それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
本日も晴天、何か大きなことが起きているわけでもなく、何時も通りな平和なP基地の執務室。
相も変わらず山とは言わずともそれに近いほどの書類と相手しているキャロルとFive-seven、今更ながら一つ言うとナデシコの運用は最近では基本的に通常運用時はAK-12に任せ、大規模作戦や緊急事態の時はキャロルが担当するという形に変更されている、これによりキャロルがまた指揮官としての書類仕事に参加できるようになり、また彼女が指揮が取れない場合、AK-12が代理を担当できるようにするという狙いもある。
とまぁ、そんな余談は置いておきカリカリとペンを走らせる音だけが支配する執務室、量こそはあるが今の彼女たちならば問題なく終わるだろうというくらいには集中していたキャロルがふと顔を上げた。
その行動にFive-sevenもペンを止めずに顔を向け、どうしたのかと聞くよりも前に誰かが歩いてきている音を耳が拾った、どうやら先にキャロルがそれに気付いたようだと納得しつつ、誰だろうかと思いつつ作業を続ければノックが一つ鳴り
「ティスです、指揮官に手紙を預かってきました」
「(手紙?)入れ、受け取ろう」
失礼しますと入室したティスから確かに一通の手紙を受け取ってから彼女が出て行った後、キャロルがふむと差出人が外側に書いてないかと確認するがどうやらなかったようで、開いてから読んでみれば、フフッとキャロルには珍しく笑みをこぼす。
Five-sevenとしてはこの手の文通で彼女が笑うなんて珍しいとかいうレベルではなかったので驚きながら
「何が書いてあったのかしら?と、いうか誰からなのかしら?」
「ん?ああ、貴様も会った事あるだろうロペラとフトゥーロだ、どうやら……」
「ちょい失礼にゃ、今、ロペラとフトゥーロと言ったかにゃ?」
Five-sevenがその名前に納得しようとした時、驚いた感じの声と表情のIDWがノックもせずに入ってきた、さっきティスが出て行ったときにきちんと扉が閉まってなかったのか、それで偶々執務室の前を通りかかった所で今のが聞こえたらしいのだがそれはそれとしてとキャロルは
「貴様にしては珍しいな、ノックもせずに入室とはな」
「む、それに関しては今回は見逃してほしいにゃ、それよりも……あぁっと、そのロペラとフトゥーロってのは妙に人懐っこい少女と大きなリボンの黒髪の少女、あぁいや、今だともう大人か、ともかくその二人かにゃ?」
「貴女にしては妙に落ち着きないわね、まぁ私も一度しか会ったことないけど確かにその二人だったと記憶してるわ」
その言葉に目を見開いてから、そっと閉じてそうかと何時もの語尾を忘れるほどに安堵の声を出してからハッと顔を上げてみればキャロルとFive-sevenからの視線、流石に言わんとしていることが分かっているIDWは頭を少し掻いてから自身の過去を語る形で二人との関係を話し始める、とは言ってもそこまで長い話でもないので数分で終わってから
「まぁ信頼できる他の孤児院に預けてからは私も何も情報を集めてなかったから元気で安心したってだけにゃ」
「なるほどな、ともすれば彼女たちが孤児院を開くというのはそういう意味なのか」
「……マジかにゃ?」
あぁ、手紙に書いてあると手渡されたそれをIDWが真剣に読み進めていけば、確かにそう書いてあったがさらに彼女を驚かせることになったのはその孤児院の名前である。
『レイディアントガーデン』それは彼女が手伝いに入っていた孤児院と全く同じ名前、彼女たちはあの決して良い思いだけだけじゃない、寧ろ放火という形で家と父親とも言えた存在である院長のレオンを失った辛い思い出の方が鮮明に残っていると言ってもおかしくないあの孤児院を忘れず、しかも自分たちで蘇らせたのだ。
「あいつら、ったく久しぶりに名前を聞いたと思えばびっくりさせることをしてるにゃ」
「二人は孤児院を開くために旅をしていた、恐らくはずっと前からそのつもりだったのだろうな」
「逞しい子たちね、あ、そうだキャロル?」
何かを閃いたという感じでFive-sevenがキャロルに声を掛けてから耳元で何かを伝えれば、伝えられたほうであるキャロルはなるほどと呟いてから何かを思い出すように目を閉じてから
「IDW、今日はもうオフでいいぞ」
「は?え、いや……」
「折角だから会ってきなさいな、積もる話だってあるでしょうしね?」
早い話が二人からの気遣いである、それに二人の名を聞き、自身がよく知る街で孤児院を開くために腰を下ろしたと知ってから彼女らしからぬほどにはソワソワしているのはFive-sevenにはすぐわかった。
だからこそ、ならば会いに行って来いというのが二人の考えである、これに対してIDWは少しだけ呆けてから
「にゃにゃにゃ、ならありがたくオフにさせてもらうにゃ……感謝するにゃ」
「さて、礼を言われる理由が見つからんな」
「素直じゃないんだから」
副官からの茶化すような声に可愛らしく一つ鼻を鳴らしてから仕事に意識を戻したのを見て彼女もIDWに手を振ってから自身の残りを片付けに入る。
そうとなればこれ以上居ても邪魔になるだけだと改めて礼を一つ言ってから執務室を後にして彼女はそのままウィリス M38にてガーデンに向かい、手紙に書いてあった住所に行ってみれば
「まんまにゃ」
思わずそんな言葉が出てしまう程にそのままなデザインだった、なんかもう清々しく懐かしいという感情すら抱いてしまう程に彼女の記憶の中にあるあのレイディアントガーデンと同じだった。
「あっと、すみません、何か御用でしょうか?」
「もしかして募集のポスターを見てもう来たのかな?」
さて、そろそろ呼び鈴でも鳴らすかと動こうと思ったとき、背後から声を掛けられて振り向いてみれば大量の荷物が積まれている荷台を押して、言葉にしなくても人懐っこいのがよくわかる空気を感じさせる女性と両手に大量の買い物袋を持っている大きなリボンの女性、そう
「ロペラ、フトゥーロ……?いや、驚いたにゃ、美人さんになったにゃ~?」
っていきなり名前を言われても警戒させるだけかにゃと一人そんなことを言いながら懐から出したのは伊達メガネ、それを掛けてから二人を見れば、最初に反応したのはロペラだった。
「あ、あああ!!もしかして……ね、姉ちゃん!?」
「え、レイディアントガーデンで働いてたIDWお姉ちゃん!?」
予想通りの二人の反応に笑いながら、そして
「立派になったにゃ、あいつもきっと喜んでいるにゃ」
「えへへ~、でもまだこれからだよ」
「そうだ、IDWお姉ちゃん、良ければ中で話しませんか?その、今日までのこと私も話したいですし、聞きたいですから」
その提案を断るつもりは彼女には勿論ないので当然にゃと答えてから基地には外泊させてもらうと伝え三人は孤児院に入っていき、そして語り合うだろう。
酸いも甘いも全てがあった今日までの物語を、それを語るロペラとフトゥーロをIDWは昔懐かしいものを感じながら母親のような表情をするのであった。
この再会があったので彼女はレイディアントガーデンでお手伝いに入ることになるんですね~
みんなもパソコンのメンテナンスは出来るならしっかり診てもらおうね!