それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
A もうデートでいいじゃん
レイ発案で行われた男性への苦手意識克服特訓、と言う二人への建前でのデートの始まりはガーデン中央にある駅前の広場から始まる。
二人共、真面目が故に決めた時間から10分前にはジェイクが先に現れ、僅かに遅れる程度の時間差でシャフトも現れる、のだが彼女の服装はいつもとは全く違っていた、勿論ながらジェイクもそれにはすぐに気付くし彼としては何時ものあの格好で来ると思ってたばかりに、シャフトのガッチリと気合の入って姿に思わず言葉を失ってしまうと向こうは恥ずかしそうに
「え、えと、変……だったかな?」
「あぁ、いや、似合ってるんだが、その、気合入ってんなって」
「ちち、違うんだよ!?これはその、レイさんとエルフェルトさんが……」
曰く、それは今朝の出来事であり彼女としては何時も通りの服装で行こうとしたのだが、レイが玄関前で立っており
『やはり普通の格好で出ようとしてたわね、まぁ確かに着飾らないというのはシャフっちらしくもあるから私は許そう……だが
『勿論許しません、男女が出かける、それはつまりデート!だというのならば着飾るべきなのです、そこから始まるラブロマンス、その一歩にはやはりお洒落は必要なのです、さぁさぁ、服は用意しました、テキパキと着替えましょう!!!』
『えちょ、でで、デートとかじゃ、あ、にゃああああああ』
という事があり、服装は彼女らしく大人しめであり清楚な感じを全面に出したコーディネート、普段のシャフトを知ってる人物が見ても違和感なく、それでいて少しだけ背伸びしましたという感じに纏まっている。
彼女が他人の手とは言え、お洒落をしてくるとは思ってもなかったジェイクとしては不意打ち気味に飛んできた彼女の姿に思わず緊張してしまったということである、だが直ぐに今回の二人でのお出かけの目的を脳内で復唱して
「んじゃま、行くか、確か電車で隣町に行くんだよな?」
「うん、レイさんがそこの水族館に行くと良いよって、すごく大きいらしいよ?」
そりゃ楽しみだと答えながら二人は移動を開始、時間的には向こうに着く頃には丁度、開園する位には朝早いということもあり出勤にも利用する乗客も居り混み具合はそれなりという感じ、だがシャフトはジェイクの隣もしくは後ろにしっかりと付いていき、車内ではジェイクと楽しげに会話をする様すら見られる。
そんな二人の様子を乗客に紛れて監視、と言うわけではないが見つめている影が2つ、片方は今回の火付け役であるレイ、そしてもう片方は
「レイ、やはりこういうのはよろしくないと思うのですよ私は……いやまぁ、アリババが報酬を受け取った手前付き合いますが」
「まぁまぁ、邪魔するわけじゃないから付き合ってよ『ウェル』」
やれやれという感じの声を漏らしたのはP基地の暗部最古参の一人ウェルロッドMkⅡ、現在でも立場こそ変わっていないが暗殺業は廃業し、FMG-9が始めた探偵事務所の一人として働いており、今回もレイからの依頼で彼女に付き合っている。
勿論ながらレイが言うように邪魔するつもりは毛頭ないし、万が一も早々に起こるような時代でもない、なので要らないと言えば要らない、それなのにこういう形でこの場にいる理由は一つ
「M16、IDW、この二人が出れないとなれば、私が見届けなくちゃいけないのさ」
「諸悪の根源はあの二人でしたか……」
ウェルロッドの脳内にあの二人の楽しげな笑みと声が聞こえ軽い頭痛を覚えそうになるが、ここまで来てしまって変えるということも出来ないのでため息を一つだけ吐き出し、ことを前向きに考えて、とりあえずこの人の首輪だけはしっかりと握り、二人には是非ともいい思い出になる日にしてもらおうと決意するのであった。
彼女がそんな決意をしているとは全く知らないシャフトとジェイクの二人は電車に揺られること20分、ガーデンの隣町に到着、改札から出てすぐに出迎えたのは
「すっげーな」
「大きいとは聞いてたけど、これ一日で回れるかな」
改札口近くにあった水族館のパンフレットからして相当大きい水族館だというのは分かっていたがいざ目にしてみると想定をもっと遥かに超えた施設の大きさに思わず圧倒される二人、因みにその後方でレイとウェルロッドも眼を丸くしてるのは余談である。
ここまで大きいとなればシャフトの言う通り一日でというのは難しいとすら思えてしまうし、実際この水族館を楽しむ人達の中には数日掛けてじっくりとというのが主流とも言えるお客も居るので恐らくは難しいのだろう。
しかして、飼育や種類、ショーや出し物に手を抜いているなんてことは一切なく、お客を絶対に退屈させずに満足させるという覚悟すら感じられる水族館である、ともすればここに来る人の数は
「シャフト、逸れるなよ。つか、大丈夫か?思ったよりも人が多いなこれ」
「大丈夫、それに私ちょっと楽しみなんだ、水族館、好きだから」
波とも言える人の数にジェイクがそう告げるが返ってきた答えにシャフトの方を見れば、眼鏡の奥の瞳がキラキラとしているのがよく分かる表情をしている彼女の姿にジェイクが思ったのは
(こりゃ、俺が目を離したらあっちこっち見に動い見失いそうまであるな……)
「これは、レイ、あまり距離を離さずに……レイ?」
後方から聞こえた声に振り向けば、誰かを探すように周囲を見渡す女性の姿に、ああならないようにしねぇとなと一つ頷いていると
「ジェイク君、行こ?」
「おっと、そうだな、ここで立ち止まってたら時間が足りなくなっちまうしな」
珍しくイケイケなシャフトにジェイクは苦笑とも言えそうな表情を浮かべながら動き出す、ここから始まるはシャフトによるノンストップの海洋生物巡り、館内に入ってすぐに見えたのはアジなどを始めとした魚が自由に泳いでいる姿を見れる大水槽
「へぇ、集団で泳ぐってのは知ってたが、割と光るんだなコイツラ」
「キラキラして綺麗だよね、あ、マグロ」
「そういや、スリーピースがとんでもなくデカイの釣ったって新聞とかに載ってたな」
続いてはサメやマンボウ等と言った、あまり実物をお目にかかれない魚のコーナー、大きい存在ということもありどれものんびりと泳いでいる中、シャフトが気に入ったのは
「マンボウ、好きなのか?」
「こう、マイペースな感じがとても可愛いよね」
「マイペースつか、どうやって泳いでるんだという疑問のほうが強いんだが」
また別のコーナーではアシカ、トド、セイウチにゴマフアザラシやペンギン、その中にしれっと混ざっていた
「カピバラって、動物園じゃないんだ」
「動物園なイメージだよな、いやでもまぁ、カワウソもさっき居たから間違いじゃねぇのか。にしても気持ちよさそうに温泉入ってるな」
「……お風呂入ってる時のお母さんみたいな顔してる」
目を細めて誰が見てもいい気持ちですという表情のカピバラにシャフトがそう呟き、ジェイクも当然ながらその光景を見たことはないのだが割と鮮明にその様子が浮かび上がり、あぁと納得してしまう。
このように誰がどう見ても恋人同士の雰囲気な二人、苦手な人混みで家族とも一緒じゃないというのに常に笑顔のシャフト、これを遠巻きで見ていた、逸れてから一時間後にやっとウェルロッドと合流したレイが
「あれさ、やっぱりそういうことなんだと思うよ」
「と、言いますと?」
「ジェイクって青年の方は分からないけど、シャフトはもう彼に惚れてて、気づいてないだけだって話」
でもなきゃ、あんなに楽しそうにすることなんて出来ないわよ。穏やかな表情で告げたレイ、今の彼女は先程までのミニショーを行っていたセイウチに子供じみたハイテンションを見せていた彼女ではなく、『レイラ』が乗り移ったのではと思えるほどの母親の表情にウェルロッドは
「まるで恋をしたことあるみたいなこと言ってますが、貴方ありましたっけ?」
「おいおい、私は両片想いをやらかしてた奴のクローンだぜ?恋心には少しばかり理解はあるのさ」
「あ、戻った」
それにしてもとウェルロッドは思う、もしかしてあの二人、当初の目的を完璧に忘れているのではないのだろうかと、その件の二人はその後も水族館に飼育されている生物を見ては感想を述べたり、イルカのショーを見に行って水飛沫が掛かって笑い合ったりして、ふとシャフトは気付いた、あれこれって
(何だか、普通に遊びに来てるみたいになってる?あれ、これってデートでは?)
「どした、シャフト」
「へ、ううん、何でも無いよ、無いけど、そろそろお土産とか見たほうが良いよね」
言われ腕時計を見てみれば確かにいい時間である、なのでジェイクは確かにそうだなと答えお土産コーナーにて買い物をし、全てを回りきれたというわけではないが水族館を後にした帰路の電車、その車内で運良く二人共座れたのだが途中でコテンとシャフトの頭がジェイクの肩に乗り、見てみれば
「マジかよおい」
「おいおいおい、完璧に心許してるじゃん」
「シャフトちゃん、ふふ、いや、不思議と嬉しいですね」
小さな寝息を立てるシャフトにジェイクは戸惑い、レイとウェルロッドは驚く、だって彼女が異性を前にこうして居眠りをするというのはつまりはそういうことなのだから、だがピースは揃ったとレイは微笑む
(あとは、ちょいと押してあげますかね)
無事帰宅からの夕食時、レイによる詰めが始まる
お洒落シャフトちゃんはこう、ロングスカートにいい感じのシャツにジャケット着てる感じだよ多分(フワフワ
にしてもデート風景が上手く書けてないですね、作者に経験値無いからしゃーない