どうして守護者がアルバイトなんてやってるのさ   作:メイショウミテイ

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バンドリのパチンコが出たお陰でこの作品の事を思い出しました。

長い事すいません。

パチンコは負けました。俺は無力。


イッシュク、イッパン

 事の顛末としては実に呆気ないモノだった。

 

 私には協力するような事は何もなく、Poppin'Partyは自分達の力だけで無事修復出来ていたらしい。確かにライブ出来なかった事で各々心に秘めている事はあるのだろうが、それでも決定的な亀裂は入っていないように見える。こちらとしても学園祭に間に合わせる事が出来なかったのもあり──例え余計なお世話と言われたとしても──私に出来る事ならば何でも引き受けるつもりでいたのだが。そんな必要など無かったか、取り越し苦労というヤツだな。

 ──いや、やめよう。下らん、自分を許せないからといって他人に赦しを求めるなど、あまりにもふざけているだろう。

 

 

 そうして後日。元通り……以上に関係が深まったように見える彼女たちが店にやって来て開口一番。

 

 

「「「「「ありがとうございましたっ!!」」」」」

 

「……待て待て、此方から謝罪する事はあれども、感謝を述べられる事など何もないはずだが」

 

 

 感謝の言葉を受ける権利は、やはり私にはないだろう。どういうつもりだ? 

 

 

「友希那先輩から聞きました。時間を稼いでくれるように頼んだのは、エミヤさんだって」

 

「Roseliaの皆さんにお礼を言いに行った時に、『礼なら、エミヤに言って。私は、彼に頼まれただけよ』って」

 

「他にも彩先輩がアドリブでMCを繋いでくれたり、ロックちゃんもギターソロで助けてくれたり……」

 

「私達はそれに応える事が出来なかったけど……せめて、『ありがとう』の言葉だけは!」

 

「それだけは伝えなきゃって、みんなで考えて話して、だから!」

 

「……なるほど、分かった。なら、その感謝の想いを辞するのは無礼に当たるだろうな」

 

 

 彼女たちなりに考えた上で私に感謝を述べるという答えを出したのならば、それを素直に受け止めてやるべきだろう。

 

 

「どういたしまして。君たちはまだまだ次がある、諦めすに進み続ける事だ」

 

 

 その言葉を聞き終えた彼女たちは、再度口々に感謝を述べてから店を飛び出して行った。てっきりこの後はウチで練習して行くのかと思ったが、よくよく考えてみれば今日の彼女たちは楽器を持って来ていなかったじゃないか。ならば、市ヶ谷家の蔵で練習するつもりなのだろう。

 まさかわざわざその為だけにここまで来たとは、何かの次いででも私は構わなかったのだがね。

 

 しかし、私は気付きたくない事も見えてしまうらしい。

 

 

 様々な感情が織り混ざった花園の表情──謝罪の念、責任感、不甲斐なさ、そして覚悟──は、しばらく私の脳裏から離れる事は無かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 それから数日が経った頃。

 

 私はカフェでの業務をそつなくこなしながらも、手隙の時間で新メニューの案出しに興じていた。これがなかなか面白いのだ。限られた予算の中で調達出来る食材を最大限活かしきるメニュー、しかもしっかりと利益が出なければいくら味が良かったとしても意味が無い。店である以上、利益は出せなければ話にならない。

 試作品を作る為に予算は多めに割いて貰っているが、なるべくならば低い仕入れで利益の出るメニューを考案しなければならない。

 

 

「……どうかしましたか、私の顔に何か?」

 

「いや、食べ終わったらいつもの様に感想を頼む」

 

「ええ、勿論です! まさか仕事の一環で貴方の手料理を頂けるとは、思ってもみませんでした!」

 

「あぁ、そう……。本当にこんな事に予算を使っても良いのだろうか……?」

 

 

 ……コイツ(セイバー)の食費も多少は浮くだろうし。

 

 作る事はもはや好きとか嫌いとか、そういう話で語れるレベルではないが、利益率や原価量などを考えてメニューを考案する事がここまで面白いとはな。正直想定外だった、初めての感覚だった。

 

 

 そんな感じで、疎な客の入りを捌きつつ店舗運営に勤しんでいた所で。

 

 

「Good evening! Mr.エミヤ!」

 

「こんにちはーエミヤさん!」

 

「……保護者同伴で良かった」

 

「What's!? ちょっとどういう意味よ!」

 

 

 思わぬ珍客、累計三度目の邂逅になる自称プロデューサーのチュチュとその付き人であるパレオのご来店だった。しかし、一体何の用だ? 彼女たちは話の又聞きにはなるが*1、自前で練習ができる施設を確保しているらしいし、練習の予約ではないだろうな。わざわざご飯を食べに来たりだとか、ただ茶をシバキに来た訳ではあるまい。

 

 

「それで、自称プロヂューサーのチュチュさんは一体何用でこちらに?」

 

「貴方、私の事を信じていないわね?」

 

「チュチュ様は作詞作曲も出来ますし、RASのプロデュースも一手に引き受けてるんですよ!」

 

「RAS……というのが、君たちのバンド名か」

 

「That's right! 私が作った、最っ強のバンドよ!」

 

「最強、ね……」

 

 

 実際のところ、彼女は確かにプロデューサーであるのだろう。よくよく思い出してみれば、花園を迎えに行った会場でそんな名前を見たように気がしないでもないが。あまり記憶にないな、とは言え実際に見てみなければ分からないモノだ。何せ見てくれが──決して口には出せないが、チンチクリンの小学生に見える──そう、少し幼く見えるからな。

 改めて思えば、彼女たちの事を何も知らないしな。別にそこまで知りたいとも思えないが、本当にあの日花園が居たというバンドが彼女たちのそれだというのならば、知っておく意味はあるのかも知れない。

 

 らしくない事をしているな、オレは。

 

 

「今日は、えーっと……、イッショクイッポンのオン? ……パレオ!」

 

「一宿一飯の恩ですねチュチュ様!」

 

「そう! 一宿一飯の恩! それを返しに来たわ!」

 

「一宿一飯の恩、この前の試作品の事か? あれは金を取れる程の物ではなかったのだが」

 

「いいえ。私はpay backすべきだと判断したわ。だからこそ、貴方にコレを。パレオ」

 

「はいチュチュ様! こちらをどうぞ!」

 

 

 そういってパレオがこちらに寄越してきたのは、ライブのチケット。『RAISE A SUIREN』というバンドのモノ、彼女達のバンドだろう。頭文字を取って『RAS』か。

 

 なるほど、どうあれ彼女達のバンドがどのようなモノか確認する機会が舞い込んできた、という訳か。それは良い機会だ、なのだが。

 

 

「すまないが、この日は仕事が入っている。有難い誘いなのだが」

 

「Work!? 休んででも来なさいよ!」

 

「バカを言っているな? 仕事はそう簡単に休める物ではないのだが?」

 

「Workと私どっちが大事なのよ!」

 

「その言い方は語弊があるぞ?? そして勿論仕事だが」

 

 

 流石に仕事を休んでまでライブに行く事は出来んよ。今回はご縁がなかったという事で、また次回。

 

 そう言って仕事に戻ろうとした所で、予期せぬ声が掛かった。

 

 

「行ってきてもいいよ〜?」

 

「まりなさん、戻っていたんですか」

 

「うん、ついさっきね。ライブっていうなら夜にやるんでしょ? その日は早めにお店閉めちゃってもいいよ」

 

「いやしかし……」

 

「別に仕事休みにする訳じゃないし、早めに店を閉めるぐらいなら対して不都合はないし」

 

「む……」

 

 

 流れは一気に向こうに傾いてしまった、仕事を早めに切り上げてまで行くことはないと思うのだが……。しかし、いい機会なのは確かだ。

 そこにやって来たのは、裏で試作品を平らげて満足そうな表情のセイバーだった。そう言えば、彼女が居たのだったな。

 

 

「何の話ですか? そちらの方々は?」

 

「……前に店にやって来た音楽プロデューサーさんだ。先日来店した際に試作品を出したのだが、その礼がしたいとライブに誘われている」

 

「その試作品、私は食べた事がありますか?」

 

「その話は後にしようか、話が拗れる」

 

 

 タイミングが悪いな、食の事しか頭に無い彼女が話に加わるのはあまりよろしくは無い。遅々として進展しなくなる可能性がある。

 

 

「貴女は? What's your name?」

 

「む、流暢な英語ですね。I'm Saber.And you are?」

 

「! 貴女、もしかして英語が話せるの?」

 

「ええ、私は生まれがイギリスですから」

 

「Excellennt! 凄いわ! 私はチュチュよ、チュチュって呼んで!」

 

「ではチュチュと。私の事はセイバーとお呼びください」

 

「Of course!」

 

 

 そう言えば、アイツの出身というか原典はイギリスはイングランドじゃないか。*2余りにも彼女が年頃の少女のように思えてしまって忘れてしまいそうになる。

 

 同じ言語を扱える者同士、何か波長が合っていたりするのだろうか。私には分からないが……ここで出会った事も一つの運命か。

 

 

「パレオさん。差し支えなければそのチケット、もう一枚頂けたりはしないだろうか?」

 

「はい! あと2、3枚でしたら用意出来ますよ! 如何しますかチュチュ様?」

 

「Good。貴方が来るのであれば、お譲りしましょう?」

 

「では折角だ、セイバーも一緒にどうだ?」

 

「む、これは……ライブのチケットですか。私は音楽には疎いのですが……」

 

「No plobrem! セイバーにもきっと楽しんで貰えるハズよ!」

 

 

 これも彼女の覚悟なのだろうな。彼女の自身に満ち溢れた姿勢にセイバーは直ぐに気付く、そして彼女であれば当然のように。

 

 

「分かりました、当日を楽しみにさせて貰いますね」

 

「Verygood! 期待してて! そうと決まれば、恥ずかしいperformanceは出来ないわね! パレオ、帰るわよ!」

 

「はいチュチュ様! それでは皆さん、あ騒がせしました〜!」

 

 

 嵐のように去っていった彼女達を見送って、ようやく一息付けると思った途端。

 

 

「ところでシロウ、先ほどの試作品についてですが──」

 

「キミは本当に……」

 

 

 まずはこいつを納得させる事から始めなければならんか。本当にさっき迄英語で喋っていた女と同じなのか疑いたくなるな、お前の頭の中は食べる事しか無いのか? 

 

 

 

 

 

 

 

*1
花園さんはサポートギターをやっている都合上知っているはず。そこからポピパに話は当然流れるだろうし、そこからは芋蔓式に広まるでしょう。話の流れで伝わるのも時間の問題だった筈。

*2
イギリス英語とアメリカ英語は細かい所で差異があったり、そもそもセイバーの時代の英語は『古い英語』らしいのでちゃんと言葉が通じるのか? とか、色々気になる事はあるんですけど、めんどくさいのでちゃんと英語で意思疎通できてることにして下さい。




今はちょっとだけ乗っている時期。

でも次が直ぐに上がるかどうかは分かりません。

これからどのように、どこまで話を作って欲しいか。是非ご回答下さいませ。

  • 2ndシーズン終結+数本小話
  • 3rdシーズン終結+数本小話
  • 2ndシーズン終結後休んでいい……
  • 3rdシーズン終結+鯖勢が消えるまで
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