たっだいまー!
吉野原氏、および黒無垢氏の誤字修正に感謝を。
忍者たちの守っていた少年、「赤馬零羅」を拾って。
オベリスク・フォースを相手に大立ち回りをした後、ボクたちは零羅を連れてファミリーレストランで時間を潰してから、舞網チャンピオンシップの第三回戦が終わる時間を見計らい、仕方なく、仕方なく赤馬零児のいるであろうスタジアムへと歩いた。
え、前回から、どんなデュエルをしてオベリスク・フォースに勝ったのか?
ひたすら《
――――なんてミラクルが起こせたら、BMG使いは苦労したりしない。
実際には、「マジシャン・ガール」と名のつくモンスターたちで《ブラック・マジシャン・ガール》をサポートして攻撃を封じたり、《融合塹壕-フュージョン・トレンチ-》なるアニメのメタカードでなぶり殺しにしようとしてきた相手に《エルシャドール・シェキナーガ》で自分から殴りに行きつつ「古代の機械」融合体の効果を封じたり、といった具合だ。
複数体のモンスターによる連続攻撃以外の有効打となる手段を奪い、かつ融合召喚を行わない相手へのメタを踏み倒し、パワーカードでゴリ押しにきた相手を悪名高き「仁王立ちΩ」コンボで封殺しに行く。
そこまでやって動きを封じた上で、やっとオベリスク・フォースの《古代の破滅機械》を逆に利用できるカードを呼び寄せて逆転できたのだ。
あんまりにも泥仕合すぎて説明するのも描写するのも大変だったので、今回はカットさせてもらいます。
【え、ちょっと? それ私の出番がなくなっちゃうじゃないですか!】
複数人を相手にデュエルをひとりでやる描写だから無理。
歴代のボスデュエルでも特に不利なデュエルをしたボスキャラクターの、「アポリア」も真っ青になるような状況で戦ったんだから、このくらいは勘弁してほしい。
っていうか回想めんどう。小説風に書くのもマジだるい。
【うぅ、次はちゃんと出番くださいよ?】
はいはい。ってか勝手に
じゃあ、そろそろ本題に移るとしよう。
そのような激戦を終えた後、当然他にもオベリスク・フォースがデュエルフィールドにいるであろうと踏んだボクたちは、もちろん舞網チャンピオンシップ第三回戦が終わってデュエルフィールドが解かれるまでの暇な時間は・・・・・・もとい、オベリスク・フォースがいるであろう時間帯には無理にスタジアムに向かおうとはしなかった。
それもそのはず。
第三回戦の間、丸一日もの長い拘束時間を楽しめる体力のあるアクションデュエルの好事家たちのひしめくスタジアムでは、第三回戦の様子が中継されている。大会参加者とオベリスク・フォースの戦いも映像記録として残ってしまうのだ。
その中継映像に少しでも自分が映ってしまおうものならば、いくらオベリスク・フォースを相手に生き残れたとしても、部外者であるはずの人間が大会に乱入してきているのだから、相応の混乱がスタジアム内で起こってしまうはず。
だからこそ、今の今までスタジアムには行けなかった。大会参加資格をそもそも持たないほどに「デュエルをしていない」人間が、映像記録であれ突然戦果を叩き出したら赤馬零児に目をつけられてマズいことになってしまうという問題もあるためだ。
こちらは融合もシンクロもエクシーズも使うのだから、余計に目を引いてしまうはず。個人的には《ブラック・マジシャン・ガール》のためのコンボの方を見てほしいが、手札や墓地で待ち構えるアイドルカードの活躍を真面目に捉えてくれるデュエリストのほうが少ないだろう、戦略をあまり見てもらえない可能性は仕方がないかもしれない。
さいわい零羅の目の前では融合とシンクロしか使ってないとはいえ、それでもスタンダード次元では複数の召喚法をただ使っているだけでも凄腕のデュエリストかのように扱われる。そんな声に酔いしれるのも結構だが、そこまでボクは暇じゃない。
リアルソリッドビジョンの勉強と実践がまだなんだ。
見栄や名誉よりも《ブラック・マジシャン・ガール》との生活を夢見たほうがいい。
もうこうなったら他人任せだと割り切って、零羅に、
「自分はデュエルを楽しみたいんであって、デュエルで争って誰かの上に立つとか誰かを引きずり下ろすとか、なにかの召喚法が使えるからどうだとか、そういうつまらない話に付き合いたくないし、そういう戦いに付き合うのも疲れちゃったからウンヌン」
などと、まったく嘘ではないが絶対に本当ではない理由を伝えて、ボクたちのことを黙ってもらうようにお願いするだけお願いしてみた。
戦うだとか、争うだとかの言い回しに共感できるところがあったのか、ありがたいことに零羅は頷いて、途中から一人で帰ろうとしてくれた。
・・・・・・そう、「零羅は」納得して帰ろうとしてくれてはいたのだ。
たまたま黒服サングラスのガードマンたちが、そうやって帰ろうとしていた零羅の目の前にバッタリと顔を合わせて、そこからなにをどう察したのか思い込んだのかボクを捕まえて赤馬零児たちの目の前まで連れて行ってくれたよチクショウめ。
ただ、そこから先がもっとひどい。
零羅にやっていることが母親らしすぎて別人にしか見えない赤馬日美香、メガネを押し上げるように親指と人差し指の腹で軽くまぶたを拭った赤馬零児。
の、様子を、明らかに原作より人数が少ないとわかる第三回戦に生き残ったメンバーたちの目の前で見せられるという意味不明な状況に立ち会ってしまうだとか。
なんだか生ぬるいアットホームな雰囲気から、いきなりほぼ原作と大差のない赤馬零児の煽りじみた説明を始められてマジ切れした榊遊矢を交えた、目の前の登場人物たちの口喧嘩が始まるだとか。
まるで意味がわからないよ、こんなのっておかしいよ。
もう状況が荒れすぎていて、直接は赤馬零児から聞き出しにくくなってしまったが。
大まかな内容とボクの原作知識による補完から推測するに、どうにも第三回戦では次のような事態が起こっていたらしいのだ。
スタンダード次元まで遠出をしてきたセレナ。
本来は「そのセレナの護衛のために」月影と日影が行動していたのだが、観戦中にトイレに行った零羅が遊勝塾の生徒に見つかって「一緒に大会を直接観戦しよう」と誘われた・・・・・・もとい、攫われた(?)結果、なんやかんやで零羅を守らせるために赤馬日美香がヒステリーを起こして暴走。
その予想外すぎる言動を見た赤馬零児も慌てて、即座に月影と日影へと護衛対象を増やすよう、零羅を探すよう指示を飛ばしたのだとか。そりゃあ誰だって慌てるだろう。
自分の母親から虐待も同然の待遇を受けさせられていた、自分を兄と慕ってくれる養子の兄弟(兄妹?)が行方知らずになった途端、自分の母親がまっとうな感情で錯乱したら。
彼らの混乱が通信機越しであれ伝わってしまったのが、肝心のセレナからの印象ではあまりよろしくなかった――――彼らの様子から、アカデミアでの過保護すぎる軟禁生活を思い起こさせられたからなのか?――――らしく、
「くだらないな、子守もできない連中に付き合っていられるか」
と、独断で月影たちを振り切ってオベリスク・フォースと衝突、そのまま捕縛されたそうだ。そうなってしまえば、やることがなくなる人物たちは当然現れるわけで。
ひと仕事を終えたオベリスク・フォースたちや榊遊矢に似た誰かは暇を持て余して、せっかくだからと次から次へと大会参加者を集団デュエルで屠り始めたのだという。
ようやく月影たちが事態を把握した頃には味方が周りにおらず、”友達”とはぐれた零羅がオベリスク・フォースに狙われていたがために、氷山エリアをデュエルしながら移動してモンスターからの攻撃を避け、逃げ回り、そのまま押し出されてデュエルフィールド圏外へ。
結果、ボクたちの目の前に月影たちや零羅、オベリスク・フォースたちまでもがデュエルフィールドから現れて「
察しのいいひとなら、この時点での真の問題点にもう気がついたかもしれないが、あえて情報共有のために言及はしておこう。
我らがストロング系遊戯王ヒロイン、「柊柚子」の出番が丸々なくなってませんかね?
【あ、あれれぇ~、おっかしいぞぉ~っ・・・・・・?】
《ブラック・マジシャン・ガール》が白目をむいて、唇をわなわなと震わせながらブツブツと呟き続ける。思わず喉が笑っている辺り、ものすごく動揺しているらしい。
【トイレの下りは分かるけど、えっ、もしかして本当に柚子ちゃんとセレナちゃん、出会う前に月影たちの通信機のやりとりを聞いたくらいで歴史が変わっちゃったってこと?
じゃ、じゃあ、二人で着替えて囮作戦とかは? 囮作戦に騙されたユーリの徹夜デュエルからユーゴに会って柚子がシンクロ次元に飛ばされちゃうとかは?
黒咲と素良のデュエルを見てセレナちゃんが改心するイベントとか、セレナちゃんに介抱されてからスタンダード次元のデュエリストに心を開いていく展開とかは?
えっ、えっ・・・・・・えっ。ええっ・・・・・・・・・・・・??】
思わず喉が笑っている辺り、ものすごく動揺しているらしい。
こればかりは無理もないことだ。
まさか子供たちのやんちゃと母親のヒステリーでメインヒロインの出番がガッツリ減って、準ヒロインは舞台上から即退場、月影も日影もカード化され、黒咲に至っては誰も邪魔しに参らなかったせいで紫雲院素良にカード化されて行方知らずになるだなんて、そんなの誰も想定できるわけがない。
できる方が凄いわ、こんなもん。
元から生き残るはずだった権現坂たちのうち月影も黒咲もいない状態であれば、いくら月影や日影がデュエルフィールドの外へオベリスク・フォースたちの多くを誘導していたとしても、権現坂や沢渡に担当するオベリスク・フォースのデュエル戦士を捌き切ることは限界があるはずなのだが、どうも二人が助かったのは、シンクロ次元から迷い込んだ榊遊矢のそっくりさんが乱入して助けに入ったから、らしい。
そんな有様を聞かされたうえで、しかも目の前に彼らを助けた本人がいる。
柊柚子を連れてシンクロ次元に飛ばされる、なんてことには全くならないままにだ。
もちろん、この場に柊柚子はいない。おおかたセレナとの見間違いで一緒に連れ去られたのだろう、オベリスク・フォースがやったのかは知らないが。
そこまで原作を原作側から崩壊させられたら、そりゃ笑うしかないだろうさ。
「あのさ」
【なんでしょうか、マスター】
目の前で《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》と《DDD双暁王カリ・ユガ》の、やっぱりどこかで見たことのある衝突を目の当たりにしながら、なるべく他の大会参加者や大会関係者に聞こえないようなほどの小声で、
「これ、なにげにシンクロ次元編も潰れかけてない?」
【たぶん、戦力強化狙いで無理矢理にでも赤馬零児が連れて行くんでしょうから、完全になくなるってわけじゃない・・・・・・はずです、きっと。むしろこれって、アークエリア・プロジェクトが早まったりしません?】
「それはないでしょ、ズァークの因子がこうして生きてるわけだし」
などと、ボクたちは、ひたすら現実に少しずつ目を向け直すことにした。
さすがにどこかで見たことのある一連の流れなどに、わざわざ意識に入れるほどの気力を費やすつもりもない。回想と解説が長すぎるって?
そもそもこんな超展開を毎回やってる遊戯王が凄いんだよ。
当事者としてはさ、状況の整理だけでも手一杯なんだよねぇ!?
【あのぅ、ひょっとして、絵に餅描いてくれたり】
「しません」
【えぇ~!?】
ましてやアークファイブは群像劇。
ちょっとでもテレビの前から席を外したり、軽く回を跨いで視聴しちゃっただけでもガラリと視点が変わったり展開が進んでいたりする群像劇だ。
今の今までモブキャラやってたボクがここまで解説できただけでも、席を外した視聴者目線なりによく頑張ったと褒めてもらいたい。
第一、そこまで原作から乖離しきったら余計に次元戦争どうなるか分からないじゃないか。群像劇だからこその各チームのフォローが成り立っていたものが、月影と黒咲のカード化で成り立たなくなる今の状況で、わざわざ絵に餅を描いて参戦しようにも、どうやってカード化させずに生き残れというのでしょうか。
無理じゃね?
【わ、私はその、《サイバー・ドラゴン》にも負けるくらい弱いですけど!
そんな私を採用して、あれだけ対応しきれるくらい強いんですよマスターは!
私を実体化させて、でっ、でー・・・・・・】
「で?」
【でぇぇぇぇっ・・・・・・】
《ブラック・マジシャン・ガール》が、風船が勢いよく萎むような声で言葉を詰まらせた。俯いたまま顔をあげないので覗こうとしてみる。
帽子を深く被って避けられた。ごめん。
【その、とにかくっ、リアルソリッドビジョンの勉強はわかってます!
ぐだぐだ、だらだらと生きるのも悪くはありません! 確かに原作がどうなろうと零羅くんちゃんさえ生きていれば、柚子ちゃんたちが無事であれば、ええ、遊矢たちの誰かが死んじゃったりすればアークファイブの物語なんか簡単に終わっちゃうんです!
それでも《覇王龍ズァーク》関係が解決すれば私たちの勝ちとはいえ、やっぱり、精霊ってわけじゃないですが戦う場所があって、えっと、あの、信頼できるっていうか、してもいいっていうか、してあげてもいいっていうか、一緒に――――】
「よし、どうやってフェードアウトしようかな」
【マスター、さてはわかってます?
さっきから全部、わかっててからかってませんか!?】
ジェンガは土台のを引き抜くと、一気にバランスを失いますよね。
つまり月影と黒咲が脱落するのは、そういう感じ。セレナ関係も成り立たなくなるので、どんどんヒロイン(柚子&セレナ)の出番が潰れていきます。
となれば、彼女たちの物語も変わるわけで・・・・・・?