それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
彼、ジェイクがコテージの二階にある海が一望出来るベランダに出てきたのは本当に偶然である。
そして、シャフトもまた同じくそこに居たのは偶然であり、その2つが重なった結果が今の場面、因みに先に居たのはシャフトであり彼女は備え付けられている座り心地の良い木製の椅子に座り海を眺めていたらしい。
「あっと、わりぃ邪魔したか?」
「ううん、大丈夫」
さて、ここで一つ語るとするならば、ジェイクとシャフトの昼食会は今も継続されており、その成果とも言うべきだろうか、今では彼女はジェイク相手に限れば普通に会話できるほどの仲になっている。
そしてそれが朝にFive-sevenが言った勘違いに繋がったりしている、つまりはこの二人のやり取りは傍から見てみればそこまで行ってるんじゃないの?と言うところまでには完成されており、だが二人にはその気は一切ないと言う不思議な形になっているとかなんとか。
まぁ、そんな周りのことはさほど気にしていないのでジェイクが断りを入れて反対側の椅子に座れば
「んで、こんな時間にここに居てどうしたんだよ」
「……海を、眺めたいなって思って、もしかして貴方も?」
答えながらも彼女は海を見つめる、初日の昼間もずっと見ていたはずだと言うのに、とはジェイクも思わない、何故ならば彼もまた似たような理由でここに出てきたのだから。
当初言ったように、このバカンスは二泊三日、ともすれば明日には帰ることになるし夜の静かな海をというのならばもうこのタイミングしか無い、つまりは
「俺も、明日帰るって考えたら勿体なく感じてな、だから見ておこうって思った」
昼間の賑やかなものとは違う、虫の鳴き声と木々が風に揺れる音と、遠くから聞こえる波の音だけが広がる海を何も考えずに眺めておきたい、そんな感じに答える。
何も明日に帰ったとしても一生見れない光景ではない、だが今このときのこの光景を見ておきたい、そう思ったらここに来ていたと、そしてそれはシャフトも同じだった。
「勿体ない、そっか、私帰るのが勿体ないって思ってるのかな」
「いや、聞かれても……ただまぁ、だからこそ一人でベランダ出てきたんじゃねぇの?」
「あまり、考えてなかったかも、ただ突然、見たくなっただけだと思ってたから」
彼女らしいちょっと抜けながらも確固たるなにかがあっての行動理由にジェイクは軽く笑えば、笑われたシャフトは疑問符を浮かべた顔で彼を見る、今の回答の何処に笑える要素があったのだろうかという疑問の視線も添えて。
「いや、シャフトらしいなって」
「私らしい、かな?多分、お母さんとかも似た感じに動くと思う、うん」
「……いや、まぁ、付き合いが長いってわけじゃないけど、姐さんの話を聞いてる限りだとそんな感じの人らしいな、俺は先生の時のユノさんしか知らないけど」
彼からの疑問にうんと迷いなく頷くシャフト、別段気分屋というわけではないが割とそういう行動をするのがユノと言う女性である、ジェイクも今の彼女の迷いない肯定にそれを察したのか、今度は苦笑を浮かべた。
見た目は子供らしいが中身はしっかりしている教師、それがジェイクのユノへのイメージだったのだがどうやら家庭では若干違うらしいと、がその方がらしいのかもしれないなあの人とも考えてから、また静かに海を眺め始めたシャフトとともにジェイクも夜の海を眺める。
だが忘れてはならない、ここはコテージでありオフとは言え色々と気配や音に敏感な者たちが殆どのメンバーで二人の行動がバレないだろうか、いや、無い。という訳で実を言うと二人のやり取りを陰で眺めていた者たちが
「会話が終わったのぉ、M16」
「おかしい、もっとこうあるだろ、こう、青春みたいな感じのがさ」
「何を期待してますの貴方達は……しかし、あの娘が慣れた相手とは言え、そこまではっきりと会話できるようになっているとは、ふふ、嬉しい成長ですわね」
ナガン、M16A1、クリミナである。因みにユノ達も気付いてはいたが折角だしそっとしておこうということというのと、下手に動くとルキアが突撃を噛ますのが目に見えていたので控えている。
因みに興味本位で来てるのはナガンとM16でありクリミナはあくまでいざという時のストッパーである、だがそれはそれとしてシャフトの成長には嬉しいものがあり、それの切っ掛けとなったジェイクには感謝していたりする、恐らく自分たちだけでは彼女をあそこまで成長させることは難しいだろうと。
とりあえず、これ以上は何かがある訳でもなさそうだなとM16が判断しつつ、二人にバレないように離れた所で
「にしてもじゃ、お主はどうして二人を気に掛ける」
唐突な、だが決して意味がないとは思えない質問を投げ掛けるナガン、その視線はM16に彼女がまだ現役だった頃を思い出させる鋭いそれに側で聞いてるだけのクリミナも思わず姿勢を正してしまう。
対してM16は13年経ち戦術人形としては完璧に機能を失ったはずの彼女からのその威圧ある視線を受けながらも笑みを浮かべたままジャックダニエルを一口呑んでから
「お節介、かねぇ」
「お節介?」
「あぁ、私から見るとさ、あの二人は今で満足しちまってて何だか勿体ないと思っちまったのさ……今が以上の幸せはもう求めない、だからこのままで過ごさせてくれって感じ」
過去を考えれば確かにその考えに至ってしまうのも無理はないだろう、だけど今こうして平和な世界になったというのにそれは勿体なくないかと思い、今日までの行動に繋がっている。
「つってもさ、だったらどうすればいいか、なんて私がいくら頭を働かせても上手いこと浮かぶわけでもなかったからさ、だったら知ってる展開でってなった訳よ……ってなんだその顔」
「いえ、思った以上に考えてた行動だったのだなと」
「わしはてっきり酒の肴にでもするつもりだったのかと思ってたぞ」
二人の情け容赦ない言葉にひっでぇと笑いながら、まぁそれも少しばかりあるけどなと付け加えてから
「まぁ私ができるのはここまでかね、あとは二人次第さ」
「そうじゃの、だがあの二人を見ておると、悪いことにはならないと思うのじゃ、クリミナとしてはどうじゃ?やはり簡単に男が寄るのは良しとならぬか?」
「シャフトがこの人と思えば、あたくしは強くは言いませんわ、無論、相手の人柄次第となりますが、ですが彼でしたら、大丈夫だとは思いますわ」
「あぁ、でも」
ここで話が締められるかというタイミングでM16が唐突に口を開く、何か思い出したとも言える声にどうしたのかと思えば
「勿体ないと言えば、明日海で遊ぶだろうし、そこにジェイクを放り込んでみるか、あいつ昨日は眺めてるだけだったぽいし」
「……彼、青年ですわよ?」
「大丈夫だ、周りは気にしない」
「あやつ、明日は色々と苦労しそうじゃな、うむ」
どうにかして止めるべきかもしれないと思いながらも策が浮かばないクリミナ、口ではそう言いながらも止める気はサラサラ無いナガン、いやぁ明日が楽しみだとジャックダニエルを飲み干すM16の三人はそのまま各自部屋に戻っていく、残されたのは
ゾクリ、何かを感じ取ったのか背筋に悪寒が走ったジェイクとその様子に何かあったのだろうかと小首を傾げるシャフトだけであった。
次回、サマーバケーション最終回(予定)(未定)
そろそろ本気でネタが尽き始めてるからどこから一旦休憩取ろうかしらねこれ