大変です(笑)
ま、受けなくていい科目の授業なんで良しとしましょう(ぉぃ
というわけで、誰か口内炎に効く薬を教えて下さい、4箱目の始まりです
あれから9年の月日が流れた。
9年前のあの日
くまがわとかいうやつに出会った日。
影照は、精神年齢の発達が異常な人間の典型的な症状だと診断されたが
知力、体力、筋力、運。
体のありとあらゆる機能は常人となんら変わりは無く
しばらく通院したが、あっさりと異常無しと診断された。
しかし影照の妹である冥加。
そして今、5才である弟の冥利。
この二人には異常が発見された。
この二人に異常が発見され、影照は妙に孤独感を感じたが
それもしばらくすると気にならなくなった。
妹の冥加は、常人と比べて異常なほど身体能力や筋力が高かった。
そして、弟の冥利だが
彼は異常のなかでも異常だったらしく、体のありとあらゆる機能が常人より異常なほど優れていたらしい。
「影兄よぉ、俺まだ五歳だぜぇ?正直、家事の手伝いなんてのはやりたくないんだが」
「俺もまだ11だ、わかったら風呂掃除してこい」
「けっ、わーったよ」
今この家では五歳と11歳の二人が家事の全てを行っている。
その理由は
「ありがとう、影照、冥利、本当に助かるわ」
「ほら、かーさんゆっくり寝てろよ。お腹の中に双子の俺の弟がいるんだから」
「ふふっ、優しいのね冥利
「ばっ、馬鹿!!優しくなんかねぇよ!!」
みているだけで微笑ましくなる光景だ。
ま、それはもう俺のなかではありふれた日常で、至って
ちなみに我が妹なのだが
「80235504177650(影兄、水をコップに注いで)」
「今、皿洗いしてるからちょっと待ってろ」
そうだ、今や我が妹は
自身の異常のせいで、学校で上手く対人関係を作れず
俗に言う、引きこもり中なのだ。
いつからかは忘れたが、気づけば数字で会話をするようになっていた。
最近の宣託の頭痛の原因は彼女にもいくらか非があるように思えてならない。
ところで、神話の英雄オーリオーンを知っているだろうか
あのオリオン座のもとになっている狩人である。
彼はとても力の強い巨体の狩人だった。
そんな彼がふと友人を見かけたので、話しかけようと思い肩をぽんぽんと叩いたところ
その友人の肩を外してしまったと言った話がある。
力が強すぎるが故に、不都合な事も多くある。
そう、雲仙冥加もそういったエピソードを持つ者だった。
故に、下手に家事の手伝いをしてもらうことも出来ない。
先ほど影照に水を頼んだのは
彼女は蛇口を捻り水を出すことは出来るが、彼女が蛇口を締めてしまうと、もう彼女自身しか水を出せなくなってしまうからであった。
「はいどーぞ、冥加」
「80711(ありがと)」
ちなみに、コップなどは結構堅めの素材を使ってるらしいので大丈夫だ。
まぁ、それなりにお金はかかるのだが。
「おい影兄、掃除終わったぞ」
「ん、じゃあ冥日さんと散歩にでも出かけたら?せっかくいい天気なんだし」
「馬鹿、負担がかかるだろうが」
「大丈夫よ冥利、私もずっと家の中じゃ息が詰まるから」
「3651(私も行きたい)」
「じゃあ、車イスだすから。冥加が冥日さんを押していってくれるかい?」
「521178563380(うん。影兄は来ないの?)」
「俺は夕飯の支度だよ」
そういって車イスを出して、冥日の乗りやすい位置まで運ぶ。
「まだ予定日は5ヶ月も先なんだから、そんなに心配かけなくても大丈夫よ。私だって初めてじゃないんだから」
「駄目だ、母さん今回は双子で、今までみたいにはいかないんだから」
「ふふっ、そうね」
そう微笑んだ冥日さんは、自分のお腹を本当に大事そうに撫でた。
☆
誰も居なくなったこの家の中
自分の足音と床のきしみ、呼吸の音だけが耳に染みていく。
本当は、自分はここの家の人間じゃないんだよなと不思議に思う。
ま、俺の置かれている境遇だけはなかなか
でも、それだけだ。
あとはなにひとつ変わった、物語になるような出来事はない。
所詮、現実なんてこんなもんだ。
いきなり国家の争いに巻き込まれることもなければ
俺が選ばれし者に選ばれることもない
空から美少女なんて降ってこないし
俺は英雄の血族でも何でもない
ただ起きて、飯食って、学校いって、帰ってきて、飯食って、風呂入って、寝る。
日常。
毎日起こる出来事などたかが知れてるし、予想外なほど予想内。
結局、あいつの言うとおりなのかも知れない。
「『世界には目標なんか無くて』『人生には目的なんて無いんだから』」
考えれば考えるほど、落ち着く言葉だ。
「人生に目的なんか無い・・・か」
復唱した後、おもむろに手を前に出してみた。
何故手を出したのか、分からないけど手を出した。
ーーーバムッッ!!
一瞬何が起きたか分からなかった
手を前に突き出したら、目の前に自分と同じくらいの大きさのルーレット台が現れた。
他にも周りを見渡すが、別にこれと言った変化はない。
もう一度手をつきだしてみるが、今度は何も起こらなかった。
「なんだよこれ・・・」
とりあえず現れたルーレットを確認した。
そのルーレットにかかれている項目はきっちり5等分されたもので
それぞれに、アホみたいな事が書かれている。
『とりあえず、少しの間みんな裸』
『劇的なことが起きるよ』
『美少女が降ってくる』
『歌手デビュー決定』
『怪獣が現れる』
「何の悪戯だよ、これ」
いずれも、現実じゃ到底起こりそうにないものばかりだ。
でも、これらが本当に起きるとしたらー
本当に興味本意だった。
影照はそのルーレットに手をかけて、回してみた。
ーーシュルルルル
勢いよく周り始めたそれは、次第に勢いを弱め
やがて、一つの項目を指し示し止まった。
『劇的なことが起きるよ』
項目を指し示したそれは
自分の仕事は終わったと言わんばかりに消えて無くなった。
「劇的・・・ねぇ・・・」
☆
時計は午後の7時を回ろうとしていた。
「ん~・・・今日は宣託さん遅いなぁ・・・」
影照は夕飯を並べ終えて、一言そうつぶやく。
「93817726301364291882(ねぇ影兄、テレビつけてもいい?)」
「今から夕飯だぞ、ポ〇モンは後にしておけ。録画しといてやるから」
いつもなら午後6時くらいに宣託は帰宅してくるのだが、今日はなんだか遅れているようだ。
(まぁ、たまにはこんなこともあるか)
リモコンを手に取り、さっと録画予約をする。
「あら、まだあの人は帰ってきてないの?」
「あ、冥日さん。もうご飯は出来てるんだけどね」
「じゃあ、冷めないうちに先に食べちゃいましょう。宣託さんには私が連絡入れとくから」
「わかった、おーい冥利、飯だぞー!!」
「うーい」
一応、冥利を呼びに向かう。
ピンポーン
なんだろ、宣託さんなら普通に鍵を開けて入ってくるのに
こんな時間に来客?
ーガチャ
「はい、どちらさまで?」
ドアの向こう側にはスーツを着込んだ二人の男性が立っていた。
「こんばんわ・・・あの、お母さんはいるかな?」
「あ、用件があるなら自分が伝えますが?」
「いや、直接の方が良い。呼んできてもらえるかな」
「・・・分かりました」
冥日を呼びに行く。
「どうしたんだ、影兄」
「ちょっと来客だ、冥加と先に飯を食べててくれ」
「わかった」
それから、冥日と一緒に玄関の方へ向かう。
「あなたが、雲仙冥日さんですか?」
「あ、はいそうですけど・・・」
「あなたに大事な話があります」
そう言ってスーツの一人が影照の方に向き、少し眉間を寄せる。
「ごめんね、君。少しの間でいいから向こうの間に・・・」
そしてもう一人の男が割って入るように口を開く
「いや、このままここに居てもらった方が良いかもしれない、君は今いくつだい?」
「えっと、11です」
「そうか、シッカリしてるな」
そう言って、男は笑うーーーその笑顔にはどこか影があった。
「あの、それで話とは何でしょうか・・・?」
「すいません雲仙冥日さん、できれば落ち着いて聞いてもらいたいのですが」
・・・なんだろう、妙な胸騒ぎがする。
「影照君・・・だよね?君も落ち着いて聞いてほしいんだ」
「・・・分かりました」
「ふぅ・・・」
スーツの男の一人が息をつく。
「午後5時46分。雲仙宣託さんが交通事故でお亡くなりになりました」
時間が止まったように感じた。
音もなく、周りがとてもゆっくり動いているように感じる中
冥日さんが、ゆっくりと崩れ落ちるのが見えた。
「おい!!冥日さんっ!?」
必死に冥日を抱きとめようとするが、その小さな体では十分に受け止めることはできず、二人同時に倒れる。
「っーー!!おい!!早く救急車を呼べ!!」
男がもう一人の男に慌てて指示を出す。
「影照君っ!!ソファかベッドか、どっちでもいい!!案内してくれ!!」
「はっ、はい!!」
男は冥日を抱き上げ、影照の案内どうりに彼女を運んだ。