それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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よくよく考えれば、居たって不思議じゃねぇわという


新たな風

正規軍、カーター将軍がパラデウスと繋がりがあった、大規模作戦後の翌日にリヴァイルからの通信で明らかになった報告、そして彼の『かつて』の部下であったエゴールにも疑いが発生しているという内容にキャロルは即座に行動を開始。

 

諜報部、更にはFMG-9の切り札である【ネクロノミコン】まで使用し、向こうに悟られないことを大前提に情報をかき集め、驚くことが判明しエゴールが基地に到着したその日に今回の件を聞いてみれば

 

「それは、本当か?」

 

「あぁ、パラデウスの事については聞いたことはあるが将軍から詳しくは聞いたことはない、いや、もっと言えば繋がっていたという話も聞いたことがない」

 

驚くこと、それはカーターがエゴールに出した作戦の中にはパラデウスに関連することが一切なかったということ、無論、記録に残っていること範囲ではなのでそれだけで彼が全く関与していないという理由にはならないのだが

 

故に思い切って彼に聞いてみれば、返ってきた返答が上記のもの、嘘をついているという様子にも見えずカーターから信頼されているはずの彼がどうしてとキャロルが悩んでいるそばで、副官のFive-sevenが

 

「ねぇ、聞きたいけどレイラさんとは日常的に連絡をとってたり、会ってたりしてたかしら?」

 

「いや、プライベートでは……だが任務では同じになることは少なくはなかった」

 

「ともすれば、カーターは貴方からパラデウスのことが漏れるのを恐れた、だから話さなかったっていうのはあり得ない話ではないわね」

 

「情報漏えいを恐れたということか?」

 

仮に機密だからと話さなかったとしても、エゴールがそれに関する任務で別の動きをしたとなれば、レイラは直ぐにとは行かずとも気づき、そこからパラデウスと言うもっと大きな存在にたどり着くというのは容易に想像できる。

 

そうじゃなくても彼女ならば独自に掴んでしまい、カーターに問い詰めてくるなんてことも予想は難しくはない、ならば少しでもその可能性を低くしたいと思うのが普通ではあるだろう。

 

「つまりは母上と繋がりがあったからこそ、巻き込まれなかった、ということか?」

 

「そういうことになるわね、ふふ、素敵な話じゃないの」

 

「……彼女には、救われてばかりだな」

 

と、何だかいい感じの話が纏まりそうになっているが、ここから彼の証言だけではなく何かしらの証拠を用意して、エゴールの潔白を証明できるものを万が一に備えて用意しなくてはならないという壁がある。

 

簡単に、とは行かないことではある、だが諦めるつもりは毛頭ないとキャロルはエゴールに

 

「姉上と母上、それにユノ達が悲しむような結末には決してさせん、故に安心してくれ」

 

「すまない、まさかここまで大事になっているとは知らなくて……」

 

「悪いのは上よ、上、貴方が気にするようなことではないわって?」

 

何やら特殊戦術室の外が騒がしくなり、そこまでしない内にしかもノックもなしに開かれた扉の先に居たのは誰が見ても慌てているMDRの姿、これにはFMG-9も驚きながら

 

「MDR、どうしたのですか、そんなに慌てて」

 

「はぁはぁ、こ、この画像データ見てください!!」

 

突然な申し出に怪訝な表情を見せつつもUSBメモリを受け取り、中身の確認を始め……直ぐに驚愕の表情に変わり何やら作業を開始、続けてMDRが息を整えてから、慌ててた事情を話し始める

 

「実は、フェアリーリリース作戦後から掲示板とかで汚染地域でELIDを倒して回ってる少女が居るって噂が流れてて」

 

曰く、大体18くらいの少女が見たこともない兵器を軽々と扱い、本当であるのならばC級ELIDも一人で退治し、その地域で流民として暮らしている人々から英雄視されていると。

 

ネットサーフィンしてて偶々それを掲示板で見たMDRは噂にしては妙に具体的な情報が出てるなと情報収集を開始、そしてついさっき、その少女の写真を撮れたと話題になり入手して処理を行ってからデータを見てみれば、この顔はまさかとなり今に至るらしい。

 

「……いや、有り得ない話じゃない、寧ろ考えておくべきだった」

 

作業が終わったFMG-9が絞り出すような声にどうしたとキャロルが聞けば、返事の代わりに彼女が見せたのは自身のパソコンのモニター、その内容に全員が驚愕した。

 

キャロル達が驚愕してた時と同時間、とある汚染地域を一台の黒い大型のバイクが駆け抜けていく、見るからにモンスターマシンと言えそうなそれに跨がり駆っているのはグレーのロングコート、その下には赤のシャツを着て黒のアーミーパンツを履いている茶髪のポニーテールの18くらいの少女。

 

猛スピードで走っているというのにヘルメットも被らず、更にはゴーグルも掛けていないというのに特に苦にする様子もなく、鼻歌交じりに走らせていた彼女だが、ふと何かを感じ取ったかのように顔を上げ、それから

 

「みっけ」

 

何を見つけたのだろうか、彼女はそう呟いたと思えばバイクのスロットルを全開に捻り、それに答えるようにエンジンが更に唸りを上げて一気に加速、勢いそのままに突き抜けていき見えてきたのはELIDに襲われる流民のキャンプ、彼らも防衛をしているが旗色はあまりよろしいとは言えない状況、だが防衛側の一人が遠くからのエンジン音に気付くと

 

「リーダー、来た!!」

 

「救難信号を出して正解だったか!踏ん張れ、例のお姫様が来るぞ!!」

 

お姫様、そう呼ばれるのは勿論、モンスターマシンに乗って速度を緩めることなく突っ込んでくる彼女であり、本人も分かっているので笑みを浮かべながら、バイクに向けて何かをつぶやくと、バイクの両サイドが開き、二種類の武器が姿を表す。

 

彼女はそのうち、特殊な形をしたライフルを右手で取り出しながらスピードそのままにバイクを一気に傾けてドリフトのような形でELIDの前に飛び出すと同時に銃爪を引けば、一瞬のチャージの後、連続した低く響くような銃声と赤黒い光がELID数体を巻き込み、並の火器ではどうしようもないはずの存在が簡単に蒸発していく光景に思わず

 

「話にゃ聞いてたが、バケモン見てぇな銃だなおい」

 

が、あれだけの威力、撃った側も無事というわけではなく、少女は脂汗を流しつつバイクからもう片方の機械じかけの騎兵槍を抜いて飛び降り、着地同時にライフルを撃った右腕の前腕の内と外側がカシャリと音を立てて開き、排熱するかの如く蒸気を吐き出す、その間も少女からは痛みを堪えるようなくぐもった声が辺りに響き、聞いた防衛側の一人が

 

「あ、あれは……」

 

「まぁ、あのお姫様も普通の存在じゃねぇってことだろ、珍しくもねぇ話だ」

 

「気遣い、悪いね、へへ」

 

だけどまだお仕事は終わってないからと右腕が元に戻ったと同時に駆け出し、残っているELIDの掃討を開始するのだがその動きは明らかに人間というものをかなぐり捨ているものであり、時にはライフルではなく左手に持った機械じかけの騎兵槍をELIDに突き刺せば、内部で刀身が展開、そして

 

ボラーレ・ヴィーア(ぶっ飛んじゃえ)!」

 

チャージも無しに荷電弾が打ち込まれ、言葉通りにELIDの上半身が消し飛ばし、続け様にライフルを連射、この時も痛みを堪えるような表情になるが動きを止めることもなく大立ち回りを繰り広げ、そして

 

「これで、終わり!」

 

「まさか一人で片付けちまうとはな……だが助かった。それにしてもあんたを見てると正規軍に居た時を思い出すな」

 

「へぇ、どんなこと思い出したのさ」

 

「ELIDを相手に暴れる超人部隊の事さ、確か【特色】って言ったかな。あぁ、そうだ、そこの部隊長にお前さんはそっくりだよ、勿論、年齢は全然違うがな」

 

ふぅんと言われた本人はさほど気にする様子もなく、報酬として受け取ったチョコバーを一口、そう、リーダーである彼が言ったように少女の顔は『レイラ・エストレーヤ』の若い頃にそっくり、否……

 

「識別の結果、彼女はほぼ間違いなく18歳の頃のレイラ・エストレーヤ、つまりは『クローン』です」

 

FMG-9のパソコンに映された結果が全てであった。




そらまぁ、カーターがパラデウスと繋がりがあるならヨゼフだってあるだろうしって事よ、因みに内部的には人造人間みたいな改造されてるらしいっすよ彼女、その辺りは次回で語ると思いますが

彼女が使ってた武器はライフルの方のイメージモデルは【ビームマグナム】、機械じかけの騎兵槍は【ルガーランス】だったりする。
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