天才物理学者と筋肉バカの新世界より   作:alnas

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「仮面ライダービルドであり、天才物理学者である桐生戦兎と、相棒の万丈龍我が地下へと向かう中。一足先に地下に辿り着いていた悪魔チームの元に現れたのは、正体不明の光を扱う敵だった」
「なあ、この前来たあらすじ紹介の先の内容まで言っていった奴誰なんだろうな?」
「忘れなさいよ! 事故だよ事故! あんな奴『仮面ライダービルド』には登場しない!」
「なにしれっとタイトルを『仮面ライダービルド』で決定してんだよ! 普通、そこは『仮面ライダークローズ』じゃねえのかよ!」
「なんでおまえが主人公前提なんだよ? 主人公って言ったら1号ライダーであり、もっともヒロインと長く一緒に居て、ラスボス倒した俺しかいないでしょ。はい、タイトルは『仮面ライダービルド』に決定!」
「ふざけんな!」
「貴方たち、さっさとあらすじ紹介をしてちょうだい! って、ここで言い合わないでよ! ああ、もういいわよ! 私が読めばいいんでしょ! 敵の正体を探る最中、一瞬の隙を突かれた祐斗を庇うイッセーに向けて放たれた光の槍があたりを覆い尽くし、彼は光の中へと消えていったって、え? イッセーったら、あのときの戦いでそんなことになっていたの? あの子、そこまでは聞いてないわよ? もう、本当に仲間想いな子なんだから」


ドラゴン覚醒

 木場を守るために、光の槍の射線上に割り込んだとき、やけに左腕が熱かった。

 そんでもって、槍を防ごうとしたとき、視界が光に埋め尽くされて――ああ、そうか。俺、やっぱり負けたんだな。

 悪魔になったばかりの俺が、先輩悪魔の木場と小猫ちゃんが倒せない相手の攻撃を防ぐなんて無理だったってわけか。

 でも、木場を守れたのなら、いいかな。

 一度目の死と違って、誰かのためになれた。

 自分の心から願った行動での結果だった。

 なら、俺は――。

『諦めるか。まあ、それもいいだろう』

 ――っ、誰だ!?

『…………さあな。おまえはもう諦めたんだろう? だったら関係ないだろう。だが残念だなぁ。おまえの後ろには、まだ仲間がいるってのに。ああ、本当に、残念だ』

 仲間がいることくらいわかってんだよ! でも俺はもう……。

『それがまず間違いだ。おまえはまだ死んでいない。ついでに言わせてもらうが、おまえにはまだ戦う力があるだろう?』

 戦う力が、俺にある? なんだよ、それ。俺の力なんて、神器くらいしかないよ。

 戦術もない、度胸もない。そんな俺に残るのは本当に、神器だけなんだ。

『なんだ、わかってるじゃねえか。そうだ、神器だ。おまえはまだ、自分の神器と向き合えていない。そのレベルに達していないのさ。ほら、己の内の声を聞いてこい。その内に眠る激情を、おまえの手に――』

 その言葉を最後に、俺の意識は覚醒していく。

 熱く、熱く燃えるような赤いオーラが自分を包んでいく。俺の中から湧き出るような力を、左手に携えながら。

 直後、伸ばした左手がなにかを掴む感触があった。

 それがなんだったのかを知るのは、もっとずっと後のことになる――。

 

 

 

 

 僕――木場祐斗は、目の前の光景が信じられなかった。

 つい先日悪魔になったばかりの兵藤くんにはこの場に残るのがつらいと思って、部長たちへの伝言を頼もうと思っていたのに……その隙を突かれた僕を、まさか守るために立つだなんて。

 彼の言動の節々から、なぜか僕に突っかかってくる部分があるのはわかっていた。嫌われてはいないものの、好かれてはいないと感じていたのに。

「どうして……」

 眼前では、僕に迫っていた光の槍が兵藤くんに阻まれた際に強い光を発し、いまもその場所は光が満ちていて先の様子が一切わからない。

「くっ……兵藤くん! 無事なら応えてくれ、兵藤くん!」

 呼びかけるも、光に包まれた場所からの返事はない。まだ仲間になったばかりなのに、また失わなければならないのか!?

 堕天使らしき襲撃者さえいなければ。

「小猫ちゃん、キミだけでも戻って部長にこの事態を伝えるんだ!」

「……嫌です。私も、戦います」

 確かに、その方がいいんだろう。でも、これ以上失うわけにはいかないんだ! 彼女は意地になって退かないだろうし、こうなったら僕が前に出てやるしかない。

 そうして、剣を握る力が増したのがわかった直後。

 先を覆っていた光が渦巻き、中心へと集っていく。

 まさか、敵が次の攻撃に移った!? まずい、まだ迎え撃つ態勢が整ってないのに!

 同時に、その更に後方から風を切る音がする。どう考えても、さっきと同じ光の槍だ!

 くそっ、同時に二つの攻撃を操作しようってことなのか!? 光の槍だけなら避けられるけど、あの光の渦はいったい――。

「なんだ!?」

 光の槍を視認したとき、その槍が光の渦から伸びたなにかによって叩き折られた!?

「なんですか、あれ……」

 小猫ちゃんの声が漏れる。

 僕にもさっぱりだ。光の中心から伸びた、手のようななにか。

「人の、腕?」

 そう呟いた瞬間、辺りを覆う光がすべて、真っ赤に染まる。

 渦を巻く速さは増していき、すべての光が突き出されたなにかに収束し、次第に中にあるものが姿を見せる。

「俺はまだ、戦える! みんなを守れる! だから俺の想いに応えやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」

『Dragon booster!!』

 叫びと共に現れたのは、

「兵藤くん!」

「兵藤先輩!」

 そうか、突き出されていたのは、彼の神器だったんだ!

 籠手に嵌め込んである宝玉がすべての光を吸収し終えると、その籠手にはいままでなかったはずの紋様が浮かびあがる。

 あれは、なんだ? もしかしてあの姿が本来の神器の姿なのか?

「おう、木場、小猫ちゃん!」

 なんて考え事をしていると、兵藤くんは笑みを見せながらこちらを振り返る。けれど、その笑みもどこか迫力があり、彼の怒りが見て取れる。

「二人とも無事、だよな?」

「うん、おかげさまでね。ありがとう、兵藤くん」

「いや、俺のこそだって。それで悪いんだけど、もう一度手伝って欲しいんだ」

「もう一度?」

「ああ。今後こそ、あいつを倒そう。だからそのために、力を貸して欲しい」

 彼の方から戦う意思を見せる。

 それはここに来るまでなかったことだ。万丈選手たちとの出会い、さっきの攻防の中で彼の中のなにかが変わったみたいだ。まるで、さっきの行動も兵藤くんのためにあるような……いや、考えすぎか。なによりいまは、そんな余裕ないしね。

「もちろんだよ。ねえ、小猫ちゃん」

「しょうがないですね。力、貸してあげます」

 僕らは互いに頷き、兵藤くんへと視線を向ける。

「ありがとう、二人とも。俺さ、まだ戦えるみたいだから、やってみるよ。そうしなきゃ、いけない気がするんだ」

 変化した神器を見つめながら、僕にはわかるはずのないなにかを考える兵藤くん。

 彼はあの一瞬で、なにかを見たんだろうか?

「兵藤くん?」

「ああ、いや、なんでもねーよ。よっしゃ、改めて行こうぜ、木場! 小猫ちゃん! 今度は俺たちのターンだ! あいつに俺たちの力を見せてやろうぜ!」

「うん!」

「はい!」

 けど、なにを見たのか、思ったのかなんてどうでもいいんだ。

 いまは僕たちで、こいつを倒す!

 まずは戦っている相手が誰なのかを確かめる必要がある。敵の正体がわからないままなのは不利だし、なにより不気味だ。

「まずは僕と小猫ちゃんで敵の正体を炙り出す!」

「兵藤先輩はいけそうなときに入ってきてください!」

「わ、わかった!」

 簡単に作戦を伝え、僕は駆け出す。ここからは、より動かないといけないからね。それこそ、僕の領分だ。

「魔剣創造!」

 それなら、戦闘範囲を絞り込めばいい。

 僕の魔剣を辺りに生み出し、敵の安全地帯を奪う!

「小猫ちゃん!」

「はい。いきます」

 地上を魔剣で覆い、逃れただろう空中に、小猫ちゃんの力をもって瓦礫を広範囲に投げつける。

 これでなにかしらのアクションが生まれるはず。

 予想通り、投げてもらった瓦礫のひとつが光によって切り裂かれる。

「そこだ!」

 僕の特性。その速度を活かし、瞬く間にその場所へと移動し、一閃。

「アァッ!?」

 握る剣には確かな手応えがあった。

 そして、女性の声が暗闇に響き渡る。

 僕ら悪魔は夜目が効く。それでも姿を捉えられなかった敵の正体。それが、この一撃の元に曝されていた。

「レイ、ナーレ!? やっぱりおまえだったのか!」

 兵藤くんも、僕たちもある程度予想はできていたが、こうして見ると驚かされる。

 部長からも話を聞いていたが、ここまでの力をつけているなんて想定外だ……第一、姿を隠せるっていうのがおかしい。

「チッ、うまくいっていたのに。そうよ、私よ? ふふっ、私のことが忘れられなくてここまで来ちゃったのかしら、イッセーくん?」

 兵藤くん以外が知る由もないが、以前もこうして甘い声を出しながら彼に近づいたのだろう。そして、一度殺した……。

「レイナーレ!」

『Boost!!』

 そのせいか、兵藤くんも彼女の姿を見るなり突っ込んでいく!?

「ダメだ!」

「あらあら、熱烈ね。吐き気がするわ」

 レイナーレは兵藤くんの拳を簡単に避けると、その後の連撃も舞うようにして躱していく。戦った経験のない兵藤くんでは、やっぱり技術の差は埋められない!

「正体がわかったところでなに? 雑魚悪魔の一匹の神器がしっかり発現したからなんだっていうのよ! いまの私は、あなたたちごときに負けないのよ! アハハハハハハ!」

 彼女は両手に光の槍を作り出す。

 まずい!

「これでも食らいなさい! 特別に力を込めてあげたんだから!」

 あんな一撃を受けたら、兵藤くんが消し飛ぶ!

 小猫ちゃんもそれがわかったのか、僕に続くように駆け出していた。

「あら、フェイクに決まっているでしょう?」

 僕らが兵藤くんの側に集まった瞬間、レイナーレが邪悪な笑みを浮かべた。しまった、これもすべて彼女の罠――。

「まとめて散りなさい!」

 兵藤くんに向けて突き刺そうとしていた光の槍を急遽寸止め、その槍を手放した。

 そのときには光の槍が不自然な膨らみを見せる。

「く、そぉっ! プロモーション『戦車』!」

『Boost!!』

 兵藤くんが呻くような声を上げ、僕と小猫ちゃんの前へと割り込む!?

 光の槍は膨張し、大きな音と共に暴発した。

「ぐぁああああぁぁあぁっ!?」

「がはっ!?」

「……ぁああああぁぁああっ!?」

 かろうじて小猫ちゃんの盾になれたようだけど、どうやらあまり意味がなかったみたいだ……。

 僕と兵藤くん、二重の盾でも小猫ちゃんまでかなりのダメージが通ったらしい……かくいう僕も、立つのはおろか、剣を握っているのもきつい。

「ひょう、ど……くん…………」

 倒れた位置からでもかろうじて視界に入っている、倒れ伏した仲間の姿。

 戦うことが怖いと、経験がないと言っていたはずの彼は、二度も僕らを守ろうとしてくれた。本来なら、僕たちが守るべきはずなのに。

「所詮は雑魚悪魔。そうよ、この光景が正しいのよ」

 余裕の表情を浮かべるレイナーレは、動かない兵藤くんの側に降り立つ。

 なにを……やめろ、これ以上彼を傷つけないでくれ! 僕らの、新しい仲間に、心優しい彼をこれ以上!

 懸命に手を伸ばしても、それでも届かない。この手は、なにもつかめない……。

「兵藤先輩!」

 かろうじて動ける小猫ちゃんが救出に向かうが、

「きゃあっ!」

 すぐさまレイナーレによって吹き飛ばされる。

「あんたたちは後回しよ。まずはこいつ。弱っちいのに私に楯突いてきた生意気な下級悪魔から」

 再び光の槍を作り出したレイナーレは、今度こそ彼に向けてその槍を向ける。

「さよならね、イッセーくん。本当は光による激痛で苦しむ姿を見ながら殺したかったわ。でも、もう動けない程弱っちゃってるんじゃダメね。ああ、やっぱりこの力に間違いはなかったわ。たかがボトルと思っていたけど、いい拾い物だったわ。ライトだなんてダッサイボトルと思ったけど、相性最高ね! ボトルの力を知れるいい機会になったわ。ありがとう、イッセーくん。じゃあ、死になさい」

 嗤いながら振り下ろされた槍は、しかし。

『Boost!!』

「うおりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

『Explosion!!』

 振り下ろされる前に繰り出された兵藤くんの渾身の一撃により、レイナーレが吹き飛んでいく!?

「はあ、はあ……ぁあ、こうして……待ってれば、おまえの方から来ると、ぐっ、はあ……思ってたよ…………ざまー、み……ろ………………」

 左腕を打ち込んだままの状態で意識を失う兵藤くん。まさか、ここにきて彼が一撃を決めるなんて。凄いよ、兵藤くん。キミは本当に、凄いよ。

 良かった、これであとは兵藤くんを連れて戻って、早く彼を治療してもらおう。

 小猫ちゃんが動けるなら……いや、僕が這ってでも、部長たちを呼ばないと。

「とにかく、早く兵藤くんたちを治さな――そんな……」

 兵藤くんの一撃を受けたレイナーレは、つらそうな顔をしながらも立ち上がっていた。

 彼女の顔つきは酷く歪み、そこには憎悪が見て取れる。

 そんな、さっきの兵藤くんの一撃は僕から見ても相当のものだった! 中級堕天使程度じゃ簡単に意識を持って行かれたはずなのに!

「許さない、許さナイ、ユルサナイ! 死になさい、クソ悪魔ァァァァァァァァァァッッ!!」

 これまで見たものより巨大な光の槍が、渾身を込めた死が兵藤くんに対して飛んでいく。

 ダメ、なのか? 僕らじゃ……。

「ったく、しょうがねえな。でも、生きてて良かった」

「やっぱり学生に戦いは荷が重いよな」

 槍の射線上に、ふたつの影が並び立った。

「おらぁっ!」

 そのうちのひとつが気合と共に右腕を前に突き出す。

 放たれた拳は光の槍へと正面から打ち込まれ、槍を砕いた!?

「あのときの、人間……人間、ごときが!」

「それはこっちの台詞だぜ! よくも美空やカズミンたちを、こいつらをやってくれやがったな!」

「なんなの、なんなのよあんたたちは!」

 自身の一撃を砕いた人間に対して、苛立ちだろうか? 叫ぶように問うレイナーレは、乱入者に対しても殺意を向ける。

 対して、その相手は。

「仮面ライダー」

 簡素に、そう答えた。

 誰かなんて、今更だった。万丈選手に、佐藤太郎さん――いや、桐生さんだった。

 万丈選手はすぐに兵藤くんに駆け寄ると、彼を抱える。

「俺は他の奴らを確認してくる!」

「ああ、任せた。サブキャラのおまえにはこの見せ場はつらいだろうからな」

「んだとぉ!? ったく、俺はあいつらを守るだけだっつーの! 今度は逃がすなよ。あいつには、仲間がやられてんだからな!」

「わかってるって。俺だって、怒ってないわけじゃない」

 やり取りを終えると、万丈選手は兵藤くんを抱えたまま小猫ちゃんの元へと駆けていく。

 桐生さんはレイナーレへと向き直り、両手になにかを持つ。

「この状況わかっているの!? たかが人間が、私に敵うわけがない! まして、強くなった私に勝てるわけないのよ! それなのにあのクソ悪魔みたいに楯突いて、本当になんだってのよ!」

 桐生さんはそんな相手を見据えたまま、両手に持つボトルのようななにかを上下に振りだす。

「さっきも言ったはずだ。さあ、自意識過剰な正義のヒーローの登場だ!」

『ラビット!』

『タンク!』

『ベストマッチ!』

 




最近思ったことは、クロス先を自分とjiguさんで書いている「グレモリー家の白龍皇」にしても面白かったかもしれないということですね。あの作品はあの作品でヴァーリくん主体ですし、敵が強力になっているうえに色々と蛇ちゃんが混ぜ返すことができそうなんですよね。
くっ、惜しいことをした……なお作者に対する難易度は上がる模様。

そして一週間更新を空けてしまいましたが、ゴルフがあったのだとでも思ってください。いや、本当にすいません。
そして早くハザードを出したい。
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