IS ~剣の才の無い兄~   作:ソースケ_研究中

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お久しぶりです。
活動報告でちょっとアレな感じで言ってたかもしれませんが忘れてください。
境ホラの方を書こうとしてまたいき詰まっただけです。

さらにjスターズなる物を始めてヒャッハーしていたので少し遅れています。
多分オンラインでスクーターで爆走しながら襲いかかって来る銀ちゃんがいたら多分俺です。へたくそですが一緒に遊んでくれると嬉しいです。

ではよろしく


過去の黒兎と未来のお姫様

今日は姉貴と束の姉貴は会議で不在で今日はこの場には居ない。山田先生の立つ、教卓の隣に居る転校生の小柄の軍服眼帯銀髪少女”ラウラ・ボーデヴィッヒ”というお嬢さんが此方を睨んできている様にも、いや、俺と一夏を睨んでいる様な気がする。

そして彼女は教卓から近い俺の前に来ると俺の突然、俺の頬を横薙ぎに引っ叩こうとする手を呆気に取られながら彼女の手首辺りを掴んで止め、緊迫した空気に周りが息を呑んでいる中、止められた事を余り気にしてない様な感じの彼女に

 

 

 

 

 

「初対面でいきなりビンタとは好戦的で気の強いお嬢さんだ。俺が何かしたかね?」

 

 

 

 

 

「ふん、私は貴様等、兄弟が気に入らない。理由はそれだけで十分だ。―――――――――――それに良く安穏と生きていけるな。私からしたら気が知れない。師の無念を晴らそうともしない無能者が・・・!」

 

 

 

 

「・・・・っ!?」

 

 

 

そう言った瞬間、俺は目を見開き、体が強張ったと同時に彼女の手を掴んだ手が緩み、彼女は触るなと言わんばかりに引き抜く、周りは彼女の行動に驚愕している上に彼女の言っている事が分からず固まっている。だが、二人だけその言葉の意味を知っていた。一人は気まずそうに歯を噛みしめ、眉間に皺を寄せている箒ちゃん。もう一人は怒り任せに立ち上がる一夏だ。彼は彼女の前にづかづかと歩いて行く

 

 

 

 

 

「――――――――お前ぇっ!!」

 

 

 

 

 

彼が怒り任せに怒鳴り付けようとする前に右腕を上げて、彼を制す。

そして制した俺に一夏の視線が

 

 

 

 

「――――――秋十兄ぃ・・・・!」

 

 

 

 

 

「止めろ・・・・・。」

 

 

 

 

 

「だけど――――――――!」

 

 

 

 

「此処まで言われて、それでも手を出さないか・・・。まあいい。織斑一夏、織斑秋十、私は認めない。貴様等があの人の弟であるなど・・・認めるものか!!」

 

 

 

さらに俺達に向けられる彼女の言葉に怒りを隠せない一夏。だが、俺は彼が感情任せに手を出す事を止めているが、今でも彼女に突き付けられる言葉に頭が可笑しくなりそうだ。場の空気に付いて行けず、意味が分から為にオタオタしている山田先生に手を差し伸べる様な声と共に教室の戸が開けられて

 

 

 

 

「―――――――少々遅れてすまない。うん?」

 

 

 

 

 

「何、この空気、朝からかなり荒れてるみたいだけど、まさかの学級崩壊?ちょっと早過ぎない?」

 

 

 

 

 

「――――――お、織斑先生!!篠ノ之先生!!」

 

 

 

 

山田先生が救いの手が来た事で表情から感謝と言う言葉が滲み出ているかのように半泣き状態で泣きつき様な感じになっている。

そして教室に入って来た姉貴と束の姉貴は何でこのような場の空気になっているのか、立っている三人を見て大体の事を把握すると姉貴はため息を付いて

 

 

 

 

「―――――――はぁ、そこの三人いつまでつっ立っている!!早く席に付け!!授業を始めるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

「早く席に付いたほうが良いと思うよ。ちーちゃんの事だから過ぎた分だけ次の休み時間が減っちゃうからね♪」

 

 

 

 

 

「うるさい。さっさと始めろ。」

 

 

 

 

 

「はいは~い。ほかほらみんな~。授業をはっじっめるよ~♪」

 

 

 

 

彼女の陽気な声と共に各自、立っていた三人。二人は矛を収めて自分の席に座り、俺もその場の席に座る。

そしてラウラ・ボーデヴィッヒの言った事で、俺にとっての嫌な過去を思い出させる。ライフルの師”クロエ・フェリーべ”の事だ。

彼との最初の対面はすたれた公園だった。初対面の時ははっきり言って胡散臭かったので断った。それから何度か断っていたのだが、バイト先まで来てやらないかと良いに来る彼の根気に負けて、バイトは今まで通りにやらせて貰うということを条件に渋々承諾したのだ。早くに亡くした親の同僚というのもあったんだが、一番の理由は俺の・・・。

―――――――――剣の才能が無かった俺の可能性を確かめたかったのだ。勝手に決めてしまったが、一応姉貴や一夏に話をして彼の指導を受ける事を話すと一夏は不安そうな顔をしていた。そりゃ勝手に決めた上に誰だか知らない奴に教えて貰うと言うのは普通考えれば、馬鹿でも分かる事だろうが、姉貴はそんな俺に頑張って見ろと姉貴は言った。

後で聞いてみると、覚えていないが俺達が小さい時に姉貴は一度だけ、両親が健在の時に共に合っているらしい。

俺が諦めと逃げの末に来た転機。あの男の言葉に乗ってみようと思った俺の判断が正しかったのか、それはこれから分かる。

 

そして俺を誘った彼の指導は休日の山奥で行われた。二十キロのバックパックを背負って山を上り下りを繰り返すと言うの物だった。最初の頃は訳が分からず、やらされている事に文句を言っていたが、彼は何も言わずにやれとだけ言って来る。とりあえず慣れない山道に足を取られ、さらに荷物の重量に体力を奪われて満身創痍で家路に付く、コースを教えて貰った後は自分だけで行けと言われ、雨の日も風の日も全ての休日に使わる。学校やバイトの時は二キロの重りを付け、彼は日常を送っていた。

そして何時になったらライフルを教えてくれるんだ。何時までこんな事を続けるんだと思っていた俺は三カ月した頃に今日の登山を終え、クロエが町の方で女性をナンパしている所を目撃して鬱憤を爆発させて、怒鳴りつけると彼は

 

 

 

 

 

 

――――――――――秋十。今日疲れたか?

 

 

 

 

 

 

と聞かれて、改めて体の疲労感が有るかと問われると最初の頃と違ってそこまで疲れる事は無くなった。だが、それは体力づくりと何ら変わらない。呆気に取られた俺は横に首を振ると彼は”そうか、案外速かったな”と納得すると次の休日には念願のライフルを使うっての指導をすると言うので、その時の彼の意図が変わらなかったが念願の日が来た。俺に渡されたのは深緑のフレームに覆われたライフル。彼が言うには”L96A1”と呼ばれるのだそうだ。

 

そのライフルは少し改造されており、銃身の先に箱型のマズルブレーキ、銃身下部にバイポッド、機関部の上部にスコープが付いてるの物だった。俺は一瞬どうせエアガンとか思っていたが、予備に渡されたマガジンを覗くと明らかに本物の銃弾が入っているのが見えて俺は驚く、彼を問い詰めたが教えてくれなかった。姉貴に弟が真剣を持たされたの見た事あるが、実際俺も持ったし、それよりの少し軽い本物の銃を渡されて、俺が競技用のライフルを使うのではないのかと聞いたら、まずはコイツで慣れろと言われた。ようやく出来ると思ったらいきなり実銃。

 

競技用の銃を使わないのかと言ったら、そんな玩具で練習になるかと言われ、渋々俺は、教えられたように耳当てを付けて心を落ち着かせ、ライフルを構え、脇を閉め、銃身の下部をしっかりと握り、グリップを持ち、引き金に軽く指をかける。

まるで最初から知っていたかのように俺の手になじみ、妙な一体感を感じながらスコープを覗きこむ。スコープサイトに映った的を睨んで、俺は衝撃に備え、少し引き金を引く事に戸惑ったが、額に脂汗を浮かべながら引き金を引いた。引いたと同時に少し強い衝撃が肩当てを当てている肩を襲う。少し銃身ががってしまったが思ったより衝撃が軽かった。我が師の教え通り鍛錬を欠かさなかったお陰で耐えうるだけの筋力が出来たと考えるのが妥当だろう。閃光と硝煙と共に撃ち出された銃弾は置かれた空き缶の側面を食い破り、高い音を立てて空き缶を弾き飛ばす。衝撃に少し呆気に取られていたが暫くしてレバーを引いて排莢する。

あの時持たされた真剣より軽いが、撃つ前より重みを感じる。人に向けて撃って何処かに当たれば十中八九、人が死ぬ。そんな事を思っていると彼が

 

 

 

 

―――――――――――重いだろ?今のお前が持てば実際は軽いだろうが、実際の重さより重い。引き金を引けば簡単に人が死ぬ。エアライフルだって当たり所が悪ければ致命的な怪我することだってある。しっかり覚えとけよ。・・・・・・・にしても初めてにしては上手いな。

 

 

 

 

 

いや、その前にガキにライフルを触らせるってそこんとこはどうなんです?と聞くと、時間が勿体無いねぇからさっさと撃てと言うのでそのまま続行。それからは休日には山に登っては時間が許す限り撃ち続け、合間についでにと言って護身術などを教えて貰うなどを繰り返す。家では渡された競技説明の書いたルールブックを読み、勉強する毎日を送り、腕を試す為ビームライフルの競技を始めとする幾つもの大会に出て、段級審査の高評価をお貰う事ができ、中二の十四になる頃には推薦を貰い。エアライフルを所持を許される程だった。だが、師匠はそれが当然と言わんばかりに驚く事無く気さくな笑みを見せるだけだった。その理由は危ない仕事をしていたらしい俺達の両親。母親の方がライフルに関して天賦の才があったらしい。父が剣術家だった事は知っていたが、母方がライフルを持って何をしていたかは教えてくれなかった。

 

それから姉貴が世界大会《モンド・グロッソ》の二連覇の為に決勝戦の時に、試合を見に行こうとした移動中の所を襲われ、気絶する前に俺の耳にした声

 

 

 

 

――――――――――――――お前を裏切ってしまう俺を恨んでくれていい。コイツも仕事なんだ。

 

 

 

 

視界が薄れ、最後の力で顔をあげて見たのは、俺が信頼を寄せていた師匠”クロエ・フェリーべだった。

そして俺達は何処とも知れぬ場所に誘拐され、別々に監視されていたが。その中で両腕に手錠をかけられ、立ったまま腹を縄で縛って鉄骨に括りつけ付けられている俺は静けさの中で好機を窺っていた。此処に連れて来られる前に見た彼の姿。”どうして”と少しは動揺してもいいのだが、俺の頭は恐ろしいほど冷静で、どうやって此処から脱出し、弟を助けるかで頭がいっぱいだった。

そんな俺に好機が回ってきた。

 

何処の誰かが、外で騒ぎを起こしていたので監視していた男が、連絡を受けて監禁場所を移動しようと近づき、少々焦っているような手つきで俺の縄を解き、縄を持って行こうとするのに立ち止まったままの俺に苛立ちから銃を持って此方を向いた瞬間に意表を突いた。

まず腹に体当たりをして姿勢を崩し、痛みで下がった頭に思いっきりひざ蹴りを入れてやった。これまで無茶苦茶な鍛練で鍛えられた俺の身体から繰り出される一撃は、普通の中学生からしたら出せないような鼻の骨を折り、大人を倒す程の強烈な一撃だった。

 

それから倒れた男から銃を奪い。俺は抜け出す事に成功。知っているのは護身術程度だったが、何処を叩き、何処を押さえれば気絶したり動けなくなる事を教わっていたので持ち前の体力と冷静さで何とか切り抜けた。混乱に紛れて一夏を見つけだした。怖いぐらいに順調に行ったが、それも此処までのようだ。

一夏の前に立っていたのは、気絶する前に夢だと思いたかった師匠の姿があり、俺が自分の考えから一番問いたい言葉を言う前に彼の行動で呑み込んでしまう。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――うん?手練を頼んどいたのだが、あのバカ。ケチりやがったな。はぁ、その感じだと敵と味方の区別は直感的に理解しているようだな。まったく心と思考を切り離す所まで彼女にそっくりとは、知ってはいても泣けてくるね。

 

 

 

 

 

 

そう言って俺に銃を向けて来る。彼にとって身内より仕事の方が大事なのか、と思う前に体が動いていた。思い出してみるとあの時裏切られたと思った時から自分はおかしかった。

捕まってどうにかされてしまう状況だった言うのに冷静であった。普通なら止めてくれとでも泣き叫ぶのだろうが、彼が言うように俺は肉親を最優先とし、女誑しでどうしようもない奴だが、それでも兄と慕う程に思っていた師に牙を向ける。俺が取った行動は相手に先手を取らせ無い為に、全てを胸の内に押し込めて全力で駆ける。

何故こんな事をしたかと問いたい思いを強く胸に抱いてもそれを発する事無く自分と弟を活かす為に、我が師に向かって、いや、敵に向かって駆けたのだ。師も何時着ていたロングコートを近くに放り投げて抑撃体勢に入る。

分かり切っている事なのだが、鍛錬や訓練の時に思った師の動きは明らかに一般人とはかけ離れた物であり、まるで軍人の様だ。

 

考えれば簡単な事、銃の時の良い、親の仕事を話す事が出来ない事と良い。そう言う素振りを見せていた。

 

 

そして理解はしていた自分に叩き込まれていたのは戦う為の術である事を・・・。

 

 

叩きこまれる拳と蹴り、奪った拳銃からは放たれる鉛玉。

 

 

淡々と機械的に対応して行く師匠。俺は胸に溜まった感情を吐き出す様に咆哮を上げる。

 

 

そんな彼は今まで教えた成果を、弟子の成長を喜ぶように

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――はははっ、短い期間で此処まで出来るとはな。飲み込みが早い!

 

 

 

 

 

 

銃と銃が交錯する。

 

 

拳と拳が交錯する。

 

 

意思と意思が交錯する。

 

 

手が痛い。

 

 

体が痛い。

 

 

心が痛い。

 

 

心は聞きたいという思いでいっぱいだ。

 

 

止めたい。

 

 

こんな事は止めてくれ。けどそう言う物だと頭が理解してしまっている。

 

 

何もかにも諦めている。此処でやらないと俺達がやられると、そう理解してしまっている。彼を完全な敵だと言ってる。

 

 

俺にとって全てである家族に害を成す敵だと・・・。

 

 

そんな俺を見ていられなくって一夏は眉間に皺が寄り、布を口で塞がれて何か叫んでいるが声にならない。俺はボロボロになって血だらけになりながら殴り飛ばされると鉄骨に背から叩きつけられる。俺は痛みを堪えながら視線を上げると銃口が此方を向いており、一夏もそれを見てさらに焦る。

そして撃つかと思われた銃を溜息をつき、降ろしながら、俺を見る目は此方に向けられているがそれは俺を見ておらず、表情に強い悲しみが感じられる。

 

 

彼は何を思い。

 

 

何を思って俺達を誘拐したのかそれは分からない。

 

 

自分の為だったのか、それすら読み取れない。

 

 

そしてようやく俺の口から何故こんな事をしたのかという事が出来た。そんな彼は悲しそうな笑みを見せながら疲れた様な声で

 

 

 

 

 

 

―――――――――本当に誤算だった。幾ら才能があるからってお前がこんなに強くなるなんて思わなかった。だが、アイツ等の子供達の足を引っ張って良い理由にはならないよな。本当にすま―――――。

 

 

 

 

 

 

 

そう言った瞬間の出来事だった。彼を中心に天井を突き破って飛来し、周りに爆弾が爆発した様な突風と黒煙、硝煙が混ざった物が俺達に襲い。気付くと辺りに服に不自然に付けられた血が満遍なく服を赤黒く染めていた。まるで横からかけられたように・・・。そして天井を広げる様に突き破って来る。赤紫に染められたリヴァイブを纏った成人女性が師匠が居た場所に降り立つ、そいつの背中には昆虫の足の様で、試験兵器の様な武骨さのある一本一本に三つの鉤爪を備えた八本のマニュピレーターが出ている。バイクのヘルメットの様なバイザーで隠されて顔が分からないが、余りの事に目が見開かれている一夏。沈黙したままの俺達に女は

 

 

 

 

 

―――――――――はっ、いい歳こいてまともにガキの見張りもできねぇのかよ。つっかえねぇな。やっぱ男って奴は、あ?

 

 

 

 

 

それと同時にトタンの壁を突き破るようにもう一機ISが赤紫のリヴァイブに突っ込んで、辺りに置かれているドラム缶や木材を巻き込みながら反対側の壁を突き破る。俺はすぐに放心状態の一夏の方に向かい、口をふさいでいる布と縄を解くと暫くして思い出したように胃にある物を吐き出した。あんな物を見せられればそうなってもしょうがない。

俺は彼が目の前で死んだのを見て、いまだに声も上げずに一夏の元へ行って安全を確認している。彼の死を目の前で見ているのに自分が何故こうも冷静なのか、分からない。

だが、今の俺の中で何かが体を突き動かすかのように、近くに落ちていた師のロングコートを羽織り、彼が置いていたであろう俺が練習に使っていた改造されたL96A1を持って、止める一夏の言葉を聞かずに外へ出る。

外は同じ様な倉庫がいっぱい建ち並んでいる何処かの港だった。周りには俺達を誘拐した黒服の男達がそこらへんで倒れている。そして比較的に近くで戦っていた二機に目を向けるとリヴイブと戦っているのは打鉄を纏っている束の姉貴だった。さらに戦況は劣勢。開発者である彼女はあくまで開発者なのだ。操縦者では無い。その為に赤紫のリヴァイブの操縦者に技量で負けている。

暫くして戦いを追いながら走っていると近くの倉庫に墜落したのを見て、走る速度を上げながら俺はその倉庫に入り、肩の物理装甲が破壊されているズタボロの打鉄を纏った束の姉貴が叩きつけられて鈍った体で起きようとしている。俺は彼女に走り寄ると額に脂汗を流しながら何時もの笑みで大丈夫?と聞いて来る。

そして何故、彼女が此処に居るかというと、誘拐の事を先に知った彼女は周りに無理を押し通して姉貴のかわりに俺達を助けに来てくれた様なのだが、あの見たこと無い武装を付けた。リヴァイブが現れて攻撃を受けたと言っていた。

それを聞いた俺はバリアの範囲を確認して有る提案をする。彼女を何度も傷めつけた光線の出る昆虫みたいな足をライフルで潰しますので俺を抱えて飛んでくれと頼んだ。その事に危険だからやめた方が良いと、その前に無駄だと言おうとしたが、その前に彼女は口を閉じてしまった。言えなかったのだ。懇願する様な目に折れた彼女は俺を支えるように抱えて飛ぶ。

そしてそれを見たリヴァイブの操縦者は笑いを堪える様な素振りを見せながら、八本の足から光線を撃とうと鉤爪を開いて収束させて―――――――。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――そんなん抱えて戦おうっての?頭打って馬鹿にでもなっちまったのかぁ!!

 

 

 

 

 

 

放とうとするが、完全な収束前に八本の足の発射口に嵌めこまれた硝子板の様な物に穴が開き、八本の脚が次々と爆発し、その現象に呆気に取られるリヴァイブの操縦者。彼女の目の前にはISの開発者”篠ノ之 束”に支える様に抱えられたターゲットの一人”織斑 秋十”が持つライフルから硝煙が立ち昇っていた。

気を取り直してすぐに両手に展開したIS用大型サブマシンガンを構えたと同時に銃口に弾丸が潜り込む。金属が砕けた様な音に気付いてサブマシンガンを投げ捨てると彼女の左右に爆発が起こる。彼が彼女から教えて貰ったのはシールドの防御は銃器、付属武器が全て範囲外であれば弱い部分を突いて破壊可能だと言う事。だが、直接的に操縦者に攻撃をくわえる事は出来ないのだ。さらに今の早撃ち、排莢の動作を含めて一気に八か所を此方がISを纏っているに関わらず、反応する前に正確に射抜いた。彼の常人離れした芸当に肝が冷える。

そして暫くしてリヴァイブを纏った操縦者は目の前の男から射抜かれる様な目線を感じながら身を振るわせ、歓喜するようにアサルトナイフの形状をした高周波ナイフを展開してコッチに突っ込んで来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――最高だ。最高じゃねぇか。最近の男は操縦者が居なくなって腑抜けばかりと聞いていたが、お前は最高に良い!なぁ、もっと見せてくれよ!―――――っ!?

 

 

 

 

 

 

 

それと同時に、ISを纏った千冬の姉貴が横合いから切り込んで来るのに気付き、近接ブレードを避けようと遅れて動き出すが背中のユニットが切り裂かれて、誘爆しそうなパーツをパージし、今の状態では彼女とやるのは得策でないと判断した彼女は口惜しそうな感じでその場を逃げる様に飛んで行ってしまった。その後は警察や軍で後始末。姉貴は戦闘中だった束の姉貴と連絡が取れなく、ドイツの方で俺達を捜索して貰ったお陰で此処だと分かったらしい。思い出して見ればその時にドイツに借り作って一年ちょっと教官しろって話になったんだよな。

そして俺はコート、ライフルは分解して束の姉貴に無理言ってこっそり俺の方に譲って貰った。遺体は無く墓もたててやれない。

何もかも終わった後に自分の部屋に戻った時に自然と涙が出た。

普通なら憎しみを持って敵討ちにでも行くのだろうが、俺は涙を流すだけで何もできなかった。いや、これで正しいと思ってしまった。最後の師の目は俺にコッチ側へ来るなと言っている様に見えたからだ。それで俺は納得してしまい。

心の内に思いを閉まってしまったのだ。悲しみも、憎しみも、全部・・・・。

我ながらこんな器用真似が出来るなんて思いもしなかった。それからは家では暫く腫れもの扱いされ、意識はしていないが振舞いが彼に少し似ている所為か余計にだ。それはいろいろあって今の感じに落ち着いている。

そして何事も無かったかのように俺は日常へ戻って行ったのだ。この話は事件の時に近くまで来ていた箒ちゃんも知っている。はぁ、だが何で彼女が知っていたのか気になる所なんだが、服装から佇まいからしてもどっからどう見ても完全に軍人。ドイツのIS部隊って事は姉貴が今回の事に関係していると考えるのが妥当か・・・。

 

 

 

 

 

「―――――――――――秋十、秋十!」

 

 

 

 

 

「―――――――――あ、なんだ?」

 

 

 

 

俺は呼ばれた声に、沈めていた意識を起し始める俺にISスーツを着て、背中に装甲板の様なスラスターでなく、四機の機械的な翼状のスラスターを背に付け、左側に縦長い菱形のデカイ物理シールドを装備し、少々改造を施されたオレンジ色のリヴァイブを纏った王子が不機嫌そうな顔で呼びかけて来る。

そうしてようやく俺が返事した事で、意識を巡らせていると周りの奴ら、箒ちゃん、簪ちゃん、鈴ちゃん、セシリアちゃんに王子の向かいに立っている一夏君達が少し心配そうに見ていた。そう言えば何時もなら分かれてやっている俺達なのだが、今日は合同で同じアリーナで練習していたんだったな。再び王子が

 

 

 

 

 

「なんだじゃないよ。聞いていたの?秋十。」

 

 

 

 

 

「わ、悪い、聞いていなかった。で、なんなんだ?」

 

 

 

 

 

「一夏が射撃に対して特性を理解していないようだけど、お兄さんである君が指導していないのって聞いたんだけど?」

 

 

 

 

「ああ、そういう。――――――――俺自身は特には、練習についてはセシリアちゃん辺りがそう言うの分かると思ったんで大丈夫だろうと思っていたんだが・・・。」

 

 

 

 

詳しい説明を聞くと、王子と一夏君が一度やって見た所、一夏が射撃の特性を分かっていないから、必要以上に貰ってしまうと言う事だろう。

この感じだと一夏君はセシリアちゃんにそう言う指導は受けていないと判断するのが正しいか?視線を向けると乾いた笑い声を上がる一夏君。と言っても前に彼女との練習を見させて貰ったらセシリアちゃんは延々と動作の説明を続け、鈴ちゃんも感覚とかインスピレーションとかで分かれという始末。セシリアちゃんはまだしも鈴ちゃんは感覚で物を言っている箒ちゃんとあんまり変わらない。一夏にとっては理屈をごねられても想像できないだろうから今に至ると言うわけか、このまま話が進みそうでないなとそう思った俺は

 

 

 

 

「実際、山田先生の時のを思い出してくれと言っても参考にならないだろうな、なら少しやって見ようか。実際俺が近接武器を持って王子の射撃を掻い潜って懐に飛び込んでみるから、王子の専用機はリヴァイヴなのか?」

 

 

 

 

 

「 ”ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ”だよ。うんわかった。ならそれで行こう。―――――――――― 一夏。」

 

 

 

 

 

「ああ、分かった。よろしく頼むぞ。シャルル。秋十兄ぃ。」

 

 

 

 

 

そういうと一夏君達は下がって俺と王子は向かい合う様に立ち、意識を集中させてオーヴェインを展開する。

そして背部のユニットを変形、展開させながら、O・ハンマーの柄が俺の頭上に来たのを見て片手で持ち、接続部分から解放された様な金属音を響かせて振り下ろす。

そして王子は深緑の軽機関銃”ガルム”を構えている。此方は戦い方を一度見られているが、向こうは見たこと無い。ったくちゃんと見とけばよかったと思いながら、周りに居る奴らの声が増えてきたのを聞きながら俺は

 

 

 

 

「コッチは何時でも良いぞ。王子。」

 

 

 

 

 

「じゃ、始めようか。秋十。」

 

 

 

 

 

そう言って先に動いたのは俺だ。今回の戦闘は条件付き、俺は近接武器オンリーで王子の射撃を掻い潜って攻めなきゃいけない。前に聞いたんだが彼はフランスの代表候補生と言うじゃないか、アレに選ばれているんだから実力はあるんだろうな。それを踏まえて考えても本来のオーヴェインの性能を考えると面倒極まりない。

俺は見極めるつもりでイグニッション・ブースト《瞬時加速》に一気に間合いを詰めて上段から戦鎚を振り下ろす。オーヴェインのパワーとO・ハンマーの重量を加算した一撃が、爆音と共に巨大な土煙を起す。それを見ていた五人は

 

 

 

 

「秋十兄・・・・。」

 

 

 

 

「何をやっているんだアイツは、一瞬でデュノアを潰す気か。」

 

 

 

 

「秋十。様子見にしては少しやり過ぎ。」

 

 

 

 

「秋十さん的により試合に近い雰囲気を出す為にやったと思われるのですが・・・。」

 

 

 

 

「ちょっとどうすんのよコレ・・・。」

 

 

 

 

と口々に言いだす皆の思いを裏切るように土煙の中から飛び出し、機体に纏いながら尾を引き、上空へと舞い上がるオレンジ色のリヴァイブを纏った王子が出て来る。さらに土煙の発生している所にガルムの銃口を向けて連続した閃光と破裂音を響かせて銃弾が土煙を食い破って地面に着弾すると同時に、土煙が立ち上っている中から重低音の様なエンジン音を響かせて、土煙を纏いながらキャタピラで巻き上げ、出てくるオーヴェインを纏った俺に照準を合わせながら王子は

 

 

 

 

 

 

「いきなり潰そうとするなんてひどいじゃないか。秋十。」

 

 

 

 

 

 

「コッチは一夏君の様に近接武器縛りで参考になる様な手本を見せなきゃならんのだぞ?それぐらいは大目に見てくれよ。」

 

 

 

 

 

 

「まぁ、初見に一撃必殺で潰すのも立派な戦法だけどね・・・・!」

 

 

 

 

 

軽口を叩き合いながら、王子は俺の行き先を先読みするようにガルムの銃口を向けて発砲する。それに対して無数に飛来してくる銃弾の着弾地点を目測で予測した俺は、右側のキャタピラを反回転させて、急ブレーキをかけながら残った左側のキャタピラで急旋回する事で着弾地点より手前で曲がる。そうしながら飛来してくる銃弾をジグザグに走行しながら回避して行く、コレには照準を定まらせない為にパターン化しない様に動き回るのがコツである。エンジン音と土煙を上げてアリーナを駆ける俺を追うように宙を舞う王子は撃ち続ける。

そして避けながら思ったのだが、王子の動きには余りにも隙無く、此方が飛んで突っ込んで来るのを待ち構えている様に見えると言っても良い。実際武装がO・ハンマーのみ、これで速射砲とは言わず、O・キャノンでも使えればもう少し楽なのだが、攻めないわけにもいかず、突撃する為のシールドエネルギーを各スラスター、ブースターの推進機に取り込み始め、王子が撃った銃弾を避けたと同時に銃口を僅かにずらして撃ってきた。流石にコレは避ける事が出来ないと思った俺はO・ハンマーを盾にして防ぎながら

 

 

 

 

 

「――――――――まぁ、何度もやっていればそうなるか・・・。」

 

 

 

 

 

「何時まで様子を見るつもり?これじゃ、一夏の参考にならないよ。」

 

 

 

 

 

「そんな事ぉっ、言われなくても分かっているさ!!」

 

 

 

 

 

そう言った直前に、一瞬膝を曲げると機体のパワーアシストを利用して思いっきり飛び上がり、イグニッション・ブースト《瞬時加速》でさらに加速を付け、此方の間合いに入ると横一線する様に戦鎚を振り回す。だが、それは読まれていたと言わんばかりに少し高度を下げる事で思いっきり空振り、下からガルムの銃口を向けて来る王子に対応するように、腰から伸びるテールスタビライザーを下に垂らす様に伸ばして、発砲する瞬間に噴射口からまだ残っているエネルギーを放出して無理に後方に下がる事で回避する。銃弾は跳弾する様な特殊な方法など、曲芸染みた様な事が無い限り真っ直ぐ飛ぶ。だから銃口の向きで軌道の予想はつきやすい。

 

 

 

 

 

「―――――――――っ!?」

 

 

 

 

 

 

「来ると分かっていればこれぐらいはなぁ!!」

 

 

 

 

 

すぐに機体を王子が正面に来るように姿勢制御の為に推進機を吹かせ、僅かに残ったエネルギーをすべて使って再びイグニッション・ブースト《瞬時加速》で無数に撃って来る銃弾をシールドエネルギーで受けながら突っ込み、力任せに上段から戦鎚を叩きつける。

回避できないと判断した王子は左側にある左腕についている物理シールドで受け止めるが、オーヴェインのパワーに負け、受け止めきれずに弾き飛ばされる様にアリーナに土煙を爆発的に巻き上げて叩きつけられる。俺はすぐにPICを切って、土煙を少し巻き上げ、衝撃吸収材を膝や脚部から噴出させながら着地して痛そうに尻餅を付けている王子にO・ハンマーを突き付け、動きが止まる。それは彼も灰色のライフル銃”ヴェント”を俺に突き付けているからだ。

そして俺はもう充分だろうとO・ハンマーを下し、それを見た王子もヴェントを水色の粒子に還す。

 

 

 

 

 

「此処で終わりにしようか。王子。」

 

 

 

 

 

「そうだね。これ位やれば一夏の参考にもなると思うし・・・。」

 

 

 

 

「―――――ほら、手を貸せ。」

 

 

 

 

「あ、うん。ありがとう。」

 

 

 

俺はO・ハンマーを背中に戻してから手を出し、王子が苦笑しながら俺の手を握ると引っ張り上げる。とりあえずこれくらいで良いだろうと思って歩いて一夏達の方に歩いて行き、俺が

 

 

 

 

 

 

「こんなんで参考になったか?一夏君。」

 

 

 

 

 

「あ、えっとだなぁ・・・・。」

 

 

 

 

そう聞くと苦笑しながら頬をかいている一夏。コイツ今のじゃわからなかったか・・・。なら次はどうする?今の戦法はシールドエネルギーが多いオーヴェインだからできる事でもあるんだしな。白式のシールドエネルギーにシールド無効化による消費量を考えるともう少し回避を重点的に行った方が良かったか・・・。最後は殆ど防御能力と馬力で無理矢理やっただけだしな。俺みたいに後付けで装備を積み込めればいいのだが、以前にも言った通り、バススロット《拡張領域》がシールドエネルギー無効化のワンオフ・アビリティー《単一仕様能力》で要領がいっぱいになっているので積み込めない。というよりコイツに射撃武器を持たせてもまともに当たるとは思えないが・・・。そんなこと思ってる俺。

そして最初に解決案を出す為にセシリアちゃんが

 

 

 

 

 

「―――――でしたら私が、射撃に付いてご説明しますわ。私が許可さえ出せばスターライトを使って手取り足取り、隅々まで・・・・・。」

 

 

 

 

 

「ちょ、セシリア!一夏!!私だって射撃武器を持ってるから教えられるわよ。」

 

 

 

 

「貴女の衝撃砲は貸出し出来ない所か、アンロックユニットなので持つ事も出来ないでしょう?そんなのでは教えられませんわ。」

 

 

 

 

 

「アンタのだって同じじゃない!実弾なら分かるけどそれはエネルギー系の武装でしょうが!!白式にエネルギー伝達用の専用コネクターが無かったら使えないでしょ!!」

 

 

 

 

 

「コネクターはエネルギー伝達を効率よくする為に専用の物を使ってはいますが、それはシールドエネルギーを蓄積出来るエネルギーパックを外付けすれば解決しますわ!」

 

 

 

 

と良いながら、セシリアちゃんはバススロット《拡張領域》から灰色の箱様な形状の側面部に接続用の端子などか付いているをパーツを出して鈴ちゃんに見せつける。さらに箒ちゃんも加わりたいけど、バル・スパロスには近接武器と投擲武器しか積んでないから教える事が出来ない所か、彼女自身射撃は未経験だろうから一夏には教えられない。本当に難儀な娘だと思った瞬間、またもやチョップの構えを取って威嚇する。

それに何時もながら若干怯える俺、一緒に居る簪ちゃんはもどかしそうな感じの顔をしている。感じとして例えるなら、教えたくても自分より腕が上だから意味が無いとか思っている表情だ。誰に教えるつもりだろうか?そんな光景に苦笑する王子。

そして俺は彼女達が取っ組み合いを始める前にセシリアちゃんの話を参考に妥協案を提示する。

 

 

 

 

 

 

「はぁ、そこ喧嘩止めろ。まったく、武装の貸し出しが出来るんだったら・・・。王子。一夏君に武装を貸して撃たせてやってくれ、そん時の講師は王子がやってくれないか?実際撃てば嫌でも分かるだろ。」

 

 

 

 

「え、ああ、うん。別に良いけど・・・。」

 

 

 

 

「ちょっと待ってください。それは私が・・・!!」

 

 

 

 

「私だって言ってんでしょうが!!」

 

 

 

 

「いい加減にやめろよな。そんなんだから男である。王子に頼んだんだろうが・・・。一様ウチの一夏君はホモじゃないからそこんとこ心配すんな。つか、お前達がどっちかが教える事で喧嘩を始めるから俺が、今の所一番良いと思う妥協案を出したんだ。」

 

 

 

 

「むぅ~。」

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

「――――――――って一様ってなんだよ!!俺はホモじゃねぇよ!!」

 

 

 

一夏君が俺のホモ発言に異を唱える。まぁ、なんにしても前と同じ様に理屈や感覚で教えられても同じだ。箒ちゃんの感覚、擬音指導は俺でも分からなかったのにコイツに分かるわけ無いだろう。こん中でも一番そう言ったのがうまそうな王子に頼んだ方が手っ取り早いと思ったんだ。

そしてとりあえず俺達は空中モニターを応用した色分けされた六角のデータの塊を円状に配置した的を使った射撃訓練をする事になった。一夏君は灰色のアサルトライフル”ヴェント”を王子から借りて構える。そこへ俺と王子が

 

 

 

 

「少し脇を閉めた方が良いかな・・・。」

 

 

 

 

「―――――こうか?」

 

 

 

 

「基本銃弾は真っ直ぐにしか飛ばない。スケールがでかくなっても銃には変わりないんだ。それとパワーアシストがあっても衝撃が来るから、銃身がぶれない様に気を付けろよ。」

 

 

 

 

 

「ああ、分かった。」

 

 

 

 

そうして強制されながら構えたライフルの引き金を引く、そうすると少し重い炸裂音と閃光が光って銃弾が真っ直ぐ的を砕いて行く、そうして次々と王子のアシストをして貰いながら射抜き終えると一夏が驚いた様な顔をして

 

 

 

 

 

「おお・・・・。」

 

 

 

 

「どうかな?」

 

 

 

 

「ああ、何かアレだな。とりあえず早いって感想だな。」

 

 

 

 

「ふ、小学生でも言えそうな感想だな。一夏君。」

 

 

 

 

「む、実際撃ってみてそう思ったんだよ。」

 

 

 

と俺が馬鹿にした様な言い方をすると少しムッとした表情になる。というか後ろから変な目線が、つかお前らなぁ相手はこんな見た目でも男なんだぞ?嫉妬した目線で見るなよな。アイツにもそう言った性癖が無・・・い・・・のか?前の更衣室での前科もあるし、俺が手を握った時もなんか顔が赤かった。コイツまさかと思う考えを振り払う様に首を振っていると王子が

 

 

 

 

「――――――――どうしたの?」

 

 

 

 

「いや、何でも無い。どうしたんだ?」

 

 

 

 

「いや、それはコッチにセリフだけど・・・。まあいいや、秋十も撃ってみてよ。」

 

 

 

 

「何でだよ。俺の射撃は山田先生とかで見てるだろ?」

 

 

 

 

 

「まぁそうなんだけど、一夏の参考にもなるかもしれないし・・・。」

 

 

 

 

 

「俺の射撃はあんまし参考にならんと思うが・・・。まぁいい、するとしないとじゃいろいろ違うだろうしな。」

 

 

 

 

俺は王子の言われるがままに、俺の手に青白い粒子が詰まり、形を成して灰色の大きな大砲の様で武骨な機関砲”76mm速射砲”が姿を現す。武骨な肩当てに右肩を当ててグリップを握り、左肩を前に出す様に姿勢を取って速射砲の左サイドにバナナ状の大型マガジンを掴んで、砲口を再展開された的に向けて轟音を響かせ、撃ち出された砲弾が的の中心を砕いて行いき、俺が撃ち終えると一夏と王子が速射砲の砲身を降ろし、量子化して収納した俺に

 

 

 

 

「前から思ってたけど、音すっげぇな。」

 

 

 

 

「アレだけの規模のライフルになると殆ど大砲だからね。―――――秋十。少し質問があるんだけど・・・。」

 

 

 

 

「うん?なんだよ。」

 

 

 

 

「秋十ってFCSのサポートを受けてる?」

 

 

 

 

「――――――――FCS?」

 

 

 

FCSとは射撃管制装置の事だ。簡単に言うと目標物を正確に射撃する為に火器を制御する為に計算機・測的器を主体とした装置の総称と言っても、それは普通の兵器の話だ。ISは人型を模した兵器と言っても良い形状をしている為に射撃補正が掛かり、空中モニターと連動して目標を捉え、効率の良い射撃が出来る様にサポートしてくれる。けど俺の場合は狙いを強制されるのが嫌なので、望遠機能以外は俺は使っていない。それだけもロックサイト位は出るので不便じゃないし、と言っても空中モニターのロックサイトもあんまし意味があるのか分からないし・・・・。

そして俺は二人に

 

 

 

 

「うん?望遠機能以外使って無いけど・・・・。」

 

 

 

 

「やっぱり・・・・。」

 

 

 

 

「あ、え?シャルル。そのFCSって何なんだ?」

 

 

 

 

 

「それはね。撃つ時とかに目標に当てるのをサポートしてくれる機能なんだけど、一夏の白式には入って無いからどんなのか分かって無いみたいだね。」

 

 

 

 

「あはははは・・・・。」

 

 

 

 

「あんなの無理に強制して来るから撃つのに鬱陶しいだけだろ?」

 

 

 

 

「それは君だけだよ。普通はアレのサポートが無いと動く相手に上手く当てられないから・・・。」

 

 

 

 

腰に手を当てて、当たり前の様に言う俺に呆れた様に言って来る王子。何時までも乾いた笑みを浮かべている一夏。そうしているとカタパルトの発射台の方から姿を現す黒い機影に、他にアリーナに来ている生徒が騒ぎ始め、俺達の視線が発射台の方に向けられる。

そこに居たのは、黒くISに共通した流線形のフォルム。両肩辺りに後ろに流れる様な形状をしたアンロックの推進ユニット、肘から覆う細く、指先の尖った腕部、腰部には左右に推進機を備えたスカート状のサイドアーマー、脚部も少し太い位で踵とつま先に姿勢制御用の尾翼が付いている。さらにこの機体で一番目立っているのは右側のアンロックユニットに付いている機体の半分を以上ある巨大な大砲。見た目からして機関部のリボルバーの機構を使った円筒形の機関の下部に巨大なマガジンがあり、マガジンから送り込まれた砲弾を回転弾倉に装填して撃つ様な機構でありそうな大砲だ。

そんな黒いISを纏っているのは、首元に金属の蝶ネクタイの様な物に灰色のISスーツを纏った。頭に天に向かって尖った耳の様なヘッドギアを付けたラウラ・ボーデヴィッヒが此方に視線向けていた。空中モニターに表示される情報ではドイツの代表候補生の専用機”シュヴァルツェア・レーゲン”だそうだ。ホント情報収集能力が高いなコイツはと思っていると仏頂面で彼女が

 

 

 

 

「――――――――織斑 一夏、織斑 秋十。」

 

 

 

 

 

 

「なんだよ。」

 

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

 

「貴様等も専用機持ちだそうだな。――――――――ならば話が早い、私と戦え。」

 

 

 

 

いきなりの事に疑問に声を上げる王子。そう言って来る彼女の眼は何かに怒っている目だ。俺達と会った時からこんな感じだったが、ドイツに行った姉貴はISの教導で何をして来たんだ?彼女は眉間に眉を顰め、俺達が憎くくてしょうがないと言った目で見てる。

そして彼女の答えに王子にライフルを返しながら一夏が

 

 

 

 

 

「――――――――――いやだ。理由がねぇよ。」

 

 

 

 

 

「コッチも同じ意見だな。」

 

 

 

 

「貴様等に無くても、私にはある。」

 

 

 

 

「今じゃなくても良いだろ?もうすぐクラスリーグマッチなんだから、そのときで・・・。」

 

 

 

 

「ならば―――――。」

 

 

 

 

そう言った瞬間、空中モニターから大砲の電圧上昇と発射準備の完了に伴い、警報音が鳴り響く前に、背筋を刺すような寒さに素早くコンパクトな動作で76mm速射砲を展開して右で逆手に持ちにすると速射砲のバットプレートの両サイドに固定用の接続アームが肘に挟み込む様に腕に保持される。

 

それと同時に重い駆動音を響かせて、砲身が此方の方に向き、砲口に眩い電光が走る。次の瞬間、混合火薬と超高圧電流の電磁誘導により、重い砲音と閃光と共に砲弾が撃ち出される。

そしていきなりの発砲に驚く一夏の前に王子が物理シールドで防ぐ様に出るが、

 

 

 

 

 

「―――――――――っ!?」

 

 

 

 

 

その瞬間、重い轟音を響かせ、彼等の中間辺りで砲弾が周りに響き渡る様な音を響かせ、爆散した。シャルルは今さっきまで聞いていた砲音にもしやと思って視線が向けられる。

そしてラウラは平然とした表情である場所を見つめ、爆煙が晴れたと同時にその姿を現したのは、右腕の下部に巨大な砲とも言えるライフルの砲口から硝煙を立ち上らせ、腰だめに肘を曲げて逆手に持って構えた秋十が視界に映った。

余りにも速い動作で行われた正確な射撃。シャルルは山田先生と今さっきも見せられので、彼の射撃の腕は知ってはいたが、爆発による加速と超高電圧の電磁誘導による加速の加わった砲弾を撃ち落とすほどの器量を持っていたなんて思わなかったので、正直驚いている。

そして彼は以前の軽い雰囲気とは違って、何おも射抜く様な鋭い視線でラウラに速射砲を構えたまま動かない。張りつめた空気の中で砲弾の空薬莢だけが鈍い金属音を響かせてアリーナに落ち、二人の声が

 

 

 

 

 

「―――――え、秋十?」

 

 

 

 

 

「――――――悪い、助かったぜ。秋十兄ぃ。」

 

 

 

 

シャルルは信じられない様な驚いた顔をしているが、彼の実力を知っている一夏は助かったのは秋十のお陰であると認識している。実際、彼の近くに大口径ライフル弾の空薬莢が転がっている以上。彼が撃ち落とした証明になる。そんな彼は構えを解かずに

 

 

 

 

 

「おい、黒ウサギ。訓練を受けた軍人が唯の一般人に発砲するなんて、少々おいたが過ぎるんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

「ふん。貴様が”唯の一般人”か・・・。笑わせる。貴様の動きは一般人と言うには無理があると思うぞ。狙撃手。―――――それに我が部隊”シュヴァルツェ・ハーゼ《黒ウサギ部隊》”の事を知っているのか?」

 

 

 

 

「はぁ?シュヴァルツなんたらの事は知らないが、黒ウサギと言ったのは唯の戯言だ。流せよ。」

 

 

 

 

 

「――――――?、まぁ良い、貴様がやる気になったと取って良いのだな。」

 

 

 

 

 

「待ちなよ。此処のまま戦うんだったら、僕も加勢するよ。」

 

 

 

 

この戦いが向こうが勝手に仕掛けた一方的な物。それに納得しない王子は割り込む様に話しに入って来る。それに黒ウサギは

 

 

 

 

 

「フランスの第二世代ごときが。―――――――我々の戦いに入っても邪魔になるだけだ。大人しく引っ込んでいろ。」

 

 

 

 

 

「そんな事は無いよ。いまだに量産化の目途が立たないドイツの第三世代型よりは動けるだろうからね・・・!」

 

 

 

 

暫く睨見合いを続け、完全に戦闘態勢に入っている両者にアリーナのスピーカーから監視の教員の怒声が響き、勝手に私闘を行おうとした彼等に待ったが入る。このままでは良くないと思った黒ウサギが先に発射台からピットの方に引っ込んで、一夏や箒を覗いた三人は聞きたそうな顔をしていたが、今さっきの表情のままの俺が詮索の妨げになって、後はそのままお開きになった。

そして更衣室の方ではロッカーから自分の学生服を取り出しながら、あの黒兎の事を考えていた。

あんな事を平然とやってくるとは思わなかった。まったく一体何を考えているのか分からん・・・。それにしてもアイツの言っていた”シュヴァルツェ・ハーゼ”という単語は確かドイツ語だ。

オーヴェインの空中モニターでネット検索をかけたから間違いない。さらに軍属で姉貴がらみなのは分かっている。アレは完全に姉貴を自分を導く、大げさに言えば神様か、そんくらいに偉い何か位には思っている感じでもある。そんな姉貴の功績の汚点。俺の師匠の事を言っている感じからして一番近いのは関係していると言うなら世界大会《モンド・グロッソ》の二連覇を邪魔した俺達が許せないと言った感じか・・・。

コッチだって好きで捕まったんじゃ無いだが、最近良く昔の事が付いて回るな。向こうさんは思い描く様な軍人特有の堅物人間。あの姉貴が俺達の事をどう言ったのかは知らないが、大会の事もあって目の敵にした様な視線を向ける以上は、俺達兄弟を良くは思っていないだろうな。俺の印象は裏切ったとはいえ、師を殺したの敵を探さない様な腰抜けと思っているだろうし、内容からして自分に目を向けてくれない女の嫉妬か、それに近い何かなんだろうな。つか、無意識でシスコン気味の一夏君より、黒兎の思考は姉貴基準の様な気が・・・。まったく俺の事に口出しするわ。二連覇の件も家族とその関係者の問題だ。なのに自分の事の様に俺らの所為だと言って来やがる。仮にも軍人なら私情をはさまないで欲しいのだが・・・。

そしてまた俺がボーッとしていると突然声がかかる。

 

 

 

 

 

「――――――――秋十兄ぃ。」

 

 

 

 

「あ、おう。どうした?一夏君。」

 

 

 

 

心配そうにまだ着替えていない一夏が言って来る。

 

 

 

 

 

「いや、だからどうしたじゃないだろ。朝のSHRにもめた後からずっとボーッとして、やっぱりまだ気にして・・・。」

 

 

 

 

 

「深読みし過ぎだって・・・。俺は大丈夫だよ。一夏君。」

 

 

 

 

「・・・・。」

 

 

 

 

おどける様な笑みを浮かべながら一夏君に言う俺。コイツ、信用してないな。何でこう言うのは鋭いのかね。もうちょっとそう言うのを別の方に向ければ、いろいろ上手くいきそうなのにな。そんな事を思っていると後ろの方から王子が

 

 

 

 

「―――――― 二人とも大丈夫。」

 

 

 

 

 

「――――――――んあ、シャルルか、俺は大丈夫だ。さっきは助かった。ありがとな。」

 

 

 

 

「それは秋十に言いなよ。アレを撃ち落としたのは秋十だよ?僕はほとんど何もしてないしね。」

 

 

 

 

「それでもだ。」

 

 

 

 

「まぁ、咄嗟に守ろうとしてくれたのには感謝はするさ、俺からも礼を言うぜ。」

 

 

 

 

一夏の追求の目が、王子の乱入で話が逸れた。このまま一夏も続ける雰囲気じゃなくなった為に気を彼に回し始めた。俺もそうだが一夏も余り彼を心配させたくないと言う思いは同じなようだ。

そして彼は安心した様に

 

 

 

 

「そう。なら良いだけど・・・。じゃあ僕は行くからね。先に戻ってるよ。秋十。」

 

 

 

 

王子はISスーツの上から学生服を着始めるのを見て一夏が前から思っていた疑問からか、首を傾げて

 

 

 

 

「シャルルはシャワー浴びていかねぇの?」

 

 

 

 

「え、僕は―――――――。」

 

 

 

 

と誘う一夏に一歩引き気味で頬を少し赤く染めている王子。前から思っていたのだが、彼はそう言った裸の付き合いとかは苦手そうだし、同性と一緒に風呂入るのは銭湯がある日本くらいだろう。まずフランスにそういった文化があるのか知らんけど・・・。そんな事を思っている間にもさらに押して行く一夏君に完全に押され、あの黒兎に勇ましかった雰囲気は何処へやら、話もそれてしまって此方は好都合なのだが、このままでは収拾がつきそうになさそうだ。

 

 

 

 

 

「お前何時もそうだよな。なんで俺と着替えるの嫌がるんだよ。」

 

 

 

 

「べ、別にそんな事無いと思うけど・・・。」

 

 

 

 

「そんな事あるだろ。偶には一緒に着替えようぜ!」

 

 

 

 

「あ、え―――――――!?」

 

 

 

 

完全に押されている王子にぐいぐいと男友達と接する様なオープンな姿勢の一夏君。偶に居るんだよ。ああいうスキンシップのつもりなんだけど、相手側がそう言うの苦手なの分かんない為に起こる状況。と言っても少し彼と感じる壁は何か同性と言った感じと違う様な気がするのだが、とりあえず助け船を出すか・・・。

 

 

 

 

 

「おいおい、一夏君。同性の裸を見たがるなんてどうかしてるぜ?まさか、ホモは王子じゃ無くてお前の方か?」

 

 

 

 

「ちょっ、何でそんな話になるんだよ!!」

 

 

 

 

「いや、だってよう。あんまりそうぐいぐい行くの見たこと無いし・・・。あ!そうだったのか。女ばかりの場所で久しぶりの男に興奮しているんだな。一夏君。王子にこう言いたいんだろ?君の華奢で綺麗な体、薄い胸板をホニャラララ的なアレを・・・。」

 

 

 

 

「―――――――え?一夏?」

 

 

 

 

「ばっ!?興奮とか言うんじゃねぇよ!!?さらに危なげなセリフまで付け足すな!!秋十兄ぃ!!マジで俺がソッチ系に思われるだろうが!!――――――ちょっ!?シャルル!!そんな目で見ないでくれよ!!ああ!!分かったよ!次からはあんまり強引に誘わないから止めてくれ!!」

 

 

 

 

そう焦って言う一夏に王子の疑いの目が向けられる。否定しているが焦っている所為で野壷に嵌っている様な気がしてならないが、とりあえず危機を脱した王子が助かった様なホッとした笑みを見せるので、俺は少しおどけた様な笑みで彼の表情を見る。

そして俺は手を叩きながら

 

 

 

 

「ほらほら、話が纏まったなら着替えるか、シャワーを浴びるか行動を始めな。このまま汗臭い手荷物持って食堂のおばちゃんの飯を食いたくわないだろ?」

 

 

 

 

「―――流石に汗臭いのを嗅ぎながらは嫌だな。」

 

 

 

 

「―――そうだね。」

 

 

 

 

そう言うと各自で行動を始めた。俺は一夏と共に更衣室に備え付けてあるシャワールームに足を運び、王子は先に部屋に戻って行った。それから暫くしてスッキリした二人は寮への道を歩いていると、一夏が此処ならと思ったのか、眉間に眉を顰めて改めて俺に何か聞こうとしていたが、突然怒声の様な声がして完全にタイミングを失った一夏は俺と共に声の方に視線を向ける。

そして視線の先に居たのは俺達に喧嘩を吹っ掛けてきた黒兎と千冬の姉貴だ。俺達は近くの木陰に隠れる様に黒兎は姉貴に声に耳を傾ける。はっきり言っていい雰囲気とは言いずらく、前の会長さんと簪ちゃんの良い合いとは違う感じだ。

 

 

 

 

 

「――――――何故ですか教官!!」

 

 

 

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。」

 

 

 

 

「こんな場所で何の役目があると言うのですか!!お願いです教官。もう一度ドイツで我が部隊のご指導を――!!此処では貴方の能力の半分も生かされません!!」

 

 

 

 

「―――――ほぉ。」

 

 

 

 

「大体!!あの傭兵崩れのごろつきの弟子はまだマシですが、他の者など危機感が疎く、ISを兵器では無くファッションと勘違いしている。そんな者が屯って兵器を使って仲良しこよしのお遊戯!!こんな所で教官が時間を割かれるなど――――!!」

 

 

 

 

淡々と不満を声を荒げて語っていく黒兎。彼女の軍人としてから見た意見としては間違ってはいない。仮にも銃と言う兵器を人に撃った身から考えると普通ならあり得ない事だろうな。多分、家族や身内を守る為なら俺は例え生身だろうと人に撃つ事に躊躇はしないだろう。こう言う事を冷静に考えるのも事件の時から狂ってしまったのかもしれないな。

だが、此処で教えているのは軍隊を作る為では無く表面上はISを学んだ生徒に幅広い未来を与える学び舎だ。

―――――――と言っても就職先は大体IS関連の物ばかりだろう。その中には彼女の様な軍属に入る者だっている。だとしても此処に居るのは軍学校の生徒では無く、スポーツの専門校に来た様な子達ばかりと言っても良い。その為、教科書にも書いてあったのだが、大会などのスポーツ形式で使われている兵装の火薬の量やエネルギーの出力は制限やリミッターが掛けられており、絶対防御を貫通しない様に配慮がされている。俺の速射砲も砲としての規定火薬量を超えない様に制作され、審査も受けている。此処が一番の軍用と競技用の違いだ。でもやり様によっては命の危機を脅かす様な事になるのはどのスポーツだろうと同じだろうがな。ルールがあってもそう言うのは付きもと言ってもいい。泣き所はそこを理解していない生徒達が居るという事だろう。俺も少しは自覚して欲しいと思う。

そして姉貴は黒兎の振舞いに我慢が出来なくなったのか

 

 

 

 

「その程度でいい加減にしておけよ。小娘。―― 少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る。」

 

 

 

 

「わ、私は――――!!」

 

 

 

 

 

「寮に戻れ。私は忙しい。それともまだ続けるか?」

 

 

 

 

「――――――――くっ!」

 

 

 

 

姉貴が黒兎にそう言い放つと自分の声を聞き入れてくれない事に悔しさやいろいろな物が混じった様な感じで目を閉ざしてその場から逃げる様に寮の方へ走って行ってしまった。

そうして黒兎が走り去って行った後に姉貴が背を向けたまま大きな声で俺達に聞こえる様に

 

 

 

 

「おい!そこの男子!!」

 

 

 

 

「―――――げっ!?」

 

 

 

 

「盗み聞きか?異常性癖は感心しないないぞ。」

 

 

 

 

「何でそうなるんだよ!!千冬姉ぇ!!」

 

 

 

余りの罵倒に一夏が思わず反論するが、俺はそのまま息を殺す様に隠れていると姉貴が

 

 

 

「学校では織斑先生と呼べ。それと何時まで隠れているつもりだ。一緒にいるんだろう?織斑兄。さっさと出て来い。」

 

 

 

 

 

「――――――――――あははは、これでも上手く隠れてるつもりだったんだがな。」

 

 

 

 

 

「馬鹿者。丸変わりだ。まったくこんな事をしているぐらいなら実施訓練でもしろ。織斑兄は知らんが、このままではお前は月末のトーナメントで初戦敗退だぞ。」

 

 

 

 

 

「は、はい。分かってるって―――。」

 

 

 

 

「俺は知らんって、まったく酷いね。ウチの担任殿は・・・。はぁ、分かりましたよ。」

 

 

 

 

 

 

「一言多いぞ。まぁ分かったなら良い。」

 

 

 

 

 

そう言って姉貴も立ち去ろうと歩き出すが、一夏が思いつめた表情で姉貴を呼びとめる。

 

 

 

 

 

「―――――――――なぁ、待ってくれ!」

 

 

 

 

 

そう言うと姉貴は立ち止まり、一夏の方に視線を向ける。

そして一夏は悩んでいた事を吐き出す様に声に出す。

 

 

 

 

「さっきのラウラって奴が言っていた俺達の事、千冬姉ぇの弟とは認めないと言ってた事やクロエさんの事を知ってたって事は、やっぱり俺達の所為で優勝を逃し事を―――――。」

 

 

 

 

 

「終わった事だ。お前が気に病む必要はない。そこのお前もだ。何時も通りにへらへら笑っていろ。――――ではな。」

 

 

 

 

そう言って俺達の元を去る。

 

 

千冬は足を運びながら、何時もの凛々しい顔に少し気が沈んだ様に感じられる。それは一夏の事もあるが、一番の原因は秋十の方だった。彼女は一人呟く様に

 

 

 

 

「私でもアイツの気配に気付く事が出来なかった。一夏が居なければ気付く事さえ・・・。大分昔に遊んで貰った時に母さんも隠れるのが得意で、いつも出て来るまで見つける事が出来なかったな。まるで消える様に紛れてしまう様に姿を消す。

―――――――あの人に教わってあの歳でアレほどの技量を身に付けた。アイツだけ何故母さんにアレほど似ているのだろうな。」

 

 

 

 

 

一人になって少し彼女の記憶にある千冬と秋十、一夏の亡くなった母は、今の彼女から思うに一般の人から見たらその立ち振る舞いがいかに別物だったのか思い知らされる。猫のように足音もしない足運び、一瞬のうちに森や人ゴミ、あらゆる場所に溶け込んで紛れ隠れ消えてしまう術、鷹の様な鋭い視線で射抜く様に獲物を見つめる目、そして手に消えない特有の豆。見た目は凛として居るが、気さくで笑顔が絶えない母だった。彼女はちゃめっ気で何度もいじわるされた事を懐かしむ様に―――。

そして面影を見る。何時だっただろうか。一度見せた母の顔が秋十の顔に被り、彼女は思う。もしかしたら弟のあんなの姿を見ていられなくて立ち直らせる為とは言え、許可を出したのは誤ったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――あの事件で束に支えられ、ライフルを構える姿はまるで目的の為ならどんな者さえ、冷徹に撃ち貫く狙撃手と言っても良いモノだったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

いまだに自分の両親がどんな者だったのかさえ分からなくて、偶に困惑する事があるが、それでも今、自分のやらねばならない事はこの目ではっきり見えている。その時、彼女の表情は以前の物に戻り、しっかりと自分の足で地を踏みしめ、その目で前を見据える。彼女の表情はどんな者で有ろうと守り抜く、家族の長としての顔だった。

 

 

 

 

俺は途中で一夏と別れた後に夕焼けの日差しが射す自分の部屋に付き、部屋に備え付けの脱衣所、トイレ込みのさらに奥のシャワールームから水の音がしている。多分先に帰った王子が浴びているんだろう。それにしても長いな?俺達がシャワーを浴びてきた時間から考えると長風呂なのか?と言っても浴槽は無いんだけどな。此処。とりあえず聞こえるかどう変わらないが

 

 

 

 

 

「―――――――――帰ったぞ!王子!」

 

 

 

 

 

と言っても返事があるわけでもない。シャワーの音で聞こえないのだろう。―――――あ?そういや洗濯機の洗剤を昨日貰って来ておくの忘れていたな。ちょこっと行って出て来る前に置いて来るか、と思って俺はベットの足元の隅に置かれた換えの洗剤のポリ容器を持って脱衣所まで入ってすぐに置いていこうと洗濯機の足元に置かれている空のポリ容器と換えようと中腰なって、取っ手を掴んだ瞬間、とりあえず声をかけようとシャワールームの見えないガラスが張られた密閉性に優れたドアの方に視線を向けて声を上げようとしたと同時にドアが開けられ、

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!王子!洗剤換えてなかった・・・・か・・・・・ら・・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――。」

 

 

 

 

 

 

その時、俺の目が死んだ。余りの衝撃に正確には目の光が無くなったと言うべきか・・・。俺の視界には白い湯気と共に開け放たれたドアから見えたのは俺が想像していた様な華奢な体をした一糸纏わぬ王子では無く、年相応と言うより少し発育の良い一糸纏わぬ姫様だった。とりあえず俺は

 

 

 

 

 

 

「あ、あはははははは、大丈夫だぞ。王子?」

 

 

 

 

 

「―――――――――?!?!え!?だ、大丈夫!?何が!?」

 

 

 

 

 

彼女?彼?どっちか分からないが王子は隅に大事な所を隠しながら隠れる様に俺の視界から身を隠すと俺の言葉に訳も分からず。素っ頓狂な声を上げながら質問して来るのに俺は、いまだに思考が可笑しい状態で

 

 

 

 

 

「大体一緒に入れない理由は分かった。でも世の中には男でも胸の大きな奴だって探せば居るんだ。前にテレビで言っていたし、少し人と違うからって化け物じゃないんだからそこまで悲観的に考える事は無いって事だ・・・。と言っても安心できないよな。俺の胸の奥にしまって置くよ。一夏君にも俺から断われる様に根回しもしておく、それに俺は訓練された兵士だ。だから心配し無くでいいぞ。大丈夫だ。問題無い。」

 

 

 

 

 

「―――ちょ!?今の自分でちゃんと考えて言ってる!?そんな変な曲解されるならいっそのこと女とバレた方がまだマシだよ!!」

 

 

 

 

 

 

自分は普通のより少し可笑しいと自覚はしているが、こう言うハプニングに免疫無い俺は半人前の半端者と言われてもしょうがないだろう。

そして王子に発言に”今なんて・・・・?”と思って思わず声が出る俺

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――――え?」

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――――あっ!?」

 

 

 

 

 

 

まぁそんなこんなでこのままだといろいろ収拾がつかないので、俺は換えの洗剤を置いて先に脱衣所から出る。

王子も着替える時間でも何でも良いから、少し間を置かないと冷静になれないだろう。流石に美少年が美少女だった事はあまりそこまで驚いた所では無い。歩き方や雰囲気が少し男と言うより女と言った感じだから改めて女だと言われても抵抗なく頷ける。いや、男だとか女だとか問題はそこでは無いのだろうがな。何故偽る必要なあったのかという事だろうな。少し時間かかりそうなので上は黒のTシャツ、下はゆったりとした青い短パンに着替えて、ベットに隣のベットに背を向ける様に座りながら、オーヴェインの情報収集能力をこっそり起動した。

そして空中モニターに思考入力による検索をかける。キーワードはデュノア社、IS。

出てきたのは世界第三位のトップシェアだとか、代表的ISのリヴァイブの記事ばっかり、彼女が男の振りをする意味を探す以上何らかのこの中から拾える情報で、共通点と言えばIS関連である事なんて分かり切ってる。男として此処に来ることのメリットは第三の男性操縦者が居ると言う企業的アピール?目を引くと言っても企業アピールしては聊かパンチが足りない気がするが、男性操縦者は絶滅危惧種と言っていいから目を引きやすいか?俺の中で一番ありえるとしたら企業スパイとかにな。

此処にはあらゆる国家から来ているISがある。俺のオーヴェインや簪ちゃんのドットフェイサー、箒ちゃんのバル・スパロス、一夏の白式、セシリアちゃんのブルーティアーズに鈴ちゃんの甲龍《シェンロン》、極めつけはあの黒兎のシュヴァルツェア・レーゲン。まぁ、空をまともに飛べない実験機三機に、万年ガス欠がデフォの超攻撃特化機体ではあるが、全部まとめて第三世代機だ。

だが、王子の機体だけは専用機だと言うのに第二世代の改修機だ。さらに自社の代表的なリヴァイブ押しで来ている。さらにどの記事を見てもフランスの第三世代機の三の文字すらないって、言うかこの記事ヤバいだろ。”フランス、第三世代機の開発難航か?”とか、俺が知りたいヤツの直球ドストライクの記事が・・・。この感じからすると第三世代機のデータを盗むのが目的と言った感じか?男として振舞っていたのは俺達に近づかせる為となるな。つか、マスコミパネェな。どっからこんな情報嗅ぎつけて来るのか分からん。こう言うの輩には、いろいろと気を付けた方がよさそうだ。他の開発競争に遅れているからカンぺ取って来いってのか?ホント企業とって人は歯車って言うけど、このままだと自分の会社ヤバいから実子に犯罪させるとか・・・。ったく今回は立て続けに問題ばかり置きやがる。立て続けに面倒事があって最近まともに快眠できないのにこの前の受験から俺の運気がどん底に向かって急降下している気がする。さらに俺のASN値も等しく急降下しているけどな。こう言うのは俺じゃなくて一夏君の役目だろ?

情報を頭の中で整理しながら空中モニターをスクロールさせ、一通り読み終えた俺は探偵紛いの事を止め、オーヴェインの機能を切って鬱向く。

 

 

 

 

 

「――――――――まったく世の中ってままならねぇよな。」

 

 

 

 

 

 

と俺は一つの結論に至った。

そして何時も後ろで纏めている髪を降ろし、白を基調とした青とオレンジのラインの入った学園指定のジャージに着替えて隣の自分のベットに座って背を向けている俺の様子を窺っているのか、おどおどした視線を背中に感じる。当たり前と言えばそうなのだろうな。自分の正体を隠す為に今まで男として振舞っていた以上。ターゲットに入っている可能性がある俺にバレたのはかなりの動揺物だろう。ましてや花嫁前の女の子の裸なのに俺なんかに見られてショックを受けているかも知れない。こう言った年頃はかなり繊細のなのだと蘭ちゃん辺りを見れば大体分かる。

そんなことを思っていると王子が

 

 

 

 

 

「――――――あ、秋十。」

 

 

 

 

 

「あ、おう。どうした?」

 

 

 

 

 

「どうしたって、気にならないの?僕が何であんな恰好しているのか・・・・。」

 

 

 

 

 

「そう言われれば気になるが、話したくない事を無理聞くつもりはない。心配すんなよ。風呂場で言った事は嘘じゃない。ちゃんと黙っておくからよ。」

 

 

 

 

その言葉に疑問を持つかのように王子は俺に聞いて来る。

 

 

 

 

 

「僕は君を騙していたんだよ。それなのに理由を聞かない。普通なら少し言及があっても良いくらいなのに・・・・。聞かないまでもそれを黙っておくって、どうして・・・・。」

 

 

 

 

「―――――――――お前にだって皆に話せない事がある。俺にだって皆に話せない事がある。それを興味本位で聞こうなんて思わない。他の奴と少し違う事をしている奴は、何かしろの理由を持っている。それが皆が皆あるってわけでもないが、お前の顔を見れば丸分かりだ。隠さなければいけない理由がある。俺個人としては家族と身内に最悪が降りかからなければ、何ら問題無い。」

 

 

 

 

彼女に興味が無く、身内が無事ならどうでも良いと突き離す様に言われて少し落ち込んだのか、悲しそうな声で

 

 

 

 

「―――――――大事にしているんだね。」

 

 

 

 

 

「まぁな、それはお前も含まれているんだぜ。王子。」

 

 

 

 

そう言うと驚いた様な声で

 

 

 

 

 

「ぼ、僕も―――――――――?」

 

 

 

 

 

「ああ、短い間だが、それでもお前は俺のルームメイトで友達で俺の身内だ。俺の中ではそれは変わらない。だから、俺はお前を落としめる様な事は言わないし、話したくないなら聞かない。それだけだ・・・・。聞いたとしても一介のIS学園一生徒が突っ込める問題じゃなさそうだしな。俺に出来るのは遠くの的に風穴を開ける事だけだ。」

 

 

 

 

ぶっきらぼうに帰す俺の言葉に温かみのある声で少し嬉しそうに

 

 

 

 

「そう。ありがとう。―――――なら、これから話す事は唯の独り言。反応しても反応しなくても良いよ。」

 

 

 

 

 

そして彼女は語り出す。

彼女は元々、父であるデュノア社社長の本妻の娘では無く、だから最初は父とは二年前に離れて母と二人で生活していたようだ。それから暫く経って母が亡くなり、その後に彼女は父に引き取られて様々な検査をしていく過程でIS特性が高い事が判明して、そのまま非公式にテストパイロットとして採用。引き取った父にあったのは数える程も無かったその時見た表情が凄く印象的だったそうだ。眉間に皺を寄せて厳しそうな、何かを我慢している様な、悲しそうな顔で何時も見詰めて、必要最低限の言葉しか口にしなかった。

一度だけそんな父に連れられてデュノア社のグループトップに立つ五人の爺さん達に紹介させられた時は堪えたそうだ。彼女をまるで物を見る様な目で、まるで汚い物を見る様なんで見ていたそうだ。さらに彼等の貪欲な目には彼女を今後の自社の発展の為の駒としてしか見ていない様な、まさしく欲にまみれた化け物と言ってもいい者達だったらしい。

それから暫くして父から大分久しぶりに呼ばれたと思ったら、経営危機に陥ったので学園で俺達のデータが取れと命じられたそうだ。理由は俺が推測した通り、第三世代型開発難航による開発許可の剥奪。男装も会社のアピールで俺達に近づく為だそうだ。改めて聞かされるとかなりキツイな。

そして軽いため息を吐くとスッキリした様にいまだに背を向けている俺に

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――とまぁこんな感じかな。今まで嘘をついていてごめんね。秋十。」

 

 

 

 

 

 

 

「謝る必要なんてない。俺はお前の独り言を勝手に聞いていただけだ。――――――まぁ此処から話す事は王子と同じ様に独り言だ。俺は昔、物心付く前に両親が飛行機事故で亡くなってな。写真でしか顔を覚えた無いんだ。だからって別にさみしくなかった。やりたい事はがあったからな。それは剣道だ。父の知り合いが剣道を教えていてな。一夏君達と同じ様に剣道やってたんだ。その時知り合った箒ちゃんと一緒になってな。最初の頃は楽しかった。

皆と競い合う場だったが、それでも友達で一緒になって夢中になってやってた。だけどな俺が十歳辺りでどれだけやっても強くなれなかった。いつも真っ向勝負でやり合っている皆と同じ様にやれば確実に負けていた。だから俺は相手の体力が切れるまで受けたり、小技で攻めて思考で戦局を制する事は出来たが、結局それは俺が求めている剣道じゃなかった。俺は俺の剣道で勝ちたかった。だけど、真っ向勝負しても腕の差で負ける。一夏や姉貴の様にやっていても勝てない。やがてそれも通用しなくなって諦めた俺は剣道を止めたんだ。一夏や箒ちゃんにはこっぴどく叱られたがな。そんな俺でも今じゃ王子が来る前に二人に連れられた後、未練がましくこっそり剣道場で素振りやってる位だけどな。まぁそんなくだらない話だ。」

 

 

 

 

 

 

「そうなんだ。」

 

 

 

 

 

流石にあの事件の事は話せないが、少しは空気が和んだかな。と思いながら俺は続ける。

 

 

 

 

 

 

「だからよぉ、お前さんも人生諦めたような感じになってんじゃねぇぞ。王子。」

 

 

 

 

 

「―――――えっ?」

 

 

 

 

 

「俺みたいなくだらない理由だと説得力無いが、それでも諦めるな。まだちょっとしか生きていないのにもう終わった様な声を上げるんじゃない。」

 

 

 

 

「だ、だけど女だって事がばれたからきっと本国に呼び戻されるよ。――――後の事は分からない。良くて牢屋行きかな。」

 

 

 

 

 

「だが、今さっき言った通り此処で俺が黙っていれば問題無い。それに此処いれば此処の法がお前を守ってくれる。”IS学園特記事項、本学園における生徒は、その在学中において、ありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない”此処にいれば三年は大丈夫だ。その間にどうするか方法を考えれば良い。」

 

 

 

 

 

「よ、良く覚えていたね。特記事項は五十五個もあるのに――――。」

 

 

 

 

 

「俺は毎日学習や鍛錬は怠らない主義でね。備えあれば憂い無しだ。と言ってもそれ位しかする事が無いだけだが・・・。」

 

 

 

 

 

「ふふっ、秋十は訓練された兵士だもん。それぐらいは覚えていて当然だよね。」

 

 

 

 

 

「人がパニクってた時に言ってた事を蒸し返すな。まったく・・・。」

 

 

 

 

背中が越しに彼女の笑い声を聞きながら、俺が怒った様に後ろを振り向くと俺の背中に向かい追う様に座って少女特有の可愛らしく、柔らかい笑みを見せながら俺に

 

 

 

 

「ごめんごめん。でもありがとう。秋十。僕はまだ諦めないで済みそうだよ。」

 

 

 

 

 

それに俺は若干照れながら、もう一度背を向けながら

 

 

 

 

 

「―――――――王子。”まだ”じゃない。絶対あきらめるな。これからしんどいだろうが、希望がある限り信じ続けろ。俺もできる事があれば尽力する。辛いなら当たってくれてもかまわない。俺は言った事を曲げるつもりはないからな。」

 

 

 

 

「うん。分かったよ。―――――でも何でまた背中向けたままで喋ってるの?今さっきの口ぶりだと怒っているから顔を合してくれないのだと思ってたけど違うよね。」

 

 

 

そう言いながら彼女は背を向けた俺に言う。可愛らしく首を傾げているが、いい加減少しは気付いて欲しい。ジャージの開いた襟元から箒ちゃんほどではないが、それでも女性特有のふくらみとオレンジ色のペンダントに姿を変えたであろうリヴァイブが見えているんだよ。こう言うのはヘタすると俺が痛い目に会いそうなのだが、此処は言っておくべきだろうと思い。

 

 

 

 

「そうか、その質問にはこう答えよう。秘密を暴露して心身ともに解放気分になるの良いが、少しは男がいると言う事を自覚してほしいんだが?」

 

 

 

 

 

「――――――――?」

 

 

 

 

「とりあえず身なりを整えた方が良いと言っているのだよ。」

 

 

 

 

そう言って自分の身なりを確認し始めて、少し驚いた様な声を上げる。ようやく気付いてくれた様だ。そんな俺に恥ずかしそうに王子が尋ねる

 

 

 

 

「ま、まさか胸元が開いていたから見ない様にしていたの?」

 

 

 

 

「最初は顔を合わせずらい位だったんだが、振り向いた時にちらっと見えたからな。少しでも女性としての自覚があるならそう言うのをだな。」

 

 

 

 

 

「――――――でも見たんだよね。秋十のエッチ・・・。」

 

 

 

 

 

「そう言うのに触れない様に教えたのにエッチ呼ばわりとか酷過ぎるだろ。」

 

 

 

 

 

「でも、そうやって見ないって事は気になるって事だよね。」

 

 

 

 

 

「まぁ、俺も男だからな。だとしても嫁入り前の体をじろじろと欲情した目で見る趣味は俺には無い。」

 

 

 

 

 

そういうと再び、クスクスと笑う声が俺の耳に届く

 

 

 

 

 

「女の子を見たらナンパしてそうな優男っぽく見えるのに案外堅いんだね。この前の実習の時に山田先生を口説いてたし・・・。」

 

 

 

 

 

「誰が優男だ。誰が―――――。それにアレは山田先生をフォローをする為にああ言う事を言ったんだ。」

 

 

 

 

 

「流石にアレをフォローって言うのは苦しいと思うよ・・・。――――秋十。もう良いよ。」

 

 

 

 

「そうか。」

 

 

 

 

そう言って立ち上がって王子の方に振り替えり、視線を向けると依然と胸元を開けたままの王子が小悪魔の様な笑みを向けている。

だが、彼女の想像と違ってそれに動じず涼しい顔で見ている俺に向けている笑みが不満の表情に変わって彼女は悪戯が失敗したのに少し頬を膨らませながら

 

 

 

 

「今さっきの口ぶりだと少しは慌てると思ったのに平然としているなんて面白くないな。」

 

 

 

 

 

「ふふ、大人ぶってからかおうとしても無駄だ。それほど俺はウブでは無いからな。」

 

 

 

 

まぁこう言うのは前にも言ったと思うが、千冬の姉貴のだらしない格好で免疫は付いているので女体に慌てる様な事は無いのだよ。得意げな笑みを浮かべる俺に悔しそうな目を向けている王子。そんなバカみたいな事をしていると外から声が掛かる。

 

 

 

 

『秋十。食堂に行くのに誘いに来たのだが、いるか?』

 

 

 

そう声が掛かるのは箒ちゃんの声だ。そして俺は目の前にいる慌てている王子を見ると明らかに、女の子と言っても良い格好になっている。さすがにこの状態を見られるとまずい。鈴ちゃんの一件から考えると彼女にこんな所を見られれば箒チョップが限界を超えて、俺ごと空間割断するかもしれない。そんな事になった日には俺の命と王子の運命は確実にお終いだ。俺はまだ死にたくないぞ思っている間にも箒ちゃんが部屋のドアを開けようとしている。俺はすぐに王子に近づいてベットに潜り込めと小声で言うと頷いてベットに張ろうしている間にもドアノブを回してドアが空いた様な音がする。つか、今日に限って鍵閉めるの忘れんなよ俺!?俺は完全に開けきる前に救急セットに手を伸ばしたと同時に彼女の視界に俺が移る。

そして彼女は

 

 

 

 

「居るではないか、居るのなら返事をしろ。秋十。」

 

 

 

 

「す、すまないな。少々慌てていたもんで・・・。」

 

 

 

 

そう言って入って来る箒ちゃんの恰好は制服姿だった。そして彼女は怪訝の顔をしながら王子の方を向いて

 

 

 

 

「何故慌てる必要がある?―――うん?デュノアは、どうしたのだ。」

 

 

 

 

「何だか風邪っぽい様なんだ。昨日あたり体がだるかったみたいな事を部屋で呟いていから。大方いきなりの慣れない環境に安心して疲れが出たのかもしれない。症状は軽そうだから、市販の錠剤を飲んで一晩寝れば大丈夫だろう。」

 

 

 

そういうと王子がわざとらしく咳をするそぶりを見せる。そうすると箒ちゃんは納得したらしく

 

 

 

 

「―――――――そうか、デュノア。悪いが秋十を連れていっていいか?」

 

 

 

 

 

「ごほっ、ぐうっ、い、良いよ。」

 

 

 

 

「そうか。では行くぞ。」

 

 

 

 

「ちょっと待て!このまま置いて行くのは・・・!?」

 

 

 

 

「あ、秋十。ぼ、僕の事は気にしない、で行っておいでよ。流石にこのまま看病、ごほっ!?させるのは悪いからね。」

 

 

 

さらにそこへ箒ちゃんが

 

 

 

「心配なのは分かるが貴様がこのまま一緒に居ても二人とも空腹のままだ。それでは話が進まぬだろう。貴様が食べてからデュノアの分も持ってきてやればいい。それぐらいは融通が聞くはずだ。」

 

 

 

 

「ああ・・・・。言われてみればそうだな。俺とした事がうっかりしていたな。それじゃあちょっと言って来るが、そのまま寝ていろよ。」

 

 

 

そのまま返事をしないで頷く素振りだけする王子を後に自分の部屋から後ろ髪惹かれるように立ち去る。おお、迫真の演技!なかなか息もピッたし、アドリブで此処まで出来るとは凄いな俺とか思って食堂へ向かう途中。箒ちゃんが少し顔を赤らめながら何か聞こうと口にする前に、廊下で俺達の正面から見覚えのある姿が見え、

 

 

 

「秋―――――!?」

 

 

 

 

「秋十。今から夕食?」

 

 

 

 

 

「ああ、そうだが簪ちゃんも一緒に行くか?」

 

 

 

 

「うん。行く。」

 

 

 

 

そう言って了承する簪ちゃんを恨めしそうに見る箒ちゃん。明らかになんか言いたそうにしていて邪魔された様な感じになっているけど深く聞くと俺が危ない気がするのでスルーする。触らぬ神に祟り無しだ。そんな感じで不機嫌そうな箒ちゃんを交えて雑談しながら三人で歩いていると左はセシリアちゃん。右は鈴ちゃんと腕を組んだ一夏に遭遇して

 

 

 

 

 

「おお、一夏君じゃないか。相変わらずモテモテだな。このエロゲ主人公め。」

 

 

 

 

「誰がエロゲ主人公だって?コレがモテている様に見えるなら秋十兄ぃの目はぁぁぁぁぁぁ!?!!」

 

 

 

「あらあら、何かおっしゃいました一夏さん。」

 

 

 

「そうね。何か言ったけど聞こえなかったわね。」

 

 

 

そう言って両側から一夏君の脇腹を思いっきり抓っている所為で余りの痛みに言葉をつづける事が出来ない。そして解放された彼は若干涙目になっているが、コレはピンチじゃね?ほら箒ちゃん此処で前から抱きつくぐらいしないとここでろとまで思った瞬間に殺気を感じてすぐに間合いを取って、チョップの手を軽い破裂音を響かせて真剣白刃取りで受け止める。それを見て皆がおおっ、感心した様な声が上がる。――――――――――――――――――――が認識が甘かった。

 

 

 

 

「ふふ、何時までも受けるとは限らないぜ。箒ちゃん。」

 

 

 

 

 

「残念だったな。利き手が使えなくなった時の為に私は両腕が使えるように日々鍛錬をしているのだ。」

 

 

 

 

 

「―――――へ?嘘。」

 

 

 

 

「ホントだ。」

 

 

 

 

両手で押さえている右手とは反対側の手が上げられ、俺の頭に向かって頭を真っ二つにしそうな鉞が振り下ろされた。

うごごっ!?!!?予想位は出来ただろうに、いつもの俺らしくないな。それにしてもまさか片腕を使える様にしているとは思なかった。あの後視界ぐらつくわ頭が痛いわで堪ったもんじゃない。今までアレで力をセーブしていたとは・・・。利き手より威力が数倍とかマジねぇよ。頭が冗談抜きで真っ二つになるかと思った。つまり初撃を受ければ此処まで痛い思いをしないで済んだのだろうけどな。箒ちゃんの左は黄金の左というわけだ。今度は両腕を封じるかと思いながら食べて終えた俺は王子の食事を持って自分部屋に戻る。

 

 

 

 

 

「おおい、王子帰ったぞ。」

 

 

 

 

「あ、うん。おかえりって、大丈夫?秋十。」

 

 

 

食事を持ってフラフラしているのを力を入れて安定させようとしているが、体がグラついている為に体ががくがくと震えている様に見える。確実に大丈夫じゃないと思って心配そうに見ている。ヤバいな脳まで衝撃が浸透している感じがして状況は少し深刻かもしれない。やっぱり考えた方がよさそうだな。主に俺の命が危うい。死因が友達にチョップされて頭蓋骨陥没は流石に勘弁して欲しい。

そして俺は部屋のベットの向かいにある壁側に備え付けられている勉強机に食事を置くと王子が来て、思わず声を上げる。

 

 

 

 

「――――――――え、!?」

 

 

 

 

「あ、どうした。日本食は初めて・・・・。日本食。王子って箸が使える?」

 

 

 

 

「えっと、まだちょっと。練習はしているんだけど・・・・・・。」

 

 

 

俺が持ってきたのはアジの開きにご飯、ほうれん草、味噌汁。典型的な日本食だった。弁当の時もそうだったのに、普通なら考えれば分かっただろう。流石に此処まで立て続けに失敗するとは今日はどうかしていると思いながら、割り箸を割って必死に食べようとしている王子に申し訳ないのが、多分使えるホークかナイフを取って来るために俺は

 

 

 

 

「俺としたことが此処まで古典的な失敗を繰り返すとは・・・。すまない。ホークかナイフ、スプーンなら使えるだろ。今すぐ取って来るから待っていてくれ。」

 

 

 

 

「良いよ!そんな!?」

 

 

 

 

「気にしていでくれ、言っただろう。俺に出来る事があれば尽力するって、コレもそれの一環だ。それに王子は少し他人に頼ることを覚えた方が良い。今まではそう言う感じになれなかっただろうが、今は違うのだからな。」

 

 

 

 

そう言う王子はともじもじと始めて、沈黙してしまったがコレを了承と取って良いものかと考えていると暫くして王子が

 

 

 

 

 

「じゃあ、あのね。御言葉に甘えさせて貰うけど、そ、それならさ、あ、秋十が食べさせてくれないかな。今から行ってたんじゃ冷めちゃいそうだし・・・。」

 

 

 

 

「あ、え、―――――――はい?」

 

 

 

 

「いやだって秋十が言ったんだからね。頼って良いってだから・・・。―――――――ダメ?」

 

 

 

 

目の前に申し訳なさそうにしながら頼む小動物を思わせる可憐な少女の頼みに困惑する。ちょっと待って彼女の言い分はもっともだが、それは彼女にとっても精神的に恥ずかしいのではいのか?それを俺にやらせる意図はなんだ・・・・。

ま、まさか、あの時の彼女の悪戯に引っかからなかった仕返しか!?それを自分が恥ずかしいのを我慢して俺にやらせて羞恥の苦痛に耐えろと!?さらに言質を取って逃げ場を無くした!!恐ろしい子!?此処に恐ろしい子がいるぞ!!?

そんな俺に

 

 

 

 

「なんかまた、変に曲解している様な気がするけど嫌だったら別にいいよ?」

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿言うなよな。一々男が言った事を曲げるわけないだろ。わかったよ。やってやろうじゃないの。」

 

 

 

 

そう言って俺は王子から割り箸を貰うと俺はアジの開きを取りやすようにばらして、アジの身を落ちないように片手を手皿をにしながら少し茶目っ気が出た俺は

 

 

 

 

「お姫様。私めが食べさせて上げましょう。さぁ御口を御開けください。」

 

 

 

 

 

「―――――お、お姫様!?ちょっと秋十!からかわないでよね!」

 

 

 

 

俺の発言に少し頬を染めながら怒りだす王子。それを俺はあしらう様に

 

 

 

 

 

「悪い悪い。お前さんだって俺をからかおうとしただろ?それの仕返しだ。それより口開けろよ。王子の要望なんだからさ」

 

 

 

 

「むーっ!―――――――――わかったよ。あーん。」

 

 

 

 

そう言って可愛いお口を開けて下さったお姫様。俺はそんなお姫様にいろいろ配慮しながら食べさせると不機嫌そうな顔が笑顔に変わり、満足そうに

 

 

 

 

「――――おいしい。」

 

 

 

「そいつは良かったな。次はどうする?」

 

 

 

そんな感じで幸せそうに食べるお姫様の顔に秋十はおどけた様な笑みを浮かべながら食べさせる。そんな感じで持ってきていた一食分を食べ終わるまで続けた。幸せそうなお姫様と幸薄そうな狙撃兵であった。

 

 

 

 




感想とかいろいろお願いします。


ではまた次回。
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