魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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バロール

「おーおー、こりゃまたあれてるなぁ……ん、天使じゃん。結局裏切ったのか」

 

 悪魔との同盟として駆けつけた堕天使が吸血鬼達と戦う中天使の軍勢が悪魔に攻撃しているのが目に入る。監視はつけられていただろうから直ぐに他の神話も関わってくるだろう。早いとこ目的を果たそう。

 

「お供します主様」

 

 目を閉ざしたままのキリングがそう呟く。その後ろには夥しい数の肉片が血の海に沈んでいた。

 全てキリングが切り刻んだ旧魔王派の悪魔やそれに続く魔法使い、無理矢理転生させられた転生悪魔達に天使、吸血鬼、後ついでに堕天使からの裏切り者。

 

「さぁってと……何処に居るのかね~?」

「誰を捜しているのですか?」

「ん、言ってなかったか?白音とか言う俺のペットの妹助けに来たんだよ」

「成る程。殺しますか?」

「何でだ殺すな」

 

 助けると言ったのに何故その質問が来るのか………ああ、そう言えば『殺意の王』だ。自分でそう創ったんだった。

 

「屋敷にいると思ったんだが、避難した後かね?」

 

 と、そこまでいって気配を感じる。向かうと、居た。グレモリー家の使用人達に護衛されているリアス・グレモリーとその眷属達。

 

「しかし主、そう簡単についてきますか?」

「ん?そりゃついてくるだろうよ。彼奴の来歴ちょっと調べりゃそんなの簡単に解る。ま、本人は良い子ちゃんぶりたがるだろうがその分調教しやすい」

 

 ほらいくぞ、とキリングを連れ歩き出すエミヤ。楽しそうに笑う主に、少し不安を感じるキリング。感情が揺れ動くのが好きな主が余計な挑発しないか………そうしたら、相手を殺せるかも。

 

 

 

 

 リアス達は突如起きた冥界各地での暴動により屋敷に避難していたが、ここも危ないとルシファー領に移動することになった。

 

「全くお義姉様もお兄様も心配しすぎなのよ。私達だって戦えるわ」

 

 リアスはどうやら守られているのが不満のようだ。まあ伝説の聖剣使いに聖魔剣の使い手、時間を止める半吸血鬼に自慢の女王が居るから強気なのだろう。戦車……も、まあ可愛いし強いから自慢の眷属だ。

 

「ご自愛くださいリアス様。貴方はグレモリー家の次期当主なのですから」

「ん?次はミリキャスとか言う奴じゃねーの?」

「勿論リアス様はそれまでの繋ぎではありま────!?」

 

 不意にかけられた声にバッと振り向く。そこには魔獣神エミヤ・リリィとおそらく魔獣と思われる黒衣に身を包んだ黒髪の女性。目は閉ざされており、何処を見ているのかは不明だ。

 

「エミヤ・リリィ!?どうしてここに!」

「ん、そりゃ───」

「そういうことね」

「ん?どういうことだ?」

 

 護衛達が驚く中リアス・グレモリーが突然合点が言ったというような顔をする。

 

「今回の暴動、裏で手引きしていたのは貴方ね!」

「どういうことだってばよ………まさかお前等、たかが悪魔如きが搦め手使って貰えると思ってんの?」

 

 心底不思議そうな顔をするエミヤ。だってそうだろう、此方には二天龍を越えるレベルの強者達が何人もいるのだ。戦いは強力な個によって決まるものではないが、衰退中の三大勢力など『王』を一人か二人派遣すれば一日で片が付く。

 

「イッセーを殺したのも、悪魔側から戦力を奪って反乱を起こさせるためだったのね!」

「いや、あの餓鬼一人で戦況が覆るわけねーじゃん。覆るとしたら最初っから勝ちの決まってた戦いがようやく軌道に乗っただけだろ」

 

 もしくは戦争とも呼べない小規模の戦いならまあ、戦況は変わるだろうが……。

 

「俺はそこの白音っつー猫を迎えに来ただけだ」

「───!?」

「白音だと、誰だそれは?」

 

 エミヤの言葉に塔城小猫がビクリと震えゼノヴィアやアーシアなどが首を傾げる。と、その時───

 

「居たぞ!偽りの魔王の血筋だ!」

「殺せ、貴族を殺せ!」

 

 旧魔王派と転生悪魔の反逆者と思われる悪魔達がやってきた。その数、30。聖杯で強化されてさらに禁手(バランス・ブレイク)にも目覚めている様子。リアス達は覚悟を決め───

 

「黙らせろキリング」

「はっ」

 

 戦おうとする前にキリングが前に立ち目を開く。黒い眼球に、金色の虹彩。虹彩には不気味な赤い文様が描かれており、その瞳に見つめられた者は死んだ。

 焼き殺され斬り殺され絞め殺され圧縮して殺され抉られて殺され凍らされて殺され感電して殺され溶かされ殺され病んで殺された。

 

「よし閉じろ」

 

 エミヤの言葉にスッと目を閉ざすキリング。振り向けばリアス達が絶句していた。

 

「何、今の………」

「キリングの能力の一つ。この世界で誰が見た殺し方を己の視界の中で再現する。まさに直死の魔眼ってな。あ、ちなみに赤い部分が青く変わると相手は心臓麻痺を起こして紫に変わるとまんま直死の魔眼になるぜ」

 

 3パターンとか凝ってるだろ、と良く解らない自慢をするエミヤはまあ良いか、と再び小猫を見る。

 

「んじゃ行こうぜ。大丈夫、俺のところにいれば守ってもらえるから」

 

 何なら強くしてやろーか?と笑うエミヤに小猫は当然前にでない。後ろにも引かないので距離は近くなるが。

 

「条件が、あります……」

「ん?」

「皆さんを、助けてください……そしたら、私は貴方についていきますから」

「小猫!?何を言っているの!」

「そうですわ!こんな奴らの言うことなんて」

「………皆殺しにします」

「だから白音は連れてくって………それとその条件は却下だ。だってお前別に嫌々じゃないもん」

 

 刀の柄に手をかけるキリングを止め小猫の条件を却下するエミヤ。その言葉にリアス達が不快そうに顔を歪める。

 

「小猫は私達を守ろうとしているのよ、そんな事も解らないのかしら?」

「お前こそ自分の眷属のことなぁんも解ってないな。なぁお前さ、何で黒歌を嫌う?」

 

 と、急に問いかけてくるエミヤにえ、と固まる小猫。

 

「それは、姉様が暴走したから………」

「嘘だね。自分を守ってくれなかったからだろ?お前は本心では自分を守ってくれる奴が居ればそれで良いって思ってる」

「そんな事───!」

「じゃあ何で信じようとしなかった?ずっと守ってきてくれた大好きな姉様だったはずだろ?お前は信じようとしたか?」

「─────」

 

 小猫はようやく一歩後ずさる。自分より幼い少年に怯えるように。

 

「お前は守ってくれるなら誰でも良いんだ。守るっていって目の前で体を張られりゃ、お前は簡単にそいつに惚れる。黒歌だって、庇ってくれたならお前は簡単に許すよ。お前はそう言う奴だ」

 

 自分を命がけで守ってくれる奴は好きで、それ以外はどうでもよくて、守ろうとしない奴は嫌い。そんな自己中心的な奴だとエミヤは言う。そんな事ないとリアス達が叫ぶが小猫にはどこか遠くの出来事のように聞こえる。

「これをお前にやろう。メルプストの血から造らせた剣だ。お前にゃぴったり、心臓にさせばはい終わり。簡単だろ?それだけで俺達の仲間だ」

《────おい》

「ん?」

 

 小猫に短剣を渡し引っ込めようとした手をガシリと捕まれる。見れば闇を放つギャスパーがエミヤを睨んでいた。

 

《黙って聞いていれば小猫ちゃんを侮辱して───イッセー先輩まで殺した上、何様のつもりだおま───!!》

 

 虫でも払うように腕を振ると壁突き破り庭の彫像や木々を貫きながら吹き飛ぶギャスパー。ゆらりと闇を放ちながら起きあがる。

 

「………この気配、()()()()()。どの記憶かは忘れたが、バロールか………」

 

 魔神バロール。ギャスパーの神器の名の由来となった魔神。聖書の神はおそらく回収できなかった神を手に入れる器として造っていたのだろう。本当、そう言うのは得意らしい。

 

()()()()()()()()()()の残滓か………キリング。あれ、喰え」

「はっ……」

 

 キリングはスラリと剣を抜く。ゆらりとギャスパーの闇にも引けを取らぬ禍々しい黒いオーラを放つ。それが様々な武器の形を取る。

 

「人とは面白いと思わないか?こんなにも多くの殺しの道具を造り、本来なら別の用途で使う道具を殺しのために使えるのだから」

《コオォォォォォォォォッ!!》

 

 獣のような方向をあげ闇の獣へと姿を変えたギャスパー。それに合わせるように現れた無数の闇の異形の怪物。

 

「私はお前に恨みも憎しみも抱かない。主の命令だからとも言い訳もしない。特に理由はない、だが殺したい。故に殺す」

 

 殺到する無数の刀剣、槍に斧。銃弾に工具に果ては車。様々な殺意の固まりが闇の獣に迫る。本来なら全て飲み込む闇は純粋な込められた力の質と量にあっさり敗北し打ち破られ、残った本体の首がキリングに跳ねられる。

 闇が消えていく中ギャスパーの体はキリングが放つオーラから生まれた獣に喰われて消えた。




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