「つまり、こういうことだな影照」
空洞が先ほど俺が話した作戦の内容を分かりやすく、細かく書きだす。
あいつがチョークを持つのって、なんだか滑稽だな。
「初戦の会計戦にはお前が喜界島の代わりに出場する。そしてその間に凶化合宿で阿久根を鍛え、人吉は名瀬に任せる」
「そうだよ、阿久根くん一人だけならそれなりに質の高い凶化合宿を施せるだろ?善吉くんのほうも同じく」
空洞とまぐろさんに師事すれば教えられたこと以上の何かを習得できそうだし、善吉くんは名瀬さんに師事した方が良いような気がする。確証はない、ただの勘ってやつだが。
「しかし些細無三年生、肝心の喜界島会計はどうするつもりだ。彼女も私達の大事な仲間なんだぞ、このままほったらかしというわけではないだろうな?」
・・・・・・顔が恐いよ?なんで逆の方に考えないのかな?
自分の大切な仲間があの『
たぶん彼女は、人の心がわからないのだろう。
人の心がわからない人間が語る『正しさ』は、そんなのただの『わがまま』だ。『改心』させられた方はたまったもんじゃないよ。
「・・・あ、あのね黒神さん。私は大丈夫だよ?」
「・・・・・・何?」
「い、いや、あのね?別に怖気づいたわけとかじゃなくて・・・そりゃ、私だってみんなのために戦いたいよ?」
喜界島さんはアワアワして上手く
ますますめだか会長の不信感を煽る。
「めだか会長、喜界島さんにはちょっと裏工作をしてもらうように俺が頼んだんだよ」
耐えきれなくなって助け船を出す。
「ん?裏工作とは?」
「ちょっとこればっかりは言えないな」
どうも納得がいかない様子の会長さん。うーん、どうしたものかな。
「あ、そうだ。めだか会長、覚えてるかな?あの『オセロ』の勝負の話」
しまったと言わんばかりに会長さんが顔をしかめる。
「うぬぬ・・・・・・」
「ふぅ・・・ごめんね。今回ばっかりは俺の言うとおりにしてくれ」
☆
「ケケケ。影兄ー、今日は応援に来てやったぞー」
「7583763489367(私も来た)」
何故だろう、俺が長男のはずなのだが・・・弟と妹に下に見られてる気がしてならない。
そろそろ会計戦が始まる時間だ。
最終予定合わせで、生徒会室に向かっている俺達。
「なぁ影兄、友達の百町破魔矢とか・・・あと一人は、えっと・・・・・・まぁいいや。そいつらは来ないのか?」
おそらく空洞のことだろうな。
「空洞の方は凶化合宿の最中。ハマには・・・ちょっと別のことを頼んでるんだ。まぁ、ハマが動くようなことが無いといいが」
冥利が不思議そうに頭を傾ける。
「これだけ影兄が働くってのも珍しいな。こんなに考えを巡らせるってのも」
「ははは・・・鍋島先輩と一緒に考えたからね・・・・・・」
「お・・・おぉ、そうなのか」
・・・・・・先輩、卑怯だからなぁ。
「00626636332(影兄、こんな状況で楽しそう)」
「・・・そうか?はははっ」
こんな状況で楽しそうだなんて、まるで俺が
なんて談笑をしながら生徒会室のドアを開ける。
「ははは・・・はは・・・・・・は?」
お着換え中の会長さん、古賀さん・・・と、あれは・・・・・・
「名瀬・・・さん?」
頭の包帯を取ってあるからよくわからなかったが、あれは名瀬さんだろう。
・・・・・・いやいや、会長さんと古賀さんは下着姿だから良いが、いや良くない。
しかし、名瀬さんに至っては上半身はだk──
「78254(っえい!!)」
──ブンッ!!グシャァアッ!!!!
俺は、あの日のことがどうしても思い出せない。
・・・・・・同じく、冥利も思い出せないらしい。『影兄に巻き込まれたんだ』とか言ってたが、何のことだろう?
ていうか、俺のこの負傷(事故)で
☆
「なぁ、些細無二年生。マイナス十三組は、今日が庶務戦だと勘違いしてるのか?」
「・・・うーん、どうだろうね?何せ相手には不知火ちゃんが居るからね」
生徒会戦挙の受付会場への集合時間まであと15分。
これだと、十分前につくことになるが・・・ちょうどいい時間だね。毎朝遅刻ギリギリ登校の俺とは大違いだ、さすが生徒会。
「・・・・・・だったら、いろいろな工作活動が無駄ではないか」
「いやいや、無駄なこともしておくべきだよ。相手の『考え過ぎ』ということが起こりうるしね・・・まぁもっとも選挙戦の順番が変わったところで、相手の初戦の相手は変わらないだろうがね」
「まぁ、人吉先生の話から推測するに・・・初戦は江迎同級生になりそうですけど」
・・・・・・仮にも昔、めだか会長は球磨川と出会って、そしていろいろとゴタゴタがあったと聞いていた。
ということは、彼女はもう球磨川を知ってるはずだ。
誰よりも
なぜ、
「・・・・・・まぁ、いーや。もうそろそろ着くよ」
受付会場のドアを開けた。
「・・・・・・・・・・やっぱり、あんたか。
「『・・・・・・』『些細無くん』『やっぱり不知火ちゃんの言った通りだ』『まったく』『味なことをしてくれるぜ』」
ふん、やっぱり不知火ちゃんにはバレてたようだな。
俺に続いて、他のみんなが部屋に入ってくる。
周りを見渡してみるが、どうやらまだ選挙管理委員の人は来てないみたいだ。
「・・・・・・球磨川、まさか貴様一人か?」
「『やぁ』『めだかちゃん』『僕って人望ないみたい』『他の
球磨川は俺の時とは打って変わり、めだか会長と会話する時には手元にある『ジャンプ』に目を向け、決して目を合わせようとしない。
興味がないというか、ただただ嫌いなんだろうな。
めだかはズカズカと球磨川の目の前まで迫る。
対する球磨川は、相変わらず手元に目を向けているだけ。
「こっちを向け球磨川。ひょっとして、貴様が初戦に出馬するつもりなのか?」
「『うんそうだよ』『君の方のどこかの誰かさんのせいで』『会計戦に出馬することになってしまったけどね』」
球磨川はジャンプを閉じ、席を立つ。
そしてめだか会長の横を抜けて、俺の前に歩いてきた。
「『今日はよろしくね些細無くん』『正々堂々とフェアに戦おう!』」
ふふん、いつもどおりのヘラヘラとした空虚な笑顔だ。これでこそマイナスだな。
「球磨川・・・私には貴様の考えていることがさっぱりわからん」
めだかが球磨川の肩を背後から掴む。
「『わからないくせにわかってもらおうとするなよ』『めだかちゃん』」
首だけを後ろに向け、球磨川はそう言った。
「『まぁ』『なんてことはないよ』『
「・・・・・・・・・・どうせそれも嘘なのであろう。すがりつきたくなるような嘘だ!」
球磨川の肩を掴んだめだか会長の手に、益々力がこもり始める。
「それでは定刻になりましたので、始めさせていただきたく存じます。まずはみなさま、本日はご多忙の中こうしてお集まりいただきありがとうございます」
めだか会長の手を球磨川から離し、その二人の間に
・・・・・・おや?そういや見たことあるなコイツ。目元に鉢巻きを巻いてるような、そんな奇妙なコイツはー
「ケケケケ。おぉ、
「冥利さん、このたびはよろしくお願いします」
「ケケケ、急に他人行儀になりやがって。まぁ、お前のそーゆーとこは嫌いじゃないぜ」
あぁ、思い出した。
確か選挙管理委員会の
『公平』のアブノーマルを持つ異常者。
どんな圧力にも屈せず、徹底的にフェアに、あり得ないほど公平に戦挙を取り仕切ることで有名な、冥利の数少ない友人の一人だ。
「えっと、早速ではございますが、本日の会計戦にエントリーされる方。そして、戦挙を見学なさる方々の手続きを行いたいと思います」
融通くんが懐から数枚の資料を取り出す。
「今回のエントリーは生徒会側から 二年一組 些細無影照様、新生徒会側から 三年マイナス十三組 球磨川禊様ですね。そして見学なさる方は、黒神めだか様 雲仙冥利様 雲仙冥加様 名瀬夭歌様 古賀いたみ様ですね・・・・・・確認しました」
そのあとも融通くんはいろいろ事務的なことを説明する。
なんだか授業を聞いてるような感じだな・・・・・・すごく、眠い。
「・・・会計戦の形式は『毒蛇の巣窟』に決定いたしました。これは我々が用意した十三の決闘法の中で、もっとも
・・・・・・やっべぇ、ちょっと寝てた。
さっきなんか、毒蛇とか残虐とか聞こえたけど・・・大丈夫だよね?