魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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創造主の方針

 それは純然たる邪気によりその世界に産み落とされた。

 世界をかき回せ、世界を混乱させろと願われ産み落とされた。

 だが───

 

「やーだよ、面倒くさい」

 

 無邪気な悪意を持つ子供のような万能者の言葉にそれはそう返した。

 自分と似ているのを選んでしまったのが運の尽きだろう。彼は常に自分本位。己のために行動する。世界の敵にはなろうとしない。

 だが、まあ……そもそもが異端だ。故に存在しているだけでその世界は本来の歴史を歩まない。せいぜい正史との相違を見て楽しもう。

 

 

 

「と言うわけでそろそろ表……って言っていいのか解らんが他の神話を関わるべきだと俺は思うのよ」

 

 『将』の内何名かを集めて己の方針を話すエミヤ。メイド服姿の『奉仕の将』セルヴィスに膝枕されながらの姿では威厳もへったくれもないが、彼に生み出された者達はヴェーラに劣るとはいえ高い忠誠心を持つため気にしない。

 が、意見はする者が居る。

 

「神よ、よろしいでしょうか?」

「ん、何?」

 

 挙手したのは『忠誠の将』フィエルダー。

 全身を西洋甲冑で包んだ彼は臣下の礼を取ったまま片手を上げる。

 

「無礼を承知で申し上げます。おやめになった方がよろしいかと」

 

 瞬間、周囲から殺気が飛ぶ。並の人外ならその場にいるだけで消滅しそうな重圧のど真ん中に晒されたフィエルダーはしかしいっさい動じず主であるエミヤを見る。

 

「今は時ではありません。三大勢力が動くと言うことは、あの組織が動くと言うこと。ここは傍観が望ましいかと」

「はん、なら全部ぶち殺せばいいだろ」

 

 と、吐き捨てたのは『闘争の将』シュラハト。

 

「ならば聞くが、君は世界最強のあのドラゴンをどう倒すつもりだ?」

「ハッ! そんなもん、正面からぶっ潰すに決まってんだろうが」

「不可能だ。現存の戦力じゃとても足りない」

「ビビってんのかよフィエルダー……『忠誠の将』が聞いてあきれる。所詮組織裏切ってあっけなく死んだ()()()か………」

「従うだけが忠義ではない。時に意見するのも忠臣の行い。そんな事も理解せず我が忠義を侮辱するか、考える脳のない頷くだけの大蜥蜴が」

 

 シュラハトの言葉にフィエルダーが腰の剣に手をかける。ギョロリと剣が開眼し、尋常ならざる光の力が放たれる。それに対しシュラハトは牙に変わった歯を剥き出しにして爪を伸ばし低く唸る。

 ビリビリと空気が震える中、不意にその場にそぐわぬ声が聞こえた。

 

「エミヤちゃーん、新しい服作ったの!ほら、お着替えお着替え!」

 

 朗らかな笑みを浮かべやってきたのは『母性の将』ミテラ。彼女は他の将達とは扱いが異なる。

 何せ彼女も元は魔獣ではない。エミヤが幼い頃、両親に捨てられた日と同日に突然現れたのだ。彼女自身も混乱していたが、自分より幼いエミヤを放っておけなかったのか育て現在にいたる。いわばエミヤの母親代わり。本人も母親を自称している。

 そんな彼女の突然の出現に立ち上がりかけていた二人は慌てて跪く。

 

「ミテラ、それどうみても女物の着物」

「うん。可愛いでしょ?」

「俺は男だから着ない。断じて」

「えー?……あら?」

 

 ぷぅ、と頬を膨らませるミテラ。しかし集まっている幹部達を見て重要な話し中だと察したのかその場でおとなしく引き下がった。

 

「………さて、取り敢えずシュラハト。フィエルダーは確かに元人間だがこの俺が『忠義の将』の与えたんだ。それを疑うのは俺の判定を疑うって事だ」

「………申し訳ありません」

 

 と、素直に謝罪するシュラハト。

 

「フィエルダー、お前の言うことに一理あるのも解る。だがもう決めた……」

「………理由をお聞きしても?」

「だって、面白そうじゃん。それにテロリストに人権はない。ぶち殺そうと材料にしようとだぁれにも責められないんだぜ?だから決まり。神話の表舞台に立つぞ」

「「「我が神のお心のままに」」」

 

 面白そう、そんな子供みたいな理由であろうと決めたというなら従う。それが彼等の存在意義。

 それは当たり前のことであり、喜ぶことでも感激することでもない。故にエミヤは欠伸をするとさっさと眠ってしまおうと目をつぶる。

 そして彼が彼等の忠義を当然として気にもとめないのは彼らにとってはむしろそれだけ当然と思われているという事であり、喜ばしいこと。故に誰もが喜びに震える。

 

「あ、そだ………」

 

 が、不意にエミヤが目を開けたので姿勢を整える。

 

「ヴェーラ、お前の腕悪魔か堕天使が持ってるだろうし、適当にからかっとけ」

「はい、神よ」

 

 と、ヴェーラは()()()()()神意に従った。

 

 

 

「へぇ、これがコカビエルをぶっ殺した()()の腕か………」

 

 堕天使総督、アザゼルはコカビエルの回収を命じたはずの白龍皇ヴァーリが代わりに持って帰ってきた白く綺麗な腕をしげしげと見つめる。その姿はどこか猟奇的だが彼に宿るのは人の肉体を愛でる異常愛ではなく研究者としての本能。

 

『 魔 獣 創 造 』(アナイアレイション・メーカー)か……過去の所有者で堕天使幹部、最上級悪魔クラスを瞬殺できる奴が造られたなんて情報はない。今回の所有者はとんでもなく優秀だな………問題は………」

 

 目的と規模。

 コカビエルを殺すように命じたようだが、目的は何だ?堕天使が嫌いとかだったら最悪だ。それに戦力規模も……もしこのレベルがまだまだ無数に居るとなれば一神話に匹敵する脅威だ。唯一の救いは創造主が人間であることか。それなら寿命で………

 

「いや、最近ハーフの神器待ちも増えてきてたな………ん?」

 

 腕を観察していると不意にピクリと動く。

 気のせいか?と、首を傾げた瞬間切り口からボタボタと大量の血が流れ出した。先程まで血の一滴も流れなかったのにだ……。

 

「──!?」

 

 気持ち悪さと血に何らかの毒が含まれている可能性を考慮して腕を放り投げる。

 そして直ぐに次の異変。飛び散った血液が蠢き無数の純白の翼を持った獣に姿を変える。いや、血液だけではない。腕も質量を無視して膨らみ姿を変える。

 こちらは獣が鎧をまとったような陶器のような白く滑らかな甲殻を持っており、目と思われる赤い宝石がアザゼルを見つめ光る。

 

『キュオオオオオオオオ!!』

『オオオオオオオオオッ!!』

「────っ!」

 

 その他とは異なる個体が笛の音のような遠吠えを上げると他の個体も共鳴するように吠える。そして、光を放ち壁を破壊すると窓から出て行く。異常を感じた堕天使達が気付いて追うが一体一体が中級クラス。逆に返り討ちにされ、結局幹部達が対処するももとより戦う気など無かったかのように殆どが逃げていった。

 修繕費と治療費はもちろんアザゼルの個人資産であった。




セルヴィス
『奉仕の将』
メイド。エミヤの願いを叶えることこそ至上の喜び。
家事全般から戦闘までこなす。エミヤだけではなく他人にも奉仕精神が働くが最優先はエミヤ。
特殊能力は無し。


フィエルダー
『忠誠の将』
元人間でありエミヤに忠言できる数少ない存在。
既に故人だったが聖杯とエミヤの力により恋人と共に生まれ変わった。その恩から絶対の忠誠を誓っている。
能力は個体スペックとしてはヴェーラを超える光とエクスカリバー級の聖剣型魔獣の創造。


シュラハト
『闘争の将』
集めに集めたある共通点を持つドラゴンの魂を聖杯でこねくり回して感情が擦り潰れるほど混ぜ合わせて戦いを求める部分を切り離し創った魔獣。闘争心が高く粗暴。
エミヤの敵を葬ることが指命と感じてはいるが出来れば強い敵と戦いたいと思っている。兄弟として性欲の部分を切り取った『色欲の将』が居る。仲は悪くないが主に止める役目を担っている。


ミテラ
『母性の将』
ある日エミヤの前に現れた女性。エミヤも彼女も何故出会ったのかは解らないがエミヤ二には何となく心当たりがあるらしい。厳密には『将』ではないが幹部達を見て名乗り始める。
エミヤの母を自称しておりエミヤが頭の上がらない唯一存在。エミヤを女装させようとしてくる。一体どこの吸血鬼何だ……



『新興の劣兵』
『新興の将』ヴェーラの血肉から産み落とされる量産型魔獣達。
血を媒介にした個体は堕天使、悪魔、天使の中級クラス。肉を媒介にした個体は量に左右されるが上級クラス。
『将』全員が類似の能力を持っておりフィエルダーの聖剣型魔獣はこれの亜種。フィエルダー自身も『劣兵』を生み出すことは出来る。
『劣兵』とは別に『兵』がいる。兵についてはその内書く


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