それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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※ スタートするとは言ってない


☆ こうして彼と彼女はスタートラインに立った

「おい、坊主、おめぇ来週の用意できてんのか?」

 

バレンタインからそれなりが経ったあるひのシド工房、工房主であるシドが作業をしつつ唐突に弟子であるジェイクにそんなことを聞いたのが始まりだった。

 

来週の用意、そう言われても心当たりが多すぎてピンと来ないジェイクは

 

「来週って……なんか納品あったっけ?」

 

「あぁ!?おめぇ、来週って言ったらホワイトデーだろうが、バレンタインの時にシャフトの嬢ちゃんからチョコ貰ってんだろ!?」

 

怒鳴られるように言われたこれだがジェイクも忘れていたということではない、なのでそれを指摘されると軽く頭を掻いてから覚えてるけどさと彼なりの悩みを話したのがほんの一時間ほど前

 

そして現在の彼はと言うと街の中を歩いていた、だがこれは営業などではなく

 

「良いからお返しの品探してこいって言われてもなぁ……」

 

本気で困ったという声が彼の口から漏れる、そうホワイトデーだということにジェイクが悩んでいる理由は唯一つ、かれこれ十数年と生きてきたが今までが今までであるのでこんな経験をしたことがない故の悩み、それは

 

「何を送れば良いんだよ……」

 

異性へのプレゼント、そもそもにしてバレンタインでチョコを貰うことだって初めてな彼であり、異性との付き合いなんて仕事での客とのやり取り程度しかない彼にとってこれは大きな問題であり、だからといって何もしないというのは性格上それも出来ない。

 

「そもそも、アイツって何が好きなんだ?」

 

今までの会話に何かヒントがないかと思い出していくのだが、思えば自分のことを彼女からあまり聞いたことなかったなとなりまた一つため息、唯一分かるのは食事と家族がとても好きだということくらいだろう。

 

だがこれだけの情報でホワイトデーの品を考えろというのはあまりに無謀すぎるというものであり、割と本気で手詰まり感しか無いのだがと適当に目についた店の前で困り顔をしていると

 

「何を悩んでいるにゃ、少年」

 

「ん?」

 

突如声をかけられ振り向けば、そこに居たのは眼鏡をかけているIDW、はて知り合いにいたかと思いそうになるが自分のことをM16と同じように『少年』と呼ぶIDWは一人しかいないなとすぐに気づく

 

「えっと、孤児院のIDW?」

 

「おう、でオメェさんはこんな時間に難しい顔して店の前に居るにゃ」

 

「……あ~、あんただったら別にいいか、実はな」

 

そう切り出してから自身の今の悩みを彼女に話してみれば、向こうは感心したような表情を浮かべてから、なるほどなるほどと呟き

 

「だったら少し宛があるにゃ、よければ案内するがどうかにゃ?」

 

願っても無い申し出にジェイクは2つ返事で頷けば、じゃあ付いてくるにゃと彼女が連れて行ったのは13年経っても同じ位置にあるが故に気付けば知る人ぞ知る雑貨屋という立ち位置になっていた【リポスティーリオ】

 

案内されたその雑貨屋を見てジェイクが

 

「ここって、親父の知り合いがやってる店、だよな?」

 

「おう、雑貨屋と言いながら何でも揃う便利な店にゃ」

 

それとこの手の相談事には私以上に心強い味方がいる店でも有るにゃと扉を開けて入店すれば、出迎えたのは13年前経ったというのに全く衰えを感じさせない店主こと【フィオリーナ】と平日は此処で働くようになった【クフェア】

 

「いらっしゃい、っとあんたは確かシドのお弟子さんだったかしら?」

 

「いらっしゃいませ!って、IDWさんということは、隣の人がシャフトちゃんが言ってるジェイク君、かな?」

 

とりあえず、二人とは初対面ということで互いに自己紹介を終えてから、IDWが此処に彼を連れてきた理由を話してみれば

 

「なるほどね、うーん……」

 

「おっと、これは想定外の反応にゃ」

 

「いや、まぁ、これは俺の問題だから自分でなんとかするんだが」

 

「シャフトちゃんってあまり物欲がないと言うか、今がもう幸せだからそれ以上はって思ってて、何かが欲しいって聞いたことがないのよ」

 

確実に自分よりもシャフトと接している時間がないはずであろう二人からの言葉にそうなのかとジェイクは呟く。

 

そう、クフェアの言葉通り、シャフトはいまがもう本当に幸せであり正直な話で言えば何を送られても余程のものでもなければ喜ぶような少女であるので、これだっというものが無かったりする。

 

ただ、とフィオリーナが口を開く、全く手がないというわけでもなく彼女が提案したそれに

 

「確かにこれならシャフトも喜びそうだにゃ、ジェイクこれにしてやるにゃ」

 

「まぁそれでいいなら良いんだけどよ、もう少し飾りがあるほうがほら、女って喜ぶんじゃねぇのか?」

 

「ううん、あの子はあまり派手なのは好まないからこれくらいで良いと思いますよ」

 

「ってことさ、なぁにバレンタインのお返しだって言えば受け取ってくれるさ」

 

3人からのその言葉にならまぁこれでと代金を支払い、ついでにそれらしくラッピングも施してもらってホワイトデー当日、シドが気を利かしたのかなんだかは不明だが丁度、定期メンテナンスの日だったので何時ものように昼食会の時にあぁそうだとジェイクから

 

「ほら、バレンタインの時にチョコくれたろ?そのお返し」

 

「え、い、いや、そんな、あれはただのお礼だったから……あ、でも、あ、ありがとう」

 

あら、意外とすんなり受け取ったにゃと遠くで見てたIDWが居たらしい二人が気付くことはなく、そのまま何時も通りに会話と料理とアップルパイを楽しみ、その日の夜、今日こういう事があってねと話せば

 

「良かったね、それで何を貰ったの?」

 

「あ、まだ見てなかった……えっと」

 

此処まで中身確認してなかったのかと相変わらず微妙に抜けてるシャフトにロリボロスが呆れ声を出している中、ジェイクから貰ったラッピングされた袋を開けて中身を見てみれば入ってたのは飾り気はないが黒をベースに白の斑点模様の可愛らしい髪留め、それを取り出してみればユノに早速着けてみればと促され頷いてから着けてみれば

 

「よく似合ってますわよ」

 

「ふぅん、アイツにしてはいいセンスなんじゃないの」

 

「何でそう棘あるのルピナス……」

 

だが似合っているのは本当であるのでクフェアやナガンからもそう言われればエヘヘと笑みを零すシャフト、異性からのプレゼントを受け取りこうして笑みをこぼせるようになったという今までのシャフトからは考えることが出来ない成長にユノは嬉しそうに笑みを浮かべてから

 

「ジェイク君のこと、もう受け入れてるみたいだねシャフト」

 

「うん、なんだかお母さん達と話してるみたいに落ち着けるようになった」

 

自然と出てきたとの言葉、ナガンはそれを聞いてほぉと言う感じの表情をしてから今はまだ変に触れんほうが良いかと黙っておく。

 

だが、彼女は何時気付くだろうか、それがもしかしたら更に一歩踏み出すための感情だということに。そしてそれに気付いた時、孤児院の老猫ことIDWが本気を出して絵に書いたような青春ラブコメが始まることをまだ誰も知らないのであった。




とりあえずシャフトとジェイクの出会いのお話はここまで、青春ラブコメが次始まるのは何時になるやら……
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