それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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大きくなるとふてぶてしくなる


猫とスナイパー

司令部の見張り台、周囲を見渡すことが出来、敵の早期発見の意味でも非常に役立っているこの施設には基本的にライフルの人形が配属される

 

ローテーションで変わる配属、今日の担当は【NTW-20】射撃場での試射を指揮官が見た時その音に目を回したのは今でも偶に語られる

 

それと【super SASS】基本的にツーマンセルで警備している、とは言うが此処最近のこの地区は非常に平和だ、鉄血との小競り合いはまだ起こるがこの司令部が発足した当時に比べれば可愛いものである

 

なので仕事中とは言え暇になれば始めるのは雑談、先に口を開いたのはSASS、外を見つつポツリと

 

「ダネル、突然なのですが動物って何が好き?私は鳩が好きなんですよね」

 

「本当に突然だな……強いて言うなら猫か、スラッとした身体の通りに軽い身のこなし、優雅でそれでいて可愛いところもある」

 

い、意外に語るのねと驚きながら確かに猫ってそういう印象よねと頷き視線を部屋の中央に送る、そこにも猫がいる、何処から入ってきたかは分からないが野良だろう

 

NTW-20の好きだと言った猫がそこに居る、が彼女は頑なに見ようとしない、私は仕事中ですと言った雰囲気を出しながら外を眺めているが猫がいることは知っている、と言うより先に見つけたのは彼女だ

 

では先程、彼女が言った猫の印象をおさらいしよう、スラッとした身体、軽い身のこなし、優雅でそれでいて可愛い。そしてそこにいる猫を見てみれば

 

(ぶにっと気持ちよさそうなお腹、ダラッとして割りとふてぶてしさを感じる態度、でもこれで軽い身のこなしは出来るんだから猫って凄いよね、多分お腹が引っかかると思うけど)

 

「SASS、仕事中だ、あまりぼうっとするなよ」

 

「ダネル、そこに猫居ますよ、語った理想とは真逆な感じだけど」

 

「……はぁ、知っている、何処から入ってきたのだコイツは」

 

SASSが言えば遂に折れてその猫を見る、それから追い出そうという意思なのかお腹を見せて寝ている猫の腹をグイグイと押してみれば、にゃ、にゃと短い鳴き声と共に尻尾が一度だけ床を叩く

 

起きる素振りは一切ない、抗議はその尻尾だけだ、図々しいすぎるだろと二人の心が一つになる、怒るわけでもなく嫌がるわけでもない、ただ形だけの抗議で済ませる猫に二人はどうするかと考える

 

「抱き上げて救護室送るとか?」

 

「やってみ……ほう、こういう時は動くと」

 

SASSの案に乗り、立ち上がった時、何かを感じたのかその猫は突如起き上がり二人から距離を離した所で座って毛繕いを始める、まるでこの部屋からは出ないと訴えるようだ

 

「起きたのなら出て行け、ここはお前の住処ではない」

 

「にゃ゛~」

 

NTW-20の言葉に嫌だと答える様に鳴く猫、その声は割りと野太かった、それからまた先程と同じ様に床に寝転がり尻尾で床を一度叩き動かなくなる

 

うわぁっとSASSが声を漏らす、馬鹿にされている感じではないがそれでもNTW-20の威圧が混じった声にあんな反応をするとは中々良い根性をしてる猫だと感じざる負えなかった

 

そして好きだと言ってた猫にそんな態度を取られたNTW-20はと言うと、無表情で軽く震えていた

 

「ダ、ダネル?相手は猫ですからね、大丈夫だと思いますが抑えて下さい!?」

 

「な、何を言っているSASS、私が猫相手にキレるとでも思っているのか?」

 

思ってなきゃ声を掛けませんよ!とは言えなかったSASSは笑って誤魔化す、誤魔化されたNTW-20はふんと鼻を鳴らして椅子に座って外の警戒に戻る

 

大事にならなくて良かったと息を吐いてからあの猫は一旦放置して彼女も仕事に戻る、先程と変わらず平和な光景、時折何処からか飛び去る鳥を見ては平和だなぁと染み染み思いつつ猫の方に何気なく視線を向ければ

 

(また中央に戻ってる!?)

 

足音、物音一つもさせずに先程の位置に戻っている猫、話には聞いているし知識としても知っていたが実際に目の当たりにすると本当に音がしないのかと驚きを隠せない

 

態度は相変わらずのふてぶてしさ、身じろぎは軽くするがそれだけで気持ちよさそうに寝ている。まぁこれも平和ってことだよねと思い、外に視線を向けようとした時、その猫がムクッと起き上がり

 

「にゃ~、にゃ~!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

突如として鳴き出す、しかも先程までの気怠げな声ではなく猫らしいはっきりとした鳴き声、NTW-20は勿論なのだがSASSもどうしたのかと戸惑うが猫が同じ方角を見つつ鳴いてることに気付き、まさかとその方向をライフルのスコープで覗けば、森の中にソイツは居た

 

「マンティコア!?」

 

「何だと!?距離と数!」

 

「距離は……1500ちょい、数は逸れかな、一体だけ!」

 

「確か昨夜、他の司令部で夜間作戦が行われたって副官が言ってたな、それの残党か」

 

しかもご丁寧に森からとは小賢しいなと愚痴をこぼしつつ、SASSの報告からこれは自分の距離だと愛銃を構え狙いを定める、スコープで見れば随分とボロボロで動いてるのが不思議なくらいではある、がもし接近されていれば被害が出たかも知れない、そう思いつつ

 

「撃つ」

 

ドゴォ!!と轟音、少し遅れてから爆発音がしマンティコアは沈黙した、そこで猫が近くにいることを思い出して慌ててそっちを見れば何事もなかったかのごとく耳の裏をカリカリと掻き、アクビを一つしてから寝にはいる姿

 

「これ、本当に猫ですか?」

 

「もしかしたら歴戦の猫かも知れないな」

 

図々しいとかふてぶてしいとか思ってたがもしかしたら失礼だったかも知れない、そう思いつつ今の射撃について指揮官に通信を入れるNTW-20、今でもその猫は救護室で保護されずに気ままに司令部を練り歩いている




……随分と近づかれてね?まぁ森からだったし、多少はね?

基本的に距離云々で書かなかったツケがこんな所で出てくるとは思わなかった、多分色々おかしいぞこれ

いまいちイメージ図が浮かばないのも原因、精進せねば……

修正 ダネルがダリルになってるやん!!

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