それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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でも時には強引がいい時もある


ゆっくりと、少しずつ

人形誑し、そう一部の戦術人形からは呼ばれている指揮官だが何もすぐに仲良くなれたり、懐かれるというわけではない

 

だがそういった彼女たちにも指揮官はひたすら待ったり、頃合いを見て話してみたりと手を変え品を変え少しずつ距離を縮め気付けば昔からの友人や家族みたいな雰囲気にしているだけである

 

言ってしまえば彼女は忍耐強いのだ、但し人形に限ってしまうのが難点だがと副官は語る

 

そんな彼女と入ったばかりでどう馴染んでいいのか分からなかった【ステアーTMP】のお話

 

「う、うーん」

 

司令部、廊下、そこで彼女は唸っていた。チラッと後ろを見ればサッと何かが隠れる、がしっぽが見えているのでそれがTMPであることは分かる

 

分かるのだがかと言って距離を詰めようとするとすごい勢いで距離を離され、また指揮官を見てそして冒頭に戻る、とイタチごっこになっていた

 

(こ、この手のタイプは経験が少ないからどう接したものか)

 

とりあえず今までの中で一番この手のタイプに近かった子を思い出してみる、そこで思い付いたのが【P7】だ

 

少々事情は異なるがそれでも最初の頃の彼女は敵対心しかなく指揮官にも近付こうものなら攻撃してくるくらいだったがその時は、と彼女は思い出し

 

(待つ、だったね。向こうのペースで距離を詰めてもらおう)

 

「何しとるんじゃ指揮官」

 

振り向いてしゃがみ込んだまま隠れてチラッと顔だけを出してるTMPの方を見つめる指揮官に偶々通り掛かったM1895が声を掛ける

 

掛けた上で指揮官の視線を辿ればM1895が来たことによってまた隠れてしまったTMPのしっぽがチラチラと見えそれを確認した彼女はふむと頷いてから

 

「なんじゃ、お主が手を焼くとは珍しいな」

 

「手を焼いてるつもりはないよ、ただちょっと声を掛ける勇気が必要なだけの子だよ、きっとね」

 

だから待ってあげる、決して焦らず、急かさず、じっと向こうのペースで距離が縮んで行くのを待つ、それが今の私にできることだからと言い切りTMPにニッコリと微笑む

 

対してM1895もまぁ、お主に任せる。わしはどうにも近寄り難いようでなと苦笑を浮かべながら執務室の方へと消えていった。結局その日は距離が縮むことはなかったが去り際に

 

「ゆっくりでいいよ、慣れたら何時でもいいから私に声を掛けてみて?」

 

と優しく伝えてからさて、お仕事お仕事と彼女も執務室の方へと歩いていく、それを見送ってからTMPは角から現れてしばらくその方向を見てから

 

「指揮官、優しい人、撫でてもらいたいな」

 

小さく呟くと彼女はフワッとまるで始めから居なかったかのようにその場から居なくなった

 

その日から、指揮官とステアーTMPの奇妙なやり取りが幕を開けた。大体小休憩や昼休憩、業務が終わったあとなどの時間で数分、長ければ数十分から一時間位、指揮官がしゃがみ込みTMPを見つめ、TMPも彼女を距離を取りながら陰から顔を出して見つめる

 

いつしか戦術人形達も遠巻きにそれを眺めるようになり、だがそれでも少しずつ縮まりはするが始めの頃からまだ数cmと言ったくらいであり、これは時間がかかるかなぁと呑気なことを考えていたある日

 

「いつまでそうやってるのよ、あんたは」

 

「P7ちゃん?」

 

実は数日前から見ており、指揮官が決めたことだからと口を出さなかったP7がいよいよ我慢の限界が来て遂に口を出す、その声には怒りが混じっていた、戸惑いながらもう一回名前を呼ぶことにする指揮官

 

「え、えっとP7ちゃん?」

 

「ごめん、指揮官、ちょっとだけ言わせて、そうやってれば指揮官が構ってくれるから隠れてるんでしょ!?」

 

ズンッと一歩力強く踏み込めばTMPはヒュッと三歩下がってまた陰に隠れてしまう、がそのタイミングでP7はいつもは逃亡に使う踏み込みを此処で使って一気に距離を詰めたかと思えば

 

「捕まえたわよ!」

 

「ひゃ!?あ、いや、離して!」

 

「何が離してよ、あんたがそうやってウジウジして何時までも出てこないのが悪いんでしょ!!」

 

「ちょっ、ちょっとP7ちゃん乱暴は良くないよ!?」

 

突然すぎるP7の行動に指揮官が急いで二人に駆け寄ろうとした時、ブワッ!とP7の身体が宙を舞った

 

へ?と驚く指揮官、空中で身体を捻り着地をしたP7はTMPを睨めば、構えを取っているTMPの姿、彼女は睨みはしていないが気弱な顔は鳴りを潜め怒っている感じの表情でP7を見据える

 

「へぇ、このわたしとやろうっての」

 

「……」

 

一発触発の空気、それを破ったのは他でもない人形たちを愛し、誰よりも大切な家族だと思っている指揮官だった

 

「はい、二人共そこまで」

 

腰に手を当ててちょっと怒ってますという雰囲気を出しながら二人の間に入った指揮官、そのあまり慣れない雰囲気の指揮官に驚くP7とTMP

 

「P7ちゃん、私とTMPちゃんを少しでも近づけようとしてくれるのは嬉しいけど、強引なやり方は駄目、分かった?」

 

「う、うん……」

 

「TMPちゃん、怪我は無い?それとP7ちゃんのことは悪く思わないであげて、ちょっと不器用なだけだからさ」

 

「は、はい」

 

ならば良しと言ってから丁度二人共いい距離に居たのでグイッと彼女にしては珍しく強引に二人を抱きしめる

 

「ひゃ、あっ、え?」

 

「うみゃ、にひひ~」

 

TMPは戸惑い、P7は嬉しそうに笑う。その反応を見た指揮官は抱きしめながら

 

「TMPちゃん、これからもよろしくね。それとごめんね、本当はゆっくりと貴女のペースで進ませてあげるつもりだったのに」

 

「い、いいえ、あ、えっと、P7の言うことは正しいです……構ってほしかったから、わざと距離を離したりしてました」

 

「ほら、少し前のわたしみたいな事してるからそうじゃないかなって思ったのよ」

 

に、似た者同士って奴かなと思いつつ口には出さずに暫く彼女たちを抱きしめ、そっと開放してあげる

 

その日は二人共自発的に謝り、解散、だが後日からTMPは積極的に指揮官に接するようになり、それに負けじとP7も戯れつくという光景がこの基地では新たな一コマとして増えるのであった




猫のじゃれ合い(達人級)

え、オリジナルのステアーTMPとキャラが違うって?まぁ、ほら、誤差だよ誤差……いや、ホントなんかこんなキャラ似合うのではとかいうおなじみの暴走でございや(銃殺刑

因みにこのステアーTMPちゃん、身のこなしとかはバイハのハンク的なノリで書いてます、消えるように動いたり妙に格闘戦がこなれてたりするのはその辺りが理由
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