それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

790 / 794
行動開始、彼女たちは何に出くわすのだろうか


☆ 北の大地にて Session5

三人が目的地に到着したのは予想通り、日が落ち始めた頃。計画通りに野営が出来そうな地点を探しているのだがそこで思ったのは思ったよりも木々が多く、周囲は森、そうじゃなくとも林とも言えるほどに生えている。

 

つまりは視界が非常に悪いのである、もしナビが無かったらと考えるとこれ以上にないほど面倒だというのが言わずともわかるくらいに、更に言えば

 

「いい感じの空間が無いわね、一〇〇式が作ってたあの小屋が作れそうな場所もないなんて】

 

「自然の復旧が早いのは嬉しいけど、全く手付かずってのは想定外よ、木の伐採とかもしてないわけじゃないんでしょ?」

 

「してるとは言っても村の周辺、遠出をするにしてもここまでは来ません。それにこの辺りにはまだ村などは無くてしかもヒグマの生息地になってるというのもありますから」

 

「手を付けようがないってことか、どうであれ場所を見つけないと休むことすら出来ないわよ」

 

幸いなのはスノーモービルを走らせることが出来る程度には木々の間が空いていることだろう、だがこのまま走らせていても道は一直線にしか無く、野営に適している場所が見つかりそうにないというのも事実であり、式自の指示で一旦停車から押して周囲を探索することに。

 

道から外れ木々の中に入っていけば視界は急激に悪くなる、一応自分たちでも頻繁に地図を開きコンパスで方角を確認しつつ道を覚えたりはしているが、それを行ってなおもこの森で遭難してもおかしくないという考えを過ぎらせながら探索を続ければ

 

「ふぅ、ここならテントも開けそうね」

 

「割とギリギリ感はあるけど、致し方ないってところか。よし、今日はここを野営地とするわ」

 

「了解です、ですがもう辺りも暗くなってしまいました、今回はファーストキャンパーを展開、中で火をおこして食事にしちゃいましょう、道中でウサギも確保できましたから」

 

あの視界の悪い中でよく見つけて捕獲できたなと二人は思いつつも、一〇〇式のお陰で温かい料理がまた食べれるのはありがたいと感謝を述べてテントを展開、手早く料理の準備などを行っていく。

 

この時、ナビで周囲を警戒状態にしていた彼女たちだったがテントの展開時の音に気付いた一人の狙撃手が幸運にもその範囲ギリギリの箇所で監視していることに気付けなかった。

 

(随分と堂々と野営をしてるな、ただの狩人か?)

 

いや、と男はその考えを払う。この辺りにまで狩りに出てくる必要がある集落は存在しない、もし必要があったとしても野営をすることはなく朝の内に来て夜になる前に帰るはずだと。

 

更に言えば明らかに軍用のスノーモービルが三台停車をしていることも双眼鏡で確認している、つまりここで野営をしている集団は何処かの組織から任務できている者たちだろうと言うのは男にも予測できた。

 

(ま、大方グリフィンだろう、あの様子だと奴らの動きに気づいて調査に来たって所か、それともこの付近の生態系の調査の可能性もあるか、前者だったら動きが思ったよりも早い、優秀な調査員でもこの地域に居たと見るべきだな)

 

ともすれば雇い主にとっては少々面倒なことになるなと他人事のように考えながら木の上から微動だにせずにテントを監視する、男はあくまで用心棒として雇われているだけ、しかも向こうの思想に賛同したからとかではなく出された報酬が美味しかったからだけ、なので奴らがどうなろうと関係ない、のだが

 

(報酬を貰うまでは生きてて貰わないと困る、一応報告だけでも入れるか)

 

勿論、慌てて撤収行動などはしない程度に内容は偽るがなと音を立てないように狙撃手は森の闇の中へと消えていく、だがもし男に想定外があるとすれば戻る際に本当に微かに、本人すら気付かないような音をその耳に拾い

 

「……」

 

「どうしたのよ、モシン」

 

「いいえ、遠くで鳥が羽ばたいただけだったみたい」

 

言葉ではそう告げる、が彼女は直感していた。間違いなく何者かが自分たちを監視して、ついさっき戻っていったと、ここで彼女たちに報告しなかったのは、こちらの行動でその集団が証拠隠滅や撤収作業を早めてしまうことを恐れたからである。

 

最低でも明日の地下研究所付近の調査に入るまでは自分たちはそちらに気付いていないというフリを徹底させておかないといけないと、それと同時に彼女の中で一つの考えが浮かぶ。

 

(音が聞こえたのはこの方角、でも私達が向かおうとしている場所とは微妙に違う、つまり拠点はそっち?)

 

なら地下研究所での目撃情報はと考えてしまいそうになるが、あまり外に居すぎれば向こうに察せられてしまうかもしれないと打ち切りテントに戻っていき、一〇〇式手製のウサギ鍋に舌鼓を打つのであった。

 

そして翌日、本日の天気も快晴の絶好の調査日より、まずテントから出てきたのは銃を肩に掛けたモシンナガンはゆっくりと周囲を見渡し、同時に耳を澄ませる。

 

「(周囲に不審な点は見当たらず)ナビ、昨夜から今日までに何か反応は?」

 

【報告 反応は小動物のみ、人間の反応は検知されていない】

 

(ともすれば、昨日の音を考えるにギリギリの範囲から見られたと考えるべきか、こちらの装備を知っている?いや、ナビの存在は秘匿してる、なら運が良かったってことか)

 

ナデシコと違って範囲が決められているナビの索敵を運とは言え逃れられたのは痛いなと心で舌打ちをした時、ガサッと言う音に銃を即座に構え向けば、そこに居たのは一匹の鹿、丁度いいから朝食にしようかと引鉄に指を掛けるが

 

(いや、私が昨日の監視者ならここで撃たない。銃声を鳴らせば間違いなく、例の不審な集団に聴かれる)

 

向こうは私達以上に神経を張り巡らせて活動していると思うからと構えを解く、そもそもにして彼女が一瞬の思考を巡らせた頃には鹿の姿は森の中に消えているので当てることは出来なかっただろう。

 

朝ご飯はまた携帯食料に決定ねと苦笑しつつテントに戻るのだが、その心配は彼女あとに起きてきた一〇〇式が昨夜の内にテントの近くの木に罠を仕掛けてあり、リスを獲ってきたことで霧散することになることをモシンナガンはまだ知らない。

 

そんな事がありつつも、また彼女のお陰で朝食も無事にありつけた後、テントなどを片付けてからいよいよ目的地への調査のために行動を開始、スノーモービルの性能もあり一時間も要らずに地下研究所があり、不審な集団が目撃された地点に到着した【二人】だったのだが

 

「なに、これ」

 

二人が目撃したのは数人の遺体、どれも損傷が激しく辺りには血溜まりが出来上がっている、中には顔の皮がベロンと剥がれてしまっているものや腹部から爪で引き裂かれたような傷とそこから腸などが出てしまっている遺体、木にはなにか巨大な存在に力任せに投げられ、地上にある遺体とは別に身体前面の皮などが引っ掛かっているものすらある。

 

衝撃的なこの光景に式自が思わず声を失ってしまう中、一〇〇式は即座に周囲の調査を開始、そして

 

「(この土饅頭の遺体……腸が食べられてる?)っ!?式自、すぐに構えて、ナビ周囲の索敵を開始して下さい!」

 

「クソっ、いきなり当たりってわけ!!」

 

一〇〇式が弓を構えながらの言葉に式自もこれを行った犯人を即座に理解し、そんな言葉を吐き捨てながら銃を構え、同時にナビから

 

【報告 ヒグマの反応を感知、推定全長3m以上】

 

淡々としたその報告に式自がキャラを投げ捨てて冗談じゃないっての!と思わず叫ぶと同時に反応があった方向に向いた時には……

 

「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!」

 

身体中を痺れさせるよう衝撃の咆哮を上げながら巨腕を式自に向けて振り下ろすヒグマの姿があった。一方、一人別行動をしていたモシンナガンは、昨夜の音の方角に木々を飛び移りながら向かっていたのだが二人がヒグマと接敵した時、ヒグマが咆哮を響かせるよりも少し前に

 

(やっぱり、あれが本命の拠点ってところね)

 

彼女ならば問題なく殺さずに相手を無力化出来る狙撃が出来る地点の木の上でスコープを覗き、誰かが帰ってくる、もしくは出てくるのを待っていた、丁度その時、地下研究所方面からヒグマの咆哮が轟いたと同時に彼女が覗いていたスコープを貫かれ木から力無く落ちていく姿、そして

 

(迂闊だったな、グリフィン)

 

昨夜、彼女たちのテントを監視していた狙撃手が冷酷な瞳でそれを見つめていた。




旧パラデウスの残党?まぁ、アイツラは人の話を聞かないからな……

え、狙撃手のモデル?そらお前、あの人よお前(暈す
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。