それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
つまり、その辺りすっかり忘れてたというわけだ!
部屋に戻ったら嫁がテーブルに突っ伏していた、と言う場面に直面してしまったのはユノの旦那であるクリミナ。
業務を終えて夕食も済ませてと言うタイミングでキャロルに報告しなければいけないことがあったことを思い出して急いで向かって帰ってきた、のだが出てく時はルキアを見ながら勉強をしていたユノが上記の状態で居たのだ、因みにルキアは彼女の側で仰向けになって寝息を立てていたりする。
とにかく、何事かと側に寄ってみれば彼女もまたルキアと同じように寝息を立て寝ている様子に一旦安堵の息を吐き出すが次に思ったのは時間で言えばいつも彼女が寝るには割と早いということ、昨日とかもこの時間帯ならば普通に勉強をしていたのだが、と考えた所で
(思えば、ルキアが生まれ、教師になるための勉学を始めてから丸々一日を一人で休んでるのを見た覚えがありませんわ)
無論、休んでくれとは言ってるし周りもそう思っているのだが、やはりこのワーカーホリックと言うべきか頑張り屋である彼女は無理をしていて、その断片が今目の前の光景なのではないのだろうかと。
これではいつの日にかみたいに過労で倒れることも遠くない未来に起きてしまうかもしれないと考えればクリミナは一つ頷き、とりあえず今の体勢のまま寝かせては身体を痛めてしまうとそっと揺さぶれば
「っ!?あ、ご、ごめん!てか今何時!?」
「ほら、落ち着いてくださいませ」
ということがありながらもその日は就寝、翌日は休日ということだったので丁度良いとばかりに朝食を終えてから自室に戻ったところでクリミナはユノに、とある提案をしてみれば
「え、でも……」
「『でも』ではありません、昨日だってあのような様子では何時かまた過労で倒れたということもありえないのですから。本日は一日、ルキアはあたくしに任せ、心も身体も休めてくださいませ」
「やすむー?」
実を言えば単語を繋げる形であれば会話も出来るくらいに言葉を喋り始めた愛娘であるルキアからもそう言われ、クリミナからも真面目な表情で告げられればユノも心当たりが全く無いというわけではないのでうぅむと唸って考え込む、確かに最近では朝や昼間などは問題ないが夕方を超えたあたりから少し気を抜けば疲れで身体が軽い怠さを訴える場面も多々あったりするからだ。
考え、考え込んで、確かに言われるとあれもこれもと詰め込みすぎていたかもしれないと自身を納得させてから
「そうだね、じゃあお言葉に甘えて」
「ふふ、はい、確かに。それに何も一人でというわけではありませんわ」
「失礼致します、G36只今参りました」
クリミナが言うと同時くらいに扉が開き入ってきたのはG36、ここで後はお願いしますわとクリミナと歩くと意気揚々に彼女の手を繋ぎルキアが出ていくのだが、その数分後、ほぼほぼ似たような理由でノアに休めと言われ手持ち無沙汰でクフェアがやってきたのを彼女たちが知るのはその日の夕食だろう。
という余談は置いておき、クリミナは出てきたは良いのだがこの娘とどこに向かいますかと少しばかり悩んでいた。1歳と半分がとうの昔に過ぎて立ち歩きも容易にできるようになって、ちょこちょことだが走ることだって可能になった彼女の行動範囲が広がりに広がりまくっている
故に出来ることならば彼女が自由に遊び回れる場所が良いのだがいつものレクリエーションルームではそろそろ飽きさせてしまうかもしれない、と考え彼女が向かったのは救護室、入れば直ぐに室長であるWA2000が
「あら、ここに来るなんて久し振りね。おはよう、ルキアちゃん」
「えぇ、まぁ、思えばここにはあまり連れてきたことはないなと思いまして」
「わんわん!ニャンニャン!だいふく!」
「……大福だけは随分とはっきり認識してる、というのは血かしら?」
いや、そんなまさかとクリミナは苦笑しつつ答え、ルキアに叩いたりとかはしてはいけないなどの事を可能な限り分かりやすく教えてから自由にさせれば、早速向かったのは大福の所、だが
「簡単にあいつが捕まりはずないわよね」
「機動力が違いすぎますからね、ですが楽しそうで何よりですわ」
「まてー!」
因みにだが大福からすると少し前に立派になったと思ったご主人が子供を生んでいたという事実に若干驚愕していたりする、するが似た空気を持つルキアに悪い気がしないので遊んであげているのだ。
この調子でお昼までと思っていると扉が再び開いて、振り向いてみればクリスを連れたノアの姿、どうやら向こうもクリミナが居るとは思ってなかったようで
「クリミナ?ってルキアも居るし……あ~」
「察しの通りです。その様子ですとそちらもでしょうか?おっと、おはようございますクリスちゃん」
「おはよう」
短く静かに挨拶を返したクリスはちょこちょこと大福に遊ばれているルキアの元へと走っていく、無論、その途中で子猫や子犬がじゃれ付いてくるが見事に強行突破していくさまに
「大人しい感じはクフェアそっくりなのにパワフルな感じを見るとノアの血も濃いのがよく分かるわね」
「ルキアも流石にあの数ですとバランス崩しますね、まぁそれを含めて楽しんでしまいますが」
「そうか?つか大福すげーな、思いっきり手を抜いてますって動きなのに捕まる気配が全くしねぇな」
猫と幼女、となればそもそもにして機動力などの違いも当然ながらある、それもあるのだがもっと言えば流石にこの年齢の二人が連携などが出来るわけもないために互いに互いが少々じゃまになる動きもしてしまうのもあれば周りの遊び盛りの子犬子猫の妨害もあり、それで捕まってないというのもある。
とは書いたが、実際問題で連携ができたとしても捕まることは数年先まではないだろう、だが数年先、例えばそうこの二人が小学生くらいの年令になったとき
『クリスちゃん!』
『逃さない、今度こそ!』
『にゃ!?』
捕まえる未来が来るのかもしれない、と言う話はまた置いておこう。ともかく今の二人には到底敵わない相手でありながらも彼女たちは遊びたいという感情なので楽しそうに笑っているので捕まらないということに対しての不満は特にないのだろう、もしかしたら悔しいという感情もまだ生まれてはいないのだろう。
「んで、流石に一日ここで潰せねぇけど、どうする?」
「そうですわね、次は中庭でしょうか?ですがその前にお昼でしょうかね?」
尚、その際に料理くらいは作るんだからとユノとクフェアが食堂に居ることに苦笑を浮かべる二人が居たとか何とか、こうして午前は救護室で動物たちと戯れるルキアとクリスを眺めることで終わるのであったとさ。
作品内の時間の流れがついぞ作者が追えなくなり始めたの図。割とマジで1歳とかとうの昔に過ぎてるじゃんとかなったよねうん。
あ、これ再来週に続きます、しかしまぁそろそろこの作品も箸休めしてもよろしいかね……ネタはあれど、子どもたちの成長とか最早書けなくなってきてるぞこれ(弱音