魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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聖書の神と魔獣神

 エミヤは護衛も引き連れず悠々と歩く。途中襲ってくるのは本来なら曹操が禁手で操る人形。聖書の神の術式と無限の龍の力の一部によるブーストで最上級レベルに強化されていたが、エミヤは気にもとめない。

 ただ歩く。普段は押さえている神威や原初の魔としてのオーラを放つだけで人形は耐えきれず押しつぶされる。

 その隣をついて歩くメイドはそのオーラの中無表情でついて行く。彼女もただ者ではないのだろう。

 

「お、付いた付いた………」

 

 開けた場所にでた。その奥には獣が眠っていて、その前にたつのは曹操の身体を乗っ取った聖書の神。

 聖なるオーラを放ちながらエミヤのオーラを押し返す。

 

「堕天使も、ミカエルも、君達の相手にならないか………理不尽な強さだ」

 

 そう呟く聖書の神にエミヤはケラケラ笑う。

 

「当然だろ?俺ってば最強なのよ。勝てる奴なんて居ない居ない。だけどあきらめるなよ?足掻く様を見守ることこそ俺の娯楽だ」

「それだけの力を持ちながら、それでも君は人間だな。直ぐにつけあがるその傲慢さ、まるでルシファーのようだ」

「照れるぜ」

「誉めていないよ」

 

 ケラケラと余裕を崩さないエミヤに苛立ったように顔をしかめる聖書の神。エミヤは彼には大した興味は抱かない。むしろその背後にいる獣にこそ興味を引かれる。

 

「それトライヘキサか?」

「知ってるのか」

「俺には祖神の記憶があるんだぜ?知らないはずあるか………しかし、ふーん……オーフィスやグレードレッドと同格って所か」

「そうさ。しかし、これでも備えているとは言い難い」

「………お前は一体何をみたんだ?」

 

 オーフィスといえばこの世界最強の一角。それと同程度の力を前に足りないと称する神にエミヤは何を思ったのか尋ねる。何処からか取り出した椅子に座り膝に小柄なメイドを乗せ頭をなで始めるその姿は自分こそがここの王だと言っているようだ。

 メイドは……青ざめた顔で大人しく従っている。魔獣、ではないのだろうか?或いは忠義を植え付けられていないタイプか、転生した魔獣………まあ、今はどうでもいいかと切り捨てエミヤを睨み、自分とお前は同格であると言うように玉座を取り出し腰を下ろす。

 

「………絶対の絶望」

「絶対の絶望とは大きくでたな。この世界にゃ神が溢れてんだぜ?神話通り宇宙焼けるほど強いのはいないけど全員がんばれば星一つは消せるだろ」

「星一つなんかではとても足りない。奴らは、それだけ強大なんだ!」

「ほほう?」

「奴の強さはオーフィスやグレードレッドを凌ぐ!奴の妹と兄も同様に!その部下だけでも、主神クラスだ!わかるか?そんな連中が組織だって攻めてくる!なのに、なのにだ!私が予知した未来では各神話は足並みをそろえようともせず蹂躙されていくだけ………」

 

 だからこそ彼は人間に力を与えた。どの神話にもつく可能性がある人間が力を持てば、引き入れようと神話同士が接触すると踏んで。神器を生み出し、改めて予知すれば確かに未来が変わっていて。神器持ちの中に極めることができれば神さえ殺せる代物も作った。結果、ほんの少し足並みがそろい始めた。だが、足りない。

 そこで神が行ったのは、さらなる敵を作ること。そして、三大宗教と呼ばれるまで肥大化した己の宗教に同盟のきっかけになってもらうことだった。

 まずは魔王を殺す。二匹のドラゴンがやってくれば、残った力の全てを使い封印して神殺しを増やし己も死ぬ。

 その先は予知していた。魔王の血筋を戦争を嫌った悪魔達が反乱で追い出し、三大勢力は冷戦状態になる。追い出された魔王の血筋はオーフィスに頼り、オーフィスを恐れた三大勢力は他の神話にも同盟を誘いかける。

 オーフィスの元に集まったのは何も悪魔だけではない。神器持ちの人間、中には神殺しも。その結果、神話の足並みは更に揃う。そこにトライヘキサが復活すれば、同盟は完成する。

 ハーデスなど一部神が調和を乱すがそれを止める者もいる。その筆頭が兵藤一誠。自分にまっすぐな彼は神をも魅了し好感を抱かせ、同盟の中心人物となる………筈だった。

 

「それを、貴様が殺した!貴様は、この世界を救う唯一の手だてを奪ったのだ!」

「お、セラフォルーの死体みっけ。オーフィスの欲しがってた魔女っ娘メイドにしよっと」

 

 グサリとセラフォルーの死体に己の血で作ったナイフを突き刺すエミヤ。聖なる力で焼かれたのだ。魂は残っていない。が、脳に残った記憶から生前の性格は再現できるだろう。

 

「……私の話を聞いていたか?」

「聞いてた聞いてた。で、絶対の絶望だっけ?うんうん、悪いことしたな。責任はとるよ……」

「は?え……ほ、本当に?いや、なら助か───」

「というかもうとった。なあ、メルヴァゾア」

「……はい」

「………は?」

 

 何故、その名が今出てくる。30年後現れる絶対の絶望の名を何故彼が知り、そしてそれをメイドが答える。

 

「紹介しよう。ロボッ娘メイドのメルヴァゾアだ………時を操ったり存在という概念に干渉したり平行世界の自分をコピーして生き残ったりとまあまあ厄介な不死者ではありましたが。ぶち殺して部下と妹と兄を喰って、こいつだけ特別にメイドに転生して生き残ることを許した。あれ、此奴もと男だっけ?女だっけ?まあいいや、お前がいずれ攻めてくると恐れたあの世界唯一の生き残りですよー」

「……………は?」

「お前の言うとおり、あの世界の連中は強い。この世界に責めてきたら勝ち目なんてないほどに。恐らくこの世界より上位なんだろうな……だから、虫螻一匹にいたるまで丁寧に食べてやった」

「……………は?」

 

 何を、いっている。訳が分からない。あの可憐な少女が、予知したあの絶望?それがいた世界を、滅ぼした?あの絶望を何度も倒しているが殺しきれない善神は?それだって、グレードレッドよりも強者のはず。

 

「だーかーらー。全部俺の糧にしたんだって、あったまわるいな」

「あ、ありえない!たった三神と原初の魔を喰っただけで、そんな……!それに、全部?そんなことをしたら、魂が持つはずがない!」

「あっはは。お前等とあの世界の連中はまあ、格が違うわな。それでも同じ次元だ………()()()()()()()()()()()()()()()

 

 エミヤは混乱する聖書の神を前に楽しそうに笑った。

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