それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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時系列的には大規模作戦の翌日くらい


それぞれの後日談

出番というメタで言えば相当久しぶりのヴァニラの持ち場である整備室、カタカタと画面に映っている数値を逐一確認しながらタイピングの手を緩めないで作業をしていく姿が見える、彼女が今何をしているのかと言うと、一人の人形の性能を少しばかり弄っているのだ。

 

いや、少しというのは無理がある、と言うのも内部数値だけではなく件の人形はフレーム等も改造が施されているのだから。

 

「……此処はもう少し弄れるな」

 

彼女の要望を答えるのならば、ここの数値は減らして、ここはと真剣な表情で呟きながら打ち込んでいき、数十分が経過したあたりで納得の行く形となったのか、グッと伸びをしてから、今回の依頼者である彼女に向けて

 

「よし、もう起きて良いわよ、【RFB】」

 

「ん……」

 

目を覚ましたRFBはベッドから起きて体の調子を確認するように動かしていると、その様子を見つつヴァニラから

 

「今回、貴女の要望に答えてボディをハイエンドモデルに近い形に、そして内部数値を反応値を高めに設定をし直してあげたわ」

 

「ありがと、でも何だか違和感あるねやっぱり」

 

「そりゃそうでしょ、前のと比べるまでもなく性能が上がってるんだから、だから今日からでも良いから慣れるために運動を繰り返すことをオススメするわ」

 

少し動かしただけでも自分で自覚できるほどに性能が上がったということに嬉しさを覚えつつ、これに振り回されないようにしないといけないなと気を引き締める。

 

その姿を見つつ、どうして彼女が急にそんな改造をと考えたヴァニラだったが、考えるまでもないかと笑い

 

「前回の作戦、そんなに悔しかった?」

 

「……うん、でも後ろ向きな感情じゃないよ、救えなかった彼女達のためにも次に活かそうって思ったから、だから出来ることはやれるだけやろうって」

 

技術を磨くための鍛錬、だが人形であり自分には改造という形での強化もあるのだから、やらなければ後悔すると思ったからと締めてからもう一度、ヴァニラにお礼を伝えてから整備室を後にする。

 

その後ろ姿に彼女はまた笑みを浮かべてから片付けを始める、彼女の眼にはRFBのその姿は王道とも言えるヒーローのように見えたとのこと。

 

場面代わりカフェの一角、そこでオートスコアラー達は頭を抱えていた……いや、訂正しよう、抱えているのはただ一人である

 

「どうして……どうして……」

 

「打算で動くからですよ」

 

「本気でマスターに褒められたいってだけの感情で適当な扇動するからこうなる」

 

「トゥーマーンって、学習しないよナ~」

 

名乗って覚えがないのに名前を覚えられ、何か知らんが煽動内容はアイソナー達に共有され、風の噂では若干の膨張もされてるとかなんとかの結果、懐いてる個体も居るとかの話を聞いた当の本人は、現在進行系で頭を抱えていた。

 

いや、懐かれる要素なかっただろあれ、というのが彼女の言い分である、自分がやったのは発破をかけるために挑発的な発言をしただけ、それだけ、ここまで考えてから

 

「あいつら、もしかして挑発とか言う概念が無い……?」

 

「まぁ、思いっきり励ましてくれた人形って事にはなってるんでしょうね。それと今回の件について、マスターから伝言です」

 

「え、なになに、褒められた!?」

 

「『貴様が行った行為の結果だ、自分で最後まで責任を持てよ』とのことです」

 

刹那、トゥーマーンは崩れ落ちた。その様子を眺めつつ残りの三人はそれぞれケーキやらコーヒーやらを楽しむ、カフェにはどうしてと壊れたラジオのように呟く一人のオートスコアラーと大規模作戦の反省会を行う三人のオートスコアラーの姿が暫くあったらしい。

 

次に見るのは医務室、となれば誰かは分かるだろう、あの作戦で無茶に無茶を重ねた結果、様々な人から説教を貰い、帰投してからもナガンからそれはもうこってりと絞られたアナだ。

 

その日は説教後に医務室に叩き込まれ、今はPPsh-41からの検査結果を聞いているところである。

 

「結論から言えば、一週間は絶対安静です」

 

「一週間、それはその」

 

「運動等も厳禁です、現在は昨日投与したナノマシン及び貴女自身の魔力と呼ばれる力での自己修復が行われている状況です、お陰でこちらから修復するという手段が取れないので完治するまでは大人しくしててください」

 

バッサリと斬られるように告げられた宣告にうぅと思いながらアナは自身の体を見る、外側だけを見れば無傷に見える身体は内部に眼を当てるとPPsh-41曰く、それはもう酷い有様らしい。

 

具体的に言えば、動けていたのが奇跡に近いという状況だったそれは一日経って日常生活にはギリギリ支障が出ないレベルに回復した事に彼女は驚いているくらいだ。

 

「まぁ、昨日ナガンから絞られたようなので私からはこれ以上は何も言いませんが、貴女に何かがあれば悲しむ人が大勢居るということは自覚してくださいね」

 

「肝に銘じておきます……」

 

今回ばかりは説教が効いてるようで疲れ切った声で返ってきた返事にPPsh-41はやれやれと息を吐きだしてから診断書を纏めつつ

 

「診察はこれで終了です、繰り返しになりますが一週間は絶対安静、その後に再検査をしますのでそのつもりで」

 

「はい、ありがとうございました」

 

深々と礼をしてから医務室を出ていった彼女と入れ替わるように入ってきたのはナガン、だがPPsh-41は彼女の姿を見てから、ふむ?と疑問を覚えたという感じの表情になって

 

「呼んだのは、指揮官の筈ですが?」

 

「あやつは今は少々立て込んでる話をしているようでな、直ぐには終わらんからわしが代わりに聞いてきてくれと」

 

キャロルがそういうということは時間が本当に掛かるのだろうと納得してからPPsh-41はさっき纏めた診断データ、それと追加で出したのはとある人物の診断データ、2つをモニターに表示させ、分かりやすいように一つの欄に赤丸を表示させる。

 

ナガンもその部分を見るが書いてあるのは数字だけ、2つを見比べればアナの方の数値が低いということだけが分かるがそれだけであり、これはと聞いてみれば

 

「これは昨日、彼女から採取した血液から出てきた数値です。ナガン、一つ聞きますが我々人形に使われているのは人工血液であり、数値というのはほぼ同一のはずですよね」

 

「当たり前じゃろう、ともすればアナから出てきたこの数字がなにか問題があるのか」

 

「問題、というよりはあり得ない、といったほうが良いんですよね。もう片方のデータというのはギルヴァさんのものですから」

 

つまりは人形に使われている人工血液からは出てくるはずがない数値であるということ、だが同時に彼女は驚くことを口にする

 

「人間の血液からも検出されたことが無い反応、なのですよね」

 

「ギルヴァ、確かあやつは人間でもないというのを聞いたことがあるな……待て、まさか」

 

ナガンが何かに気付いた、あの鉄血相手の大規模作戦の際に彼女が発現したイグナイトトリガー、あれは本来であればギルヴァたち人ならざるものではないと使えないもの。

 

だが彼女はそれを様々な要因が絡まって生み出し、今回の作戦でも人形という枠に収めるには無理があることを成し遂げた、そして共通するのはどちらもアナ自身が強く願ったから……とすればあの戦いで人形であることに限界を感じたのならば

 

「……あの大馬鹿者、人形を捨てるつもりか」

 

「恐らくは、今回の自己修復を利用して無意識ではあると思いますが少しずつ身体が変異しているものと思われます、人間でも人形でもない存在に」

 

守るべきものを護り切るために、PPsh-41の言葉が医務室に響けばナガンは深い溜め息を吐き出す、その件の彼女は

 

「あにゃ!」

 

「アナです」

 

「?あにゃ!!」

 

「あにゃ」

 

アナって言い難い名なのでしょうか?ルキアのニコニコ笑顔とこの歳で澄まし顔を出せているクリスから繰り出された微妙に違う呼び方に真面目な表情で悩み、それをユノ達は微笑ましそうに眺めるのであった。

 

では最後にナガン曰く立て込んでる話をしていると言われたキャロルはと言うとナデシコ内にてエゴールと通信で会話をしていたのだがその内容が

 

「正規軍から出向という形なのではないかそれは?」

 

《建前上は長期任務、と言うことになっているのだがな》

 

「【パラデウスの報復を警戒したP基地の防衛任務】がか?」

 

《あぁ、もっとも直ぐにと言うわけではないらしいが……》

 

曰く、カーター将軍から突如出された任務のような辞令のような物らしい話に、キャロルはどういうことなんだと頭を悩ませながら了承の返事を返すのであった。




はい、あけましておめでとうございます!ということで新年一発目から色々と話が出てきたけど、どうするんだろうねこの作者(他人事

まぁ今年もネタが出てくる限りは書いていこうかなスタイルです、浮かばなかったりエンジンが掛からなかったら一週間休みとかやるかもって感じですが今年もよろしくおねがいします

え、最後?まぁほら、未来編でもエゴールさんはP基地に居るから……

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