魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした 作:ダ・ヴィンチちゃん
「忌々しい小僧め。良く我の前に姿を出せたものだ、この場で滅ぼされる覚悟は出来ているのだろうなぁ、ええ?」
エミヤの体を使うティアマト………いや、ほぼエミヤに取り込まれかけたティアマトの残滓が曹操の体を乗っ取った聖書の神を睨みつける。ビリビリと震える空気。偽りの京都の地面が、建築物が、空が、空間そのものがひび割れる。
「相変わらず馬鹿げた力だ。世界そのものに匹敵する………真龍と龍神さえいなければ貴方が頂点だったろう。世界になった、などと言う逸話が広がるわけだ」
「貴様が素直に余所の神を、己以外の神を誉めるとは思えん」
「酷い言われようだ………私は君達の強さを尊敬してるよ。この世界の未来も知らずに平然と過ごすことを見下しているだけだ」
ふん、と鼻を鳴らす聖書の神の目には確かな侮蔑が浮かんでいた。
「知れるだけで実現できるわけでもない全知風情が吼えよる」
「全能のくせをして、唆された我が子を殺すことも出来ず死んだ女神が偉そうに……いや、今はもう殆ど外敵に喰われているのだったな」
聖書の神から、その手に持つ槍から膨大な聖なるオーラが放たれる。
「我や
「この世界を守る。貴方達では役者不足だ」
「言ってくれるな……」
「貴方達は、今の世界以外に世界があるとは思わないのか?我々だって、互いを知らなかったというのに」
「何だと?」
「その身に宿る魂は間違いなく我等の知らぬ理の外からきた。そして、我々や或いは貴方よりも神格が上の神だ。貴方達を取り込むほどにな」
その言葉にエミヤは己の胸に手を当てる。今己の中にある記憶は、誰の記憶だ?
神を産み続け、炎の神を産んで焼け死んだ記憶がある、神を産み続け、その内子供達に反逆され殺された記憶がある。他人との価値観の違いを自覚しながら隠して生きていて、気がつけば不可思議な力を持って異なる世界に暮らしていた記憶がある。己の神話の主神が他の神話と和議を結ぼうとしているのが我慢できず襲撃し
だが、主観は一つ。その記憶こそ己のモノだと言えるのは一つ。
「────ああ、そうだな。うん、感謝する」
「────」
「これが俺だ。思い出した」
「───余計なことをしてしまったか」
聖書の神としては挑発し、己を強く思い起こさせ調和を乱そうとしたが外敵の魂が思った以上に我が強かったらしい、むしろ己を見直して完全に吸収してしまった。
「イザナミ、ティアマト、ロキ……いろんな記憶を見てもお前やらかしてんなー……しかし外の存在に備える、ね……俺のことを予知してたのか?」
「残念ながら、君は完全なるイレギュラーだよ。機械の邪神が攻めてくるのは見えていたんだが、君は知らん。だが未来この世界を守る礎になるはずだった赤龍帝を殺した君は間違いなくこの世界の敵だ」
え、あんな変態が世界を守る礎?大丈夫かよこの世界と世界の未来が心配になるエミヤ。しかしどうも相手は真面目に言っているらしい。
「だから、ここで君に対抗する用意をさせてもらおう」
パチンと聖書の神が指を鳴らすとオーフィスの足下に魔法陣が現れる。そこから溢れてきた黒いオーラがオーフィスを包む。エミヤが黒いオーラを腕に纏い魔法陣に腕を突っ込む。
『があぁぁぁぁぁぁ────!?』
引きずり出されたのは堕天使の上半身と東洋の龍のような長い龍の下半身を持った貼り付けの生物。首を捕まれ苦悶の声を漏らすもボギリと首の骨が折られる。
「イザナミの死のオーラで防いだか。嫌になるよ、私のように術式を編み出さずともそれほどの力を持つのだからね……」
エミヤがポイッと放り投げると広がった影に吸い込まれていく。が、その前に腹を突き破った黒い蛇が聖書の神の手に収まる。
「……我の力、取られた」
「もとよりそのために造った堕天使だ。ハーデスめ、私を嫌ったくせに私が残したものを使うか。まあ、彼ではこれを十全には使えないだろうがね」
「我今二天龍の五倍程度の弱さ」
「そりゃまた、弱体化したな」
「残念……」
と、オーフィスの頭を撫でて慰める。
「んじゃ、それ返せ聖書の神」
「断る」
エミヤの言葉にそう返した聖書の神。なら殺すとエミヤがゴキリと指を鳴らす、瞬間聖書の神が描いた術式から霧が放たれる。
「………神滅具の再現か。流石制作者………」
「逃げられましたか?」
と、問いかけてくるブリュンヒルデ。
「……旦那様」
「ん?」
「私は、例え貴方が何処の何者であろうとも、貴方の妻です」
「………そう、ありがとう」
エミヤはそういうとデナイアルが持ってきたSAN値チェックが必要そうな物体を取り込み偽物の京都を消し去った。