魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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騒動の後

「あ、そういやさっき旧魔王派じゃねー悪魔喰ってた。おら、吐き出せ」

「キュウウ」

 

 ゲシゲシと腹を蹴られ鳴き声をあげると口からデロリとアーシアを吐き出す魔獣。時間をかけてゆっくり溶かすつもりだったのが幸いして死んでいない。皮膚の所々は溶けて神経がむき出しになっているのは苦しめるための仕様だ。魔法で回復してやる。

 

「トロフィーが壊れたのは残念だったが、ま……いろいろ楽しめた。またな」

「待ちなさい………」

「……ん?」

 

 年は戻ったが女のままの肉体を見てはぁ、とため息を吐いていたエミヤはその声にシャフ度で振り返る。

 リアス・グレモリーとその眷属達が睨みつけていた。

 

「私の眷属を、可愛いイッセーを殺してただで帰れると思っているの?」

「思ってるけど?だってここには同盟相手のトップが居るんだぜ?」

「な!?貴方、イッセーを殺したことに何も思わないの!?」

「うん。面白い奴だったとは思うけど……ルクスリアでも代わりが効くしルクスリアと違って他人だしな。それに、うっかり殺しちまうほど弱かったが建前なんて簡単に思いつく。ほら、一応あれ神滅具(ロンギヌス)だし?転生してテロリストに見つかったら間違いなく抜かれて殺される子供とその被害で死ぬ奴等が可愛そうだと思うだろ?俺は思わないけどグレモリーは慈愛が深いんだし」

 

 チッとリアスから放たれた滅びの力がエミヤの髪の表面の細胞の極一部を僅かに消し去る。

 

「………へぇ」

 

 エミヤが笑う。せっかく手に入れた賞品を壊されれば怒り、蟻が噛みついてくればその反応を楽しむ子供そのものであるエミヤだが持つ力、勢力は強大。魔獣の『将』と『兵』、101匹の子犬達、そして解放された力より産まれ出でた最上級悪魔共を腹の内に納め悠々と宙を泳ぐ魔獣達が創造主に敵意を向けたリアス・グレモリーを殺そうと構えるも創造主の喜悦に思いとどまる。

 

「良いね。勇気ある行動だ……良く、勇気と蛮勇を履き違えるなと聞くが俺はそうは思わないね。例え無駄に死んでも勇気は勇気だ。俺は尊重するぜ?殺したいと願うなら殺されてやる。お前が俺より強ければな」

 

 殺されることに抵抗はない。倫理観を失っても知識として存在する以上、他者の命を菓子より軽く見る自分が悪と見られるクズである事は理解しているのだから。だが生きたい理由もある。

 殺しにくる者は憎まないししつこくないなら報復もしない。だが挑んでくるなら殺す。生きて楽しみたいから。

 ああ、しかし……そういう顔は大好きだ。死ぬかもしれないのに挑もうとする勝ってみせると意気込む勇気はその存在がいかに脆弱だろうと褒め称えるべきだとエミヤは思う。まあ、それでもやはり殺そうとするなら殺すけど。

 年齢は戻っても性別が戻っていないのは、取り込んだ女神達と原初の悪魔の力が完全に封じられていない証。放たれる殺気は怒気を漲らせていたリアス達を怯えさせ戦意を削ぐには十分だった。と、リアス達を庇うように魔王サーゼクスとセラフォルーが出てくる。

 

「………魔王様、そこの下手人を庇うと言うことは、悪魔は我が夫である魔獣神エミヤ様を殺そうとすることを是とする、ということでしょうか?それはつまり、北欧も敵に回すことだとご理解ください」

「え、おれそんな名前で広まってんの?」

 

 ブリュンヒルデが槍を構え魔王達と対峙する中エミヤはどうでも良いことに反応していた。

 

「先に魔王の妹の眷属に危害を加え、殺したのはそちらだろう」

「お言葉ですがあの状況で人質一人にはかまっていられません。それに、赤龍帝に関しては既にエミヤ様が仰った通りかと……」

「だが!」

「我々と敵対するか、貴方達二人で決めて良いことでもないでしょう。一度戻り、魔王達、そして大王を交えて冷静にお話を。その上で決めた判断ならば、それは悪魔の総意と受け取りましょう」

「え、いや俺は別に敵対した奴だ───ごめんなさい」

 

 余計なことは言うなと睨まれ大人しくなるエミヤ。今度キチンと政治の勉強しよう、己本人はどうでもよくても、どうも嫁さんに迷惑かけるらしい。

 

「んじゃ、今度こそ帰るねー。俺は別にどっちでも良いよん」

 

 

 

「非があるのは此方だ。敵対など馬鹿らしい」

「どうか~ん。てか偉そうにしてるけどあのクレーター公開しちゃえばよかったんだよね~」

 

 サーゼクスとセラフォルーの言葉にあっさり返すゼクラムはファルビウムの言葉にチッと吐き出した。

 エミヤが冥界に作り出した巨大なクレーター。聞けば滅びの力を使ったのだとか。そんなもの、初代である自分でも不可能だ。全盛期に残りの寿命全てつぎ込めばあるいは、というレベル。だからこそ隠してしまったのが今回の原因の一つだろう。

 

「まあ、その光景を見てなお強気に出られるリアス君には正直感嘆するがね」

 

 と、アジュカが目頭を押さえる。

 

「こっちとしては旧魔王派を討ってもらった上に暴走した赤龍帝を止めてくれたという、借りしかないんだよね~。むしろ謝礼金を払うレベル。いや、彼の場合大量のお菓子かな~?」

「とにかく。彼は冥界の恩人として報道する。異論は認めん……」

 

 

 

「………ふむ」

 

 漸く男に戻ったエミヤは、行きつけの店の店主が渡されるように頼まれた、という手紙を見る。

 

『一生大人の姿を取って私を弟にしてください』

 

 はっきり言おう。意味が分からないでござる。解ることと言えば女扱いされているということ。

 

「ブリュンヒルデ~、これになんかあれだ。北欧式の呪いかけといて」

「では差出人が不幸になる呪いを……」

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