「この隠居の身の俺に、何の用だよ現生徒会長」
はぁ・・・何だか最近いろいろ忙しそうだなこいつは。
何だっけ、破魔矢と雲仙姉弟が入院するほどの不運な
あのサボリ屋のあいつがちゃんと仕事してるところをみると、この学園って結構ヤバイんじゃねえか?
「第九十七代生徒会長 日之影空洞、『
おいおい黒神、丁寧に頭なんか垂れちゃって。お前のそんなとこ見たくはないぞ俺は。
・・・仕方ねぇ。
「ー断る。」
めだかはゆっくりと頭を上げる。
「お前なんか誤解してんじゃねぇのか?生徒会長ってのは別に英雄じゃないんだぜ?球磨川?
空洞は腕を組んで、その大きな背中を椅子の背もたれに預けて息を吐く。
「危ない奴がいるなら警察を、恐い奴がいるなら自衛隊を呼べばいい。てか、まず先生方に相談しろよ。何でも自分で解決しようってのは傲慢でしかねーぞ?まぁ、今の生徒会長はお前だ、そんなに目立ちたいのなら好きにしろよ」
ーフッ
「・・・え!消えた!?」
「探しても無駄ですお姉さま。彼が本気になればその姿を認識するのは不可能です、それどころか私たちはこの教室を出るころには日之影前会長の存在すら忘れているでしょう」
「しかし、思いのほかつまんねえ男だったな。てめぇに火の子がかかりそうになると手のひら返してとんずらとは・・・あれが『英雄』か、ただのチキン野郎じゃねえか」
「違いますお姉さま、彼とあなたは通じるところがあるんですよ」
「あ?どういうことだ?」
「
「ー
いやぁ・・・ダメだな俺って。こういうときの相棒だろうに、また一人で行動しちまったよ。
「『え?』」
こいつが球磨川・・・。
空洞は目の前にいる奇妙な存在の頭を片手で、バスケットボールのように掴む。
「ふんっ!!」
掴んだ頭を近くの机、教卓に思い切りぶつける。
教卓はその衝撃で、へこみ、大きな亀裂をつくった。
「『えーと』『誰?』」
「
☆
やばい、今日はモテ期だな。
「ありがとうございます些細無先輩!」
ま、主に男性からだが。
えーと今日は、風紀委員の業務があってるときに飛沫さんにボコられて、そのあと球磨川に拉致られて・・・
んで他の風紀委員達に業務終了を告げて、ていうか何で今日に限って男子役員しかいなかったんだろう?
まぁ、それは考えないことにしよう。
そのあと善吉くんと会って、今に至るのか。
「些細無先輩がいるとなんか、頼もしいですよ」
喜々として話しかけてくる善吉。
もうこの後輩が可愛すぎる。いや別に性的な意味では無いですよ。
「いやいや、でもどうして俺なんだい?俺なんてただのつまらない
「それを言ったら俺もそうですよ。・・・・・・大丈夫です!先輩を頼ることに、生徒会役員満場一致・・・うん、満場一致でしたよ!」
何だろうさっきの間は。
まるで包帯を顔に巻いている
「あ、ここが生徒会室です」
丁寧に善吉くんがドアを開けてくれる、本当によくできた子だ。冥利にぜひとも見習ってほしい、無理だろうが。
「よぉ、影照」
「あ、空洞も来ていたんだね」
ドアを開いた瞬間に、嫌でも視界に入る巨体。日之影空洞。
あいつが徒党を組むなんて珍しいこともあるもんだ。今でさえ、俺の『新生徒会計画』に乗り気じゃないチキン野郎のくせに。
「・・・あ、あぁ。日之影前生徒会長も来ていたんですね!」
「おいおい、そんなにかしこまるなよ善吉くん。もう俺は引退した身なんだから」
まぁ、あいつもあいつなりに考えるところがあるのだろう。ここは黙ってあいつの考えに従ってみるかな。
空洞は腕を組み、意味深に生徒会室にいる人を見渡す。
「・・・・・・・・・・。黒神真黒くんー合格、人吉善吉ー不合格、人吉瞳さんー合格、阿久根高貴ー不合格、喜界島もがなー不合格、古賀いたみーギリ合格だが故障中」
空洞は自らの頭をバリバリと掻き、眉間にしわを寄せ息を吐く。
ていうか、え、何?あのちっちゃい子誰?善吉君の妹さん?え、でもさっき空洞『さん』付けしてたよね?
「・・・参ったな。そこまで高望みしてたつもりはなかったが、こりゃあ予想以上に
おそらく空洞が判断しているのは、腕っ節の強さではなく
確かに、
「断言するぜ黒神、このメンバーでマイナス十三組に挑むのは格安自殺ツアーを組むようなもんだ」
なるほど、言いえて妙だな。
「・・・・・・んで、影照。お前からは何かないのか?」
「ん?俺?」
ふふふ、頑固が服着て歩いてるような、あの空洞が俺に意見を求めるなんて。
たぶんもうこいつは
「いつも言ってるだろう。お前はどうしたいんだ、空洞?」
いつものことながら、空洞が苦虫を噛み潰したような顔をする。
「あー、はいはい。もういい、お前には聞かねえよ」
呆れたような、イライラしたように空洞はそっぽを向いた。
「俺は
空洞は、頼ることの意味、頼られることの意味を知っといた方がいい。人の下から支えるのではなく、上から引っ張ることの意味を。
ま、俺は偉そうに言える立場じゃないんだけどな。
「はぁ・・・黒神。いや、生徒会諸君。
「馬鹿な・・・日之影くん!
・・・・・・凶化合宿。俺が風紀委員長だった時にも聞いたことがないものだな。
あのまぐろさんがここまで渋るもの、すごく危険なものであるのは間違いない。
「早すぎるって・・・じゃあいつならいいんだ、
「ところで空洞、その凶化合宿って何?」
「過酷すぎる
やべぇ、俺絶対にやりたくないわ。
「どうするお前ら、やるかやらないか明日までに決めろ」
さすがにこんなものやるのは、ダメだと思う。腕立て伏せもまともにできない俺がやれるわけないけど。
あ・・・そっか。俺は別にしなくていいんだ。
「「「「やります!」」」」
生徒会の四人は、息をそろえて『凶化合宿』を受けることを受理した。
この後輩たちを見てると、自分の惨めさに泣きたくなるよ。だからと言って『凶化合宿』を受けるか否かと言ったら・・・それはまた別の話だろう。
「さてと・・・」
「おい、影照。どこ行くんだ?」
「俺だって腐っても学園の平和を守った元風紀委員長だ。相手がここで何をしてくるのか、予想がつかないわけじゃない。だったら先回りして裏を取る」
「じゃあ、僕も失礼するよ」
「真黒くんまでどこか行くのか?」
「先役のデート相手が待ってるんだ。あ、心配しないでめだかちゃん、くじらちゃん。僕が一番大切なのは妹である君たちだ。なんだったら、ここで愛の証としてお兄ちゃんのキスをーー」
あれ?
さっき背後で大きな断末魔が聞こえたな。
最近の高校ってのは何かと物騒だからな、俺も気をつけよう。
☆
「『なるほど』『確か良い手だ』『いや』『酷い手だ』」
球磨川禊は生徒手帳を眺めながら、そう賞賛した。
「『これならマイナス十三組が揃うのを待つでもなく』『明日にだって全てが台無しだ』『僕ちょっとひいてるよ』」
球磨川の隣の席に座る不知火半袖は、自分の身丈の半分もあろうかという大きなカップの中に入ってる、いっぱいいっぱいのポップコーンを頬張り、笑う。
「あひゃひゃ☆まぁ、
「『あはは』『任せてよ』『僕たちが台無しにしてあげるから』」