翌日、提督になった彼は本部から、初期艦選択の連絡が来るのを待っていた。彼の手元には「提督の手引」と書かれた冊子があった。それはボロボロだった。何人もの提督たちが読んできた物がそのまま流れてきたのだ。彼が初期艦選択があることを知ったのもこれのお陰だ。
と突然、執務机の上に置いてあったスマホに通知が来た。待ちに待った初期艦選t.........ではなく、それが出来ないという内容のメールが来たのだ。
「提督になって一夜明けて気分はどうかな?言いたいことがあるかもしれんがまずは読んで欲しい。君の鎮守府へ着任する予定の初期艦は既に出尽くしてしまっていていない。よって、君の初期艦は無い(ザマァ)」
「........ぶざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(某新世界の神風な言い方で)」
しかしこの後に、
「そのかわりとして、横須賀鎮守府から第14駆逐隊を派遣する。生かすも殺すも君次第だ。健闘を祈る。じゃあの(^-^)/」
彼は驚いた。第14駆逐隊と言えば各地で名を上げた名駆逐隊だ(詳しくは築地先生の「陽炎抜錨」シリーズ参照)。確か解隊されて各艦はそれぞれ元いた鎮守府に戻ったはずだ。なのにわざわざ再編成するとは、よほどの事なのだろう。或いは...........。
さて、派遣されるのがいくら駆逐艦だからと言って、飛行機並みの早さで来ることは無理である。というわけで、彼は工廠の妖精達にあいさつに行くことにした。
鎮守府の工廠では、人ではなく妖精と呼ばれる存在が仕事を行っている。彼らはA5サイズの布団があれば十分寝られるサイズの生物で、万が一死んでも数週間後には知らん顔で工廠にリスポーンしているという不思議な一面もある。
工場は主に建造、解体、開発、廃棄の四部門に分かれており、それぞれに専属の妖精がいる。勿論一人二人のレベルではない。今回は全ての部門を回るらしい。
「これからここの提督をすることになった。よろしくな」
と彼は話し掛けた。すると妖精達は揃って礼をした。ちゃんと人の言葉を理解するらしい。最も、彼らが話すことは無いが.........。
一通り挨拶を終えた彼は、建造を行うことにした。資材は十分にあった。彼は艦隊決戦の要である戦艦の建造を目論んでいた。しかし彼はとても重要なことを知らなかった。
「なに?建造出来ないだと?」
妖精は頷いた。そう、彼は開発資材を一切持っていなかったのだ。
開発資材とは、開発や建造を行う際に必ずいるもので、無ければなにも出来ない。
彼は開発資材を集める計画を立てることにした。