それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
初対面の少女に妹を誑し込んでいる、と言われたのだがどうすれば良いのだろうか。彼、ジェイクは割と困惑していた、困惑していたがとりあえずこれは言おう、そう思いながら腕を組み堂々たる仁王立ちをしているP7こと『ルピナス・ヴァルター』に
「いや、誑し込んだ記憶は無いんだが」
「ハァ!?そんな言い訳通用すると思ってるの?裏は取れてんのよ、裏は!」
「裏って、家でシャフトから話を聞いただけじゃん……」
シャー!と威嚇をしている猫の幻影が見えそうなくらいな気迫でジェイクに問い詰めるルピナスにボソリと呟くステアー、どうやら家ではシャフトが毎日とまではいかなくとも、昼食会をした時には彼女は彼の話を良くする。
優しい青年の話、こんな自分を相手にしても特に嫌な顔も何もせずに相槌を打ってくれて、自分が作ったお菓子を美味しいと感想をくれると。ただそんな感じの話だったのだが姉たるルピナスは何をどう受け取ったのか、上記のように妹を誑し込んでいる男という考えに至ってしまい今になる。
しかしジェイクからすれば、ルピナスから言われても本当にそんなつもりもないのだから困るのだがというのが感想である。彼はただM16に頼まれ、自分も特に断る理由もないので彼女の男性恐怖症を克服のために力を貸しているだけなのだがと。
とりあえず事の真相を彼女に話してみれば
「じゃあ何、ただ単にM16に頼まれたからってこと?」
「大体そんな感じだが……いやまぁ、シャフトが作るアップルパイが美味いってのもあるんだが」
「あ、うん、ありがとう」
突如、ジェイクから自分が作ったお菓子のことを褒められて嬉しそうに感謝を述べるシャフト、この時点でルピナスがジト目でジェイクを見つめる。
ステアーもステアーでああうんという感じに何かを納得してから、でもと今の二人のやり取りからシャフトは本当に彼のことを信頼しているんだなと感じ取った、でなければ褒められたから感謝するなんてありえないのだから。
「ルピナス、分かってると思うけど彼は大丈夫だよ」
「……何かあってからじゃ遅いのよ」
「だからって、これはやりすぎ、ジェイクじゃなかったらもっと面倒なことになってた」
妹であるステアーからの相変わらずの鋭い言葉にルピナスはぐぬっと口を紡ぐ、そんな事は彼女も分かってはいる、今こうして対面して少しばかり言葉を交わし彼女に備わっている裏としての勘を通して見ても目の前の青年がお母さんと同じタイプの人間だということは。
でも、何かあってシャフトが、妹が傷つくようなことになったらと思うとそれすらも無視して警戒してしまうのだ。微妙な空気が流れ始める昼食会、その中でジェイクが
「あ~、確かに驚きはしたけど妹のことを大事に思ってるんだろ?昔に何があったかは知らないけど、そこまでの行動ができるってのは凄いと思うよ」
「……ふん、まぁシャフトがそこまで心を開いてるってことは本当ってことなんだろうから少しは認めてあげる、でも泣かせたりしたら許さないから」
「何変な見栄貼ってるの……」
彼の心からの言葉にルピナスが妥協点を見つけたのかそんな事を口にしつつ椅子に座りシャフトが焼いたお菓子を食べ始める。そんな彼女にステアーは溜息を一つ吐いてから同じく座り食べ始め、結局どうしてこうなったのかわからないとオドオドしているシャフトに
「妹思いの良いお姉さんじゃねぇの?」
「あ、う、うん、自慢のお姉ちゃん、です」
そこからは多少なりとルピナスからの憎まれ口のような、だがジェイクからすると何ともかわいい言葉に適当に返し、ステアーが補足するように彼女の本音を言えばルピナスが突っかかり、それを見てシャフトが笑う、と言う感じの何時も通りの昼食会を楽しみ、同日の夕食にルピナスが今日あったこととしてその事を話せば
「そっか、ルピナスが言うなら大丈夫だね」
「話には聞きましたがルピナスがそこまで言うとなると本当に真っ直ぐな子なのですね」
「だろうな、そもそもシャフトが心を開くって時点でこの能天気バカと同類だろ」
「なるほど、人形誑し……いや、コヤツよりは圧倒的にマシじゃろうて」
「ユノ嬢と比べるのは酷だろうて」
「……もし、グリフィンの指揮官をしてたら苦労してたかもしれませんね、彼」
クフェアの最後の言葉にユノを除いた全員があぁと納得する。彼は多分、今の職業が天職なのだろう、仮にもクフェアの言葉通りに指揮官という立場についたら上手く乗り切れればD08のタカマチ指揮官のように行くかもしれないが、下手をすれば泥沼コースなのだから……
対して妹組からはルピナスのそこまでの行動に対して、特にアニス達からはそれはもう何やってるのこの
「やってることチンピラじゃん、
「
「下手したらヤクザとかマフィアみたいな態度だ!」
「ごめんなさいはしたの、
「し、したし……」
流石の彼女も昼食をともにして少しすれば物凄く悪いことをしたという感情になるのできちんと謝っている、ジェイクも特に気にしてないとはいっていたので特に波風が立つこともなかったのは幸いかもしれない。
そんな夕食も終わり、食器洗いの手伝いをしていたシャフトは、ふとユノからこんな提案をされた。
「そう言えば、そろそろバレンタインだね」
「うん、それがどうかしたのお母さん」
「折角だからさ、ジェイク君にチョコを作ってあげたらどうかなって、ほら、日頃のお礼ってことで」
彼女の言葉に確かにと納得するシャフト、唯でさえレイディアントガーデンの設備の点検や勿論ながら此処以外にも何件か彼は周っているし、当日に修理の仕事だって発生もするというのに自身の男性恐怖症を克服するための昼食会にも付き合わさせてしまっている。
ともすればその時のリンゴのお菓子だけではお礼と言うには不足しているかもしれないと、ならば
「じゃあ、作る。でも、リンゴにチョコって合うのかな?」
「あ~、でも面白そうだね、G36とかに聞いてみて色々作ってみようか」
彼がリンゴが好きだからとチョコにもリンゴを使おうという発想にシャフトらしいなぁと思いつつも、後日、G36やルキア達とともに色々と考案、そして当日になりジェイクにお礼という事で渡そうとした彼女は……
(あ、あれ?なんで緊張してるのかな……?)
結果は知っての通りだろう、もう普通に会話もできるというのにこの時だけは言葉がすんなりと出ず、半ば押し付けるように渡すことになる、その理由はまだ……彼女は分からない。
ユノと同類というのは言いすぎだと思うんですよ(凡推理)
多分、次回の☆話で二人のお話は一旦終わりかなぁと、ただもしかしたら来週と再来週は☆付きじゃない話が連投になるやもしれぬ