それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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状況整理とトゥーマーンちゃんの煽動もとい発破もとい演説の効果


大規模救出作戦 Session8

「S10前線基地組、ランページゴーストと合流、攻撃を開始、か、間一髪ってやつだ……」

 

絞り出すように声を出したのはオモイカネ、という事でここはナデシコ電脳内なのだが場の空気は作戦中だと言うのに安堵に包まれていた。

 

「流石の私も肝が冷える感覚を覚えたぞ、いや、アナ殿の無茶は一度強く言うべきだ、あれは何れやらかすぞ」

 

「言われずとも分かっている……流石に今回のは看過できん」

 

この空気の原因はウロボロスが言ったようにアナにある、ランページゴーストがアブノーマルの足止めを開始したのは前回の通りなのだが生かさず殺さずという条件のお陰でいつもの戦いが出来ずに徐々に劣勢になり始め、更にアナも問題ないとは言ったがヘカトンケイルの腕を斬り飛ばした際に行った大技の反動から回復しきれていないというのにリーダー格を相手取るという無茶を行った結果、あと数秒でもギルヴァの介入がなければやられていたという場面にまで追い詰められていたのだ。

 

彼女の使命感の強さは確かに知ってはいたのだがまさかここまでとはというのがキャロルの感想である、いや、と彼女はその考えを少し変える、これはトリガーというさらなる力を持ったが故に己が前に出続けなければと言う感情が強くなった?と思った所で現実の方、ナデシコが配置されている特殊戦術室にて作戦を見ていたナガンが

 

「FMG-9、少し通信を借りるぞ」

 

「へ?あ、はいどうぞ」

 

どうした急にと思うが顔が若干怖い表情になっているのを見たFMG-9は大人しくヘッドセットマイクを貸せば、装着し

 

「アナ、聴こえておるな」

 

(声がマジで怒ってるときのそれだぁ……)

 

《は、はい》

 

その場に居た全員がナガンの声に寒気を感じたように通信越しだと言うのにアナはゾクリと背筋が凍る感覚を覚えながら答えれば

 

「帰ってきたから覚悟しておけよ貴様」

 

《Yes、Mam》

 

アナは自分は多分今日が命日なのかもしれないという錯覚すら覚えながら、それでも返事を返せばナガンは何も返さずに通信をブチンと乱暴に切り、一つため息を吐き出して

 

「あの阿呆が、レイラが教えたのはそういう戦い方じゃないじゃろうて、キャロル、ペーシャにも連絡をしておけ、奴はなにも言わなかったかもしれぬが恐らくは身体中ボロボロじゃろうて」

 

「だろうな、数値が素直にそれを示している、こちらキャロル、ペーシャ聴いていたな」

 

《了解、それと例のナノマシンの使用の許可を貰いたいのですが》

 

例のナノマシンとはペーシャが主導して開発を始めた再生医療用ナノマシン、人形でも人間にも使え、欠損部位や外傷などにも作用して再生や治療を行うというもの、特にトリガーを引いてからのアナの身体は普通の人形と同じようにと行かなくなっているので、これでの治療を試してみようという考えらしいので許可を下ろしてから、次に戦況を確認を開始

 

「ウロボロス、マリオネットアイ(小 型 偵 察 機)の状態は」

 

「ヘカトンケイルのお陰で今や半数以下だ、一応それでも全域を見れるように配置を動かしてはいるが、穴が多くなっているのも事実だ」

 

また半数以下にまで減った影響でキャロルが乗取っていたパラデウス兵器も減少、今ではアイソマー達が集まっている所のみのなってしまっている、だがこれは問題ないだろうと判断、というのも

 

「オモイカネ、アイソマー達の救出状況及び敵残存の対空兵器は」

 

「このまま行けば、当初の目標数値を大幅に上回れる人数を救出できる、対空兵器も約六割の排除を確認できてるよ、特にランディングポイントの周辺は徹底的に排除済みだ」

 

いやぁ、本当にお強い人達の集まりで助かるねこれはといつもの調子に戻ったオモイカネの言葉に、キャロルは確かになと同意しつつも

 

「油断はするな、何が何でも向こうは証拠を潰したいだろうからな」

 

だが油断さえしなければ、このまま押し切れるだろう、そう続けてからキャロルは徐にルーラーの権能を開放、これよりはAK-12だけではなくオリジナルの支配者(ルーラー)の強化が行われるということである。

 

「こちらナデシコ、今からルーラーからの強化を更に増幅させる、一気に押し切るぞ!!」

 

一方その頃、アイソマー達が保護されている地点にて防衛待機しているラーニョチームは割と暇を持て余していた、勿論ながら警戒は怠ってはいないのだがこの周囲の敵は徹底的に掃除されているので来るとすれば攻めてくる個体だけ、だがここに攻めて来ようにも他のチームが居る手前、その前に壊滅させられてしまう、故に

 

【暇だねー】

 

【だねー】

 

因みにマキシマムスーツは周囲のパトロールをし敵を発見しては撲滅をしているので、更に彼らの暇を加速させる要因になっている、最も本来は5機でチームなのが現在は2機だけとなれば十全に戦えるというわけでもないので暇なのは助かることなのだが。

 

と、暇を持て余しすぎてAI二人による終わりのないしりとりが始まりそうになる直前、一人のアイソマーが近寄ってきて

 

「あの」

 

【ん?どうしたんだいー?】

 

「さっきの人形、名前を聞いてなかった」

 

【さっきの人形ー?】

 

はて、誰のことだろうかとラーニョ3が考えるが、ラーニョ1はすぐに分かったようで

 

【もしかしてトゥーマーンの事じゃないー?】

 

【あー、さっき色々とアイソマー達に話してたねー】

 

「トゥーマーン、覚えたありがとう」

 

でも名前を聴いてどうするんだろーと疑問に思うが直ぐにまぁいっかーとなって任務の警戒に入る、が彼らは知らなかった、一人にトゥーマーンという名を教えたことでアイソマー達に名前と彼女が行った発破と言う名の演説の内容が知れ渡ったことを、そして

 

「……ねぇ、可笑しくない、あたし名乗ってないわよね?」

 

「みんなトゥーマーンの事を知ってるゾ、有名人になったのか?」

 

「いや、覚えなさすぎて怖いんだけど」

 

オートスコアラーが残りの孤立しているアイソマーの救出の際に何故かトゥーマーンを見ては確認のために名前を呼ばれるという事態に発展、勿論ながら彼女たちが理由を知るわけもないので疑問だけが残ることになる。

 

しかも、今までは救出されるアイソマーは絶望や悲観してたのが大半だと言うのに、全員という訳ではないが今では生きて此処を出たいという意志を見せている個体も現れ始めている。

 

「まさかだけど、さっきのトゥーマーンの煽動の内容が共有された……?」

 

「ありえなくはないですが、その時も名乗ってはないはずですよトゥーマーンは」

 

「……え、なんで?」

 

トゥーマーンの呟きに答えられる者はこの場には居ない、居ないのでスルーされオートスコアラーは敵の殲滅を続行するのであった。




おめでとう、トゥーマーンはアイソマー達に名前を覚えられたぞ!

アナさんは色んな人からの説教も確定したぞ!!
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