どうして守護者がアルバイトなんてやってるのさ   作:メイショウミテイ

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えー…、遅くなりましたね。

まぁ、次の話も気長に待っててくれい。

UA13000超え…。
感動のあまり声も出ませんね…。本当、こんなSSをこれだけの人に見てもらえて嬉しい限りです!

いつも通り後書きにて評価してくださった方々の発表は行わせてもらいますが、指摘と言うよりアドバイスを貰ったので、評価値の方は伏せさせてもらうことにしました。

ご了承おば。




溶ける青薔薇

 さて、そんな訳で今井の行きたがっていたレストランに来た訳だが……。

 

「ほう、なかなかいけるじゃないか」

「でしょ〜! みんな良いって言ってたからアタシも行きたくなっちゃってさ〜!」

「確かに美味しいわね……。でも……」

「だよねー……」

 

 湊と今井が顔を合わせて頷きあっている。何をしているんだ、そのような事をしている間に料理がどんどん冷めていってしまうというのに……。

 

 そして、唐突に視線をこちらに向けてきた。二人は口を揃えて、

 

「「でも、エミヤさんの料理には敵わないわ(よね)」」

「……っ!」

 

 いや、私もこの料理を美味しいものだと思っていたし、下手をすれば……、とも思っていたのだが……。

 そこまで断言されると少々むず痒いな……。

 

「……そうか、素直に受け取っておくよ」

「「っ!? 」」

 

 私はその言葉と同時に、感謝を込めて笑みを浮かべた。

 瞬間、二人の顔が沸騰したように熱くなった。何処に照れる要素があったのだろうか? 全く理解できない。

 

あれを無意識でやってるんだからね……

余計にたちが悪いというものだわ……

「何を話しているんだ?」

「「なっ、なんでもないわ(ないよ)!」」

「む、ならいいが……」

 

 その後は終始様子がおかしかった二人を眺めながら、私も静かに食事を楽しんだ。結局様子がおかしい理由は分からなかった。何か異常が無ければいいがね……。

 

 

「それで、次は何処へ行くのかね?」

「少し、楽器屋によってもいいかしら。音楽雑誌と新曲が見たいから……」

「私はいいよー、エミヤさんは?」

「私もそれでいい」

「決まりね」

 

 という訳で、次は全国にチェーン展開されている楽器屋へと向かうことになった。私は楽器には疎いので、何かする事があればいいが……。

 

 

 歩き回る事5分、目的の楽器屋に到着した。

 私はドラムとキーボード位しか名前が分からないし、ギターとベースの違いが弦の数という事しか分からないほどの素人でね。

 ──なら何故ライブハウスでバイトしてるのか、なんて聞かないでおいてくれるか? 

 

 と、一人悶々としている間に、

 

「友希那ー。どう、見つかった?」

「ええ、売れ残っていてくれて良かったわ」

 

 どうやら目的の品は入手出来ているみたいだ。後は会計だけのようだが、列には人が結構並んでいるようだ。

 

「少し会計までに時間が掛かるようだな」

「そうみたいね、悪いけど待っていてもらえるかしら?」

「言われなくとも。店内をぶらついているから、終わったら呼んでくれるか?」

「分かったわ。リサもそれでいいかしら?」

「いや、私は友希那と一緒にいるから大丈夫!」

「あらそう、じゃあエミヤさん」

「あぁ、また後で」

 

 こうして二つに別れた訳だが、私には一つやっておきたい事が見つかっていた。

 

 ──────────────────────ー

 私の会計の順番を待っている間、リサがこちらをニヤニヤ見つめていた。

 

「リサ、何かあったの?」

「いーや? 別に〜」

「? おかしなリサね」

「そうそう、友希那」

「何かしら」

「どこを好きになったの?」

「…………はぁ?」

 

 な、何を言っているのか分からないわ……。内心、動揺してしまっているのは気づかれていないだろうか? 

 

「リ、リサ? 何を言っているの──」

「何って、エミヤさんの事だよ〜。分かってるくせにー」

「待って! 私が彼を意識した事は……」

「無いわけじゃないでしょ?」

 

 からかってるだけなの? それとも、本当に私の気持ちに気づいてしまっているの? 

 

 確かに今日だって予想していないところで感情が出てしまったりしたけど……。いや、でもそれだけじゃ……。

 

「いいや、分かるよ。今の友希那の気持ち」

「……どうして」

「あたしもきっと、おんなじ気持ちだからさ」

「っ!?」

「ただのバイトしてる人だったのが、いつの間にか自然と目で追っちゃうような存在になっちゃっててさ。結構意識しちゃってたんだよねー。その時にね、友希那を見てたらもしかしてって思ってさ」

 

 驚いたわ……。リサもエミヤさんに好意を抱いているなんて。

 

 私も気づかれたく無かったから、あまり感情が表に出ないように意識はしていたのに。それでも気付いてしまうなんて……。

 

「はぁ……、やっぱりリサには敵わないわね。ええ、きっと私はエミヤさんに……、恋、しているんだと思う」

「うん、分かるよ。でもそれは私も同じだから」

「ええ、これからは当然仲間でもあるわ。でも、同時にライバルでも……」

「相手が私だからって、気を抜いちゃダメだよ? 友希那にだって手加減しないから」

「ええ、私だって望むところよ」

 

 そう私は決意を固める。これはリサにだって、いいえ。誰にも負けられないわ。

 私には女としての魅力なんて無いかもしれない。けど……! 

 

 

「次のお客様! 3番レジへどうぞー!」

「取り敢えず友希那。お会計してきなよ〜」

「あっ……、ええ、そうね。行ってくるわ」

 

 確固たる決意を持って、私はまた一歩を踏み出した。

 

 ──────────────────────ー

 そんな女の戦いの裏で、この男は何をしていたのかというと……。

 

 自分が直感的に気になった中・古・の・ギターを観察したり、触ってみたりしていた。その中で、『特に歴史がありそう』だとか、『使い古されている』ギターを選んでいった。

 

 結果、三つのギターが彼の目の前に佇んでいた。

 

 

 私はその3つのギターを、順番に触れていく。

 

同調、開始(トレース・オン)

 

 ギターと俺の精神を交わらせていく。

 見える景色は、誕生日にプレゼントにギターを買って貰って喜んでいる少年。

 また、その少年がバンドを組んで様々な歌を奏でている姿。

 

 そして最後には、バンドが内部分裂してしまい挫折してしまった悲しい少年の姿。

 

 

 このギター自体はあまり高いものではなかった。

 ──そもそも、ギター自体が平均的に高額な品物なので、安いかどうかはよく分からないが……。

 

 それでも、やっと夢の第一歩を踏み出す事が出来るんだ! 、と少年は燃え上がっていて沢山練習を重ねたようだが、とてもこのギターを大事にしていた事が分かる。

 

 小さい傷は所々あったが、汚れは全く無かったからだ。

 毎日、手入れを欠かさずに行っていたのだろうな。

 

 

 その少年は、ある歌をよく演奏していたようで、その歌のイメージが頭に流れ込んでくる。

 そのイメージの通りにギターを弾いてゆく。

 

 〜〜♪ 〜♪ 

 

 

 ……、私はこの曲を知らないが、いい曲じゃないか。

 次は歌詞も合わせて聞いてみたいものだな。

 

「綺麗な音ね」

 

 その声に反応して後ろ振り向くと、そこには会計を終えてきた二人が立っていた。

 

「……もしかして聴いていたのか……?」

「うん、バッチリとね」

 

 どうやら買いたいものは買えているようだ。いや、そこはいいとして……。

 

 

 ここで一つ問題がある。私は周囲の人間には音楽のことはからっきし分からない、と伝えている。それは当然、利用客にも。

 ──いや、実際知らないのだがね。

 

 そんな男が、そこそこ上手くギターなんて弾いていたら、それを聞いていた人間が次何をするかなんてのは……、考えなくても分かるだろう。

 

「でも、エミヤさん。あなたは確か音楽の事は何も知らないはずよね?」

「……、ああ」

「の割には、初心者とは思えない腕前だったねぇ?」

「もしかしたら紗夜よりも……。いえ、それはいい。それで、どういう事かしら?」

 

 純粋な疑問がぶつけられる。

 

 返答に困るな、いやしかし。本当の事など言える訳が無い。

 

「……、そんな事を言われても、私はただ気持ちのままに弾いてみただけだよ。それ以上は何も無いのだが?」

「「…………」」

 

 向けられる疑問の目。ここは一つそういう事で片付けては貰えないだろうか? 

 

「まぁ、そういう事にしておくわ」

「踏み込んだって仕方ないしね〜」

「……踏み込むも何も──」

「何かを隠してるのは……、なんとなく分かった。だから何時でもいい。だから話して貰えないかしら?」

 

 ……、はぁ。この際仕方ないだろう。

 

「分かった、降参だよ。いつかは話すよ、約束だ」

 

 なんて、本当かどうかも確かめようの無い事を、私は放っていた。

 

「ええ、約束よ。リサも覚えておいて」

「うん、りょーか〜い♪」

 

 逃げ場はどうやら無くなってしまったようだな……。

 

 

 

 まぁ、その後はと言うと、リサの買い物──夏物の洋服が買いたいのだと──に連れ回されたり、夜ご飯までご馳走するはめになったりなど、久しぶりに楽しめた休日だったのでは無いだろうか? 

 

 

 

 

「エミヤさん! 今日はありがとね! 付き合ってくれちゃって」

「いや、気にすることは無い。私も暇だったのだからな」

「友希那もありがと! 急に誘ったのに」

「い、いえ! 今日はそういう気分だったから……」

「それでも……、ありがと」

「……ええ、いいのよリサ」

 

 いい空気になるのはいいが……。

 

「もう日も落ちてしまっている。早めに帰った方がいい」

「ええ、そうさせてもらうわ」

「うん、それじゃ。えっと……、また今度、エミヤさん!」

 

 家は近いらしいので、送らなくても大丈夫なのだと。なので、このまま送り出す。

 

「ああ、気を付けて」

 

 

 正直言って、こういうのは私の性にはあわないと思ったが……。

 

 

 

 

 

 まぁ、また今度。こういうのがあってもいいかも、しれないな。

 

 

 

 

 

 




評価してくださった方々の紹介と行きましょう!

ドアホン/ケンジンさん、0924さん、吉田さん、マイペース系さん、SPImark2さん、粉みかんさん。

ありがとうございます!

そして、お気に入り登録してくれた方々と閲覧して下さった方々にも、合わせて感謝を!



あ、申し訳ないですけど、これから投稿ペースが落ちます。
基本不定期なんで、休みじゃなくなっちゃったんだから仕方ないよね。


いや、ごめんなさい。本当、頑張っていくんで。
これからもどうか、よろしくお願いします!

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