魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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会談

 オーフィスと遊んだ後別れて町を適当にぶらつくエミヤ。護衛のフィエルダーが異様に目立っている。ルクスリアはナンパしにいった。

 

「おや、その西洋甲冑……もしや君がイッセー君のお客の堀井君かな?」

「ん?」

 

 気配は最初から感じていたが話しかけられるとは思っていなかったので少し驚き振り返るとそこには紅髪の好青年と銀髪のメイドが居た。

 

「イッセー?」

「おや、違うのかい?」

「堀井って西洋甲冑姿の友人はいるけどね」

 

 その言葉になるほど、と頷い好青年。

 

「ああ、失礼。私はサーゼクス・ルシファー。君の友人のお兄さん、と言ったところかな」

 

 にこやかな笑みを浮かべるフレンドリーの好青年、サーゼクス・ルシファー。ルシファーだ、初めから正体には気づいていたけど隠す気が無いのだろうか?

 

「神よ、ここは一旦………」

「俺はエミヤ・リリィ。今代の『魔 獣 創 造』(アナイアレイション・メーカー)の所有者だよ」

「「!?」」

「………はぁ」

 

 サーゼクスとメイドがバッと距離をとり警戒する。主のあっさりした暴露にフィエルダーは兜ごしに頭を押さえた。

 

「………本物、かい?何をしにこの町に……」

「ん?いや、ここにうまい菓子屋があってな」

「………菓子屋?まさか、コカビエルを倒し町を守った理由もそれ、だなんて言う気じゃ………」

「そだよ?この町には別に俺の好きな漫画描く漫画家もいないし、それ以外に何の価値あるんだ?」

「……………」

 

 何当たり前のこと聞いてんの?と首を傾げるエミヤにサーゼクスは薄ら寒いモノを感じる。多くの命が関わっていたんだぞ、それなのに優先するのは己の娯楽。人間の……いや、知性ある者の思考か?

 サーゼクスの脳裏にヘラヘラと笑みを浮かべる、今の己と同じ名を持つ銀髪の悪魔が浮かぶ。

 

「だが、会えたのは僥倖だね……」

「あん?」

「君とは敵対したくないからね。どうだろう、親睦を深めるために食事でも。もちろん奢りだよ」

「ん~………いいや、今日はもう満喫したし。三大勢力の会談あるんだろ?日時と場所教えてくれりゃ行ってやるかもよ」

「あ、ああ……それなら───」

 

 

 

「───ご主人様、ご主人様……起きてください」

「んー?」

 

 セルヴィスに起こされエミヤは眠そうに目を擦りながら上体を起こす。

 

「そろそろ会談のお時間です。向かいませんと……」

「あー………あったね、そんな話も……でも行くかもとしか言ってないしな~」

 

 断言してないし眠いから行きたくない。と、駄々をこねる主にいけませんよ、と注意するセルヴィス。『奉仕の将』は何も主に全て従うというわけではないのだ。この辺りからフィエルダーと仲が良く、フェデルタに嫉妬されている。

 

「………仕方ない、行くか。セルヴィス、フィエルダー、ヴェーラ、シュラハト……後、誰にしよっかな?アドラシオンでいっか」

「過剰戦力すぎるのでは?」

「向こうは魔王とか天使長とか堕天使総督とかいるんだぜ?そこを襲うなら彼奴等も同等の戦力持ってるって考えるべきだろ。ほら行くぞ」

 

 と、彼の言葉に『将』達が尽き従う。と、エミヤは思い出したように資料がばらまかれた机をみる。

 

「そういやあの町時間操作能力持ち居たっけ。やっぱりアケディアつれてこーぜ。無理矢理にでも」

「彼女を、ですか………まあヴァンデッダをつれてくよりはマシですが……というか彼を連れてこうなんて言うかと思ってましたよ」

「ほら、俺ってば部下思いだから彼奴のいやがることはしないたちなの」

 

 どの口が言うか、と思ったが口には出さない。

 

 

 

「そろそろ会談の時間だが………こねぇな」

「来るかも、としか聞いてないしね」

 

 三大勢力が揃った中、一つだけ席が空いている。本来ならこの会談のきっかけとなったコカビエルの暴走、それを止めた外部勢力の者が座る予定だというのに。

 

「あそこってこの前の天使みたいな奴の主が来るんですよね?どんな奴なんですかね」

「さあ、でも勝手に私の領地に侵入して何も弁明せず帰るような奴だし、礼儀が足りてないのは確かね。お兄様と会ったのも私の領地らしいし………」

 

 と、イッセーの言葉に不快感を表すリアス。と、その時扉が開く。

 

「………子供?」

 

 イッセーが思わずと言った風に呟く。入ってきたのは褐色銀髪の幼い少年。彼の仲間の中でもっとも幼い塔城小猫よりもなお幼い。

 

「俺の名はエミヤ・リリィ。魔獣達の神だ………待たせて悪いな。これは詫びだ」

 

 パンパンと手を叩くと数人のメイドたちが入ってきて魔王であるサーゼクス、セラフォルー、堕天使総督アザゼル、天使長ミカエルの前にケーキと紅茶をおいていく。

 次に入ってきたのはイッセー達も知る『信仰の将』を名乗ったヴェーラ。髪をかき揚げた凶暴そうな男、西洋甲冑。そして眠そうなパジャマ姿の女の子。ふぁ、と欠伸をすると何故か引きずっていた枕をポイッと床に放り投げ横になる。

 

「アケディア、起きろ」

「やだ~、働きたくない立ちたくない話したくない聞きたくない寝ていたい。寝ると言ったら寝るの~」

「後で俺の布団貸してやるから。超ふわっふわだぞ?」

「………同じ素材の枕ちょうだい」

「解った」

 

 アケディアと呼ばれた少女はコシコシと目を擦りながら起き上がる。

 

「んじゃ、来てやったから三大勢力同士で会話してろよ」

 

 どうせ俺には関係ないんだし、と笑うエミヤ。まずは、今回の会談の発端となった出来事の成り行きをリアスが説明した。

 

 

 

「と、今回の事件の報告です」

「あんがとよ。さて、今回の会話で気になるのはやっぱりコカビエルを瞬殺したって言うその女だが………」

 

 リアスの報告が終わるとアザゼルをヴェーラに向き直る。堕天使であるコカビエルを消滅させるほどの光を生み出すことが出来、さらには本人自身天使殺し、堕天使殺し、悪魔殺しと言っても過言ではない能力持ち。今までの歴史から見ても、異常すぎる。警戒が必要なほどに。

 

「そいつの腕、研究しようとしたら血が流れて大量の魔獣になったんだがありゃなんだ?一匹一匹が中級クラスだったぞ。腕に至っては上級クラスの魔獣になった」

「ああ。そりゃ『劣兵』だな……『将』達の持つ権限だ。己の血や肉体の一部を魔獣に変える。魔力が続く限り無限に産める。まあ、俺らの雑兵。下級かな」

 

 アザゼルの言葉にヴェーラに視線を向ける魔王達と天使長。エミヤが何でもないことのように言うとヴェーラはお辞儀をする。

 

「魔力さえありゃ無限に、か……つか、『将』()って事は……」

「うん。『将』達にゃ全員同様の能力が備わっている」

「その『将』ってのは?」

「家の幹部たち。まあ、最上級クラスみたいなもんかな?『将』の中でも特に強いのを『王』にして、これがそっちの魔王とか天使長とかかな」

 

 つまりコカビエルを瞬殺する奴が『将』最強だったとしても、最低後4人は強い奴がいることになる。

 

「恐ろしいな」

「そうか。じゃ、畏れ崇めろ」

 

 ケタケタと笑うエミヤ。恐ろしい、つまり危険視されたというのにこれっぽっちも気にした様子はない。だって彼は別に死ぬことは恐ろしくないのだ。娯楽が無くなることの方が恐ろしい。

 

「ちなみに既に知ってると思うが此奴が『信仰の将』ヴェーラ。こっちが『闘争の将』シュラハト。鎧は『忠誠の将』フィエルダーで、メイドは『奉仕の将』セルヴィス。他のメイド達は『奉仕の劣兵』だ。そこで立ったまま寝てんのが『怠惰の将』アケディア」

 

 少し感覚をこらせばどいつもこいつも馬鹿みたいな力を感じる。ここにいる『将』が『将』全体から見てどの程度の実力なのか解らない。ひょっとしたら中堅で、まだまだこのクラスが大量にいるのかもしれない。

 

「まあ、お前があの組織に入ってないのが唯一の救いか」

「アザゼル、あの組織とは?」

「お前等少しは外に目を向けろよ。俺と違って下を見張りながら行動できるだけの余裕があるくせによ……」

 

 はぁ、と呆れるアザゼル。まあ自分も調査と同時に趣味の研究をしてしまってるのだから強く言えないが。不意にチラリとエミヤを見る。人間の……仮にハーフだとしても神器を宿す以上は必ず人間の血を引いているはずの彼は現状をどう思っているのだろうか?

 帰ったら組織を見直すか。

 

「その組織ってのは二天龍を超えるドラゴンをトップとする組織でな。俺はそれに対策するために今回同盟を結びたいと思っててな………」

「同盟?いや、そうだね………これ以上、争うのも馬鹿らしい。小競り合いで数を少しずつ減らすより手を組むべきだ」

「我々天使も、それに反対する理由はありませんね」

「助かるよ。で、お前はどうする気だ?」

 

 と、エミヤに視線を向けるアザゼル。

 

「どうするって?」

「お前は本来なら俺らの何れかの監視下に入れられるやべー奴だ。その魔獣達をみる限り余計にな。だが、こうして三大勢力が手を組んだ以上どこかの組織が引き抜くのは争いの種になる。お前本人が選べば……」

「監視下だと……」

「我々の神を侮辱する気ですか?」

「無礼な」

「お、やれんのか?」

「……………」

 

 アザゼルの言葉にフィエルダーが聖剣を出現させヴェーラが幾何学的な光輪を激しく回転させる。シュラハトが牙を剥き出しにセルヴィスが不快感を示しアケディアも薄目をあける。その空間が軋むような殺気にリアス達が気絶しそうになる。向けられたのがアザゼルだからギリギリ耐えたが、少しでも意識を向けられたら気絶、敵意を向けられた日にはショック死して放たれる魔力で消滅していたことだろう。

 

「やめろやめろ。俺は別に喧嘩しに来た訳じゃねーからよ」

 

 と、エミヤの言葉に殺気が消える。

 

「悪いな。気が短くて……でも俺は何処かの下につく気はねーよ」

「無所属のままだと狙われるぞ……」

 

 ここで悪魔に、と続けなかったのはこの言葉を出せば同盟に亀裂を入れると考えたからだ。

 悪魔だけでなく、堕天使を殺せる天使型の魔獣を創れるなら天界も欲してるのかもしれない。

 

「俺としては対等を望むね。つまり俺自身は魔王や堕天使総督、天使長と同格。幹部達は貴族、最上級堕天使、熾天使(セラフ)と同等」

 

 それは余りに傲慢な願い。短命にして脆弱な人間が、魔王に、天使長に、堕天使総督に俺はお前等と同格だから、と言い切ったのだ。

 

「その上で同盟組んでやるよ。こうすりゃお前等の配下にならないままその内ほかの神話にも関われるだろうしな」

 

 ニヤリと笑うエミヤ。だが、彼の戦力は未知数で、少なくとも最上級堕天使を瞬殺する実力者がこの場には5人。

 

「………良いぜ。堕天使は受け入れる」

「アザゼル?……いや、そうだね。悪魔も受け入れる」

「受け入れちゃう☆」

「………多数決なら既に決まりましたね。天使も受け入れます」

「おう。じゃ、コンゴトモヨロシク」

 

 エミヤがそう言った瞬間、時が止まった。




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