それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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狙撃手同士の戦い(書けるとは言ってない)


☆ 北の大地にて Session6

モシンナガンが落下したのを確認してから、狙撃手の男はガチャンとボルトを動かし排莢を行う。

 

(よし、想定通りの場所に来てくれて助かった、じゃなければ面倒なことになってたからな)

 

昨日のことから間違いなくこの拠点に来ると予測した狙撃手の男は『自分ならばここから小屋を監視する』という地点の山を張って、その地点から大凡138mほど離れた場所の木の上、そこは自身の体を木々の葉が上手く隠し、それでいて彼女が居た箇所をピンポイントに監視できる、この狙撃地点に待機していたのだ。

 

そして目論見通りに彼女はその木の上に現れたのを見てから銃爪を引けば、結果は見ての通り、だがと男は思う。

 

(後二人居るはずだが……撃たれたことに反応がないってことは例の研究所に行ってるのか、さっきのヒグマの咆哮もその方向からだったよな)

 

そこまで考えてから、雇い主含めた旧パラデウスの残党は全員、研究所に行ってたよなと言う事を思い出し、ハハっと割りと他人事のように笑いながら

 

(まさか、絡まれたか?だとしたら相当運がない、まぁだが何もしなかったらそれはそれで報酬を減らすだなんだと言われるのも面倒だ、とりあえず奴の遺体だけでも確認して……)

 

突然、男の動きが止まった。今彼が考えたのは自身が撃ち抜いたモシンナガンのこと、藪に落ちていったのはで探すとなると面倒だなと考えて、彼は待てよとなる。

 

確かにスコープごと撃ち抜いた、それはこの目で見たので間違いない、それでいてモシンナガンの身体は木から『真下の藪』に落ちた。

 

(もし撃ち抜けてたのなら、その衝撃で真下に落ちることは無いはずだ……)

 

男の視線が鋭くなり、愛銃である【三八式歩兵銃】を改めて構え直す、この考えが正しければ自分は危うく致命的な隙をあの狙撃手に晒すところだったと、同時に男の顔に笑みが浮かぶ

 

(相手はただの人形じゃない、なんたって認識外の筈だった一撃を『勘』で避けたんだからな)

 

どうやら見下して勝てる相手ではなかったようだと、久しく出会わなかった自身と同じ腕の狙撃手の存在に歓喜の心を渦巻かせながらモシンナガンが落ちていった藪に照準を合わせるが

 

(……問題があるとすれば奴は今もそこにいるのか、それとも木の背後に隠れたか)

 

(さぁて、参ったなぁコレ)

 

その件の彼女、モシンナガンは丁度、男が照準を合わせている藪の中からうつ伏せ状態で自身が置かれた最悪とは言わないがかなり悪い状況に頭を悩ませていた。

 

まずここまでの経緯としては撃たれる直前に嫌な予感を感じ取った彼女は即座にスコープから顔を外したと同時に撃たれ、スコープこそオシャカになってしまったが彼女自身はギリギリ米上を弾丸が掠め、そこから血が出ている程度ですみ、即座に直撃したふりをして藪に落ちて今になる。

 

問題としては咄嗟の回避だったので相手の狙撃箇所がわからないのと、スコープがオシャカになったので目に頼るしか無い、更に自分が今現状全く動けないと言う3つ。

 

(とは言ってもスコープはまだいい、狙撃箇所も撃たれた方角は分かってる、やっぱり動けないのが辛いわね、視界いっぱいの藪のお陰で向こうからも見えなければこっちからも見えないって状態になってるし、ナビが使えれば良いけど、二人の方に貸しちゃったからなぁ)

 

相手を確認しようと下手に動けば、相手の腕を考えれば即座に撃ち込んできて今度こそ殺られる、だがそれは向こうも一緒であり、相手も自分の正確な位置が分かっておらず適当に撃ち込もうものならば反撃が飛んできて殺られると考えている、なので結果としてこの膠着状態が出来上がっているのだ。

 

(だけど仮に撃たれたとして、さっきの銃声から向こうの得物は【三八式歩兵銃】、あれなら頭やコアじゃなければ耐えられるはず)

 

ていうか物凄いレトロな銃を使ってるのね相手はと自分のことを棚に上げつつ感想を述べて、それから今度はさっき聴こえたヒグマの咆哮に少しだけ意識を向ける。

 

聴こえた方向は式自と一〇〇式が調査に向かった地下研究所がある方角、ともすれば二人がヒグマとかち合ったのだと考えられる、だがそうだとしても今の自分に出来ることはないのだがと苦笑する。

 

(頼むから無事で居てよ。私の方はもうちょっと掛かるからさ)

 

それはそれとしてどうしようかなこの状況とモシンナガン、彼女は知らぬことだが相手も同じことを思っており、この二人の狙撃手の膠着はこのままでは動くことはないだろう、そう例えば外部から誰かが走ってきたとなれば自体は動くことになるだろう。

 

(足音、一人……じゃない!)

 

聴こえた方角は地下研究所の方、一人が満身創痍な感じの走り方をする音と、それを追うような足音。これにはモシンナガンは今の自分の位置があまりに悪いと内心で舌打ちをして

 

(二人だな、片方は男、もう片方は子供に近い、あぁ奴の仲間の一人に居たな)

 

狙撃手の男の方もそれに気づきながら、音の方向に目だけを向けるがまだ姿は見えない、もしくは死角の方から走ってるのか?とすら考えてしまうが今更動くことも出来ないのでその時はまぁ運がなかったってことでと他人事のように男は考える。

 

先頭の足音の主はそこまでせずに現れ、そして全力疾走してきたというのに息を整える素振りも見せずに、即座に自身の背後を指さしながら小屋の方に向けて

 

「お、おい、傭兵!!直ぐ後ろから来るガキを殺せ!!」

 

「あいよ」

 

「(ガキ?まさか!?)一〇〇式、伏せて!!!」

 

その叫びで狙撃手の男はやれやれと思いながら銃をその方向に構え、モシンナガンが撃たれてもかまわないと藪から音を出しつつ射撃体勢に移りながら一〇〇式へ叫び、同時に一瞬とは言え動いた狙撃手の男の場所を割り出して銃口を向け、そして

 

三度の銃声がその場に響いた、走ってきた旧パラデウスの残党の研究者と思われる男は一度目の銃声で伏せ、銃声が止んでから少しして顔を上げてみれば血が流れている脇腹を片手で抑えつつ、逆流してきたのだろうか口元からの血はそのままにつつ、銃口を向けているモシンナガンの姿

 

「動くな」

 

「ヒッ!?よ、傭兵はどうした!?」

 

「叫ばないで、傷に響くのよ、それとあいつなら無力化したわよ」

 

見れば、男が狙撃地点にしていた木の真下に三八式歩兵銃が地面に落ちており、その近くには血が流れているが確認できている。

 

もっとも、殺してはいない、なのでズルっと言う効果音がしそうな感じに狙撃手の男が木から落ちてきて

 

「やられたよ。だがこっちも一人持ってったかな」

 

男の笑みを浮かべつつの言葉にモシンナガンは苦虫を噛み潰した表情を晒し、視線を研究者の男の更に後ろに向ける、そこには……仰向けで倒れピクリとも動かない、一〇〇式の姿があった。




なんかこう、金カムの尾形さんとヴァシリとの戦いをイメージしたけど、難しいっすわあれ。

あ、次週はまた北の大地編はお休みです、はい。
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