魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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二条城

「ねえねえ九重。お母さん助けるけど代わりにお願いして良いかい?」

「む、願いじゃと?」

「俺と友達になってくれよ。今、オーフィス一人しかいないからな」

 

 オーフィスはん?と振り向く。呼ばれたと思ったのだろう。

 

「……お主、寂しいの」

「そうでもないさ。愉快な部下達が居るからな」

「うむ。そうか………うむ!では今日から友達だ、エミヤ殿もオーフィス殿もよろしく頼む!」

「我も?」

「うむ!友人の友人は友人だ!」

「………友人」

 

 言われない言葉を復唱し、オーフィスはコテンと首を傾げる。

 

「さあ行きましょう皆さん。おそらくバラバラに転移させてくる可能性があるので互いに位置が解るように魔法───エミヤさん?」

 

 ルフェイが各々に魔法によるマーキングを施そうとするとエミヤが拳を握っているのが見えた。

 

「てい…」

「ええ~」

 

 そのまま空間に穴をあけた。元々龍脈を利用する都合上、京都と密接する場所にあった結界空間ではあるのだが仮にも神滅具の結界を拳で空間ごと破るって………。

 

「ん、京都再現されてる………つまり食べ放題?」

「いや、食料までは再現されていないな」

「チッ、使えない」

「だからゲオルクはゲオルクって呼ばれる………」

 

 オーフィスの言葉に目を輝かせたグラトニーだったがエミヤの言葉に舌打ちし、オーフィスも人の名前を蔑称のように扱った。

 

「所でエミヤさん、この子何が出来ますか?」

「体当たり、噛みつく、引っ掻く、火炎放射、仲間を呼ぶ、大きくなるだ……」

「なるほど。ではリルちゃん、仲間を呼ぶ」

「あおぉぉぉぉん!」

 

 ルフェイの言葉に遠吠えをあげるリル。足下に大量の魔法陣が現れ沢山の子犬型フェンリルが現れる。その数、元々この場にいたのを含めて101匹。黒歌の顔がひきつった。

 

「わん!」

「はっはっ!」

「にゃぁぁぁぁ!来るにゃ来るにゃあ!おす、わぷ!やめ、おねが──甘噛みするにゃあ!」

「……黒歌さん、ずいぶん懐かれてますね」

「ペットとして先輩だからな。彼奴がボス、じゃれてるのさ」

「そうですか。微笑ましいですね」

 

 たくさんの子犬がじゃれつく姿はなるほど確かに可愛らしい。一匹一匹が神をも殺せる力を持っていることを除けば………甘噛みでもうっかり死にかねない。

 

「おすわり!」

「「「わん!」」」

 

 黒歌の言葉に一糸乱れぬ動きでおすわりするフェンリル達。黒歌ははぁはぁ、と乱れた着物を整えながら肩で息をする。おすわりの姿勢で待っているフェンリル達は褒めてと言わんばかりに尻尾を振って首を傾げる。

 

「………いくにゃ」

 

 

 

 途中で慌てた様子でやってきた攻撃を吸収する影使いをオーフィスが瞬殺して、そのほかの神器使いをフィエルダーが切り裂きあっという間に二条城についた。

 

「やあ良く来──なんだこの大量の子犬は!?」

「リル君と100匹の仲間達です!全部で101匹、可愛いですよね?」

「確かに可愛いが、気が抜ける光景だ………」

 

 と、ルフェイに抱えられたリルを筆頭に尻尾を振って此方を見つめるつぶらな瞳にため息を吐く。しかし何故此方を見て尻尾を?餌でももらえると思っているのだろうか?

 

「母上!」

 

 と、九重が叫ぶ。視線を追うとそこには虚ろな目をした女性。九重の言葉に反応しない。

 

「洗脳か……」

「ああ。そうだよ、実験に協力してくれるようにね……さあ、始めようか」

 

 そういうと曹操は槍の石突きで地面を叩き……叩き……

 

「……あれ?」

「ゲオルク?」

「これは、馬鹿な………集めた気脈のパワーが、消えている?」

 

 九重が首を傾げ曹操が眼鏡の男性に問いかけ眼鏡の男性が驚愕してエミヤがあ、と手を叩く。

 

「忘れてた。気脈のエネルギーはもうないぞ。あんな堂々集めて対策されないと思ったのか?全部グラトニーが喰ったよ………しかし『さあ、始めようか』って………ぷふ!」

「笑ってはいけませんよ旦那様。そもそもあんな事を英雄の本質だと真面目な顔で言う輩が考えた作戦など穴があって当然です」

 

 吹き出すエミヤを窘めるブリュンヒルデ。エミヤもそうだな、と笑うのをやめ向き直る。

 

「さてそういうわけでもうお前等の実験は行えない。早く九重の母さん返しな」

「そして和菓子の再現も結界の中に」

「我も命じる」

「うん、二人とも静かにするにゃ」

 

 場の空気を読まないグラトニーとオーフィスを黒歌が呆れたように窘める。

 英雄派達になにやらいたたまれない空気が流れる。

 

「………まあ、良いさ。どのみち最終的な目的が今ここに現れただけ。ヘラクレス、ジャンヌ」

 

 と、曹操が呼ぶと金髪の女性と大男が出てくる。エミヤはふむ、と顎に手を当てるとブリュンヒルデに正座させる。

 

「フィエルダーはあの聖なる雰囲気がかけらもないジャンヌ、ルフェイは101匹の子犬達ででかいのと戦っててくれ。デナイアル、その魔法使いの知識と神器は欲しいから生かしたまま捕らえろ。俺は寝る。きちんと加減して仮眠できるぐらいの時間は戦えよ?ふあぁ……」

 

 とエミヤはそういうとブリュンヒルデの膝に頭を乗せ眠り始める。オーフィスは暫く曹操達と見比べた後、エミヤの腹に頭を乗せ眠る。

 

「お、おいお主等!?」

「大丈夫にゃんお姫様。手加減するよう言ってたから、きっと暫くは安全だにゃん。さ、おねーさんと結界に閉じこもるにゃ」

 

 黒歌は全てを諦めたような目で呟くのだった。

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