この世界は何もかもが愚鈍で平凡で無色で普遍でつまらない。
様々な数字だけで人の価値を決められる。
いくら努力しても、見上げれば自分より上の人間はごまんといる。
努力は人を裏切らないなんて言う人間は、決まって成功者で、はっきり言って努力は人を裏切る。
何かたのしいことでも起きないかと願ったところで、何も起きることはないというのは常識。
そう、人生なんて"そんなもん"で、それこそが俺の考える常識。
楽しいこともつまらないことも苦しいことも楽なことも痛みも快感も全て、結局は全部同じように、寝てる間に終わってる。
人生なんて"そんなもん"
だったら、別に俺が終わってしまっても同じだろう?
そんなもんしかない人生を。
☆
見渡す限り真っ白な床が広がる。
床というよりは、雲と言った方がしっくりくるような、そんな世界に少年は一人たたずんでいた。
いくら周りを見回しても、真っ白な床しかなく
天井も壁も見えない広大な空間。
その静けさがまた、彼の孤独感を煽る。
彼はその場に腰をおろして、少し考えた。
(俺は何でここにいるのだろうか?)
少しずつ過去を振り返る。
そしたら、鮮明な記憶が頭の中に浮かんできた。
彼が、放課後の学校で、屋上から飛び降りようとしていたこと。
そして、その屋上まで行く階段で、ふいに何かに足をとられてしまい階段をおもいっきり転げ落ちてしまったこと。
ここで彼の記憶は途切れた。
(あぁ、俺死んだんだ)
当初の目的とは違う死因ではあるが、とりあえず死ぬことが出来た。
冷静になって初めて、自分の死にざまが急に滑稽に思えてきて、恥ずかしくなった。
彼は頭を抱え込んで、恥ずかしい死に様を晒してしまったことを少しだけ後悔する。
「やぁ、調子はどうだい?」
急な背後からの呼びかけに驚き後ろを向き、少し距離をとる。
見た目は20代半ばくらいだろうか
少し遊び好きな大学生に見えるお兄さんが誰も居なかったはずのこの空間に現れていた。
「あなたは・・・?」
「君たちふうに言わせてもらうと"神様"ってやつで、君を殺してしまった殺人犯でもある」
まぁ、今更神様とか言われても別に驚きはしない。
「俺を・・・殺した、と言いますと?」
「聞いてくれよぉ、いつまでもこの天界に居るのもつまらないと思ったもんだから、そっちの世界で遊ぼうかなと思って、そっちの世界にワープしたわけ」
「はい・・・」
「ワープって言っても、その場にぱっと現れるという代物では無くて、地面からぬーって現れるというやつなんだけど」
「それが俺を殺したということと何か関係が?」
「まだ分かんない?、君が階段上ってる時に俺が地面からぬーっと現れて、君はそれに足を取られて派手に転げ落ちてしまい死亡、というわけだ」
聞けば聞くほど自分が惨めな死にかたをしたんだなと思い、恥ずかしさではちきれそうです。
「いや、俺も悪いとは思ってるんだ、だから蘇生でもさせようかと思ったんだけど、何しろあの世界は今や人口大爆発中で一人の人間を蘇生させるのもためらうもんだからさ」
おいおい、蘇生なんてたまったもんじゃない。
せっかくあの何の面白味もない牢屋のような世界から抜け出せたと思ったのに。
「おいおい、難しい顔をするもんじゃない青年よ、生き返らせてくれない理不尽な俺に腹を立てるのも分かるが、何しろこっちの事情もあるのだ」
駄目だ、何もこの神様何も分かってねぇ。
「ところで、青年。君は確か、めだかボックスっていう漫画本が好きだったな」
確かに大好きだ、あの何とも言えない現実に喧嘩を売ってるような感覚なんかが特に。
まぁ・・・、今や連載も終わってしまい、本当に生きる意味を無くしてしまっていたようなもんだが。
「そこで、君をその世界に転生させようと思っている」
「ほ・・・本当ですか!?」
「あぁ、俺だって悪いと思ってるんだ、これぐらいはさせてくれ」
「じゃ、じゃあ・・・
「んー、俺ってその漫画あまり詳しくないから、そう言うのはつけれないかも、ごめんね」
え?
「じゃ、転生を開始するよ。この世界で起きたこと、そして君がさっきまでいた現実という世界の記憶は全てカットしておくよ。大丈夫、君の性格や自我なんかはそっくりそのままの状態だから安心して」
「ちょっ・・・え?」
「それじゃあ、頑張って!!」
受験生なのに何をやってるんでしょうね、俺(笑)
これからも頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします