それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
「思うんだけどさ、スペクトラってその格好寒くないの?いや、他の子達にも言えるんだけど」
此処数日で寒さが増してきて指揮官も基地内であっても少し冷えるなと感じる気温になるも戦術人形の一部はそれ本当に大丈夫なのと言いたくなるような格好で出歩く
その一人であり、偶々食堂で同じ席に着いていた【スペクトラM4】に浮かんだ疑問をそのまま投げかければ、彼女はそうですねと一つ挟み
「私達、戦術人形は体温と言うか、まぁその辺りは調整がされるので寒さとか暑さはそんなに感じないわね」
「あ~、そういえば何時だったかおばあちゃんも同じこと言ってたかも」
羨ましいとコーンポタージュを一口飲んで呟く、因みにだが同じ様な会話をその時もして羨ましいと呟いているが忘れている
だがスペクトラは指揮官が羨ましいと思ってることがある、それは
「私としては指揮官はそうやって着飾れるって言うのが羨ましいわ」
「ふえっ?」
「ああ、ごめん、先にパン食べちゃって」
言われ先に口に加えたコッペパンを食べてから、再度さっき事について聞いてみれば
「ほら、
「え、でもスプリングフィールドとかカフェの時とBARの時で服装変えてるよ?」
「それはまぁ、そうね。ただ単に私が手を出さなかっただけ……?」
戦うことしか考えなかった彼女、ここでその事実に気づき真剣な表情になる、と言っても逆に指揮官からしてみればスペクトラみたいに肌を出せる服装というのはある意味でちょっと憧れるのである
他人がどうこう言っても殆ど気にしない彼女だがやはり服の内側に隠れている傷跡の数々は仲間やペルシカ、特にカリーナやヘリアンはそれ見ると悲しいそして後悔が混ざった目と顔になるので出来る限り隠せる長袖の服になってしまう
「指揮官、暗い顔してどうしたんですか、ご飯美味しくなくなっちゃいますよ?」
「あ、ごめん、ちょっとスペクトラの服装に憧れるなって思って」
「いやいやいや、突然指揮官が私みたいな格好しだしたら間違いなく心配されますからね!?」
しかもG36かM1895のどっちかに誰に誑かされたのかと聞かれるのはほぼ確定だろう、そしてスペクトラに憧れてと言われた日には彼女は悲しい被害者になってしまう、まぁ指揮官が止めると思うが
スペクトラのあまりの慌てっぷりにそうかなぁとピッツァを一口、自分が突然そんな格好しても多分、いつもの思い付きだろうと思われるのがオチでしょとかなり緩めに考えている、なので
「駄目かな~」
「え、ほ、本気で言ってるんですか指揮官?」
「割りと、そりゃ外ではそんな勇気無いよ?でも基地内でだったら良いかなぁって思わない?」
指揮官の声からスペクトラはヤバイ、これは本気だと冷や汗が額を伝う、これは何としてでも止めなければ何か碌でもないことが自分を襲うと勘が警鐘を鳴らし続ける
正直言えばあまり言い包めは得意ではない、だがそうも言ってられないので頭をフル回転させて指揮官がすんなり諦めてくれる方法を考え、そして
「で、でもほら、副官とかが許さないと思いますよ?」
「それって、おばあちゃんが許せば着ていいってことだよね!(もぐもぐもぐもぐ、ゴクン)ごちそうさま!じゃあちょっと聞いてくるね!」
「へ!?あ、ちょ……ど、どうしよ」
凄まじい速度で食事を終えて、食器を片付けて食堂を出ていく指揮官、後に残されたのは中途半端に手を伸ばした格好のスペクトラと同情の目線を送る同僚達、助けを求める視線を送るが答える者は居ない
数十分後、戻ってきた指揮官は目に見えて落ち込んでおり、背後には【M1895】と【G36】、その光景を見たスペクトラはこの世の終わりのような顔になる。が別段彼女が怒られるわけではなく
「駄目だった……」
「当たり前じゃ、全く来たと思えばスペクトラみたいな格好したいと、すまぬなコヤツが迷惑をかけた」
「私からも謝罪を、申し訳ございません」
予想しなかった展開に頭がついてこない、がそんな頭を下げられることではないので直ぐに気を取り直しバッと席を立って
「ああ、えっと、別段、迷惑とは感じてません!確かに私のような格好はどうかと思いますし人間である指揮官には今やるには寒すぎると思いますからね、当然の判断かと」
「そう言ってもらえると助かる、やれやれ指揮官の思い付きには慣れたつもりじゃったが」
「我々はそうであれと作られた存在ですがお嬢様は違います、無論、お嬢様の気持ちを無下に否定するつもりはございませんが少々限度というものを考えてくださいませ」
促すようなガチのトーンで指揮官も思わずうっと申し訳無さで胸が痛くなる、彼女としてはちょっと違う自分を演じてみたかったというだけだったのだがまさか、ここまで心配されるとは思わなかったのである
だがここで助け舟が出る、スペクトラが少し悩む素振りを見せてから
「えっと、副官、G36お言葉ですが指揮官も子供ではありませんし少しはやらせてあげてはどうかと、あ、いやごめんなさい調子乗りました」
まさかスペクトラからそう言ってくるとは思わず驚くM1895、だがすぐに彼女の言葉も確かにそうじゃなと考え指揮官に向き直り
「頭ごなしに否定は駄目じゃったな、うむ、そこはすまぬ指揮官……」
「ああ、いや、私もちょっと変なテンションだった、ごめん皆」
「いいえ、私こそ申し訳ございません、自身の心配を押し付けてしまうなどメイドとして失格です……」
なんで妙に重い空気になると思わずスペクトラは口にしそうだったがそれほど三人の信頼関係は堅いものだと考えてから、一つまた助け舟を出す
「私ではなくて、そうですね【FAL】とか最近来た【KS-23】とかどうですか、指揮官の要望にも答えられますし副官とG36が心配するくらいに露出してる訳ではないですし」
まぁ、今日はもう大人しくしてたほうが良いと思いますけどと付け足し三人を見る、彼女は指揮官がやりたいなら妥協点を見つけつつやらせても良いんじゃないかなぁと考え提案してみたのだ
その日はスペクトラの意見を取り入れいろいろ考えておこうということになり、後にそれを元に指揮官のファッションショーなりものが開催されるがそれはまた別のお話
スペクトラM4、彼女は今日も司令部で様々な苦労を受けるが何かと解決しては頼りにされることに喜ぶのであった
多分、その二人も露出は高いと思うんですよ(凡推理)ゲーム内のセリフ聞いてるとスペクトラちゃん色々不憫で考えに考えたらこんな立ち位置になってた
それはそれとして、そろそろネタが出にくくなってるやーつ、でも出ないことはないのが不思議、いつか被るぞ絶対にって思ってる
つかこの話だけでコーンポタージュ、コッペパン、ピッツァ食べてるよコイツ……