あの後、試験官から報告を家長であり、姉である以前説明した”織斑 千冬”にバレ、会場を間違えた事でこっ酷く叱られた。
”織斑 千冬”は織斑 一夏、織斑 秋十の姉で見た目は鋭い吊り目に、スーツの似合う長身とボディラインが特徴で、鬼のように非常に厳しいく、厳格な姉である。
彼女の持ち前の一流と言えるほどの剣術とある物で世界を取ったIS操縦者であり、今の世を左右する物を作った天才の親友である。
説明はここまでにしてアレから数日間、それは酷い物だった。
流石にモルモットとはいかなかったものの、藍越(あいえつ)学園をIS学園と間違った弟に怒りを覚えない秋十ではなく、「似てるだろ」言う一夏に「アルファベットと漢字の違いも分からんのか?それにISは頭文字を取っただけだ。」と馬鹿にした返答をした秋十、その瞬間、それが引き金となり、喧嘩してた所を喧嘩両成敗で姉の千冬に叩きのめされた。
そして次はテレビ発表、世界に激震を起こしたのは言うまでも無いだろう。お茶の間で知り合いが見ていたら目を見開き、食べている物を喉に詰まらせてむせてるか、口を半開きにしているに違いない。
それから電話帳程も分厚い参考書を入学前までに頭に叩きこんでおけと言う事で渡されて返された。
本当に怒涛の数日間と言ってもいいはずだ。
所変わってここはとある喫茶店、掃除されたフローリングの床、思いのほか客が全然おらず、店の隅っこの場所でコーヒーカップが二つ乗ったテーブルを前に、ソファに座っている二人、先に説明した千冬と長髪で垂れ目、優しそうで陽気な性格で同じスーツに白衣を着て、さらに出る所はでて引っ込む所は引っ込んでると言ったスタイル良く、胸はかなりの巨乳の女性。そんな締まった格好なのに明らかに一部分の物が台無しにしている。
それは頭に付けている機械的な雰囲気を持つウサミミカチューシャだ。正装にこのカチューシャを着けている彼女から変人臭を漂わせている。
そんな彼女に真剣な表情で千冬が
「この状況、どう説明してくれるんだ?ーー束、いやこの場合、倉持技研、名誉所長”篠ノ之 束博士”と言った方がいいか?それとも国際IS委員会 委員長殿か?」
「嫌だよちーちゃんそんな言い方?何時も道理に呼んでくれれば良いよ。というか流石に何じゃないのかな開発者をそのまま祭り上げるなんて、ホント、”お偉いさん”の考える事はわかんないよ」
「ふん、よく言う。貴様もその”お偉いさん”に含まれているのは言うまでもない事だろ?自分の作った物だ。それ自分で責任を負わねばならない事、私もそしてお前もだ。」
「うん・・・・・分かってるよ。」
彼女はその笑顔を崩さず、彼女に答える。
千冬は
「そうか、そろそろ本題に入っていいか?」
「うん、いっくんとあっくんの事だよね。」
「そうだ。束、アイツらは前に適性審査を受け時は無かったよだが、”アレ”は後天的にでも出来る物なのか?」
「”アレ”は後天的になって適性がある様になる事は無いよ。今までのデータではそんな事は無かったし、これからも無いと思う。」
「だったら・・・・・。―――まさか貴様」
束の返答に目が更に鋭くなる千冬、彼女がしそうな事が思い当る。例えば改竄とかだ。
適性の審査方法は別にISに直接触ると言う物で無く、血液検査などと同じく”ある因子”があるかどうかを審査するものである。そして何故かその因子は女性が必ず持っており、因子の上限でランク分けされる。
彼らも一度その適性検査を受けているが公式では無いものとされており、テレビの会見でも専門的な事を言って誤魔化していた。
家族が適性があれば否が応でも兵器としてのISに関わっていかなけらばいけない、そう思った彼女はそんな行為に及んだと考える千冬である。
「はぁ、何時からわかっていた?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ウチって大きな神社で土蔵とかそれなりに大きかったでしょ?ーー以前の話なんだけど、小さい時にいっくんやあっくんを箒ちゃんが家に遊びに連れてきた事があるんだ。それでその時、土蔵の方で遊んでいたのだけど・・・・。」
「それと何の関係ある?」
全く関係ないと思った千冬は束を眉をひそめて聞き、束は
「えっとねぇ、私がIS開発していた時、そこでやってたんだよ。
ーー私が居合わせたから確信が持てるんだけど、まだまっさらな子だった二つのコアに一度だけ二人が触った事があるんだよ。いろいろ覚えさせる為に常時起動状態してたし、多分その時かなって・・・・。」
「その時にデータとして残っていたと?」
「・・・・・うん。ISネットワークの履歴を調べたんだけど、該当する履歴がその時の物と今回の騒動の原因の物があったからそうだと思う。」
そして千冬は目の前のコーヒーカップを手にとって少し飲んで一息つき、置いてから口を開く
「委員会ではどういう判断なんだ?」
「あんまりそれについてはあんまり喋って良い物じゃないんだけど・・・・・。」
その返答に更に視線が鋭くなる千冬、その視線に心臓を掴まれた様な錯覚を覚える束は冷や汗の量が跳ね上がり、半泣き状態。
「そこを何とか出来ないか?貴様と私の仲だ。」
「え~と、いっくんとあっくんがヤバいのは分かるけど・・・・。ーー知ってた?ちーちゃん。脅迫と頼み事は違うって言う事、さらに言わせて貰うけどその言い方はかなり危ないよ。」
「貴様の何時もの過剰なスキンシップに比べれば問題ない。」
束は叫びたくなるの堪えながら
「はっきり言わせてもらうけど、そこまで悪質なスキンシップしたこと無いよ!私!」
「ふん。それでどうなんだ?」
束はしょうがないなと溜息をつきながら、多分、妹である箒が同じだったら自分も同じことをしそうなだなと思いに耽りながら、口を開く
「大きな声で言えなんだけど、今、発表の方は適当に誤魔化したけどISを各国家が容認し、所有している今じゃあ、軍事等はISが要になっているでしょ。だから男が使えると言う事は、今の現代社会において多大な影響があるんだよ。
そして研究の分野でも政治の分野でも彼らを引き渡せと言った感じの物があるんだけど、此方にもそれなりの権限があるから、それには応じないつもりではいるよ。でも表面上は問題無いけど、このままじゃあ裏の方でやられる可能性があるから。」
「以前のモンド・グロッソの誘拐事件の様にか?」
「・・・・。」
その答えに沈黙し、束の表情が沈む。それは彼、秋十に傷跡を残した事件で、自分の罪の中で一番重く感じているからだ。
千冬から目線を外してカップのある方へと移りながら声を絞り出すように続ける。
「うん。だから、そうならない様にIS学園に入学させた方が良いと思う。あそこは独自の国家としての機能を持つから外からの干渉する事が出来ないからまず、そこでどうするか時間を稼いでそれなりに二人が力を付けるか、私がアレをどうにかすればこの問題も解消できると思う。後、入学までに空白期間も干渉できない様にしてあるから大丈夫だよ。」
「分かった。次に、お前の言う”アイツ”つまり”アリス”については・・・?」
その言葉に表情が歪み眉をひそめ、その眼光には怒りを宿す物となる。
彼女があまり見せない表情だ。千冬は感じていた温厚そうな束がそれほどまで敵意を出す程の事を千冬の言う”ある者”はやったのだ。
そして犯行声明後にその者は”アリス”と白騎士事件で最後に私達に名乗った。世界と此方を同時にハッキングして来た張本人であり、”天災”と呼ばれる犯罪者、何が目的で何者なのか全然全容が見えてこない、一度しかそれも一部でしか公表してないISの存在を知っていた事、それが世界が求める程の有用性を見抜いていた事なども考えれば、ISを結果的に”兵器”として認めさせる絶好の場を作る事、それと同時に我がものとしようとした。金が目的だったのではないかと思いもするが、彼女はそうは思って今いようだ。
事件の時のハッキングの際は撃退したする事が出来たが、それでも奴のやった事は後にも先にも影響を及ぼしている。そんな一人なのか、集団なのか、全く分からない謎の人物、今現在は活動も無くどこに潜んでいるのかもわからないのだ。
束はカップを置き、千冬に視線を戻しながら
「それも、分かって無いんだよ。昔の伝手で聞いたんだけど前までは他の犯罪の手助け位の事はしていたそうだけど、今は完全に動きが無いそうなんだ。その所為で尻尾すら掴めないみたいだって、そう言ってた。」
「・・・・・そうか、忙しいのにわざわざ呼んで済まなかったな。」
「別に良いよ。最近兵器触るのと書類に追われるのにも嫌気がさしていた所だし、コレでちーちゃん成分を補給できれば良かったんだけど今回はこれで良しとしますか。あ~あ、たまには有給取ろうかな。」
嫌な雰囲気を払拭する為、二人は別の話題に話の進路を変えることにした
千冬が
「そうしろ。そしてたまには家に帰ってやれ、前に柳韻さんもたまには帰って来いと言っていたぞ」
「そうなんだ。って、普通に今のスルーしたね。まあいいや、ウチの回線、セキュリティで通常回線と連絡できない様にしてあるし、携帯も使えないから電話できないから不便なんだよね。ホント、勘弁してほしいよ殆ど研究所に缶詰なんだもん。そろそろ箒ちゃんや皆にとも会いたいなぁ、あ、一緒に先生やってんでしょ、マーヤン元気にしてる?ドジばっかしてない?」
「真耶の事か?ああ元気にしてる。そして相変わらずドジな所は直っていないな。」
そう、苦笑しながら同僚の後輩の事を答える千冬に笑顔で束は言う。
「やっぱ、マーヤンは何時も変わらないね。久しぶりにマーヤン、イジりたくなってきたよ。」
「あまりやりぎるなよ。また泣くぞ。」
「その反応が良いんだよ。」
そんな事を言いながら、喫茶店の奥では陽気な声が響いた。
そんなやり取りがあったのも知らず、場所が変わり、秋十は以前と同じ格好で買い出し、帰り道、家で掃除をしている一夏に晩飯はどういった物を食わせるか、考えながらフラフラと家路に向けて足を運んでいるとゴミ捨て場に何か見覚えのある本があるのに気づき、そこで立ち止まる。
「・・・・・・・これってISの参考書か?」
明らかに新しそうな感じなのに色の着いた汁のような物で読みずらいがラーメンの臭いなので多分ラーメンの汁だろう物が付着した本を見つけ、こんな事をしたのは確実に誰がこのような無残な姿にして捨てたのか予想が付き、嫌そうな顔をしながら秋十は
「・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず、持って帰るか・・・・・・・・・?」
と手に取ろうとするが寸前の事で手が止まる。というかここまで汚い本に触る気が起きず。
「はぁ、俺の参考書を見せるか。」
と溜息をつきながら姉に報告してやろうかと思うが、自分まで怒られそうな気がした為、止めて脚を家路に向ける。
そして家に戻る頃には一夏が廊下で掃除機持っている一夏に参考書の事を話してから、秋十の当番の早めの夕飯を二人で食べ、テレビを見ながら寛いだ二人は自室に戻り、そのまま就寝した。
そして秋十はベットに寝ころび、天井を見ながら
「明日は、IS学園の入試か・・・。学科は一般常識に実技だけって、この場合は特例と考えるべきか?まぁ、アレは予習の為に渡されたもんだしな、多分大丈夫だろう。ふわぁ・・・・・・・・寝む。」
翌日、白い外装のモノレールに揺られながら、窓から見える外は青い海に突き抜けるような青空、晴天なので海が宝石のように輝いて見え、とても綺麗だ。
一夏は横で手帳の様なものを見ながら何かブツブツと言っている。多分、限界ぎりぎりまで何か覚えようとしているみたいで、内容は予想するに一般常識に関するものだろう。
そんなに心配する必要も無い様な気がするが、ある程度の知識があればそこまで焦る必要はないと思う。
それから清々しい程に綺麗な海の浮かぶ人工島が段々と見えてくる。
アレぐらい広さの敷地があれば、学園以外にも近くに公共施設がズラリと並んでいそうだ。流石にアレ全部が人工島全部が学園だとするならどんだけでデカいんだがわかった物ではない。
秋十はそんな事を思っているといつの間にか駅着いており、俺達は降りて目的地まで歩きだす。と言うかどんだけ広いんだよ。なんか周り、学校というか何かの公共の観光地と考えても差し支えない様な気がするのは俺だけでは無いはずだ。横で一緒に移動している一夏もおお~って凄さに圧倒されてるし、そう言ってる俺も凄いと思う。指定の場所まで移動したのち、途中でスーツを着た案内人の女性と合流し、強化ガラスの自動扉を潜って中に入っていく、そうして案内されたのは液晶画面の付いたハイテクな机が沢山並んだ教室で座らされ、一般常識の試験を行うと彼女は言った。そして俺達は四列並んでいる。真ん中の二つの机に座って試験を受ける。回答はタッチペンによるもので、前に友達にこの手のゲーム機を貸して貰ってやった事があるが・・・・。何と言いますか。流石、ISを扱っているだけあるなぁと思う。今まで俺達は模試なので塗りつぶしなど選択問題をたくさんやってきたがコレはどっちかって言うとクイズ番組とかでやる答えをタッチして答えたり、そのまま書き込んだりするとパソコンのお絵かきツールの鉛筆みたいに文字が書けると言ったものだ。
とりあえず、初めての感覚に戸惑いながらも二人の予想している問題ばかりなのでそこまで苦戦する事も無く順調に試験を終え、今度は複数ある一つのアリーナに移動し、更衣室で流石にテレビで見た様な専用のスーツはタンクトップとスパッツをくっつけたような黒いISスーツが用意されており、俺達に合わせた様にサイズがぴったりであったのが既に入学が決まっている様な気がするというかそうだろと言いたい気持ちを押さえながら着替えているが、一夏の方は何にも気にしてないのか、黙々と着替えている。
そして俺達はISスーツに着替えてから案内されて管制室とピットが一緒にある部屋まで移動した。
そして先に一夏の方がやるのでピットの方に移動する。俺は言うと二階の管制室の方で置いてあった二個のパイプ椅子のうち一つに座って少しく顔を上げるとそこにモニターがあり、前に俺達がこんな事になった原因のISと同型の甲冑の様な形状で肩装甲に白く”訓練機”と書かれたと”打鉄”を身に纏った一夏と教員なのか疑わしい高校生でも通りそうなほど若く、俺の友達もアレだが、日本人なのか疑わしい合っていない大きな眼鏡をかけた緑髪の胸のデカイ女性が髪より深い緑色のISは打鉄は甲冑の様だが、コイツの方が機械的な感じで背中の両サイドに盾を思わせる翼の様な装甲板、更に補助翼の様な物まで付いている俺としてはミリタリー色の強い機体、テレビで見た事ある”ラファール・リヴァイヴ”とか言うヤツだ。
映像を見ていると一夏と彼女が少し話をしているようだが、俺としては余り気にならないので聞き流していると開始のブザーが鳴り、試験が開始されるが、明らかに教員としてどうかと思う事が目の前で起こった。
「――――は?」
あまりの事に声を出してしまったが、彼女は試験開始直後に突っ込んで行ったそれを横に避けた一夏、簡単に避けられてしまった彼女はアリーナの壁に爆音を唸らせ、激突した。
激突の際に舞い上がった土煙が段々と晴れていくと、そこにはうつ伏せに気絶した女性教員の姿があり、その後終了と思われるブザーが鳴る。多分、気絶による戦闘不能で自動的に一夏の勝ちに終わってしまった。
唖然としている俺に後ろから今さっき出て行った俺達の案内をしていた案内人の女性が戻ってきた。今さっきから思っていたのだが、此処のドア、教室とかは普通の引き戸なのにアリーナからは自動ドアで前に立つと認識して開くと言ったもので、ホント近未来過ぎる様な気がする。そんな事を思いながら一階のピットに降りてく、そこには戻ってきた一夏が訓練機の打鉄を鎮座させて降りてくるのを見て俺は
「一夏、乗ってみた感想はどうだ?」
「あ、秋十兄ぃ、う~ん?体を任せている感じかな、後は少し重い感じがするけど思い道理に動いてくれるぜ。」
「そうか、試験官さん、コイツの打鉄以外にも使えるのか?」
「はい、今回使用が許可されている機体は彼の使っている”打鉄”と隣のハンガーに”ラファール・リヴァイヴ”がありますよ。」
と言う彼女の視線の先を見ると一夏の使った打鉄の隣にあの自滅した女性教員が身に纏っていたのと同型機、群青の塗装されたラファール・リヴァイヴがあり、左脚部に打鉄の肩装甲と同じ白で”訓練機”と書かれている機体があった。俺はそれに近づき
「それなら一夏がそいつに乗ったんだったら、俺はそのリヴァイヴで行かせて貰おうか。」
コロ付きの階段で一夏が降りている最中に案内人のレクチャーを聞きながら脚を通して機体に身を預ける様にしてリヴァイヴを装着する。
上半身と肩と腰に体を固定する様にジャケットの様な鎧にリアアーマーが身を覆い、ヘアバンドの様な同色のヘッドギアが俺の頭に装着され、起動したのか視界の周りにシールドエネルギー残量、簡易化された機体状況、レーダーなどモニターなどに表記されそうな物が展開されている。マジで近未来だな、コレ、こう言うのを空中モニターって言うのか?まぁそんな事はどうでもいいな。完全に機動したのを確認して俺はためしに脚を上げると一夏の言うように少し重いが思った通りに動く、手なども確認がてらに動かしてみるとこっちも同じだ。俺が確認していると案内の女性が
「確認は終わりましたか?時間も迫っていますし、そろそろお願いします。」
「ん?ああ、分かりました。」
「頑張れよ。秋十兄ぃ」
「まぁぼちぼち頑張るさ」
そう言いって重い金属音を響かせながらカタパルトまで移動して中腰になり、構える
「どんな相手かは運しだいってね。それじゃ、行こうか。」
嵌った様な金属音がしてから体が引っ張られる様に前に加速していき、そこから撃ち出される様に俺はアリーナに飛び出した。
俺はそのままブレーキを掛けながら降下してアリーナの地面に両足を付けて脚でしっかりとその場に立つ、相手が来る前に装備を確認しようと視線を動かそうとした瞬間、向こうからのカタパルトからも出てきたが、灰色の装甲に光が反射して見えなかったが、直ぐに目の前に降り立ってその姿を現す。俺はその者に視線が釘付けとなり、俺の顔が青ざめる。
「な、な!?・・・・・・・・・・おいおい、一夏はベリーイージーで俺はルナティックかよ。―――最悪だ。」
「ほう。私の顔を見た途端その言い様とは、とんだ御挨拶だな。―――秋十」
「当たり前だろ。初心者相手に世界最強を当てるなんて絶対おかしいだろ?手加減してくれんの?―――― 千冬の姉貴」
俺の目の前に肩装甲に教員用と白文字で書かれた打鉄を身に纏って片手に飾りっけの無い鞘に収まった刀型の近接ブレードを持った女性、千冬の姉貴が目の前に立っているのだ。そんな俺に姉貴は
「貴様、姉とは言え、女に手加減しろとはそれでも男か?」
「男かどうかの問題なんて既にどうでもよくなるくらい実力差あるんだけど?あのな、明らかに差別が酷いだろ。一夏は簡単に帰したのに俺は戦いになるって言うか、ただの一方的に弄られる状況になりそうなのに愚痴くらい吐いたって罰は当たらんと思うのだが?」
「・・・・・そのつもりはなかったのだがな、本当なら彼女は実力の申し分無いのだが、なにぶんどうにも抜けているのでなこう言った事も起こる。そして手加減するかしないかは私が決める事だ。始めるぞ、時間が切迫している。」
と言いながら姉貴は近接ブレードを鞘から抜き放ち、此方に切っ先を向けてくる。
「―――それといい加減に覚悟を決めろ」
「はぁ・・・・・・・・・。」
流石にいきなり初戦で世界最強、取り乱さない方が可笑しい気がするんだが?と思うが焦っていてもしょうがないので落ち着く為、溜息をついて少し深呼吸してから、頭の中の状況を整理して相手を視界に入れる。俺は中腰に構えて短剣型の近接ブレード”ブレッド・スライサー”を手にしたのを見て少し眉をひそめた姉貴は
「・・・・・・・貴様が剣を使うのか?まぁ良い、行くぞ!!」
「―――!?」
気づいた時にはもう遅かった。目の前に近接ブレ―ドを上段に構えた姉貴が切り裂かんばかりに迫ってきてるではないか、回避が間に合わないと思った俺はブレッド・スライサーで近接ブレードをどうにか刀身を縦にして左に受け流し、直ぐに距離を取るため下がろうとする所に続けて流れる様に右から回り込んで左下から切り上げる様に振る、俺はそれに対応する為、相手を正面に捕えようと向く前に姉貴の近接ブレードが迫ってきていた。
右肩に直撃を貰うが傷は無い、それはISの機能である絶対防御により斬撃は身に届かないが衝撃に怯み、動きが固まる。
「――がっ!?」
「はぁ、昔にも言ったな、貴様には剣の才は無い」
彼女の言う通り秋十には剣の才能は無い、それは昔の時、一夏と共に剣道をやっていて分かった事なのだが、ある程度までなら出来ていたが途中から姉貴は言わんでも分かるだろうが、才能の有る弟の一夏や友達などに追い抜かれてしまい、それからは秋十が幾らやっても同じ結果だった。
唯一出来た事は相手の攻撃を見てかわすなり、受け流すなりして疲れた所に一本取るくらいの姑息な手でしか勝てなかった。だがそれも彼女には通用しない当たり前だ。
目で追えているんだが、此方で捕えられるほどの反応速度がある訳でもないから対応が出来ない。
そして先の一撃をきっかけに一方的な攻撃が始まる。此方がその攻撃に対応できない事を良い事にあらゆる角度から剣撃が叩きこまれ、その度にシールドエネルギーの残存量が減っていく、三分の一まで減った辺りから横一閃の太刀筋をなんとか止めたが、流石、世界最強、反応できなかったら終わっていた。
「ほう、止めたか。で、次はどうする?」
「どうにかするさ!!」
虚勢を張る秋十、止めたと言っても状況が変わったわけではない、このままでは再びフルボッコだ。
俺はあえて前に出て思いっきりブレッド・スライサーを横に一閃、受け止められるの気にせずに連続で叩きこんで行くが、軽い斬撃の為、あまり効果が無いようだ。
さらに剣の使い方として乱暴で雑である。
「自棄になったか?そんな使い方をしていると・・・・。――――折れるぞ」
俺がブレッド・スライサーを振るのに合わせて姉貴の上段からの斬撃と共に金属の折れる音が響く、上に舞い上がって回転しながら落ちてくる刃を回し蹴りで器用に姉貴に蹴り飛ばし、さらに俺は折れたブレッド・スライサーを投適して後方に下がって距離を取ろうとする。
姉貴は小賢しいと言わんばかりに飛んできた折れたブレッド・スライサーの刀身と柄の難なく近接ブレードで弾いて捌く、だが律儀に捌てくれたおかげで距離は取る事が出来た。次は武装だ。
そう思いながら武装の事を考えていると視界の右端に縦に種類の違う二丁の銃が空中モニターに表示され、
《ヴェント:五五口径アサルトライフル》
《ガルム:六一口径アサルトカノン》
ライフルにサブマシンガン、それもIS用なのでかなり大きい物だ。それを展開して左に銃身の長い灰色のアサルトライフル、右に短い銃身の深緑のサブマシンガンを持つ。
「コレしかないのか?―――っち、背に腹は代えられんか!」
悪態をつきながらサブマシンガンの様な形状のガルムの銃口を向け、連続した発砲音を唸らせて、配合された火薬を推進力に無数のIS用の銃弾を吐き出して姉貴の足元に打ち込んでいく、地面を食い破る様に銃弾が地面に穴をあけ、土煙を巻き上げる。
俺はまるで地面を滑る様にジグザグに下がりながら、姉貴に向かって撃つと言うよりそれより下の方、地面を撃っているようにも見える。
当たりに土煙が立ちこめてある意味、目暗ましに使う。ある程度距離が取れたのを確認し、あたりを警戒する。
そんな戦闘状況を見ている教員が居る方の管制室、急遽、二人のデータ取りに来た何時ものスーツ姿の束は管制室のモニターを食い入る様に見ながら、あんな事になって一夏のデータはこの際、諦めているが秋十のステータスや技能などを見てデータに纏めている。そんな彼女はブツブツと呟きながら
「――剣の扱いは相変わらず、あの力任せな使い方はなら頑丈なハンマーとかの鈍器の方がいいな。射撃武装は欠かせ無いし、でもすこし派手さが欲しいかな?まぁでも頑張ってるよホント、三分の一しか残って無いのに諦めてないし、初心者なのにちーちゃん相手によくやってるよ。あっくんは・・・。―――というかアレで行く前に言ってたけど手加減しているとか本当なのかな?いつもと一緒な様な気がする。」
一人で呟いている中、後ろの自動ドアが開いて声が
「あた~、まだ痛いです。―――博士、状況はどうですか?」
「んん?あ、マーヤン。博士は良いから何時も通りで、それより大丈夫なの?休んでなくて、思いっきり突っ込んでたけど・・・・?」
「あ、それは、大丈夫です。―――その事は言わないでください・・・。」
そんな恥ずかしそうに少し顔が赤く、涙目な今さっき一夏の試験でアリーナの壁に突っ込んでいた。緑髪、童顔、巨乳さらにメガネドジっ娘と言った。キャラだけでも相当立っている彼女は束、曰く、マーヤンこと”山田 真耶”だ。千冬と同じIS学園で教員として在籍しており、かなりの腕前なのだが、音なく消極的な性格でこうしてたまにやらかしてしまう事があるのであまり凄いという印象が薄れてしまう。そんな彼女はモニターを見ながら
「――――凄いですね。初めてなのに織斑先生に此処までもっているなんて・・・。流石、あの先生の弟さん」
「本人曰く、アレでも手加減しているらしいけど本気で攻めていないだけだから、本気で攻められたら初めてのあっくんならどう贔屓目でみてもアレほどは持たないよ。あ、動いたね。」
土煙の煙幕から出てきた千冬は地面を滑る様に秋十に迫る。それをガルムで迎撃しようと撃ちまくる。千冬は吐き出される大量の銃弾を掻い潜りながらジグザグに前へ前へと駆けていく、その途中でガルムのマガジンの残弾が尽きたのか、弾が出なくなる。それを確認して一気に間合いを詰めにかかる千冬、秋十はすぐにガルムをアリーナに放り投げてヴェントを構える。その頃には完全に千冬の射程圏内に捕えていた。そこから最速の一閃が秋十に迫る。シールドエネルギーの残量から考えてこの一撃が入り、千冬が攻勢に出ればもう勝負は決まる。そしてあの距離ではもう無理だと思った真耶はありえない物を見る。
「―――えっ!?」
接近を許してしまったと言うのに今まで道理、冷静な顔つきで少し後方に飛びながら構えているライフル”ヴェント”が火を噴く、IS用の威力のあるIS用ライフル弾が同じく混合火薬より唸る発砲音とマズルフラッシュと共に瞬く間に発射され、千冬の振る近接ブレードを弾いた。
「―――うそ!!?」
「―――わぁお♪」
驚くのも無理も無い、初心者と聞かされていた彼がいきなりライフルを使って世界最強の刀を弾いたのだ。最初の方はまぐれだと思い、弾かれた近接ブレードを次は上段から振り下ろそうとするが発砲音と共に再び、甲高い音を上げながら近接ブレードを弾かれた千冬は感心した様な目で視線の先の銃口から硝煙を立ち上らせているヴェントを構えた秋十を見る。
千冬は弾が当たって刀身が揺れており、モニターの二人も確実に刀身を狙って弾いている事は分かる。だが、そんな事で怯むことは無く再度、千冬は剣を走らせる。
そして彼は迫っていく刃を撃ちこんで弾いていく、それはまるで見えない壁に弾かれる様に切っ先が力を失い浮いたが、直ぐに別方向から切っ先を走らせていくがまた弾かれる。いまさっきからその繰り返しだ。
それを見ていた真耶は
「それにしても先輩の上の弟さんは銃を使うんですね。ですが一体どこであのような芸当を・・・・。」
「趣味の射撃競技で低年者推薦取ってエアライフルまでやってたから”アレ(射撃)”に関しては才能があるのは確かだよ。」
「アレを見せられれば信じられますけど、ホント凄いの一言に尽きますね。」
「うん、まぁね。マーヤンそろそろ決着付きそうだし、見ようよ。」
「あ、はい。」
モニターに映し出されている攻防、千冬と秋十の均衡が崩れ始めている。近接ブレードを一回一回弾く際に使う弾丸も使うほどに少なくなってもう長くは続かない、だが千冬は自分の獲物”近接ブレード”に違和感を感じ始めている。見た感じ秋十も何かを狙って撃っているのは確かだ。それを確かめるべくもう一度、剣を走らせ、剣撃が秋十に迫ろうとしているがまたもや弾かれる。
そしてまた刀身が振動しているのを見て確信した。弾丸の行先はの刀身の芯だ。弾丸が刃では無く面の部分に直撃して何度も衝撃を与えられて歪み、段々と近接ブレードにダメージが蓄積され、この様子だと後数発で折れてしまうだろう。だが向こうもあまり弾丸にも余裕が無いはず、それに折られる前に斬ればいいだけの事だ。それにしても秋十の適応能力には驚かされる、あの短い間の攻防でかなり上手く動かせるようになり、此処までもっている。千冬にもまだ奥の手があるが使わないのに越した事は無い、さぁ終わらせようと言うように近接ブレードを構え直し、前に出ながら左斜め下から切り上げる様に剣を走らせる。秋十は冷静にヴェント構えてブレードに発砲する。甲高い音を響かせ、再度弾かれる。その時ブレードに皹が入るが気にせず、左から右に一閃しようした所も発砲音と共に弾かれ、皹が広がっていく、次食らったら持たない。だが、――――。
「――――はぁ!!」
「―――――!?!?」
彼女は斬り込んできた。だが、彼の対応は決まっており、発砲した。直撃した際、金属音の破砕音と共に周囲に金属片が飛び散る。
彼はすぐに千冬を射線に捕えようとするが、彼女は折れた近接ブレードを捨て、下がるどころか前に突っ込んできた。
「初めてなのに良くやるな。だが―――。」
「――――なっ!!?」
一気にヴェントの対応できない射程の内に飛び込み、片手に”二本目”の近接ブレードを青白い粒子共に形が成され、成す術が無く、三つの斬撃が秋十を襲い、食らった。
「コレで終わりだ。正直、”二本目”を使わなければならんとは思わなかったがな。」
その言葉の後に試合終了のブザーが鳴った。
その後は千冬は皮肉めいた賛辞の言葉を送った後、ピットの方に行ってしまい言葉も返す気力も無く、俺もどっと疲れた体を引きづりながらピットの方に引っ込んだ時、一夏に凄いなどと色々言われたが正直、疲れているので生返事で返しながら時間を見るとほんの数十分しか立っていなかった。
その後はこの実技試験で全試験項目の終了なのでISスーツを返して俺達は家路に向かった。
後日、入学日の通知と学園での制服が二着が送られてくる。その後、数日して俺達の波乱を呼びそうな学園生活が始まる。
ではまた次回