魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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魔獣の兵

 フリード・セルゼン。

 元教会の悪魔祓いにして、仲間を殺し神を裏切ったはぐれ悪魔祓い。グリゴリに所属した後も己の享楽のために悪魔と契約した一般人を殺し、コカビエルが戦争を起こそうとした際にも当たり前のように彼の下につき派遣された悪魔祓いを殺した、教会からすれば忌まわしい人物。

 それが純白の翼をはやして飛び回るのだから笑えない。

 

「ちょろちょろ逃げやがってうざってぇネズミ共! 針鼠にしてやんよぉ!」

 

 一枚一枚が破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)が可愛らしく思える威力の破壊力と光力をばらまく。

 戦車達が盾になろうとするも一瞬で消し飛ぶ。

 

「おのれ! 私は騎士だ、いざ尋常に勝負しろ!」

「お前馬鹿だろ? 何でわざわざ有利な制空権手放すんだよおお!」

 

 純白の翼が聖火、雷光、聖水、光を纏い悪魔達に殺到する。中には体を貫かれた瞬間聖木が生え焼かれながら体中の水分を吸い取られるものもいる。

 

「オレの~、翼は千変万化~♪」

 

 と、イラつく歌を歌うフリード。無数の魔力が殺到するが板のように平たなった羽毛が周囲を飛び回り攻撃を無効化する。

 

「のんのん。そんなんじゃぁ俺には勝てないZE☆」

 

 キラッと歯を光らせるフリード。悪魔達は思う、こいつうぜぇ。

 

「くっ! こうなれば奴らの王を狙うぞ! 配下が多少強力でもそれを作り出した小僧は人間だ! 別れて探せ!」

「多少? 一方的にやられてんのに評価が多少とかこの俺も多少驚いたぜ、やるな悪魔」

 

 ふー、と何故か冷や汗を拭うような動作をするフリード。『王』達が何名かを引き連れ走っていく。残りの面々はここでフリードを足止めする気のようだ。

 

「うんうん別に構わねーよ。今回はスペシャルグレートフリード君の性能チェックだからね。生まれ変わった俺の力をとくとみよ!」

「生まれ変わった、か………貴様、本当に元人間か?」

「そだよん。『将』達の血肉はその一片でも無数の魔獣を生み出す事ができるのは知ってるよね? 知らない? なら知れたねおめでとさん! んで、その濃密な魔獣因子とも言える血液で作った剣を心臓にプスリ。するとあら不思議、血液は血管を通って全身へ巡り他生物を魔獣に変えるのデス!」

 

 それが『兵』。情動を、心を持つ故に強い力を得ることのできる『将』同様の存在。

 

「ちなみに神さんから与えられりゃ『将』になるらしいぜ。んで、その『将』の実力なんですが………ぶっちゃけ中の中からもう相手したくねー絶対強者なんすよね!」

 

 

 

「ふむふむ。今まで異形化した奴しか解剖してこなかったから解らなかったけど、悪魔の肉体と人間と変わらないんだー。つまんな」

「あ、が………ひゅー……」

「でもでも、貴族って家によって使う能力が違うよね? どこか違いがあるのかな? 脳とか?」

「あびば、あばばば!?」

 

 テリエルギアはグチャグチャと内臓を弄び、ポイと捨てると頭蓋を爪で切り裂き脳にさわる。

 

「く、この狂人め!」

 

 と、逃げられないように手足を切り裂かれた悪魔の一人が腕を再生させ炎を放つ。彼は代を辿ればフェニックスの血を引くのだ。本家ほどではなくとも、他の傷を放置すれば腕の一本は──

 

「邪魔だよ」

「ぶえ!?」

 

 その炎はしかしテリエルギアの前に現れた穴に吸い込まれ本人の真下から飛び出し悪魔を燃やす。

 

「ぐあああ!? こ、これは………アバドンの!?」

「ようするに空間干渉でしょ? 仕組みが解れば模倣も簡単! じゃ、次はおじいちゃんの番。不死身ってどんなのかな?」

「ま、待て……来るな────!」

 

 当然、止まるわけがない。『将』は神への忠誠の次に己の欲求を優先する。この世の全てを解き明かしたいと願う『好奇の将』は、悪魔達がどう言った存在なのか解明するまで止まらない。

 

 

 

 

 相手は子供。だというのに一方的にやられている。

 黒髪黒目の少年は笑いながら圧倒的な破壊力を持って敵を葬る。

 

「食らえ、スペリウム光線!」

 

 と、両手を交差させ放った一撃は食らうと何故か爆発する。

 子供の想像力は無限大。時には己がヒーローとなり、あるいは怪獣となり、時にはまだついていない職業も夢想する。

 『想像して創造する能力』。それが『童心の将』アルトンに与えられた権能。

 

 

 

「………ああ、暖かい……」

「心地良い……」

「幸せだ……」

 

 手足が吹き飛び内臓が焼かれ、しかし悪魔達が浮かべる表情は満ち足りていた。後方に控えていた『王』達も責めず自分もその場へと歩み出す。

 

「死は恐ろしい。痛みは苦しい……ですが安心してください。私はあなた方に幸福なる死を約束します。神が与えてくれた、この慈悲深き能力で」

 

 『慈愛の将』エレオス。与えられた能力は苦痛や恐怖といったあらゆるマイナス側面の感情を幸福感に変化するという者。故に苦しまない。むしろ残酷に殺されるほど幸せになれる。

 

「ああ、殺してくれ……この『女王』は私の恋人なんだ。どうか、彼女を殺してくれ。そして私も……私達に幸せをくれ」

「はい。お任せを……例え神の敵であろうと、幸福なる死を与えるのが私の役目です」

 

 

 

 次々聞こえてくる()()のアナウンス。冗談ではない、何故自分達側ばかりが死んでいる!?

 これは貴族の、悪魔の威光を示すゲームでもあった。なのに一方的に殺され続けている。もしこれが公式で、冥界の民にまで流されていたら例え生き残っても発言力を失うには違いない。

 

「おのれ! エミヤとやら、隠れてないで出てこい! 『王』同士正々堂々正面から雌雄を決める覚悟はないのか!?」

「そうだ! 出てこい!」

「配下に任せてないで己で戦え!」

 

 この場の『王』達が一斉に叫ぶ。その『眷属』達も口々に叫ぶ。

 

「呼んだ?」

「馬鹿め!」

 

 と、現れたエミヤに向かって無数の魔力によって練られた炎や雷、水に土などが飛んでくる。が………

 

「滅びろ……」

「………は?」

 

 どす黒いオーラに飲み込まれ消えた。

 

「今のは、バアルの……滅びの力? あ、ありえん! 何故人間如きがそんな力を!」

「バアルだけじゃないぜ、ほら……『無価値』」

「な!? 我らの力が、これは………ベリアルの!? 貴様いったい!」

「お前ら悪魔が持ってて俺が持ってない能力はねーよ。んじゃ、もう死ね」

 

 エミヤの背中から炎の翼が噴き出す。フェニックス家特有の翼。が、それは滅びの力をすい黒く染まる。そして、一瞬も耐えることなく残りの悪魔達は消滅した。




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