みだったし、久しぶりに事務作業出来てちょっと楽しかったから大丈夫!」

 

「あう、きゃ!」

 

にこやか笑顔でワーカーホリックですと言外に宣言してしまうユノにキャロルとナガン、いや、本人以外の人物は軽い頭痛を覚えたとか何とか。

 

ともかくあまり外に居ても仕方がないと基地内に向かいつつ今日のことを報告、時間が時間なので食堂へ徒歩を向け、朝と同じようにノアとクフェアと合流、夕食に出されたビーフシチューをみんなで楽しみ、あとはどうするかと考えていたキャロルは……

 

「まさか、お前達と風呂を入ることになるとはな」

 

「本当にな、てかどうして急に一緒にとかになったんだよ」

 

「いやほら、三人で入ったことなかったなぁって」

 

ユノ、ノア、キャロルの三人で大浴場に居た。ことの始まりは夕食後のこと、毎度おなじみの思い付きか、もしくは前々からそんな事を気にしていたのか、ユノから三人だけでお風呂に行かないかということから始まった。

 

始めこそはどうして急にとなったのだが三人だけで何かを話すということは確かに今まで無かったと思ったキャロルは少し考えたあとに頷き、ノアは何でだよとボヤくがこちらの方がキャロルも早く頷いていた。

 

そしてこうして大浴場で並んで入浴しているという風景になる、因みにルキアとクリスは共にクリミナとクフェア、そしてナガン達に任せているので少々の長風呂でも問題なかったりする。

 

「まぁ、毎回誰かしらが居て、俺たち三人だけというのはなかったのは事実だな」

 

「でしょ?だから、落ち着いてる今にでもこういう時間を作ったほうが良いかなって」

 

「良いけどさ、何を話すんだよ?」

 

そりゃ雑談でもなんでも?とユノが返すがつまりはなにも考えてなかったってことだよな?とノアが返し、いや、そんな事無いしと目を逸らしながらユノがまた返す。

 

つまりはそういうことである、がキャロルとしては雑談ですらこの三人でというのは無かったので息を一つ吐いてから

 

「しかし不思議なものだな、俺もノアもユノとのファーストコンタクトは殺そうとしていたはずだと言うのに気付けばこうして風呂を入っている、昔の俺に伝えたら物凄い顔で見てきそうな光景だ」

 

「あ~、そこは確かに笑える話だよな、アタシもこの能天気バカを何が何でも殺すって感情しか無かったってのに」

 

そう、ノアとキャロル、この二人とユノとの初めの出会いは忘れてはならない。両者とも彼女を殺そうと動きそして接触した流れ、確かにノアもキャロルも方や鉄血ドリーマーに嘘を教え込まれ、方やはエルダーブレインによる介入によっての行動だったとは言え、心の底から殺そうとしていたはず、だと言うのに今ではこうして仲良く肩を並べ基地で過ごしている。

 

同時に殺意増々だった自分たちがこうして居られるのは彼女のお陰だというのも理解している、まぁ当の本人であるユノは二人の言葉に何かを思い出すように目を瞑ってから

 

「そう言えば、そうだったね」

 

「……お前、自分が殺されかけたってことを忘れてたのか?」

 

「え!?い、いや、そんな事無いようん、勿論ノアちゃんと出会ったときもキャロルちゃんと出会ったことの時も覚えてるし、二人共そういう考えだったってことも知ってるよ」

 

「いや、寧ろそれで忘れてたなんて言った日には能天気バカを通り越してるからな」

 

そこまで私は抜けてないよ~と抗議の声を上げるユノにキャロルはやれやれと軽く笑みを零す、こうしてみると本当に殺し合っていたのかとすら思ってしまうものであると。

 

いや、違うかと彼女は思う、もし自分たちが彼女を殺すという明確な目標が無かったとしたらそれはつまり

 

(出会うことすらなく、俺もノアも野垂れ死んでいたか……皮肉だが殺すという明確な目標が会ったからこその出会い、か)

 

なんとも物騒な縁だと一人思い出し笑いをしてしまえば、ユノとノアが何事かと彼女を見つめ、その視線に気付けば

 

「いや、物騒な縁があったからこそ今があると考えたら少々な」

 

「オメェ、そうやって笑うんだな」

 

「失礼な、俺を表情を変えない鉄仮面だとでも思っていたのか?」

 

「……あ~、思えば沢庵とか食ってる時は何かと笑ってたな」

 

まるで食でしか表情を変えないやつと思われそうだなそれはと言おうとして、そこの二人も食事に関しては笑みになることが多い、更に言えばオリジナル、つまりは自分たちの姉であった彼女もキャロルと一心同体だった時は何かと食事を楽しんでいた、ともなれば

 

「遺伝、というやつか。俺たちが食事が好きだというのは」

 

「なんか納得しちまいそうだなそれ」

 

「でも、此処まで似るものなのかな」

 

さてな、偶然の一致だとしても面白い話にはなるから良いのではないか?とキャロルが苦笑気味に答え、それから三人は何時もより少々長風呂を楽しみ、彼女がラボに戻るとパソコンを起動させて一つの資料を眺める。

 

そこには『特色部隊』と部隊員である名前が並んでおり、その隊長の位置には『レイラ・エストレーヤ』の文字が

 

「ヨゼフお抱えの対ELID部隊、人でありながら人を辞め、人類のために力を振るう者たち……か」

 

キャロルはずっと疑問だった。なぜヨゼフの外道とも言える実験に自身の遺伝子を提供したのかと、だがエゴールから送られた資料を読み解き謎が解けた。

 

彼女は、レイラは……

 

「母上は……人を捨てきれなかった、と言うことか」




次回あたりに特色部隊云々を語りたいかなと考えてるから分からん!
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