魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした 作:ダ・ヴィンチちゃん
「……………」
「うぷ………うぇぇぇ!」
極一部の者にのみ観覧が許されたレーティングゲーム。その極一部に該当するグレモリー眷属のギャスパーが吐き出していた。アーシアは既に気絶している。
『好奇の将』テリエルギア。『慈愛の将』エレオス。この二人の戦いが、蹂躙が余りに不快すぎた。
命を何とも思わず解剖し観察するテリエルギアはもちろんだが、エレオスのがあまりにも……。
「何で、何であんな能力を持った魔獣を………創れるんですか……」
「まともな感性なんて持つ暇がなかったからだろ」
ギャスパーの言葉にアザゼルが呟く。と、画面はエミヤ達と『王』達の戦いに切り替わる。
一瞬だった。一瞬で『王』も眷属も消え去った。
「………滅びの力? え、あの子………ハーフ?」
『初代』と呼ばれる世代。
始まりの悪魔と呼ばれるその一柱、ゼクラム・バアルは目の前の少年を黙ってみる。
バアルしか持つことを許されない『滅びの力』を持ち、だというのに人間の血を引いている証である神器を所有する少年。
「バアル家の血が混じっているのか?」
「逆だよ。俺の血が、お前等に混じってんだ」
この場に同席するのはゼクラムと四大魔王。エミヤの部下はいない。だが、彼の余裕は崩れない。
「俺にはお前等の血筋の源流が流れている。お前なら知ってるだろ? 始まりの悪魔は俺等の『劣兵』同様、強大な個の肉片から創られた存在だって……」
「まさか貴様、リリス様を!?」
「ああ。縁あって見つけて、取り込んだ。俺の
今の悪魔社会を作った『初代』達よりもなお古い悪魔リリス。いったい如何なる理由か、神の創造物でありながらその肉片と初代ルシファーが考案した術式で強力な悪魔を何体も産み落とした存在。
「ちなみに俺の下に来た頃には既に意識も死んだ肉塊だったぞ?ありゃ生きてるとは言えねーな」
「だからって、生きてる者を………ああ、君は他者の命に興味無いんだったね」
サーゼクスはもうあきらめたと言わんばかりに首を振った。
「まあ他にも取り込んではいるが、それは良いだろ。最終目的はある獣を喰うこと。以上、他に質問は?」
「………冥界が欲しいか?」
「え、いらねーねけど何いきなり…………ああ、成る程。リリスを取り込んだ俺が生み出した魔獣達が新世代の悪魔と言われるのを恐れてんだ?そりゃそうだよな、お前等旧体制を貫く奴らが血筋こそ至高といっても『原初の悪魔』の力をまんま引き継ぐ俺の一言で冥界はあっさり覆る………良いよ、黙っててやる。代わりに五月蠅く騒ぐであろう貴族達黙らせろ。大王派は魔王派の言う事なんて聞かねーだろうしな。全く誰が作ったんだか……じゃ、頼むなゼクラム」
「…………はっ」
もはや自分の立場など完全に借り物と化した。ゼクラムはそう理解した。
魔王達を借り物の立場に居る者と判断していたからこそ、己の立位置を理解できてしまった。
「んじゃ、帰るぞ。てっしゅー」
エミヤがパンパンと手を叩く。場所はホテル。
手を出させるなとは命じたが、果たしてどれだけ従うか。ほとぼりが冷めるまで冥界から離れる。別にぶち殺すのは簡単だがそうなれば冥界で遊ぶことも出来なくなるかもしれない。なので離れる。
「そうか、上級悪魔達を、ね………うん。やはり良いな」
部下の報告を聞いた男はそういって頷く。
「彼を仲間に引き入れよう。貴重な戦力だ」