陰を照らした時に出来る陰   作:俺の眼鏡

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11箱目 守る意味

影照が生徒会メンバー集めをすると宣言したあの日から

もう、一年が経とうとしていた。

 

 

「一年が経とうとしていた。じゃねぇよ!!おい影照、何であれから微塵も進展してないんだよ!?」

「そんなこと言うなよ、風紀委員長って以外と雑務も多くて大変なんだ!!空洞こそどうなんだよ!?」

「ただでさえ生徒会を一人でやってるのに、それに加えて治安維持もやってるんだからそんな暇ねぇよ!!」

 

二人の他には誰もいないこの三年(・・)十三組でギャーギャーと声が響く。

また新しい春を迎え、影照と空洞も一つ上の学年になる。

そんな今日は新入生が入ってくるらしい。

 

というのに、風紀委員長と生徒会長という重職の二人は

入学式からサボりをきめこんでいた。

 

「まぁ、今日のところは仕事は冥利に全部任せて、しっかり人材確保してみるよ。空洞はどうする?」

「ちょっとこらしめなきゃいけない札付きの悪い奴がいてな。そっちに行かないといけないんだ」

またいつものように話が収束に向かう。

もう何回くらいこれと同じ流れの会話をしたのだろうか。

 

ーガラッ

「0122(あ、いた)」

「もうあれだな、お前の異常性(アブノーマル)って“マイペース”だろ、絶対」

急に開いた教室のドア、開いた人間は影照のよく知る妹だった。

あれほど入学式ぐらいは制服で来いって言ったのに、いつものゴスロリを身にまとっていた。

「おっ、影照の妹か。いつもどおりになんて言ってるのかわかんねえな」

影照の困った顔を察しておもしろくなったのか、ケタケタと巨漢の空洞が笑う。

 

「もう入学式も終わってる頃だろ。じゃ、俺は用事があるんで」

空洞はそういって、瞬きの間にパッと消えた。

別に見つけることもた易いが、いちいち見つけるのも面倒だなと思った影照はそのまま冥加の方に向く。

 

「んで、何だ。俺は今から忙しいんだが」

影照は大きなあくびを吐く。

「40257761825(影兄、これ知ってる?)」

冥加はポッケから一枚の紙を取り出して影照に差し出す。

「何だこれ?」

見てみると何かの名簿表の用だ。

この筆跡は恐らく冥利のものだろうが、まぁいいや。

 

その名簿表には各学年の十三組の何人かが表記されていた。

一応、役柄全校生徒の名前はある程度把握してるつもりだったが

この名簿表にある、十三組の人間は全くといっても良いくらい知らない人が多かった。

(ん?)

一人だけ影照のよく見知った名前があったが

(十三組だし・・・・同名の別人だろ)

あまり気にならなかった。

 

「これは何なんだ?冥利が書いたやつっぽいが」

影照はその紙を冥加に返す。

「125478005421(冥利はフラスコ計画、私の好きそうなものだと言っていた)」

「フラスコ計画、お前の好きそうなもの、ねぇ」

影照はしばらく考え込む。

「ま、いーや。今からそれに詳しそうな人に聞いてこようかな」

「422361(私も行きたい)」

「まぁ、お前も十三組に入ったらしいし、別に授業とかもないだろうから良いだろう」

 

影照はさっと上着を羽織って、かるく身だしなみを整える。

「じゃ、冥加。先に軍艦塔(ゴーストバベル)に行ってくれないか?俺は冥利に仕事を任せてからそっちに行くよ」

「58522137352(・・・場所知らないから校舎前にいる)」

「わかった」

影照と冥加は三年十三組の教室を出て、別々の道へと分かれた。

 

 

「クックック、今日こそは逃さへんでぇ」

「くそっ、なんて間の悪い」

影照は廊下でとある人物とにらみ合っていた。

 

今日も風紀委員会室は女子役員に囲まれキャッキャウフフされている冥利がいた。

そこで俺は、役員で冥利に嫉妬せざるをえない他の男役員どもと共同で

こそこそと自分の今日の仕事の割り振りを全部冥利に押しつけて、教室をあとにした。

 

新入生の影響もあるのか、取り巻きが増えていたな。

うん、これからも頑張ろう、男子役員諸君。

 

そして、冥加のもとへと急いでいると面倒な人に出会ってしまった。

 

「今日こそは、ウチの柔道部に入ってもらうからなぁ」

手をワキワキさせて近づいてくる彼女は

影照の一つ上で、柔道部主将、“反則王”の異名を持つ鍋島先輩だ。

何の因縁なのかは知らないが、彼女いわく俺は「ウチと同じタイプの人間やな」らしい。

初めて出会った時にそう言われて、こっちの意志そっちのけで柔道部に勧誘してくるのだから質が悪い。

 

「よし、先輩」

「なんや、今日こそは入ってもらうからな」

「さようならっ!!」

影照は急に反対側に走り出す。

「言ったやろ、逃がさへんて!!」

それにあわせて鍋島も追いかける。

「今日のウチには策があんねん、そっちの方向に逃げたことを後悔するんやな!!」

 

全速力で逃げる影照、そしてとある廊下にさしかかったとき、あることに気づいた。

(もしかしてこの廊下!?)

影照が今駆けているこの廊下は、先の方に屋上に通じる階段がある廊下だ。

しかし、それがマズイ。はっきり言うとこれは屋上にしか通じていない、つまり行き止まりの廊下なのだ。

 

影照が曲がり角を曲がるのが見えた。

あの曲がり角を曲がると、屋上へ続く階段に通じた扉があるだけだ。

「観念せんかい♪」

鍋島が角を曲がると、開きっぱなしになった扉が見えた。

「なんや、上にあがったんか?」

鍋島はドアに近寄る。

「でも、それやったらドアを内側から閉めれば良いわけやし、小賢しい真似をやるなぁ」

鍋島は一通りドアの周りを確認して、なんら変わったところもないし、影照が隠れているところも無いと判断して

屋上へと上った。

 

しかし

「おらへん、まさか飛び降りたわけちゃうやろし」

殺風景にひろがる屋上で一人、彼女は腕をくみ考える。

「くぅーっ!!この私をまたも出し抜きよったな、ますますあいつを手元に置きたくなったわ!!」

 

 

 

青年は一人、小走りで校舎前へ走る。

「もう、これで先輩、勘弁してくれただろうか」

彼女が屋上で決意新たにしていることを、影照はまだ知らない。

 

「しかし、今回は参った。二度とあの廊下には近づかないようにしよう」

今回、影照がどのように逃げきったのかと言うと

影照はまず、階段へ続く扉を開けて

屋上へ上がるでもなく、扉の裏側に隠れることもせず

曲がり角に体を縮こませ、壁に体を寄せて丸まっていただけだった。

 

影照の思惑通りに、彼女は曲がり角を曲がってすぐに開いた扉に注意を向けた。

というよりも、影照が注意を向けさせた(・・・・・)

彼女が足元ではなく、扉に集中(・・)させるようにした。

 

「そう、これが俺の異常(トリック)、名付けて“己の支配者(マイマイスター)”さっ」

誰もいない校舎前で、ビシッとポーズを決める影照。

これほどまでに空しい光景はあるだろうか、影照は自分が滑稽に思えて、即座に姿勢をただす。

 

ふと周りを見渡す

もうとっくにここについているはずの妹の姿が見あたらない。

あいつ自身がこの場に集合をかけていたのに、まぁ、今日が初登校なわけだし迷っていないとも限らない。

「探しにいこうか」

影照は腕時計を確認して、もと来た道とは違う方向に歩きだそうとする。

 

「611325870(ごめん、待った?)」

そこでジャラジャラと鉄球を引き下げて妹が現れた。

「遅いよ、どうせ道に迷ってたんだろ?場所が分からないなら最初からウブゥッ!?」

突如腹部を襲う理不尽な拳。

「17225641311(違う、そこは「大丈夫、俺も今来たところ」でしょ?)」

最近の妹は、少々荒っぽい気がするぞ。

あの、あれかな、周期的にくる女の子特有のあれかな。

「41322(やり直し)」

「は?」

そう言って冥加は、またジャラジャラと音をたてながら、もと来た道を折り返して物陰に隠れた。

(何をしてるんだあいつは?)

影照は額を押さえため息をつく。

そしてまた、さっきと全く同じ登場シーンを繰り返し、冥加が現れる。

「611325870(ごめん、待った?)」

小さい頃からそうだが、妹は突如よく分からないことをやりだす癖がある。

お兄ちゃんとしてはそんな妹の将来がすごく心配である。

 

「よく分からないことやってないで、ほら、行くぞ。俺だって暇じゃないんだ」

そう言って影照は冥加の手をつかみ引っ張る。

「ぁぅ~~~っ」

顔が赤くなり、急におとなしくなる。

影照は心底不思議そうに冥加を見ていた。

 

 

 

人を殴るときのコツは、相手を人だと思わないことだ

人を蹴るときにはもちろん、道路を歩くように踏みしめろ。

 

今日は入学式当日ということもあり、このイベントを妨害してやろうと動く奴等がいることは、火を見るより明らかだった。

そして案の定、前から目をつけていたクズ(・・)がまさに妨害を起こそうと、徒党を組んでやってきた。

 

そして彼はいつものように、拳を堅め

学園の平和を守るために学園の敵と戦う。

その大きな拳は、自らを取り囲む奴等を蹴散らす。

どれだけ体に傷を受けようが彼はいつだってその拳をとめることは無かった。

 

誰にも気づかれず、感謝も受けず

それでも彼は守るために戦うことを選んだ。

 

やがて敵の全ては地に伏して、受けた苦痛を訴えるようなうめき声をあげる。

そんな中彼は、今回の主犯と見られるクズのもとに歩み寄り、遙か高みからクズを見おろす。

「・・・ケッ、わかったよテメーの勝ちだ日之影、さっさととどめを刺しやがれ」

クズは叫ぶ、目の前の英雄を睨み叫ぶ。

「だが覚えておけ!いや、俺の方こそこの屈辱を忘れねえ!てめーに復讐するために、絶対にいつかこの学園に帰ってきてやるからな!!」

「・・・・・・無理だよ、どうせお前もすぐに俺のことなんて忘れちまう」

 

知られざる英雄(ひのかげくうどう)は再び拳を握る。

あとはこの拳を打ち込んで、コイツの意識を根こそぎ奪えば、今日も平和が保たれる。

 

そしてその拳は打ち出される。

岩をも砕かんばかりの拳は、トドメの一撃にふさわしいうなりを叫んだ。

 

これで終わりだ。

そういつもの様に感じた空洞。

 

「やめろ。それ以上の暴力は私が許さん」

見覚えの無い少女が、英雄の拳を止めた。

空洞は理解のできない事態に戸惑った。

しかし、それも一瞬だった。

 

「テメーはコイツをかばうつもりか?」

拳を引き、目の前の彼女に問う。

「そうだ、私はこの男をかばう。これ以上の暴力はただの弱いものいじめだ」

「そうか」

 

空洞は目の前の人間はあいつらクズとは違うと見抜いた、あいつらとは目が違った、態度がちがった、出で立ちが違った、雰囲気が違った。

しかし、その彼女はクズをかばうと言った。

 

「だったらお前を倒す、俺には守るべき責任がある」

空洞は思い切り拳を振り抜く。

しかし、その拳は目の前の彼女の拳とぶつかり、勢いを無くす。

 

これくらいの相手も、今まで居なかったわけではない。

次は逆の拳を振り抜き、そして相殺される。

もう一度、もう一度と繰り返される互いに引かない攻防。

 

もうとっくに周りに伏せていた奴等は居なくなり、日も沈もうかとしていた。

 




やっと原作に絡んでこれるようになりました。やったね←

最近リアルが忙しくて更新が不定期になりそうで^_^;
受験生は辛いです(/_;)

勉強をがんばるために変猫の〇子ちゃんのフィギュアを購入したのは秘密だ!!←

あ、もうすぐでバカ〇スの最終巻も発売されるらしいですね・・・
・・・・・・買うか(勉強しろ

これからも宜しくお願いします<(_ _)>
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