それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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多分、ナガンに話したらこっちも固まるレベル


衝撃的すぎる新事実

準備が出来た、と言うキャロルからの伝言をFive-sevenから聞いたエゴールは彼女の案内のもと、ラボの扉前まで来ていた。

 

「指揮官、エゴールを連れてきたわよ」

 

《来たか、入ってくれ》

 

許可が降りたのでと入ってみれば椅子に座り、資料を読んでいたようで彼女の前のデスクには送られてきた特色部隊に関する資料が散乱している。

 

キャロルは二人が入ってきたのを確認してから手に持って読んでいた資料を一旦デスクに置いてから向き合えば、そこでエゴールから

 

「それで、話とはなんだ」

 

「まぁ、まずは座ってくれ。少々長くなるかもしれんからな。57、コーヒーを頼む」

 

「構わないけど、私が聞いても良い話なのかしら?」

 

エゴールを自身の対面に用意しておいた椅子に座らせてからFive-sevenに指示すれば彼女は動くのだが自分がコーヒーを淹れてる間にも話が始まりそうだなと感じ、キャロルに質問してみれば

 

「問題ない、どうせ後で祖母上達にも話すからな……さて、どこから話したものか」

 

「本題からでいいのではないのか?」

 

「……そう、だな。では母上のことから話すことにしよう」

 

母上、つまりはレイラ・エストレーヤは特色部隊の部隊長であり、エゴールが持ってきた資料にも、そして彼女が活躍していた頃から正規軍内でも単騎での戦闘能力は最強ではないかと謳われるほどの実力を持ち、その力を彼女自身の夢である『誰もが不条理に泣かない、誰もが幸せを得られる、そんな綺麗な世界』という未来のために振るう程に優しく、正義感があった。

 

そう、ユノがそうであるように母親である彼女もまたこの世界で生き辛いとさえ思えてしまうほどに真っ直ぐな心を持っていた、だからこそキャロルは

 

「腑に落ちなかった、なぜヨゼフに遺伝子を提供したのかと」

 

「ヨゼフが嘘の目的で採取したから、ではなくて?どうぞ」

 

Five-sevenからコーヒーを受け取りながらエゴールも同意見だと頷く、ヨゼフがバカ正直に目的を話し遺伝子をといった所で断られるがオチであるし下手をすれば見限られることだってあり得る。

 

そんな危険な橋を渡るとは彼の性格からしてありえないと、二人の考えにはキャロルも同じである、だが彼女はこう続けた。

 

「無論、ヨゼフとて話してはないだろう、だが母上は優秀であったと言っていた、ともすれば勘付いていたっておかしくはない」

 

「仮に気付いていたとしたら、何故」

 

「……母上の身体はとある特異体質を持っており、同時にそれが原因で不妊症を患っていた」

 

ヨゼフの残していた資料には部隊員ごとの詳細な健康データも記されており、そこには確かにそう記されていた。

 

だからこそレイラは特色部隊の一人としてヨゼフからの改造手術を受けた、自身で未来ある子供を残せないのならばこの忌々しい特異体質を活かし未来への礎になろうと。では彼女を此処まで駆り立たせた特異体質とは何なのか、それを聞いた二人は驚愕し、彼らの反応にキャロルは改めて

 

「『絶対適合体質』生まれながらか、それとも変異したのかは分からないが母上にはこの体質があった」

 

「文字通りということなのか?」

 

「あぁ、資料を読む限り崩壊液にも適合していたとある、ともすればそこに例外は無いのだろう……代償は女としての機能の消失だがな」

 

「辛かったでしょうね……ッ!?そうか、だから彼女は!」

 

Five-sevenが何かに気付き何かを言おうとする前にキャロルが止める、確かに彼女の推理は間違ってはいない、だが当たってもいない。確かに子を産めない、と言う現実はレイラには辛かっただろう、だがその時の彼女にはそれ以上の感情はなかった。

 

ならば徹底的に人間を、女を捨ててやろうとすら思っていたかもしれない。この特異体質が役に立つのならばと、結果として部隊の中で一番の適合率を叩き出し、『ミミック』と呼ばれる、ELIDを組み込み、更にはELIDを狩れば狩るほどに性能が上がっていく大剣を自在に操り、奴らを屠ってきた。

 

これでいい、彼女はそれで満足していた……エゴールと出会うまでは、そうだった。

 

「ここからは俺の推測だ、貴様に惚れ、母上は捨てたはずの女としての未来を見てしまったのだろう、切り開いた未来の先で子を抱いているその姿を」

 

「……」

 

此処まで言われればエゴールとて気付く、彼女はこの体でも子を、例え自身のお腹を痛めることは出来なくとも子を為せるのかと、そしてヨゼフは的確にそこを突いた。

 

「真っ直ぐだった母上のほんの一瞬の揺らぎ、勿論悩んだはずだ、ヨゼフが碌でもない科学者であることは分かっていた筈だからな、だが」

 

「遺伝子を提供してしまった、いえ、責められることじゃないわ、勿論、エゴールが悪いということでもない」

 

「あぁ、ひたすらに間が悪かっただけだ」

 

見ればグッと拳を握りしめ何かを堪えるエゴールの姿、そんな事を彼女は一言も漏らさなかったと、せめて気付けていれば良かったのかと。

 

だがそれも無理だろう、彼女の娘たちですら周りに上手いように隠し抱え込むことが得意なのだから、母親であるレイラはそれ以上であることは容易に想像できる。

 

「さて、長々と語ったがここからが本題となる」

 

「え、今のは前置きなの!?」

 

「叫ぶな、さてヨゼフは母上の遺伝子を手に入れた、目的は彼女の特異体質を引き継ぐ子供を作り出し、自身の計画を容易に遂行できる準備をする」

 

だがなとキャロルが続ける。ヨゼフほどの技術力があればレイラの遺伝子だけあれば試験管ベビーを生み出せるはず、しかし彼が人間であることに拘ったが故にそれをヨシとしなかった。

 

ではどうしたのか、と言っても難しいことは一切ない、単純に生物の流れに沿った形にしただけである

 

「遺伝子さえあれば卵子と精子は作り出せただろうからな、男女の遺伝子を掛け合わせた」

 

「何というか、妙な所で律儀って言うべきなのかしらね、だけど男性側の遺伝子はって健康診断でもなんでも良いから手に入りやすいか」

 

「まぁ、軍で定期的な診断が有るからな、入手は容易だろう」

 

エゴールが言ったように入手なんて本当に容易いものであり、そこから軍の中でも優秀な人間のものを選び掛け合わせる、資料によれば彼女の特異体質の所為か、中々着床しなかったらしく頓挫したかと思われたが

 

「臨床数十回目、遂に一つの遺伝子との掛け合わせに成功した、ふぅ」

 

突如、キャロルが息を吐き出した、まるでこれから告げることを緊張しているかのように、数秒と言う間を置いてから、決意したかのように

 

「その遺伝子が、エゴール、貴様のだ。勿論、出任せでもなんでも無い、DNA鑑定もした上での事実だ」

 

刹那、ラボの空気が固まった。目の前の少女は表情を一つ変えずになんと告げた?という感じの二人分の視線がキャロルに注がれるが当の本人は気にする様子もなく、もう一度告げると今度は医務長であるPPsh-41からの鑑定結果の紙を取り出して

 

「まぁ、詰まるところだ、生物学論上で言えば『この体』である俺と貴様は『親子関係』と言うことになる、偶然の産物ではあるがな」

 

「はい、はぁ!?」

 

「……」

 

衝撃はあまりに強かった、もしかしたら人生で一番大きい衝撃を受けた日かもしれないと言う感じのエゴールは、若干、いや、かなり混乱している頭を落ち着かせ今の話をもう一度整理してから

 

「そう、か」

 

「だからと言って貴様にどうこうしろとは言わん、ただ……ただそうだな、知っておいて欲しかった、それだけだ」

 

この時のキャロルの声が震えていることをFive-sevenだけは気付けた、まるで彼女自身の困惑しているような声に疑問を覚える。

 

まるで、自分でもどうしてこれを言おうと思ったのか理解しきれていないという感じではないかと。

 

「ともかく、話したいことはそれだけだ……済まない、急にこんな話をしてしまって」

 

「いや、動揺はしてはいるが、ありがとう」

 

「感謝されるようなことではないだろう」

 

こうして、この場での二人の会話は終わる。エゴールはその後、少しばかりナガン達と会話してから帰り、キャロルはと言うと

 

「なんで、話したのだろうな」

 

自身のラボでそうポツリと呟くのであった。




因みにユノとノアはどうなのということに関してはクローンが故に限りなく近いけど違うらしく、強いて言うならば親戚とかな感じらしい。

次回は☆話ではなく、大コラボ回だよ!多分、明日とか明後日には書くと思いたい!!
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