昨日の夜に投げたものが前回のものなので、そちらを読んでからこちらを読んでください・・・・・・的なめんどくさい作品ではありませんから、別にこっちから読んであとから前回のものを読んでも全然問題なんかありません。
いやー、やっと出せたよこれ。
アイデアだけがあっても、地の文が解説と考察まみれになりやすいから、キャラの立ち回りを宣言させる方式に近いとは言え、キャラの掛け合いが難しくなるんだよなー。
みんなは同じような書き方を無理して真似ようなんてしないでね。
赤いマフラーが、こちらの視界に煩わしくはためく。
「――――なぜだ、君も私の話を聞いていたのだろう!?」
こちらを見る多くの視線が、まるで正気を疑うかのように突き刺さってくる。
あるものは幼馴染や故郷を案じるがゆえの良心を求める目で、あるものはエンターテイナーとしての栄光にも繋がると察しているからこその野心ある志を持ち、だからこその無欲にも見える相手を疑うような目で。
あるものは義を重んじるからこその外道を見るような目で、あるものは戦おうとしない臆病者だと相手を解釈して見くびるような目で。
また、あるものは「ま、そりゃそうだよね」と納得して、仕方ないかという諦めを示したボディランゲージを演じた上での、道化らしからぬ目で。
そのうちで最も低い位置にある目は、なにかに安心したような目つきで。
「いずれ、この街でさえもアカデミアの戦場となる。
融合次元の者たちの目的こそわからないが、それが我々の世界の危機に繋がるのであれば戦うべきだ! 君も使えるのだろう、複数の召喚法の力を!!」
しかし、誰よりも高い位置にある二人の目は、どちらも訴えるような目つきで。
「気持ちはわかるんですけど、ボクはねぇ?
そもそも舞網チャンピオンシップになんて参戦してないし、興味もないし。
そのうえでランサーズがどうこうって言われてもね。公表するんなら筋違いでしょう?」
しかと伝わってくる感情がどのようなものかは、あえて語るべきではない。
「無理やり引っ張るつもりだろうと、そもそもが目的が違うんですって。
デュエルモンスターズをエンタメデュエルなんかのためには使わないし、デュエルモンスターズを戦争のためになんて使いたくもない。
ボクは、ボクの好きなデュエルのために一緒にデュエルがしたい」
ただ、はっきり言って。
遊戯王作品の各シリーズを追い続けたものとしては、正直不愉快だ。
「デュエルモンスターズに肉体を与えて、一緒に暮らす。
そのための研究の都合にしたって、じゃあ融合次元のアカデミアってのをやっつければ解決なんて、いやいやありえないでしょう! 戦争ですよ、戦争!」
そう、彼らの闘いは。
それぞれが個々のプライドをかけて、運命を賭けて戦う『デュエル』ではない。
あくまでも戦争であり、個々の勝利に意味などなく、最終的に相手を負けさせることができればなんだっていい。だからこそオベリスク・フォースたちに足元を掬われる。
「融合次元にだって社会や国があるんでしょうし!
仮に軍ですらない、その、アカデミア? なにやら軍学校らしきものを一個潰したところで、融合次元の国の方針が最初から侵略戦争だったらどうなりますって話ですよ!
ほかの軍学校から増援が来るのか、あるいは軍本部から直接叩きに来るのか?
どっちにせよ笑わせないでくださいって・・・・・・藪をつついて蛇を出すなら、あなたが独りでやってくださいよ、ねぇ?」
実際は蛇ではなくドラゴンが出るのだが、それはそれとして。
何も知らない一般人の体裁で物を言うのであれば、「今のボクの解釈がまだ真っ当」であることは伝わっているのか、道化然とした青年が少し驚いたように口笛を吹く。
仮に赤馬零王の計画が独断によるものだとしても、あんな大規模な計画は最初から軍部に根回ししておくか、資本家に話を通して政治的圧力で軍部を動かすかでもしない限りは通りはしないはずだ。
そこを無視してアカデミアだけで実行するには、いくらなんでも表向きの計画であるアークエリア・プロジェクト自体が胡散臭いと踏んだ資本家や権力者に、スパイを送られてしまいうる「解釈の余地」が広すぎる。
洗脳可能なデュエルモンスターズの虫を開発してしまった点も、融合次元の暗部に関わるものからの不信を煽るには十分すぎる。
そういった裏事情を推察せずとも、軍部は基本的には政治家の意向を汲むものだ。
軍事政権に成り果ててさえいなければ、立憲君主制であれ王政であれ、ある種の偏った民意とも言える軍部の暴走を未然に防ぐことは可能ではある。
赤馬零王が経営者である以前に政治家としての立ち回りもできないまま、アカデミアを私物化し続けているのだとしたら、我々がなにかせずとも融合次元側の事情で暗殺されてしまったっておかしくはない。
私物化しておらず、アークエリア・プロジェクトのための侵略戦争こそが立派な公務として成立しているのであれば、もはや余計な迎撃や先制攻撃は戦争を激化させるだけに過ぎず、次元統合はもちろんのこと、エクシーズ次元の人々の犠牲をも素直に受け入れたほうがマシであると言えよう。
ようするに、赤馬零児の出番なんて、元からないのである。
その出番は本来、裏事情を深読みするのであれば、融合次元の人々が解決するべきもの。
もしも彼に出番があるとすれば、隣の国同士の戦争に本国が横から顔を出して銃を構えるような真似を企業でやることではなく、次元統合が終わってからの世界で正しくデュエルの在り方をアカデミアと論じ合う方向性での「デュエル」だったのかもしれない。
「とにかく、ボクは次元戦争なんて行きませんから!」
以上のどれが真実であろうと、なかろうと。
「ボクは、エクシーズ次元と融合次元の戦争を、舞網市と融合次元の戦争にしたくないだけなんですって! 本当に攻めてきたならともかく、今は話が違うでしょう!?」
専守防衛が、攻めてきた相手に対して「お前が攻めてきたから、お前が悪い」と言える最善手だ。間違っても先手必勝は戦争の定石なんかじゃない。
むしろ逆、「戦争せざるを得なくさせる」のが定石なのだ。先手必勝なんて考えて動かされた側こそが、すでに国力を弱められて攻めるしかなくなった状態なのだから。
そこんところの解釈を間違えた大企業のお坊ちゃま相手に言える、お世辞なんて無い。
そうして、ボクらは。
舞網スタジアムから離れるように、赤馬零児に背を向けて去った。
【マスター、本当にいいんですか?
ランサーズへの勧誘を蹴っちゃって。将来考えたら上司ですよね、赤馬零児って?】
「いいんだよ、さっきので。スタジアムに入ったところで、得るものなんてないし。
レオ・コーポレーションの社長サマに恩を売るってだけなら既に終わってるし、恩義を得て就職先を確保するって話なら、今回のを槍玉に挙げて不採用ですは馬鹿すぎるよ」
舞網スタジアム周辺から、第三回戦のデュエルフィールドに設定されていた範囲の外にある、おそらくかつてはデュエルフィールド内で営業していたのであろうカフェテリアへ。
そこで買ってあげたタピオカらしきものを持ってすする、テーブルを挟んで座る少女に話しかけながら、ボクはケータイを持ったまま「電話で話している」体裁を保つ。
「だって、戦争だよ、戦争。
たかが一企業のトップが、自分の徴兵令に従わなかったから技術職に就かせませんっていうのは頭がおかしすぎるって。やらんとしたことが元から私設軍隊なんだからさ。
そこんとこ私怨持ってどーのこーのする玉の小さいやつなら、なおさら・・・・・・性別どっちだったかわからないけども、弟分らしき子を助けたってことを忘れないだろうし?」
デュエルモンスターズの精霊と会話できるものは、どんな遊戯王作品の世界の住民であれ少数派だ。そのようなものと会話しているのだとバレないように立ち回るのであれば、やはりエル・プサイ・コングルゥってわけではないが、電話をしている「ふり」でごまかすしかあるまい。
その程度で済ませれば、「なんか電波な危ない人」扱いされずにもすむ。
「そもそも舞網市を誰が守るんだってハナシを最初から考えてないっぽいし? 論外論外、まともに相手するわけ無いじゃん!」
ぶっちゃけ、あのままスタジアム周辺にいても大した収穫はない。
情報集めこそ簡単にできそうだが、メタ視点での推理と調査を続けるには立ち回りが胡散臭くなりすぎて、あのアカデミアのスパイを相手に出し抜けきれる気がしない。
なにがどう胡散臭くなるのかと言うと・・・・・・全然見ず知らずの赤の他人でしかないはずの女の子の行方を調べるためにという真意を隠すためにせよ、いちいち参加者全員の安否や状況を確認し続ける、スタジアムにいた観客ですらない外部の人間が。
『チャンピオンシップ第三回戦の真っ最中に、わざわざ外出してデュエルフィールド付近にいたという言い逃れできないアリバイ』
は、あったにも関わらず、テレビで視聴して見たわけでもない連中を心配する。
あるいはテレビや情報端末で見ただけにせよ、いちいち全員の安否を心配する。
そういう人間は「人がいい」を通り越して、なにを動機にそこまで他人に親身になれるのかが「理解されない」ものだ。ヒーロー気質だろうがなんだろうが、問題はそこ。
どこかの少女漫画風格闘ゲームの桃色主人公みたいに「やっぱり、愛だよねっ!」と言いきってみせるほどの大胆さがあるのならば別だろう。
だが残念、ボクは男だ。
ああいうことを言い切れる情熱的な人間を気取るようなゲスさ。
そこまで外道に走れるのならば、未来を知るからこそ身の程をわきまえんとしている自分のあり方なんて最初から投げ捨てたほうが、あそこまで原作崩壊しきった展開になんてさせようともしなかっただろうし。
そんな展開になってしまうような理不尽な「もしも」の実現が、自分とは関係のない理由から始まったなんて知ったら、わりと容易く心を折られていたことだろう。
つまるところ。ボクは、
「今くらいが丁度よい身の振り方で、身の程を知った行動を取れている」
と、いった具合なのだろう。
さて、ここでARC-Vの物語に焦点を戻す。
重要な問題は、柊柚子が脱落しているか、死亡しているか否かだ。
彼女が本当にオベリスク・フォースに拐われたか否かで、ここからの方針は大きく変わる。アークエリア・プロジェクトを邪魔しないまま早めに『赤馬レイ』の復活を実現してもらう場合、むしろ「柊柚子も拐われてしまった」ほうが都合はいい。
赤馬零王の目線だけで考えれば、あとは次元統合のためのエネルギー、カード化された人間の魂さえ充分にあれば問題なく計画の完遂は可能になるからだ。原作においてはそちらが不十分なままに計画を実行していることもあり、結果として失敗に終わっているが。
逆に言えば、ランサーズの活躍やカイトの抵抗さえなければ、赤馬レイ本人の意志はともかく赤馬零王の願望が達成できていた可能性はあったということ。柊柚子やセレナという楔さえ取り払われれば、もっと早い段階で計画が最終段階に入っていたということでもある。
そう、エクシーズ次元のハートランドに生きていた住民、その全員分相当のエネルギーさえ回収しきれれば、赤馬レイ復活のための条件はクリアできる。
むしろ今ここで何らかの妨害をランサーズに実行して、そのままズァークの因子を潰してしまったほうが、ズァークに関しては後先に腐れ縁もなくなるというものだ。
しかし、柊柚子が拐われていないのであれば。
柊柚子を見つけてアカデミアに拐わせるか、ランサーズに参戦させてアカデミアまで連れて行って意図的か必然的に負けさせる状況に追い込んでしまうか、あるいはギリギリまで柊柚子を安全な場所に確保するか守り続けるかでいい。
それだけで赤馬零王の動向を好きなように誘導できるし、ズァークの復活に対して対策を考えるのであれば、むしろ彼女をランサーズから離すことで・・・・・・ズァークの因子を暴走させるだけ暴走させて、統合前に誰かにデュエルで殺されてしまうような状況にまで「盛っていく」ことも視野に入る。
柊柚子は、榊遊矢だけでなくユートやユーゴに対してもストッパー足りうるのだから。
彼女がいる、いないの違いでは、彼らの正気度さえも自由にコントロールできる。
もちろん、ズァークがそもそも復活可能な条件を満たすのかでさえも、だ。
その点においては、『柊柚子の状況』を確認するために参戦するのもありだろう。
まぁ、全部めんどくさいからやらないけど。
【めちゃくちゃ邪悪なこと考えておいて「めんどくさい」って・・・・・・】
ここまでの小さな独り言を聞いていた《ブラック・マジシャン・ガール》の精霊は、呆れたような、疲れたような、安心したかのような、なんとも表現に困る苦笑いをしていた。
そりゃあそうだろうなぁ、とは思う。
今の今まで、自分の保身と願望を周りの未来と天秤にかけて、仲間や友人ですらない赤の他人のことは切り捨てて助けもしないという選択をとってきて、重要人物と言える赤馬零羅だけは助けて、融合次元との戦争に関してはサボタージュを決めると言ってのけ。
誰のために戦うとか、見ず知らずの誰かの身を案じて熱い正義の心で悪に立ち向かうわけでもなく、口にする言葉が「重要人物のひとりが死んでたらやばいよね、攫われてくれていたほうがありがたいけど。どうせならズァークの分身が死んでくれたら御の字だよね!」といったエグいもの。
そこまで言い続けた挙げ句、最後に言う言葉が「めんどくさいからやらない」。
邪悪も過ぎれば、結局は怠惰に行き着くってことでもある。
具体的には、次のような感じに。
「やだもん、ヘイト買いながらで損得勘定しながら生き残るの、面倒だし。
ヘイト買わないように動き回るにしてもさ、そこまで腹芸うまくないよボク?
全部成功すれば、たぶん一番簡単で楽なんだろうけどさぁ、別にあそこの生徒じゃないから報酬もらえそうもないし、その資金や待遇で君に肉体与えることこそガングロハゲ(※赤馬零王のことです。)が嫌がることだろうし?
最初から裏切るって選択肢なんかは、デュエルモンスターズの受肉がボクらの願望って時点で失敗確定なの。だったらさぁ、いっそ関わらないほうがよくない?
どう計算しても、こっちの労力とリスクが受肉成功まで繋がらないと思うし・・・・・・」
【どう転んでも恋心優先なんですね、マスター・・・・・・】
「え、なんか文句あったの? あるなら変えるよ?」
【いえ。あの、むしろ、マスターは「そのまま」でいてください。ねっ?】
なんだか不本意な評価を受けたような気がする。
具体的にはそう、どこかの世界線の日本人みたいな命名法でつけた名前を引っさげて「転校生です」と言いのけて、そのまま仕事上の関係で保護対象になった高校生男子を相手にスクールライフとめくるめくラヴコメディをクラフトして楽しもうとする公務員扱いかのような。
あれが与えた同姓同名の者たちへの風評被害というか、二次創作関係での影響力はすさまじいもので、とりあえず元ネタが同じなら同人格闘ゲームの二次創作でも似たようなキャラ付けにされてしまうなどの同人界隈での社会現象にもなっていた。
自分が同じ名前の同種の存在だったら、絶対アレと一緒にはされたくないと思う。
なんかそういう感じの嫌な直感がしたのだ。気のせい・・・・・・だろうか?
どうせなら水着とか、マントon水着とかを着てる紫色のほうのやつ呼ばわりがいいと思うのだが。白黒の私服を着た銀髪のアホ毛なほうのやつ呼ばわりだったら困る。色々と。
恋に生きて自重しないならともかく、愛に生きて自重するとか。ないない。
「とにかく、どうせ赤髪ツインテール(※赤馬レイのことです。)が全部解決するならね。
手っ取り早く、柑橘類なの(※柊柚子のことです。)を明け渡したほうが楽っちゃ楽なんだけど。
その状況にまで持っていていく以前に、もう終わってるかもしれないし勝手に終わるかもしれないクリア条件のためだけに、デリバリー・サービスや榊遊矢とかのフリー対戦お願いしますドラゴン(※ズァークのことです。)の因子へのリップ・サービスを頑張るくらいなら、いっそランサーズに関わらないほうが、ね?
サイテーだとは思うけど、そもそもが彼女の命の保証さえできればいいわけで・・・・・・もし無理矢理に手伝えって言われても、そこだけ手伝う体裁で舞網市でぷらぷらと
自分自身の発言を弁明するかのような言い方になってしまったが、ニュアンスは正しく伝わったのだろうか。なんか言えば言うほど、彼女の呆れた笑みが深くなってる気がするんだけど。
え、まさか、本当にそっちの意味で解釈されたのだろうか。スゴイ嫌だ。
それにしても、隠語と言い回しで原作知識誤魔化しながら話すの疲れるなぁ。
【あー・・・・・・どっちみち、
それを邪魔しまくるランサーズに加わったところで、余計に生き残れるかは怪しいままですし、ね・・・・・・どうせ合流したらしたで、なんやかんやで「アカデミアを倒す」とか。
なんか「幼馴染が心配だ」とか、そんな感じの適当なふわっとした現実見てなさそうな理由で、こう、ほいほいと榊遊矢に従いて行っちゃいそうですし・・・・・・】
納得したように彼女は相槌を返す。そう、特にそういうところだよ。
忘れていた。そういった点でも、彼女らに関わるのは厄ネタなんてものじゃない!
遊戯王作品の女性陣と言えば、わりと向こう見ずな行動力が特徴だ。
いざという時に、自分がどういう目にあってしまうのか。
それを具体的にイメージして立ち止まる、その素振りをするかすら珍しい。
そこをあえて示されてなお「かっとビング」や「失った超能力なしに行動しようとする勇気」で解決するという、シリーズでも最硬のメンタルを持つヒロインたちもいることはいるのだが、そういう個々の違いは置いておいて。
ある意味では特に勇敢で、ある意味では向こう見ずで、身の程もなにもない。
そういった愚の骨頂を自分からやらかすという点においては、赤馬レイの因子たちは一番タチが悪いという共通点がある。
ある因子は世界が違うということの意味を深く考えずに「相手を思いやり」油断をしてしまい、ある因子は戦うことの意味を履き違えたまま「戦士として認められるべく」相手をカード化しようと行動に移し、ある因子は戦うことの意味こそ正しく認識していても「兄の束縛を拒絶して」周りの心配をまともに受け止めず捕まってしまう。
最後の一人に関しては・・・・・・特筆できる物語もないので、語らないものとして。
彼女たち赤馬レイの因子たちの中でも、特に良心を動機として無謀な真似をやってのける「柊柚子」に関しては、下手に干渉するだけ危険だ。
道徳としては間違ってもいない、道理としては悪くもない良心からの行動力で、その後にどうなってしまうのかを考えずに同じ顔の少女の身代わりを演じて逃げ続けようとするほどの、正直に言って正気を疑えるほどに危険な無謀さだ。
自己犠牲と言えば聞こえはいいが、セレナが置かれている私的な環境について具体的に知りもせず理解しようともしていない段階で、アカデミアの方針や悪行だけから解釈して身代わりになってでも現実を伝えようとする・・・・・・というのは。
セレナが軟禁生活に近い孤島での土地も社会も視野も狭い日常を送っていたのだと知ってさえいれば、そういう背景が会ってこその軍人らしくもある動機なのだと知ってさえいれば、まず捕まって同じ目に遭う危険の方を先に考えて躊躇するはずのものを、そこから勇気を持って決断するべきだったものを。
それら一切をすっ飛ばして、何も考えずに行動することと何も変わらない。
そんな女の子の隣に立って、勝手に行動されたら困る。
仕事の上での付き合いだろうと、絶対に気絶させて運んだほうが話は早い。
もちろん、いちいち気絶させたり黙らせて運ぶ手間すらも面倒だ。
「うん、そういうわけで蹴ったんだ。ためにならない仕事だからね。
赤髪ツインテールなあれの復活には、あの子の安否が最優先なんだけど、あの次元跳躍にはフリー対戦お願いしますドラゴンの因子同士が近くにいる状態で、同じ因子の誰かにひっついてなきゃいけないし。
黒茄子と遊矢と、バナナ野郎がいるって時点で腕輪での移動はありえない。
どっちみち向こうにいるか、まだ舞網市にいるかのどっちかだよ」
ましてや。
正義の味方ごっこのために戦場ですらない、全員復活しうるカード化ありきの茶番じみた遊技場に行くなんて、それこそ目の前の相手も現実も見ていないクソガキの戯言だ。
独り善がりの茶番劇なんてもんじゃないだろう。
そうは思うのだが。
遠くから駆け寄ってくる、緑と赤のツートンカラーの少年だけは、そこまで冷徹に物事を考えることはできなかったらしい。
「・・・・・・チッ。ちゃんと赤馬零児は諦められたのに」
【マスター、顔が怖いですよ・・・・・・!】
ごめん。ちょっと限界が来た。
その独り善がりの茶番劇の舞台に立つ主演男優が自分からこっちに関わってくるだなんて、さすがに正気を疑うというか、腹が立ったんだよ。
デュエルで従えようってんなら、我慢できなくなるかもしれないな。
この主人公から見た「榊遊矢」の印象は②を前提としたものです。
端的に言えば、「いてもいなくても死んでてもいいけど、ズァークとエンタメデュエル関係で巻き込むんじゃねぇ。むしろ来るな!」。
まあ、デートに凸されたら男子はそうもなるよねってのも含めてなので。
単純に「この短編シリーズでの榊遊矢」は間が悪すぎたのだ、程度に留めてください。
さすがにデートの最中じゃなかったらそうはならんやろコイツとボクは思う。言ってることがゲスの極みではあるものの、ズァークや逆鱗遊矢があんなんだって知ってたら、絶対隣に立ちたいなんてひとは真性の遊矢ファンしかいないでしょうし。
少なくとも、この短編シリーズでの主人公は榊遊矢のファンではないので。
BMGが隣にいればそれでいいタイプのキャラなんで。むしろ隣からBMG消したらキレそうなタイプなので。今回のキャラはそういう路線で行くのです。
※(カードの精霊とのデートとか、まず気づかれるわけないじゃないですかやだー!!)