魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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襲撃

「………ん?俺に用事なのか?」

「いや。本来の目的は他神話と和議を結ぼうとする愚かな主神を止めに来たのだが、まさか君が居るとはね」

 

 エミヤの言葉にロキがハッハッハと朗らかに笑う。

 

「………なぁ、オーディン。上を失って、他に頼らなきゃ直ぐにでも絶滅する三大勢力が神の一柱を殺すのは世間体が悪いよな?」

「うむ。まあ、この場の者で殺せるとは思えんが……」

「俺なら構わないか?新勢力の王である俺なら問題ないか?」

「………ほう?まあ、構わん。お主の勢力には誰もが注目しておる、世に示せ」

 

 パチンとエミヤが指を鳴らすと周囲を包み込むように魔法陣が現れる。

 

「ほう、場所を変えるか……良い。いこうか」

 

 

 

 景色が代わる。

 辺りは岩場。空の色からして冥界。

 

「魔王から買い取った戦闘用の土地だ。あんまり体内で暴れると白鯨がキレるからな」

 

 と、己の拠点を兼ねる魔獣を思い出すエミヤ。中に世界が広がる彼も、世界を壊しかねないレベルの『将』達が暴れまくるのは好まない。それを魔王達に相談したら、大王派の一部の土地がその日の内に差し出された。

 

「ここなら存分に暴れられる。じゃあお前等、行け」

「「「はっ、我が神よ」」」

「ふはは!行け、まずはお手並み拝見だ!」

「「「オオオオオオオオッ!!」」」

 

 エミヤの言葉に『将』達が飛び出しロキの言葉に蛇型の龍、量産型ミドガルズオルムが飛び出す。

 

「あっは!」

「いけ!」

 

 ラストとルクスリアが己の腕を爪で引き裂く。血が溢れ、無数のドラゴンと女性型の魔獣、『劣兵』が現れる。

 一体一体の強さは三大勢力の中級クラス、向かれた皮膚から生まれた四匹は上級クラス。血から生まれた『劣兵』の数はそれこそ視界を覆い尽くすほど。それが量産型ミドガルズオルムに殺到する。

 

「らぁ!」

「はぁ!」

 

 そして動きが止まった量産型ミドガルズオルム達をルクスリアの爪や足が、ラストの放った光や魔力、果てには神力までもを放って蹂躙していく。

 

「皆、頑張れ……」

 

 と、ディペンデレも己の腕を取り出したナイフで切り裂く。溢れ出た血から生まれた『劣兵』は、他の『将』の『劣兵』とは異なる。

 堕天使、天使、人間、ドラゴンetc.……模した、ではなく()()()()の姿をした『劣兵』達は同様にそれそのものの気配を放つ。顔は、同じ者も複数いれば別の顔もいる。共通点と言えば目に光がないことか。

 

「うへぇ、相変わらずえげつねぇ……」

「まあ、神様が敵対者の心を完全に破壊するために生み出した子だし……」

「まあ『劣兵』つー枠組みの中じゃお前以上のチートだもんなぁ」

 

 その『劣兵』の強さは、上級の見た目をした者は上級並の強さを持っていた。

 そんな『劣兵』達を見てルクスリアとラストが顔をひきつらせていた。

 

「よお、こっちはこっちで遊ぼうぜ」

「ぬ!?」

 

 ドゴォ!とエミヤがロキを蹴り飛ばす。岩肌を削りながら吹き飛んだロキは土煙の中から飛び出すとエミヤの蹴りを咄嗟に防ぎ骨に罅が入った腕を見る。

 

「………人間とは思えぬ力だ。まあ良い、人間が神に届かぬと知れ!」

 

 と、ロキが神力を迸られる。

 

「悪神ロキ!これは一体どういうつもり!?」

「む?」

 

 臨戦態勢に入ったロキに向かって叫ぶ者が居た。リアスだ。ロキは不快気に顔を歪める。

 

「ゴミだからと舞う許可を誰が出した?目障りだ、食えフェンリル、スコル、ハティ」

「グオウ!」

「バァウ!」

「ガルァ!」

 

 と、ロキの命令に三匹の狼がリアス達に向かう。

 

「さて、待たせたね……しかし、止めないのかい?」

「何で?彼奴等が死ぬと俺に何か不都合が?ましてや、断ることも出来たろうに主神の護衛の任を引き受けたんだ。死ぬ覚悟ぐらいあるだろうしなくても俺には関係ない。悪いのは魔王だ」

「ふははは!違いない!」

 

 

 

 

「グオオオ!」

「ちぃ、フェンリルか!お前等は下がってろ!」

「朱乃、危険だ!」

「ッ!あなた方の助けなど無くても!」

 

 母を見殺しにした父、そしてその父と同じである穢らわしい堕天使その総督の言葉に、父の姿を見て反抗心が再び表に出てきた朱乃は反発し、彼らの言葉を無視して小型のフェンリルに向かって雷を放つ。当然のように効きはしないが、不快に思い睨み付けるフェンリルの子、ハティ。

 

「ぐおう!」

「朱乃さん!」

「朱乃!」

「ぐおお!」

「イッセー君!?」

 

 イッセーとバラキエルが庇おうとするが邪魔だと爪で弾く。イッセーが纏っていた赤い鎧が一瞬で貫かれバラキエルの内臓が穿たれる。そのまま吹き飛んでいく二人。アザゼルは慌ててバラキエルを捕まえるとアーシアに投げ渡す。

 

「アーシア!バラキエルを癒せ!」

「で、でもイッセーさんは?」

「今は戦力維持が優先だ!」

「イッセー君を見捨てる気ですの!?私の母の時のように、これだから堕天使は!」

 

 と、アザゼルの言葉に朱乃が嫌悪感を露わに叫ぶ。

 

「んなこと言ってる場合か!エミヤ達は護衛対象であるオーディン達しか護る気はねー!俺等は俺等で身を護しかねーんだ、戦闘力高い奴を優先する!」

「ふざけないで!アーシアちゃん、聞く必要ありませんわ。すぐにイッセー君のところに!」

「え、えっと……でもバラキエルさんも……」

「そんな男、どうでも──ッ!」

「きゃああ!」

「チィ!」

 

 と、大声を出していた朱乃にハティの牙が迫る。アザゼルが咄嗟に押し退けるが牙が眼前に迫り、アザゼルの左腕を噛み千切る。

 

「この、犬っころが!」

「ぎゃうん!?」

 

 ドォン!とハティの口の中で光の力が爆発する。喰われると悟った瞬間込められるだけの光のを込めた左腕が爆発したのだ。

 流石に口内で爆発すればただではすまず、その場に倒れるハティ。だが、まだ二匹、それも片方はオリジナルが残っている。

 

 

「────っ」

 

 イッセーはドクドクと流れる血の熱さと、血が抜けていくことによって寒気を感じていた。

 やばい、死ぬ。そんな実感がある。一度死んだ身として解る。これは死に通じる傷だ。

 

「──くそ、せめて……死ぬ前にもう一度部長の、おっぱい……を」

 

 性的興奮をすると力が増すように創られたルクスリアでもあるまいに、凄い根性である。

 

「イッセー………」

「ディペンデレ………?」

 

 現れたのはしかしリアスではなくディペンデレ。心配そうな顔でイッセーを見下ろす。

 

「イッセー、死んじゃうの?」

「大、丈夫だ……死な、ねーから……」

 

 とはいえ死にかけである事は変わらない。時期に間違いなく死ぬ。

 

「……死なせない」

「………ディペンデレ?」

「大丈夫、ボクは……神様からそういう力を貰ったんだから」

 

 ガパ、とディペンデレが小さな口を精一杯大きく開く。口内に広がるのは、暗い暗い闇。イッセーは目を凝らしそれをみた。

 闇の中に何かがいる。誰かがいる。

 それは悪魔であり堕天使であり天使でありドラゴンであり人であり、種族もバラバラなそれらの共通点は性別ぐらいか。いや、後一つ。見覚えがある。そう、この顔は……『劣兵』の………

 

「お、おい待で──!」

 

 ゴフッと血を吐きながら叫ぶがディペンデレの口は近づいていき………

 

「やめい……」

 

 エミヤがディペンデレの首を蹴り飛ばした。

 

「………神様?」

 

 が、ディペンデレはキョトンとした顔でエミヤを見る。イッセーが驚くが首を失ったディペンデレの身体は首まで歩くと拾い、繋げる。

 

「これは食うな。」

「えう……で、でも……このままじゃ……」

「死なない死なない。治してやるから……」

 

 と、エミヤは懐から小瓶を取り出しイッセーにかけると傷が見る見るふさがる。

 

「んじゃ俺はロキんとこ戻る。ディペンデレは犬相手にしてろ………それから其奴は忘れろ」

「解った、神様………」




ディペンデレの能力説明
言葉さえ通じれば簡単に惚れてしまうディペンデレはとにかく依存症で相手が死にそうになると己の中に取り込む。相手は死にかけの状態のままディペンデレの中で生き続けて、取り込んだ相手のコピーを『劣兵』として召喚できる。
なお、元はエミヤがうざったい敵を苦しめるために創った魔獣で分身が死ぬと死の瞬間の痛みと恐怖が本体にフィードバックされる。
範囲強化効果弱化能力の『孤独の将』と仲が良い
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