それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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画伯
絵の道に優れた人または画家の総称


☆ 画伯オブティーチャー

さて、どうするか。ノアは周りからの視線と目の前のキラキラした目とドヤ顔で居る自称姉を前にそんな風に頭を抱えていた。

 

何がどうしたのかということについての話よりも前に、前回の話で秋と言えば、と言う話をしたのを覚えているだろうか?そう、食欲にスポーツ、読書にそして芸術。

 

今回はその芸術の秋と言う観点からのお話であり、それが冒頭のノアの様子に繋がるというわけである、しかしこれだけでは何がどうして繋がるのかというのは分からないだろうから時間を少しばかり戻して話をしたいと思う。

 

土曜日ということで学校が休みであり、ノアやクリミナのP基地勤務の二人は指揮官であるキャロルから土日くらいは家族と居ろと言う気遣いで休みとなっている日のことだった。

 

ふと居間で何をするわけでもなく、休みだしとのんびりしていると窓から見える中庭にクリスとルキアがスケッチブックを手に出てきて、鉛筆で何かを書き始めたのを目撃、となれば気になるのが彼女ということで外に出てみて

 

「何してんだ?」

 

「美術の宿題です、芸術の秋ということで身近なモノを一つ描いてみようっていう内容です」

 

「だから、私はきなこもち、クリスちゃんがノロトルを描くことにしたんだ!」

 

ということらしい、因みにだがノロトルとは過去にノアがグリーンエリアから保護し随分と長生きだなお前とノアに言われているゾウガメ、きなこもち(命名ユノ)とは2年ほど前にP基地が調査で訪れた非合法の研究所にて保護された、資料によると頭脳を人間並に改良されたウェルシュコーギー、なのだが接している彼女たちからすると確かに頭はいいのだが普通の犬よりもと言うレベルであり、資料ほどの良さは見受けられないのだがという感想とのこと。。

 

彼女たちの返答にノアもなるほどな~と納得しつつ、真剣な表情で描いている途中のそれを邪魔にならないように覗き見てみれば、この歳にしては中々に上手なのではというタッチでモデルとなったものが確かに分かる感じに描かれていく様に、思わず

 

「おぉ、うめぇじゃん、鉛筆で描くって難しいんじゃねぇのか?」

 

「慣れるとそうでもないよ、それと『レヴィ』さんから色々教わったからね!」

 

ルキアが言うレヴィとはP基地の絵描きが趣味で中でも鉛筆を使ったのが最も得意と言っている『SuperSASS』の事である、13年たった今では暗部の時のコードネームだった『ヴィオレット』から三文字だけ抜いて組み合わせた『レヴィ』と名乗り暇なときには車で旅に出ては先々で見つけた風景をスケッチするという生き方をしている。

 

余談なのだがそのスケッチ画をMDRが試しにネットに上げてみようぜとやってみた所、凄まじい反響が起きて今では若干有名になっていたり、とまぁそれは置いておこう。

 

ともかく、SuperSASSはそれ以外で街に来ては子どもたちに絵を教えており、その中にはここの二人も混ざっているという話である。

 

「しっかし絵かぁ、描いたことねぇな」

 

「え、そうなの?」

 

「まぁな、今こそ平和だけど、昔はそんなこと考える暇……つか、あたしには発想がなかったからな、クフェアも能天気バカもそうじゃねぇか?」

 

二人の作業を見ていてノアがふとそんな事を口走る、自分たちがまだまだ前線であれやこれやと戦っていた頃はノア自身は戦場で飛び回り、ユノは指揮官をし、クフェアは暇はあっただろうけど話を聞いたことがないので恐らくは無いのだろうと考えれば、少しばかり興味が湧いてくるというものである。

 

だが待てよと同時にとある疑問が脳裏に過る、ユノはリディアンで教師をしているのならば美術も教えているのではないのではと、ということで聞いてみれば

 

「お母さんが美術の授業?うーん、聞いたことないかも」

 

「うん、私も聞いたことない」

 

ある意味で想定内であり、同時にどういうことだと言う新たな疑問を生む返答を聞いたノアは休みということで家に居るはずの彼女を呼び出してみればクリミアが付いてきて、更には中庭で話していたということもありクフェアも顔を出してきたので丁度良いとばかりに、話の流れを教えれば

 

「あ~、リディアンって複数人の先生が居て、授業ごとに決まってるんだよ、私だったら数学と理科、偶に体育の手伝いも入るかな」

 

「そういうことだったのか、じゃああれか、オメェも絵を描いたことって」

 

「無いかも、皆もじゃない?」

 

「そうですわね、あたくしもSASSが描いてるのを見たことはありますがやったことは」

 

「私も、でもちょっと興味はありますね」

 

クフェアの一言にユノも食い付き、なら折角ですしとクリミアも乗ればノアは元々そのつもりだったのもあり、ルキアとクリスの予備のスケッチブックを借りて、それぞれ好きに描き始める。

 

始めてからノアが思ったのは意外と難しいなという感想、見た感じだとサラサラとSASSやクリス、ルキアは描いていたのだが実際にやってみるとこうも物体を形にするのは難しいのかと、だが

 

(ようは、あたしがやってる生成時のイメージを描けば良いんだよな?)

 

勝手は違うが切っ掛けを掴めたノアはそこからは止まること無く描き始め、クリミアとクフェアは苦戦しながらも鉛筆を進め、最後にユノはというと笑顔のまま『きなこもち』をスケッチしていく、どうやら相当自信があるようで時より筆を止めてウンウンと頷いていたりもしている。

 

時間にして先に宿題で描き始めたルキアとクリスが終わってから数十分してから四人も描き終え、まずはと子供たちが見せれば

 

「上手!凄いじゃんルキア、クリスちゃん!」

 

「こりゃ驚いた、甲羅の模様もしっかり描いてあるじゃねぇか」

 

「あ、でもルキアちゃんの方が少し上手かな、クリスはノアに似てちょっと大雑把な感じあるね」

 

「ふふ、ですが誤差とも言えるレベルですわ、これならば将来が楽しみですわね」

 

見事な親ばか感想だが褒められれば嬉しいのは当然なので二人は笑みを浮かべるのだがクリスとしては大雑把になったのは急にノロスケが動いたのが原因だと言い訳を一つしておく、ついでにいうと大福が現れて下記途中の甲羅の上部分で大の字になって寝始めたのも原因だと。

 

そして続いては親組、クフェアとクリミアは今回初めてと言いながらも人形である二人は形にするというのは得意らしく、この場にSASSが居たとすれば今後練習すれば完璧ですと答えていただろうの出来、そしてノアは

 

「か、完璧に描ききってる」

 

「はん、たりめぇだ、あたしが普段から頭ん中で設計図を起こして武器を作ってんだからな、実物がそこにあるなら描けねぇ道理はないって話だ」

 

「なるほど、言われるとノアは絵が上手くても不思議ではなかったですわね」

 

「ノアちゃんも流石だね、だけど私だって負けてないからね~、じゃん!」

 

自信満々なドヤ顔でユノが描いたきなこもちを見せれば、冒頭の一行目の場面に戻るというわけではある。

 

とどのつまり、酷いのだ、それはもう、何を描いたのか言われなきゃ、言われても分からないと言える出来のそれがユノのスケッチブックに描かれていた。

 

(さて、どうするか)

 

「ねぇねぇ、凄くない?」

 

あぁ、すげぇよ、悪い意味でと本気で答えてやろうかと過るが、その後が絶対に面倒だと思えば口が自然と閉じてしまい、だがこのままじゃ駄目だよなと思考をフル回転させていると、妙な空気を感じ取ったのかロリボロスが現れて、そのユノ渾身の犬とは思えぬ犬の絵を見て

 

「なんだ、ユノ殿は画伯と呼ばれる類の才能の持ち主だったか、あぁ安心しろ、正しい意味での画伯ではないからな、悪い意味での画伯だからな」

 

「……え?」

 

まさかの評価に固まるユノ、そこからロリボロスが言ってしまったのならばもう仕方がないとばかりに

 

「犬じゃねぇよ、どう見たって」

 

「ごめんなさい、ユノ、あたくしもちょっとフォローし難いかと」

 

「こ、個性はあると思いますよ、お義姉さんの絵は」

 

「きなこ……もち?」

 

「長細い、ナニカです」

 

その日、SASSに絵の描き方とかを教えてくれないかと電話をするユノの姿が目撃され、ナガンに更に追い打ちをかけられたとか何とか。因みにだが絵が上手いと絶賛されたルキアとクリスだが同学年にはもっと上がゴロゴロしているとその日の夕食に語っていた模様。

 

最後に後日、SASSに見てもらった際にはただ一言

 

「凄い、初めてみましたここまで酷いの」

 

ユノ・ヴァルター、もしかしたら芸術系は全てダメなのではないかと思われ始める31歳である。




画伯(ユノへの評価)
(悪い意味で)常人離れしたセンスの絵画を描く者を皮肉を込めた呼び方

この娘、歌は微妙に外れるし絵はこのザマなので本当に芸術は駄目なのかもしれない
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