ハンターさん、集めるのが好き   作:ryure

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王ゼノといろんな重ね着アバターの話。


ハンターさん、生き残る

「今流行りの貫通ヘビィな援撃担いでいざ王ゼノ!」

「ニャ」

 

 例のハンターのオトモは例のハンター語が少し理解出来たような出来ていないような心地でとりあえず返事しておいた。

 

 その王ゼノとかいうモンスターには基本的に四人で挑むらしいご主人なので、どうせベースキャンプで待機なのだ。

 

「貫通珠ないけどな!」

 

 ハッハッハー! と運のなさを一人で悲しく笑い飛ばした例のハンターは、代わりになけなしの攻撃珠を突っ込んだようである。

 

 生存スキルではないところがヤケクソ気味なところだが、実際そこに生存スキルをひとつ積んだからといって正直ガードしなければ結構な確率で一発KOなので生き残れるとは限らない。その点に関してはどうでもいいのだ。

 

 彼は装備を念入りに確認しながら……強壁珠とシールドパーツがあるかを何度も見直して……ながら決めポーズをとっていた。新しい重ね着のシーカーを情熱の赤に染め、キメキメに身にまとっているので心が浮き立っているのだ。

 

 だからってアイテムやら装備の確認をしながらやらなくても、とクエストボードに用があったハンターは無言で思う。

 

 例のハンターは、アバターに関しては自制心がないのでガンナーの革命的装備であるゼノγより重ね着を先に交換したようなのである。

 

 例のハンターはもちろん、手に入れるや、なにはともあれ着、頭装備の画期的な首周り装備によだれを垂らしそうになりながら喜び、自慢のポニーテールを存分にだせることに喜び、全体的に文句のつけようのないハンターらしいカッコ良さに痺れた。

 

 相当奇抜な色にしない限り、流通エリアにハンターが溶け込む! と喜び勇んでさっそく大好きな赤に染めて、しばらくくるくる踊ったのだった。

 

 良さそうな組み合わせも早速考えた。頭シーカー、胴シーカー、腰シーカー、腕ギルドクロス、脚オリジンである。

 

 これで世界観に違和感のないハンターらしいハンターになれるのである。ギルドクロスメインの重ね着にはブロッサムを使う例のハンターにとって、ギルドクロスの腕の有効活用である。

 

 もちろんアステラ的には踊られると邪魔ではあったが、例のハンターはゼノγを手にいらなければならない。比較的早く切り上げられたのでアステラの人々の平穏は守られたのだ。

 

 彼はツイッ〇ーで次のイベントクエストについては欠かさずチェックして楽しみにしているプレイヤーである。次の重ね着はユラユラフェイクと……彼にとっては一番大好きな頭装備とも言える封印の眼帯なのだ。

 

 勝手に彼が自分でプロデュースした全身の見た目コーディネートに採用されたその眼帯。布で出来ているような質感であることから色んな装備に合うこと間違いなし、と彼はワクワクしてツイッ〇ーでも喜びの声をあげていた。

 

 その彼が組んだ、ちょっぴり赤い茶髪にポニーテール、赤っぽい茶色の目に白い肌と泣きボクロ、角度によっては女性と見まごうアバターに合わせた見た目用装備についてはおいおい語るとして。

 

 煌めく次の祭りに実装される装備に関しても、彼にとっては知らないポッケ村の装備も季節感のあった合わせやすそうなふわふわ装備で楽しみすぎてたまらないのだ。

 

 ともあれ、王ゼノは楽しいのだ。強いし、野良ハンターはぽこぽこ乙るし、盾がないとやってられないし、新モーションにテンションは上がるし、……例のハンターは王ゼノ・ジーヴァのいいところをたくさんあげて嬉しそうにしていた。

 

 そしてゼノ・ジーヴァというのは貫通弾のカモである。その全長は長く、臨界状態になると胸のダメージが一気に増加する。頭から尻尾まで撃ち抜きたいだけ撃ち抜けて、ガンナーはそこそこ安全な上にダメージもある。

 

 貫通弾のヒット数が多いと言い表せないような気持ちよさがある。例のハンターはそう力説したが、相手はハンターあらざる受付嬢だったので理解は得られなかった。しかも、それはプレイヤーとしての視点にすぎない。

 

 他の調査団に属するハンターの中で貫通弾を使う者がいたとしても、貫通弾がヒットしたから気持ちいいとは……ちょっと思えないのだ。

 

 なぜなら、この例のハンターの言う「気持ちいい」とはコントローラーの振動のよる気持ちよさも大いに関わっている。しかし、この世界で生きている人間からすればコントローラーの振動なんてわけがわからない狂人的な発言でしかない。貫通弾がきっちりヒットしたのはいいことだが、だからって「気持ちいい」とは。

 

 そうなのだ。命を失うか奪うかの狩場で「気持ちいい」とは。

 

 流石は導きの青い星である。頭がおかしい。狂人に違いない。戦うことが楽しくて堪らない、しかもほぼ不死身の変態に違いない。そうアステラの人々は思った。

 

 きっと狂人にも狂人なりの道理があるのだろう、と誰かは言う。彼には彼なりのルールがあり、彼なりのまっとうさで話しているのだろう、と。

 

 ただしそれは例のハンターの中でしか通用しないことなのだ。普通の人間が理解した日には最も死に近い日なのかもしれない、とまで言う。

 

 例のハンターはプレイヤーが中にいるハンターである。その魂は外なるリアルなワールドのものであり、その肉体はこの世界のものだがプレイヤーとして普通とは違って、腕はもげないし目も潰れず、どんな手酷い仕打ちを受けても欠損なく死にもしないのである。

 

 厳密なことを言うと人間ではないのかもしれない。しかしながら、それが解明される日はこない。例のハンターはプレイヤーなので誰も危害を加えることは出来ず、また無意識下に刷り込まれたNPCとしての思考がすべてを阻む。

 

 ゆえに、ヤバいやつだとは思われつつも、例のハンターだからという言葉ですべて片付けられてしまうのだ。

 

 例のハンターは今日も楽しく狩りライフをエンジョイしていた。一人は寂しいので救援参加に勤しみながら。

 

 

 

 

 

 

「このモーションで攻撃やめて、下からブシャーをガード、もういっちょガード、距離を詰めながら貫通弾……」

「拡散弾楽しい^^」

「おいここに操虫棍がいるんだぞ」

「全部見切ればいいんだよ」

「太刀から目線はやめないか!」

 

 プレイヤーが中に入ったハンターたちは口々に勝手なことを言いながらめいめい武器を構えて歴戦王ゼノ・ジーヴァと対峙していた。

 

 今日も今日とて野良救援は魔境である。

 

 向こう見ずな拡散弾ハンターはこのあと、弾を撃たんと構えたまま惨たらしく乙り、哀れにも吹っ飛ばされた操虫棍があとに続いた。

 

 一方、太刀から目線で操虫棍ハンターに無茶振りした太刀ハンターは全部見切った。そこにいるハンターたちの練度の差が激しすぎる。

 

 シールドまみれのヘビィボウガンの例のハンターと、やたら上手いプロ太刀ハンターは目を合わせ、二人が戻ってくるまで無言で戦線を維持した。二人とも重ね着はシーカーなので一応、この戦いを最低限理解してるアピールをしているのだ。

 

 集まったハンターたちの中には人がいるが、ハンターイコール中の人ではない。概ね中の人の考え通りに行動するだけであり、しかし魂は中の人のものなのでそこに違和感はない。

 

 口からほとばしる声は肉体由来、言葉は魂由来、しかしこの会話は実際あったものではない。野良で全員ボイスチャットを繋いでいて会話まで成立することなどほぼないからである。

 

 しかし、ハンターたちは流石にコミュニケーションくらいはとっている。基本的にはおのおの言葉のドッジボールにすぎないが。しかし、中の人たちの心の声が一致したのならば……あるいは協力的な雰囲気、ハンターたちにとっては言葉によって踏ん張るのだろう。

 

 二人で戦線は案外維持できるものだ。ターゲットが分散しない方が盾持ちは予測しやすい上に、太刀ハンターはやたら強かったので問題なかったが。例のハンターはガード削りに脅えながら、秘薬をムシャムシャして怯えていた。

 

 だが問題はそこではない。持ちこたえられるかそうではないかは問題外なのだ。時間制限が三十分なので火力が足りない。なので早く戻ってきて欲しかった。

 

 もうあとがない状態での歴戦王。少年漫画のようでワクワクしてたまらない展開。敵はラスボス、不足はない。例のハンターの胸はときめいてときめいて最高の気分であった。

 

 だが、その希望に満ちた心中には、どうせ誰かが乙るのだろう、あるいは自分かもしれない……という暗黒の虚脱感が少しあったが。例のハンターも人並みには魔境の野良で揉まれていた。

 

 しかし、連続乙には皆戦いを慎重にさせた。それが幸をそうしたのか。

 

 例のハンターがゼノ・ジーヴァの胸を撃ち抜いた、その瞬間。

 

 テーレーテーレーテテテー。テッテテッテ……。

 

「ヤッター!」

 

 ファンファーレを最後まで聞くこともせず、オプションを押して倒れるところをスキップしながら例のハンターは喜びの雄叫びをあげた。

 

 誰もが聞き慣れ、嬉しくも聞き流すファンファーレは荘厳に、高らかに。

 

「(グッジョブのスタンプ)」

「お疲れ様でした!(定型文)」

「(またねとでも言いたげなスタンプ)」

「(グッジョブスタンプの連打)」

 

 戦闘終了時の形式美が通知欄を埋め尽くす。もちろん義理程度のことだが、嬉しいことには違いない。

 

 武器を納めたハンターたちはウキウキしながら倒したゼノに群がって剥ぎ取りをし始めた。

 

 勝てたのであとは……多分〇枚か。めいめいハンターたちは判断し、頭の中は既に次の戦闘のことでいっぱいである。

 

 しかし、一分間の拘束は剥ぎ取り程度ではなくならないし、ここは拾えるものは特にない収束のなんちゃらである。

 

 ゆえにハンターたちはぐるぐる走り回ったり、手当り次第に「また会いましょう!」とか「お疲れ様でした!」とか「(ショトカに入れておいた課金スタンプ)」だとかを乱射したり、死体蹴りしたり、味方に斬りかかったりと好き放題し始める。

 

 例のハンターはこの手持ちぶたさなこの瞬間が好きだった。なんだか仲間感あって一体的で正しく遊んでいる感じだからだ。仲間感があるとはなんなのか。例のハンターの鑑識眼はあまり良くないのでよくわからないことだが。

 

 ともあれ残り二十秒くらいの時間はあっという間に過ぎ、チケットをしっかり受け取ったハンターたちはめいめいのアステラに帰っていく。

 

 貫通弾を次もお見舞いするのは早くも飽きた例のハンターは、他にどんな武器なら楽しいだろうかと画策しながら少しの疲労と楽しさが混ざった笑みを浮かべた。

 

 そうだ、盾がないと始まらない。ガンランスにしよう。

 

 その後、例のハンターはガンス2、ランス1、ライト1の比較的低火力な野良救援にてクエスト失敗の憂き目に遭い、大人しく貫通弾を担ぎ直すハメになるのだが。

 

 クエスト失敗しようが、例のハンターには特にモチベーションに問題はなく、今日も元気に狩りに繰り出すのだ。




王ゼノでは生存率高めな例のハンターさん
全部ガードすればまず生き残れるので攻撃を受けまくっているがそう乙ったりしない。秘薬のタイミングで蒸発したことはある。真っ直ぐなビームも躊躇なく正面から受け止める。下手に避けたら乙る。
麻痺を蓄積させて、飛んだら麻痺で撃ち落として貫通タイムにする程度のアシスト力を持つ。
前のオリジンがカッコイイ、今回のシーカーもカッコイイ、とブリゲイドがご無沙汰。今日のブリゲイドカラーはクールでミステリアスな紫になる予定だった。

何でもかんでも拡散弾祭りを仕掛けるハンターさん
上手い人は本当に上手い。近接が三人いてもきっちりヒットさせつつ誰も吹っ飛ばさない上にアシストまでしてくるので力量が問われる。今回は近接が二人だった上に……。
貫通シールドヘビィの方が人口が多いので今回のクエストでは希少。だがいた。

やたら上手い太刀ハンターさん
たまにいるプロハン。本当に全部見切ってくる太刀ハンターはTA勢かもしれない。一人で五分くらいで倒せるのに救援に来てくれるのは菩薩のような心を持っているのか、ぽこぽこ乙る味方を見て面白がっているのか。彼のみぞ知るがとにかくカッコイイハンター。

不幸な操虫棍ハンターさん
バッタしてたらたたき落とされた運の悪いハンター。貫通ヘビィと同じくよう〇べで瞬く間に広まった戦術を使うので火力生存ともに高かったが憂き目にあう。

どういった話を期待していますか? 最も当てはまるものを選んでください。

  • ゲームシステムによるもの
  • クエスト頻度、難度、クリア時間
  • イベント関連
  • メタ戦法(確定行動、戻り玉回避等)
  • アナザーストーリー
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