ハンターさん、集めるのが好き   作:ryure

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中の人がログインしない日のハンターとハンターのオトモの話。


ハンターさん、休みもする

「ご主人様は今日はお休みニャ」

 

 例のハンターはコレクター狂だが戦闘狂でもある。戦うのが楽しい! 武器を考えるの楽しい! 装備構成考えるの楽しい! 勝つの楽しい! 負けても楽しい! と一人毎日幸せそうに騒ぐ彼がアステラに姿を見せない日の方が珍しく、休養日もなかなか作っていない。

 

 だから、姿が見えないと関わりあいになりたくないなりに人々は心配する。やることなすこと理解ができない豪快な馬鹿だったが、普段の人当たりは別段普通、何かあったのではないかと心配される程度の人間性はあるのだ。話すと案外普通なのである。ハンターの中の人は別にプロハンではないからだ。

 

 とはいえ心配されるのは、人々の依頼を一切断らずにこなすのも要因の一つだろうが。現金な事実は時に必要である。こなせる依頼はすべてこなすのだ。もちろんこなせる、というのは存在するという言葉と意味は同じである。例のハンターは人並みにコンプ厨であった。

 

 まぁ、せっかくの心配も彼がいつも可愛い可愛いと着せ替えさせては撫でくりまわしている真っ白のオトモアイルーは門前払いで済ませたが。今日もこの前の夏祭りから着せられているアロハシャツと麦わら帽子はぴかぴかでやはり衣に関しては余念が無い。

 

 もちろん猫撫で声でアイルーを可愛がるオフのハンターの手によるものである。オンのハンターは素っ気ない指笛で指示するのでハンター業とその他の執着は彼にとっては別側面の楽しみなのだ。カワイイ! カワイイ! と興奮するハンターに近づく人間はいないが、その瞬間のハンターにとってはオトモしか世界にいないので誰も不幸にならない。

 

 なお前日の例のハンターはカッコイイからという理由で全身真っ黒のコーディネートで流石に夏の日差しに焼かれて若干焦げていたが、いつも通り身だしなみの方が大切なようで痩せ我慢とハンター特有の異様な頑強さで乗り切っていたようだったが、昨日の今日で休みということは、夏の日差しはハンターすら蒸し焼き地獄へ追いやれるという恐ろしい証明にもなっていた。

 

 実のところ別に日差しと黒い装備程度でハンターがめげるわけがないのだが。休みは偶然である。世界の礎、もとい「P〇4」が熱暴走を起こしたわけではない。ハンターは人外並みの頑強さを持っていても中の人は普通の人である。クーラーくらいかける。

 

「朝から寝てるニャ。そういう日もあるニャ。クイナに埋もれて幸せそうニャ」

「相棒にご飯はちゃんと食べるんですよって、言っておいてくださいね」

 

 ちなみに心配されたからといってわざわざマイハウスまできて心配しにきてくれるのは受付嬢くらいなのである。それなりにまともな人間性はあってもアルテラの人々からすれば普通に狂人なので家に行くこと自体が遠慮されているのだが、毎日幸せなハンターは特に気にしていない。

 

「分かったニャ」

 

 オトモアイルーは丁寧に頭を下げるとぱたんと扉を閉じる。振り返ると相変わらず主人はベッドの住人でエサはまだかと、武具並みに愛するフワフワやらゴワゴワの鳥たちに囲まれてぐっすりだ。捕まえるために探索リセマラをし続けていた努力の賜物。

 

 このハンター、人並みという言葉を知らないような言動だがたまに電池が切れる。そんな日は夜眠ってから目覚めることなく電池が充電されるまでぐっすりなのだ。規則正しい呼吸で生きているのははっきりわかるが、心配の行き過ぎてなんとか一度起きてもらおうとしても何をしても目覚めない。

 

 魂ここにあらず。つまりログインしていないのだがそんなことはオトモにだってわからない。

 

 とりあえず鳥たちへのエサをやり、鎧のまま倒れ込んだ体勢を崩さない主人を窺うと、完全に熟睡しているのでしばらくゆっくりすることになった。どうしようもない。諦めるしかないのだ。

 

 美しい竪琴の音色の響く特等マイハウス、その部屋の絨毯を埋め尽くすように彼のコレクターアイテムである装備品が所狭しと並んでいるのだが、幸いにして一応の理性がなせる技なのかアイルーや鳥たち、放たれているツチノコにはなんとか動き回るスペースがあった。

 

 彼らよりは大柄なこのハンターは動きにくそうにしているのだが、もちろん幸せな頭を持つ彼のこと、その不自由さは幸せの結晶、むしろ勲章と、目に付いたヘビィボウガンを抱きしめ、飾ってある鎧にキスを送るような勢いだったので心配はいらないだろう。一歩動くことに狂喜乱舞。進む事に着せ替えをしてポーズをキメる。

 

 なお、現在眠るハンターはやっぱりハンターなので一日二日、水分すら摂らずに眠っていても特に問題はないようだ。ハンターなので。

 

 幸いにして動きを止めたのが今日はマイハウスだったのでアイルーは流通エリアで突然動きを止めたハンターをマイハウスに引きずってくる必要がなかったのが救いと言える。普段は基本的に流通エリアのクエストボードの前で動きを止めるのでいい迷惑である。

 

 

 

 

 

 翌日。

 

 一応彼は、というかその肉体は普通に生きているので寝返り程度はうつのだが、やはり目覚めない。アイルーの主人としてはきちんと装備を与え、狩りに連れていき、可愛がって尊重するという点ではそれなりのハンターなのでできることなら覗き込みたくない寝顔を生存確認として見ることになった。

 

 信頼関係を築けるくらいのハンターである。散財癖がなければきっとモテたのに残念なハンターである。恋愛ゲームには興味がなかったところが救いである。

 

「化粧したまま寝てるニャ。服装には気遣うのに肌には気遣わないのかニャ」

 

 ハンターの化粧はリオレウスに焼かれても落ちないので肌を荒らしたりはしないし、布団で擦れて崩れたりもしない。ハンターの化粧なので、で説明が済んでしまう。

 

 崩れないなりに定期的に当然のように誰も気づかない微調整を念入りを行っているが、知っているのはオトモくらいである。わずかに目元にさす赤い化粧の彩度が上がっていることに誰が気づくというのか。ハンターの顔は自己満足! と彼なら言うだろうが。

 

 このハンター、間違いなくハンターなのだが着せ替えゲームと多少勘違いしている可能性がある。もし指摘したならば着せ替えも楽しめる! とポジティブ丸出しの発言が返ってくるはずだ。

 

「……」

 

 目を閉じて、比較的安らかと言ってもよい寝顔だったが、なんとなく普段の馬鹿な人間性すら抜け落ちた顔は恐ろしいものだったのでオトモは何も見なかった事にしてフワフワとゴワゴワの鳥たちを連れて庭に出ることにした。

 

 室内のうなるほど並ぶ武具の数々を見なければ素晴らしく居心地のよい場所だというのに、ハンターにとってはたくさんの武具にかこまれることができる最高の部屋なので改善される日は来そうにない。

 

 なお、ようやっと武具のあいだをすり抜けて庭に出たぐらいでハンターは突然飛び起き、頭に紺色のブリゲイドを被ると素晴らしく迅速に食堂に走り去っていったので哀れアイルーは鳥たちを一匹一匹引き剥がしてから突然動き出したハンターと遅い昼飯を食べることになったのだった。

 

 しかしこのオトモアイルーはハンターといつも行動を共にしているので己の感性がすっかりハンターに染められていることに気づいていなかった。

 

 この日も最近突然ハマったらしい大剣背負って繰り出す狩りのペースがハイペースなことも、吹っ飛ばされてぼろぼろになったハンターが負ける度に不屈を発動させているわけでもないのに次いってみよう!と激しくポジティブで物理的にもめげない彼が起き上がってくるのが普通になっているのだ。多少のことを変だと思えなくなっている。

 

 今日も流通エリアを突っ切って、人々が避けるのに違和感を持たずに、そしてしばらく黙ってクエストボードを眺めていたかと思うと突然口笛を吹いてひと狩りしに行くので腰に飛びついてつかまった。

 

 ハンターはオトモのことも溺愛しているので空の旅の最中も装備越しに撫でられることになるが彼らは幸せだった。もちろん不注意でも空から落ちたりしない。ハンターが狩場につく前に墜落して失敗したなんて(システム的に)ありえないからだ。墜落自体は良くするが。

 

 例のハンターのオトモも変人と同列に扱われていることに気づく日まではそれなりに心は平穏であった。幸い、そのハンターは今日もにこやかだったのでアステラも平和である。ことさらに、にこやかな例のハンターに近づく命知らずはいない。

 

 装飾品ガチャで混ぜたものが返ってくる悲鳴くらいしか不穏な要素はないのである。悲鳴はもはや風物詩、無撃を混ぜたのに無撃がリリースなど日常茶飯事である。




休みの日のハンターとか何をしているんだろう?とりあえず操作する人がいないから魂抜けて眠っていることにした。このハンターは四日以上眠り続けることはないものの、引退した中の人を持つハンターさんは二度と目覚めないのかと思うと怖い。

この話のハンターさん
普通のライトプレイヤー。ワールドからはじめた人。ハンターランクは150より上だけど200もない人。
最初はボウガンの照準すら合わせられず、大剣は当たらず、振り回したら比較的当たる操虫棍や双剣のわずかなヒットでモンスターを倒すレベルだったが慣れた。
今では着せ替えに執心する狂人にして散財魔としてアステラで名前を知られているが本人はただの一般人。名前はあるが出さない、呼ばれない。五期団のハンター、青い星、お星さまなどと好き勝手呼ばれ、本人も反応したり反応しなかったりと自由人。
中の人の意向によって赤っぽい茶髪のポニーテールに赤茶色の目、目元には赤いアイシャドウ、泣きボクロ、白い肌に中性的な顔というイケメンにキャラメイクされたためにちょっとナルシスト。
ナルシストの方向が「かっこいいだろ!」と同意を求めたり顔を使ってどうこうするというタイプではなく、自分に心酔するだけの害のないタイプとはいえ外でも突然立ち止まって決めポーズをしたり踊り始めたりジャンプするという意味では迷惑。もちろんメインは顔より着ている武具の方。

どういった話を期待していますか? 最も当てはまるものを選んでください。

  • ゲームシステムによるもの
  • クエスト頻度、難度、クリア時間
  • イベント関連
  • メタ戦法(確定行動、戻り玉回避等)
  • アナザーストーリー
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