陰を照らした時に出来る陰   作:俺の眼鏡

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13箱目 仲良くしてね

今日もおひさまは元気だ。

春だということもあって草花も、動物も、人間もどこか輝かしく見える。

あぁ、風が心地よい。

 

・・・・・・眠い。

 

今日も学校が始まるギリギリの時間に登校してきた影照。

腕には“風紀委員長”の紋章をつけて、その名にふさわしい身だしなみ・・・というにはほど遠い格好だ。

頭はボサボサ、シャツはだらしなく出ており、ズボンのチャックは開いていて、両目の下には隈をつけている。

気を抜くと立ったまま眠ってしまいそうだ。

 

「02113254(顔色わるいよ影兄)」

「なぜお前が俺のベットで寝ていたのか聞かせて貰おう」

「2100252321(影兄が一線を越えるのを待ってた)」

「うん、朝から何回も聞いているが全然理解できない」

 

昨日、影照が寝ようかなとベットに向かうと、すでにそこにはゴスロリパジャマを着た妹が寝ていた。

いくら動かそうとしてもビクともしない。ホントに一回、こいつの服と俺のベットが縫いつけられてるんじゃないかと確認したくらいだ。

 

何故か昨日から本当にうれしそうな妹。

イヤホンをつけて、普段滅多に扱わないスマホをもって、画面を凝視している。

「それも朝から気になってるんだが、何の動画を見てるんだ?またアニメか?」

影照は冥加のスマホをのぞき込む、そこには昨日の自分と真黒との対談映像が、まるでどこかの番組のように上手に編集されて流れていた。

ーパッ

影照はすぐにそのスマホを取り上げる。

「2113654(返して)」

「駄目だ、俺は昨日恥ずかしいことを言ってるんだ。こんなの永久保存版にされたらもうお婿に行けなくなる」

「4650021365711287905(でも冥利は、この映像を風紀委員のみんなに回すって言ってた)」

「グハッ!!」

「282114653(あ、何もないところで転けた)」

そういや昨日、あいつに全部仕事押しつけてたんだった。

影照はよろよろと立ち上がり、校舎まで歩く。

 

もうほとんどの生徒が教室に入っていて、いつもこの時間のこのあたりには人なんて居ないはずなのだが

校舎前あたりで、キョロキョロと周りを見渡しながら駆けている人を見つけた。

そして、ふとこちらに気づいたらしく彼は小走りで近づいてくる。

 

「す、すいません。ちょっと聞きたいことが」

息を切らし訪ね事をしてくる青年。よく見てみるとどうやら一年生らしい。

「えっと、黒いロングヘアーの髪をしてて、なんか偉そうにっていうか“凛”としたかんじの女子生徒見ませんでした?」

身振り手振りでせわしなく説明をする青年。どうやら人探しをしてるらしいというのは分かった。

しかし、青年に説明されたような女子は今のところ見ていない。

「うーん、ごめん。見てないと思う」

影照はそう言って、申し訳なさそうに微笑む。

 

「そうっすか、わざわざすいません」

軽く会釈をして、この場を立ち去ろうとする青年。

「あ、ちょっと待って。見かけたら教えるからさ。君の名前を教えてくれないかな?」

一応、風紀委員長の肩書きを持つ影照。

こう見えてなかなか顔も広く、人探しくらいなら朝飯前だった。

人吉(ひとよし)善吉(ぜんきち)って言います」

青年は振り返りそう答える。

「じゃ、見かけたらすぐに教えてあげるよ善吉君」

なんだかこう、先輩風吹かせてるって感じで気持ちがいいな。

普段は風紀委員のみんなから呼び捨てにされてるもんなぁ。

 

「あのっ!!」

今度は善吉の方が影照を呼び止める。

「その腕にはめてるのってー」

善吉は影照の腕についている風紀委員長の腕章を指さす。

そうか、なんだかんだ言っても真面目に風紀委員長を努めてきたんだ。なかなか俺も有名になったもんだ。

そう思った影照は、気づかれて嬉しいという気持ちを押さえて

「どうしたの?」とあくまで平静を装い返事を返す。

 

「その腕章って風紀委員長の奴ですよね!ということはあなたが噂の雲仙冥利先輩ですか?」

もう、さっきまで内心喜んでた俺を殺したい。

「いやぁ、モンスターチャイルドとか飛び級をした10才の天才とか色々な話を聞いていたんですけど、俺より身長高いじゃないですか!?」

なんだか喜々として話す善吉。

「善吉君、ちょっと良いかな?」

「はい?」

「俺の名前は些細無影照だ、担任の先生によーく聞いておきなさい」

胸ぐらを掴みたい気持ちをグッと堪え、あくまで笑顔でと無理矢理口角を押し上げ善吉の顔に迫る。

端からみれば、ただの桐喝にしかみえない。

 

「02441325(影兄、スマホ返して)」

「お前には空気を読む勉強が必要なようだ」

 

そうこうしていると学校の授業開始のベルが鳴る。

「ヤバっ、じゃ、じゃあ影照先輩よろしくお願いします!」

そう言って慌てて駆け出す善吉。端から見れば桐喝から逃げ出した様に見えなくもない。

善吉が駆けていったことで、また誰も居ないアスファルトの空間が広がる。

「さて、今から授業出るのもだるいし、真黒さんのとこ行くか」

軽くビクッと震えた冥加。そんなにトラウマなのか。

しかし、昨日の件もあるし行かないわけにもいかない。

「冥加はどうする?」

「3202114589(影兄が、行くなら・・・)」

顔にはもの凄く行きたくないと書いてあるようにみえる。

「21145(・・・・スマホ)」

「あの動画消したらな」

手をひらひらさせて冥加の要求を断る。

 

すると冥加は急に影照をキッと見つめ

ーチャキ・・・・

鉄球が先端についた鎖を握る。

「23105(影兄っ!!)」

急に飛び上がり、影照るの方へ鉄球を振り下ろす

「えっ、ちょっ、待って!!!」

慌てて頭を押さえ、 影照はその場にしゃがみこんだ。

 

ーーブンッッ、グシャッ!!!

 

振り下ろされた鉄球は、影照のすぐ後ろの茂みにその勢いをぶつけた。

「へ?」

てっきり自分に振り落とされるものとばかり思っていた影照は、その鉄球のめりこんだ場所に目を向ける。

「き、急にどうしたんだよ」

あまりの急な展開に動揺を隠せない影照。

「311850641710(さっきここに誰か居た)」

あたりを見渡してみるが、目立った痕跡や姿などは見あたらない。

冥加も確認し終えると「3666428(気のせいだったかも)」と呟く。

そして、地面にめり込んでいる鉄球をひょいと持ち上げると

 

そこにはグシャグシャに砕け潰れた“注射器”があった。

 

 

影照と冥加は今、変な大きな扉の前で佇んでいた。

目の前のその大きな扉には、何やらパスワードを打ち込む為の認証機がついている。

 

影照たちはあの後、真黒のもとへと訪問し、十三組メンバーそれぞれの説明を軽く聞いた。

いやぁ、でもしかし

あの人(・・・)が十三組に居るなんて信じられないなぁ。

 

真黒さんの話を聞いてて、昔の知り合いが居ると言うことを知った。

絶対同姓同名の別人だと思ってたよ。

 

真黒は影照に

フラスコ計画に介入する場合の二つの約束を出した。

一つは、戦闘だけは絶対に避けること。

もう一つは、裏の六人(プラスシックス)という人たちに出会ったら、問答無用で逃げること。

この二つだ。

 

しかし、介入するしないの前に問題が発生した。

(この扉、どうすれば開くのだろうか)

おそらく、この機械に暗証番号を打ち込まないと開かないらしいな。

さきほどから影照は何回か適当に番号を打ち込んではみてるものの、結果はどれも同じだった。

 

「185523122(影兄、開かないの?)」

「・・・・ちょっと待ってろ」

影照の横でおとなしく待つ冥加、そして影照は自らのバックの中からノートパソコンを取り出した。

「02112398054585(どうしたの、普段パソコンなんて使わないのに)」

「昨日俺だって、ただ徹夜したわけじゃないんだ」

軽快な起動音が聞こえる。その様子を冥加は興味深そうにのぞき込む。

 

影照は何かのファイルを開くと、凄いスピードでキーボードを叩き始める。

冥加はその様子を一部始終眺めていたが、何をしてるのか理解できなかったのだろう、首を少し傾けていた。

時間にしては約10分、影照はノートパソコンを閉じる。

 

そして、もう一度扉に番号を入れると

ゴゴゴゴと音を立てながら、扉が開いた。

 

「211852456369(凄い、何をしたの影兄?)」

「学園にハッキングして扉を開けた。昨日一夜漬け(・・・・)でこの技術を覚えたんだ」

そう言うと影照は眠そうに欠伸をした。

「まぁでも、所詮一夜漬けだ。明日にはこの技術の八割は忘れてるよ」

 

 

扉をくぐり、しばらく通路を進む二人。

「2110523(どこに行くの?)」

「んー、真黒さんの話だとここら辺にエレベーターがあるはずなんだ。とりあえず、一回会っておきたい・・・というか何であの人(・・・)十三組(アブノーマル)にいるのか知りたいしな。だからまずは、エレベーターであいつの居る階を目指す」

そうこう話しているうちにエレベーターを見つけた。

 

どうやらこのエレベーターも、動かすには暗証番号が必要らしく

エレベーターの扉の横にキーボードがおかれている。

しかし、先ほど影照が学園にハッキングを行ったので、今回も適当に打ち込んだだけで動き出した。

 

「えーっとあの人のいる階はっと」

影照は真黒に貰ったメモを取り出す。

「20114(影兄)」

「ん?」

「114796582366(さっきから言ってるあの人って誰?)」

「い、いつも言ってるが鉄球は振り回すものじゃないぞ」

「612(誰?)」

「前にも話さなかったっけ?あの俺が告白されたみたいな話のー」

ードシュッ

冥加と影照の会話中にエレベーターが開いた。

そこから放たれた一本の弓矢が、深々と影照の胸に突き刺さる。

「え?」

あまりに急な出来事に影照も冥加も、何が起きたのかわからないという表情をしている。

 

そして、その弓矢を放った張本人がエレベーターの中から現れた。

 

「初めまして、私 百町(ひゃくちょう)破魔矢(はまや) と申します。今回は総括さんの依頼によって、影照さんを捕獲しに参りました。仲良くしてね」

 





うーん
どうもPCの調子が悪い。
インターネットに繋いで、10分くらい経つとフリーズしてしまう(^^;)

さてそんなわけで13箱目です。
そういえば自分も高2の時は、教師推薦の風紀委員長だったのです。
ただ、田舎の生真面目県立高校なので仕事は0に等しかったですが(^^;)

てなわけで次もよろしくお願いします。
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