魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした 作:ダ・ヴィンチちゃん
「さーて、レーティングゲームには時間があるし………冥界の観光でもしようぜ」
「はい。あの、所でパーティーのお誘いが」
「パーティー!?行く行く!」
会場から出て行く際、魔王派の者からこっそり渡された招待状を見せるとやはり反応するエミヤ。
「まあどの道時間あるし、観光が先だな!」
「おー!」
そして遊園地やスポーツ事務、絶景スポットを回っている内にあっさりパーティー当日。時刻は開始一時間前。
「堅苦しい」
「似合ってるよ☆」
「うーん、でもどうせならドレスも……」
「……似合いそうだね☆」
正装に着替えたエミヤは襟を弄り不機嫌そうな顔をする。元々顔立ちは整っているほうだ、幼いとは言え確かに似合っている。年下好きのお姉様方が放っておかないだろう。
ミテラは深紅のドレスを着て、不機嫌そうだった。その手には同じ意匠のサイズの異なるドレスが……ペアルックにでもする気だったのだろう。
「ふふ。じゃあ行こっか」
会場に入るなり侮蔑の視線が飛んできた。エミヤが重鎮悪魔達を見下していたのが知れ渡っているのだろう。
血筋を重んじる悪魔からすればそれは許されない行為のようだ。
「殺しますか?」
「別に良いって………あ、猫だ!捕まえて三味線にしようぜ!」
「ぎにゃー!?」
ヴェーラが不快そうに周囲を睨むがエミヤは気にせず何処からか迷い込んだ黒猫を追いかける。アルトンもそれに続いた。
「もう、子供なんだから……」
「え、その反応でいいの?猫殺すとか言ってるようなもんだよ?」
三味線は猫の革で造られる。なお、材料にするのに最も適しているのは未通の雌猫だとか。
「え?だってその猫、私には何の関係もありませんし……」
幼い頃の、まだ未熟すぎるエミヤと共にいたミテラは周りの命にまで気が回るはず無かった。当初こそ巻き込んだことに罪悪感を感じこそすれ、それが続けば倫理観の完成する前の少女からそんなものはあっさり消える。ましてやその頃は精神が汚染されかけ、そしてミテラもまた命の価値に緩くなる能力、『蘇生』を持っていた。
「………………」
つまりこの女性にも殺すのは可哀想、などという感情は一切無い。口には出すかもしれないが、心の底ではどうとも思っていないことだろう。
「本当にやになるねー☆生まれた時から?なら、心が完成するまでせめて覚醒するなよ。そんなんだから、天界に恨みを持つ奴が減らないんだし…………聖書の神は何を思って神器なんか残したのかな?」
「それはもちろん、敵に備えて………って、エミヤが言ってました」
「敵?敵って…………」
「────ヴァレリー?」
と、その時声がかかる。
ミテラが振り返るとそこにはハーフ吸血鬼の転生悪魔の少女、いな、女装少年が呆然とたっていた。
「………ギャスパー?」
「!ヴァレリー、やっぱりヴァレリーなんだね!」
「ぬぉい!?下級悪魔が国賓に何て事を!?」
その奇行に慌てるセラフォルーだったがミテラが片手で制する。
「久し振りギャスパー。大きくなったね?」
「うん……うん!でも、何でヴァレリーがここに?ヴァレリーも誰かの眷属に?」
「ううん。私はお母さんになったの………あ、今は名前も変えてるのよ。ミテラ、そう呼んで」
「お、お母さん………?え、結婚したの?」
「してないわ。養子、みたいな……?うん、今は血の繋がりもあるけど……」
うーんと唸るミテラ。養子なのに血の繋がり?どういうことだろうか?
「まあ私は今魔獣派閥だけど、悪魔とは同盟組んでるしこれからも仲良くしましょうね」
「う、うん……え、魔獣派閥?それって、イッセー先輩が言ってた………」
と、不安そうな顔をするギャスパー。なんと聞かされだろうか?
「大丈夫よ。エミヤは良い子だもん。敵対しなければ殺しはしないわ。得が無ければ助けもしないけど」
その頃件のエミヤと言えば。
「おいアルトン、居たか?」
「見失った。ごめん神様………」
会場近くの森にいた。
黒猫を追いかけて迷ったのだ。
「んで、誰だお前」
「あら気づいてたの?こんにちはボウヤ達、貴方達のせいで計画が狂っちゃったにゃん」
エミヤが虚空を見つめると景色から滲み出るように黒い着物を纏った猫耳の女性が現れる。
「かわいいボウヤ達。でも、子供って残酷にゃん。生きてる猫を三味線にしようだなんて」
「うわぁ、にゃんとか………あざと」
「………………」
エミヤの視線にコホン、と咳を一つする女性。
「はじめまして、お姉さんは黒歌。知ってるかしら?」
「あー、賞金出てる悪魔に関しちゃ知ってるよ。確か上級悪魔クラスの……」
「そうよ。だから、ね……すこーし大人しくしててくれないかしら?」
「…………にゃは良いのか?」
「……………」
ヒクヒクと眉をふるわせる黒歌。と、その黒歌とエミヤ達の間に空から何かが降ってきた。
「美猴?ちょっとどうしたのよ、この子達まだ子供よ?あんまり手荒なことは……」
やってきたのは古代中国風の鎧を纏った男。
「さがるんだぜい黒歌、コイツは報告にあったエミヤだ」
「え、この子が!?嘘、本当にこんな幼い子がヴァーリを殺せるレベルの魔獣を生んだの?」
「ヴァーリ?誰だそれ、アルトン知ってるか?」
「さあ?」
「お前の部下がぶち殺した白龍皇だよ……覚えてねぇのかい?」
「…………ああ、で?仇討ちでもするか?」
「ああ、まあ……まだ出会ったばかりだったけど話の合う奴だったぜぃ」
すぅ、とエミヤが目を細める。ゾワリと悍ましい魔力が周囲に立ちこめる。
「とんでもねぇな……人間としての魔法力に加えて、こいつは悪魔か?それに、よく解らねーのも……」
「混濁してるように見えて、殆ど合わさってる……いったい何時から取り込んでるのよ」
その気配に美猴と黒歌は冷や汗をかく。彼等は仙術という術を使う。故にエミヤの力の底が知れないことを知ることができた。
「へぇ、仙術使えるのか。家でもリンインとかシェンリーとかが使えたな。どっちも
「……………」
警戒心なんて一切見せないエミヤ。しかし黒歌達は警戒心を解かない。
「お前等テロリストだし、持って帰っても誰も文句言わないよな?」
「「─────!?」」
エミヤが一歩踏み出す。その瞬間───
「姉、さま………?」
「ん?」
黒猫を追うエミヤ達を追ってきたであろう塔城小猫が現れエミヤの注意がそちらに向く。
「────!」
その瞬間、まずは美猴が飛び出す。驚愕する小猫、そして──
「ドラゴン波ぁ!」
アルトンが両手を付きだし放った一撃がその上半身を消し飛ばす。
「続いて、お面ライダーキーック!」
「にゃ!?」
アルトンが上に飛べば不可思議な光をまとい物理法則無視した角度で迫ってくる。とっさに周囲の木を操り防御するも勢いが一度は落ちてしかしすぐに増していくという慣性の法則を無視した蹴りで防壁を貫く。
「っぅ!?」
「おいアルトン、森が消し飛んでんぞ……」
「あ、やべ……」
黒歌はとっさに上に跳んで避けたが、その後方にあった森の一部がごっそり抉られていた。
コイツ、ヤバい。主もそうだが創られた魔獣もやばい。ここは逃げなくては───
「ほう、はぐれ悪魔黒歌か………」
「───え」
そして目の前に迫る己を捕らえようする龍の手に気が付き、意識を失った。
ヴァーリ・チーム、残りはアーサー……あ、でもこいつ元英雄派だ