それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
自身の過去、母親の最後、そこまでの話をしてから、小休憩として既に冷めたコーヒーを一口飲むM1895
対して指揮官はとりあえずまず最初に疑問に思ったことを聞いてみることにする
「おばあちゃんはさ、その、私を誘拐した犯人を知ってたの?」
「ああ、知っとったよ。アヤツには一度忠告して手を引くように言ったこともあった」
ではまた語ろうかと話を再開する。そう、彼女は知っていた、指揮官を誘拐したのが何者なのかを、そしてその強大さを、故にもう手を引けと言ったこともあった、だが返ってきた答えは
『だけどソイツらのせいで悲しんでる親が居る、私もその一人だ、あとね、それ以上に弱者を、子供を食い物にするアイツラを許せないんだ』
『何をバカなことを!?相手はそこらのチンピラなどではない、下手に探れば消されるのがオチじゃぞ!』
『……ありがと、肝に銘じておくよ』
あれで引くとは思わなかった、だからこそもっと言うべきだったか、それとも出来る限りの強硬手段を取るべきだったか、悔やんでも悔やみきれず本部に戻されてから暫くはただ何も考えずに業務に徹し続けてる日々だった
更に言えば、『蝶事件』により鉄血が壊滅したと聞いた時、遂に彼女の中で一つ何かが割れた、彼女との約束すら守ることができなかったと周りの目を気にせずに崩れ落ちた、語った所で指揮官からストップがかかる
「ま、待って、それってじゃあ、犯人は……」
「鉄血じゃ、後に聞いた話だが他にも金と引き換えに手引きした者が居たらしいな」
「でも、なんで」
「生体実験、と言う話じゃ、お主の母親はそれについての証拠をかなり集めてたらしく、そして消された」
無論、彼女はその生体実験の内容を知っているが此処はぼかした、それはペルシカがいずれ話すという事になっているからだ
「さて、話を続けよう、しかしな、それから少ししないで一つの出来事が起きたのじゃ」
M1895が言わずとも指揮官はその出来事が分かった、間違いなく自分が保護された件だと、でも始め数カ月は確かグリフィンの一室で軟禁状態だったはずと思っていれば
「まぁ、保護された少女がお主だと知ったのはもう少し後じゃ。ペルシカが後見人としてお主を保護しヘリアンに指揮官に仕立て上げると言ってからじゃな、わしが知ったのは」
ヘリアンが妙に深刻な顔でわしに資料を見せてきた時は腰が抜けるかと思ったわいと笑うM1895、だが指揮官の目には辛そうに笑っているように見えた
何故?指揮官にはその理由がわからなかった、そんな彼女を見てM1895は分からぬか?と切り出して
「お主は生きてた、それを知った時に思ってしまったのじゃ。わしがあの時止めていれば、共に帰るなりして死ぬのを避けることができたのならば指揮官とアヤツは再会できたはずなのではとな……わしがお主から母親を奪ったも同然なのじゃ」
両手を組んでまるで懺悔するような声でそう告げるM1895、その声は震えており普段の頼りになる副官としての姿はそこにはなかった、あるのは今日までの後悔を口にして更に押しつぶされようとされている弱々しい彼女
M1895が指揮官と初めて会った時、迷子だと思って声を掛けたらその際に見せた安心しきった笑顔を見てM1895は身を引き裂かれる思いになった。本来であれば母親がもらうはずのそれを自分がもらってしまったこと、あの時に止めることができなかったが故に指揮官と彼女を会わすことができなかった後悔がM1895を襲った
「許してくれとも言わぬ、恨まれても受け入れよう、わしはそれほどのことを」
「許すし恨まないよ、悪いのはおばあちゃんじゃないもん、多分、全部が全部間が悪かっただけだよ」
M1895が更に続けようとしたその懺悔を指揮官が遮りそう言い切る、声からそして優しい笑顔にその言葉が嘘でも何でも無く本音からだと分かる
「間が、悪かっただけじゃと……?」
「うん、そりゃ根本的に悪いのは鉄血だと思ってる。でもおばあちゃんが悪いとか、お母さんが知りすぎたから悪いとか、そういうのじゃなくて、巡り合せが悪かっただけなんだと思う」
M1895はその時、偶々彼女を見送ってしまった。お母さんは調査を進めて偶々決定的な証拠を握ってしまった。そう続ける指揮官に違うとM1895
「違うのじゃ、わしは知っておったのじゃぞ!?アヤツは優秀で止めなければ知りすぎて消されると、なのに、なのにわしは行動で止めもせずに言葉だけに留め……それを見殺しにしたと何が違うのじゃ!!」
それは悲痛な叫びだった、いっそ恨んでくれと懇願してるようにも聞こえる叫びだった、しかし指揮官は怯まずにその笑みを崩さずに
「もし、もしそれが見殺しだと思っても、私は許すよ。だってここまで支えてくれたおばあちゃんが悪人なはずないもん」
「……それは、アヤツと約束を果たしてるだけじゃ」
「約束だって悪人なら破ると思うけど?」
ああ言えばこう言う、そんなやり取り、それでも頑なに自身が悪いと思ってるM1895に指揮官はそっと近づいて震えてる手を握り
「ならさ、分け合おうよ」
「何を、じゃ?」
「おばあちゃんの後悔、私に少し分けて?何時か言ったじゃん、えっと、抱え込んで壊れてくれるなって、それっておばあちゃんにも言えることだよね?」
だから分けてほしいな、おばあちゃんの悲しいこと、辛いこと、その後悔も全部、きっと重すぎるんだよと笑顔のまま優しく促すような声で話す
それにM1895は言葉を失う、そして少ししてから指揮官を見た時、そこに居たのは何時も支えている彼女ではなく、心強い、不思議と安心できる雰囲気を纏った姿、いつの間にこんなに成長しよってと思いつつ
「……すまぬ、指揮官、少しだけ、本当に少しだけ荷物を分けてよいか?」
「ふふ、任せて、それでも重いならG36にも頼んじゃおう、何なら司令部のみんなを巻き込んじゃっても良いかもね」
「馬鹿言え、こんな情けない姿、お主以外に見せられるか」
口には出さないがこの時、M1895は確かに何かが軽くなった気がした、先程までは潰されるくらいの重さだったのが今は少し重いくらいで済んでいる
ああ、全く敵わぬよと指揮官にバレないように笑みを零し、そして小さく、本当に小さな声で
「ありがとう」
「ん、何か言ったおばあちゃん?」
「はよ寝ろって言ったのじゃ」
「さっきまでの空気!?」
そこにあったのは何時もの
「……大丈夫のようですね」
「ええ、あれ以上熱くなるなら、『ホット』かずに介入するところだったけどね、ふふっ」
「ツッコみませんからね、では私は戻ります」
「私も、ああ、月が今日は綺麗だったわね」
二つの影がそれぞれ消えていく、一方部屋の中ではM1895は日付が変わったことを盾に指揮官を自室に戻るように促すと時計を見た指揮官が驚いた声で
「うげ、もうそんな時間だったの、じゃあおやすみ、おばあちゃん!」
「ああ、おやすみ、明日、ちゃんと起きるのじゃぞ?」
起きれるよ、心配性だなと笑いながら彼女は部屋から出ていく、それからゆっくりと立ち上がり引き出しに入れた煙草とジッポライターを取り出して彼女も部屋から出ていった
この後悔は簡単には消えない、だがきっと彼女と共にあれば何れは楽になるかもしれない、そう胸の中で思いながら彼女は屋上へと足を運ぶのであった
もう一話、この関連の話が続く(収まんなかった)
凄く疲れたぞよ……なんか文章めちゃくちゃぞよ……最後の最後で反動が来るくらいに辛いぞ……ほのぼの、ほのぼのを私にくれ……
え!?七日間ログインすればG36のロリスキン貰えるんですかヤッター!!!!
あ、80話ですね、はい