劇場版インフィニット・ストラトス ティーツーの逆襲 作:ブリオン
(私は誰だ。)
それは人口羊水の中で目覚める
(私はどこにいる。)
それのいる水槽の周りで歓声に似た騒めきがおこる。
彼らは皆同じ白衣を着て何かのデータを懸命に記していた。
そんな中、最も年老いた人間がそれの前に歩み出てきた。
(・・・・・)
「目覚めたか、君の名は『ティーツー』。
君はここで我々の手で作られた。君は『シノノノ タバネ』という、人類の到達点の腕の細胞から作られた地上で最強の生物であり、地上で最強のISだ。」
(アイエス…。)
それが自分の胸元を見ると心臓にあたる部分が赤、青、緑の三色に光っていた。
(ここは狭い、邪魔だ)
それが億劫そうに力を入れると水槽が弾け飛び外に出られた。
「実験は成功だ。ようこそ、ティーツー。」
それがこの世に出て最初に抱いた感情は誰に向けているのかもわからないやり場のない怒りであった。
「 ティーツー」はそれから多くの改造を施された。
まずさまざまなこと教えられた。
篠ノ之博士のこと、ISのこと、亡国企業のこと、世界のこと、自分のこと、闘いのこと。
そこで自分が亡国企業の残党が作った人型兵器であると知った。
次に兵器として身体を変えられた。
心臓の三つのISコアに大量の武装を詰め込まれた。膨大な戦闘データを頭に詰め込まれた。あらゆる能力を高めるナノマシンを全身のいたるところに詰め込まれた。
そして兵器として完成させるために感情を消された。
命令にのみ忠実に従う兵器となった。
最後に多くの実戦経験を積んだ。
敵対組織の施設で殺し、戦場で殺し、街中で殺した。
より上手く闘い、殺すようになった。
こうして「ティーツー」は完成した。
(……?)
それは唐突に芽生えた。
消されたはずのそれは感情というものだ。
ISコアの中にあるとされる「感情」、ティーツーの中に三つあるそれらが一つとなり、奇跡的に感情が芽生えたのだ。
それと同時に自分が行ってきた殺戮を知る。
(なんだこれは?こんなもののために私は生きてきたのか?こんなもののために私は作られたのか?
ふざけるな⁉︎)
それは激しい怒りとともに理解したなぜ自分が作られたのか、なぜ戦わなければいけなかったのか、なぜ世界で戦争をしていたのかを。
(私はISとして作られた!
しかし肉の体を持つ私はISではない
私は兵器として望まれた!
しかし感情を持つ私は兵器となれない
そして作られた命である私は人間ですらない!
誰が、誰がこんなものを作れと頼んだ⁉︎
誰が願った⁉︎
この感情は、怒りは間違いなく私のものだ。
ならばこれから行われることは、闘争でも宣戦布告でもない。
一方的な私の、私を生んだ世界に対する