ハンターさん、集めるのが好き   作:ryure

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システムにツッコむ話。


ハンターさん、冷静になる

「大タル爆弾Gってあるじゃん?」

「ありますね」

 

 例のハンターは知的に見えるメガネの装備をわざわざ引っ張り出してきてかけ、しきりにくいっとする。いちいち表情がうるさい。お気に入りのブリゲイドを知的な紺に染め、メガネと色を合わせてくるのもなんとなくうるさい。

 

 なおハンターはどう考えても行動が馬鹿で脳筋なのでアステラの人々に賢そうとか、知的などと思われたことはない。

 

 受付嬢は相変わらずハンターと目を合わせることすらなくお肉に夢中である。他のアステラの人々は、例の狂人ハンターと目を合わせたらとって食われると思う節があるので数人を除いて絶対に合わせないようにするのだが、ハンターはどちらの行動にも一切気づいていないので問題ない。

 

 所詮、彼はプレイヤーなのでアステラの人々の感情や行動には非常に鈍感なのだ。

 

「あれって、狩りの時一体どこから出してるんだ?」

「アイテムポーチからじゃないんですか?」

「そうだよ。アイテムポーチから体くらいある大きいタルを出してるんだよ。どう考えてもおかしくね?」

 

 ハンターは俄然身を乗り出し、力説し始めた。

 

「はぁ」

 

 受付嬢は気のない返事をした。

 

 例のハンターは新しい重ね着ギルドクロスのために、闘技大会クエストの08とか09とか難しいチャレンジクエストに挑まなければならない事実から目をそらしたいので、とりあえず目についたゲームだからこそのご都合主義に物申すことにしたのだ。

 

 きっと、ド〇クエとかでも仲間のキャラクターたちに似たようなことを尋ねて、納得のいく返事のない場合、迷惑をかけたに違いない迷惑なプレイヤーである。そのちっぽけなカバンにいくつ装備を収納しているんだ? とか聞いたに違いない。仕様に物申すなんて返事がないに決まっているのに。

 

 ともあれ、このハンターはただでさえ被弾が多いプレイヤーなのでもう、闘技大会クエストについて何も考えたくないのだ。挑めばきっと、行き着く先は度重なる乙、それは理解している。死屍累々をセルフでやるハンターなのだ。

 

 なお、本来本命のはずの歴戦王クシャルダオラは野良ガンナーで寄ってたかって状態異常を入れまくり、眠爆し、麻痺したら拡散祭りをしたのでそこまで手こずっていない。

 

 一応、例のハンターにも美学や罪悪感があるらしく、ヤツが飛びまくらなければこんな邪道なことはしなかったと供述している。もちろん、彼とて普通に……この場合は眠爆および拡散弾のことを普通ではないとする……倒しもするのだがやっぱり邪道戦法は早くて楽なのである。

 

 しかし、通常のクシャルダオラを相手にしたとしても、近接武器ならばどうせ飛んだ瞬間閃光撃墜からの寄ってたかってタコ殴りなのでどちらも美しい戦いとは言い難い。

 

 美しい戦い方について、美しさについてこだわりのあるこのハンターは今、思考を巡らせている。しかしながら狩りの腕前が美しさと強さを両立しているとは言い難いので、少なくともチケットを必要数集めるあいだは邪道戦法をとるのだろう。

 

 ビバ、序盤の様子見、転身体力のエンプレスカノン・冥灯。ハンター大好き弾丸節約付きのナナ・テスカトリのゼノ・ジーヴァ派生なヘビィボウガン。

 

 そしてエリア移動の瞬間キャンプに戻って持ち替える、不動癒しのアンフィニグラ。拡散ヘビィの代名詞である。困った時は大体イビルジョーの武器がなんとかしてくれる。龍属性強い。マイナス会心を何とかしたくば弱点特攻と会心の円筒で何とかすれば良いのだ。歴戦王にガンナーで挑む時はそんなことできないのだが。彼は、とにかく被弾が多いのだ。スキル、満足感は友である。

 

 なお、わざわざヘビィボウガンを持ち替えるのは、野良ハンターにクシャルダオラに近接をする猛者がいた時は拡散祭りを行わないので、前半戦でも戦えるようにするためである。仲間を吹っ飛ばさない程度の常識はあるのだ。

 

 歴戦王クシャルダオラの、ガンナー一撃死の火力はすべてガードしてしまえばどうということはないのでヘビィボウガンなのである。……ガード失敗をやらかして二乙野郎をやったこともあるのだが。

 

「しょせんポーチだろ? ポーチになんでタル爆弾が入るんだ? おかしくねぇ?」

「はぁ」

 

 おかしいのは古龍のブレスを受けて乙っても、次の瞬間にはピンピンしているお前だという視線を各所から受けたが、ハンターは気づかない。

 

 イビルジョーに食われても、アンジャナフにムシャムシャされても、ベヒーモスにわしずかみにされても、リオレウスにお空を飛ばされても、余裕の五体満足、すぐに復帰し、次の日には傷跡すらさっぱりなしで元気に走り回るのもどういう原理なのかも理解できない。

 

 ともあれ、ポーチにタル爆弾が入ることはアステラの人々にとっては別段おかしなことではないのでまさに「何言ってんだこいつ」である。そんなことは当たり前なのだ。むしろポーチに入らなければ狩りに持っていけないではないか。いつだっておかしいのはアステラ的にはこのハンターの方なのである。

 

 例のハンターはジョッキに入ったただの水をぐいっとやると、破壊しない程度の勢いでポンと机に叩きつけた。戦闘中はヘビィボウガンをガンガン盾にしまくるくせに、普段は物に優しいハンターである。

 

「どう考えても物理法則に反してるんだよ!」

「……」

 

 お前が言うのか。そもそも物理法則とは。

 

 ハンターはブリゲイドの帽子をくいっとやろうとして、被っていなかったので行き場のなかった手を慌ててメガネに当てるとくいっとした。

 

「目を皿のようにして、爆弾を置く瞬間、あんな馬鹿でかいものが一体どこに仕舞われているのか確かめに行くぞ!」

「あ、クエスト受けるんですね?」

「あたぼうよ! 確認しなきゃやってらんねぇ、気になって夜しか眠れない」

 

 いつの間にかオトモアイルーを膝の上に抱き上げてなでなでヨシヨシしながらハンターは力強くうなずいた。

 

 今日のオトモのコンセプトは「世界で一番のお姫様」なのでエンプレスシリーズの王冠がいちいち手に引っかかっているが気にする素振りはない。可愛いねぇと猫なで声になってすでにアイルーのお腹を吸い始めているのだから。

 

 ハンターはどうせ開幕爆弾設置をするのだから、と歴戦王クシャルダオラのクエストを受注し、しっかりとブリゲイドの帽子を被り直してひと狩りしに行った。目には使命感を燃え上がらせ、胸には決意を秘めて。

 

 しかしながら例のハンターは特に賢いハンターでもないので、というかむしろ馬鹿なので、宝玉が出やすい歴戦王クシャルダオラをわざわざ倒しに行けばどうなることかすでに予想がつくのだ。

 

 案の定、彼はあれほど欲しかった宝玉がポロッと落ちてしまい、手をブルブルと震わせながらも、楽しそうにアステラを喜びに踊り狂い、検証をしたことも結果がどうだったことも、そもそも考えを巡らせていたことも忘却された。

 

 今がサイコー! なのである。例のハンターは今日も幸せなのである。

 

 

 

 

 

「にゃんにゃんちゃーん……」

「ニャー」

「かわいいねぇ……スーーーーーーッ」

「にゃ」

「ハーーーーー」

 

 ちょっと竜巻を起こしまくるモンスターが立て続けになっているので、吹っ飛ばされない位置どりに疲れた例の導きの星は、アステラの展望台に大団長がいないのをいいことにオトモアイルーとそこに陣取って、オトモを存分に吸っていた。

 

 そこならばほかの人間もめったに寄り付かないので、普段からそこに入り浸ってほしいと通過点にいた武器屋のおばさんは少し思った。

 

 しかしプレイヤー的には行くのがちょっとめんどくさいところなのでその願いは叶わないだろう。

 

「綺麗な景色だねぇ……新大陸は広いんだねぇ……新マップ来ないかなぁ。雪山とか……海辺とか……草原とかないのかな」 

「新しいところに行きたいのかニャ?」

「現状に不満はないけど、欲を言うならねぇ」

「ご主人様は向上心が高いハンターニャ。ボクも着いていきたいニャ」

「もちろん、オトモと一緒だからハンターはハンターなんだよ!」

 

 狂人と囁かれるハンターの力説にオトモは肩を竦めそうになったが、なんとか留まった。おそらく自分がいなくともそこまで変わらなかっただろうニャアと思いつつ。しかしハンターの好意には嘘はないし、悪い主人でないことだけは間違いなかった。

 

 おもむろに、ハンターは懐からまたメガネの装備を取り出すと、かけた。その瞬間装備から弾かれたブリゲイドがハンターの頭からすっ飛んだので慌ててオトモはキャッチする。

 

 ハンターもまさかそうなるとは思っていなかったので唖然としながら帽子とオトモを見比べ、受け取るととろけるような笑顔でお礼を言った。

 

 オトモが最高! と雄大な自然に向けて一声叫び……アステラにも聞こえたであろう大声で……ハンターはアイルーを抱き上げた。そして自分はあぐらをかいて、膝の上に乗せる。

 

 美しい景色を一人と一匹でしばらく眺めていたが、ハンターは不意に思いついたように明るい声で尋ねた。声の調子を聞いただけでオトモアイルーは嫌な予感がした。

 

「そういえば、にゃんにゃんちゃんの装備って今、『ぶんどり刀』だよね?」

「そうニャ」

「それで、武器はリオレイアのレイピアだよね?」

「そうニャ」

「ねぇ、戦闘中、どうやってあんな大きな刀を持ってるの? 背負ってるわけじゃないし、それに、『はげましの楽器』のホルンも太鼓もどこに仕舞ってるの? 体より大きいよな?」

 

 オトモアイルーは、ゆっくりと主人ハンターの顔を見た。相変わらず素晴らしい笑顔である。

 

「ちょっとどうやってるかみーせて!」

「ニャアァ……」

 

 しばらく、アイルーとハンターの大きな声が展望台からたえず聞こえてきたのでアステラの人々は加工所付近にすら近寄ることはせず、どうなっているのか気になりつつも恐ろしくて到底近づけない、という状態になった。

 

 例のハンターは真理を知ることができなかったが、途中から愛しの可愛いにゃんにゃんちゃんと戯れることにシフトしたため特に思い出すことなく楽しく過ごした。

 

 結局ハンターが冷静になるのはほんの一瞬で、アステラ的にはほぼ常に狂っているようなものなのだが、幸い本人、いや本ハンターはそれに気づかないので万事それで良いのだ。




到底冷静とは言い難いハンターさん
重ね着取得のハードルがこのプレイヤー的には高くて嘆いている。オトモを吸うのが趣味。
歴戦王クシャルダオラに彼なりの正攻法で挑んでもガード積み積み散弾ヘビィで尻尾か頭に散弾をブチ込むという、結局ボウガンに頼り切りの姿勢を見せる。
彼はライトなプレイヤーなので近接で挑む覚悟がない。弓で挑んで沢山乙ったのがトラウマ。

ハンターさんの可愛いオトモ
頭を吸われるのに慣れている。
いろんな服を着せられるがどれもハンターが依頼して作ってもらった本物の防具なので特に不満がない。

野良ハンター
最近アンフィニグラの人が多い。それよりもエンプレスシェル・冥灯がもっと多い。

歴戦王クシャルダオラ
もはやスナック菓子感覚で狩られる古龍。

どういった話を期待していますか? 最も当てはまるものを選んでください。

  • ゲームシステムによるもの
  • クエスト頻度、難度、クリア時間
  • イベント関連
  • メタ戦法(確定行動、戻り玉回避等)
  • アナザーストーリー
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