天才物理学者と筋肉バカの新世界より   作:alnas

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「堕天使との戦闘を続けていた一誠たち悪魔チームは、一誠の覚醒により、神器は本来の姿を取り戻す。そして祐斗、小猫の3人のチームワークにより戦いを挑むが、一矢報いたものの、敵の攻撃に一誠は意識を失ってしまう」
「敵である堕天使レイナーレは、謎の力、フルボトルによって強化されていることが彼女の言葉により発覚。僕たちはなす術もなく倒されるはずだった」
「そんな祐斗たちのピンチに駆けつけたのが、我らがヒーロー、仮面ライダー!」
「戦兎さん、その仮面ライダーというのは?」
「お、それをここで聞いちゃう? 気になるのはわかるけど、それは本編で確認してほしいな」
「でも、あらすじ紹介で話したことは本編で実現しないジンクスがですね。現に、前の万丈選手のあらすじ紹介のときも本編と内容が違ってましたし」
「ストップ! そこまでにしよう祐斗。さあ、不穏な空気になる前に本編行っちゃって!」 


その男ライダー

 さて、万丈が動いたなら、あいつらの無事は確保できたな。

 もちろん、安心するには速いけど、あいつが後ろにいるならだいじょうぶだろう。

 それよりもだ。

「この状況わかっているの!? たかが人間が、私に敵うわけがない! まして、強くなった私に勝てるわけないのよ! それなのにあのクソ悪魔みたいに楯突いて、本当になんだってのよ!」

 喚くお嬢さんの相手をしないとな。いや、堕天使にお嬢さんって呼び方は正しくないのかな? なんか年齢も見た目通りってわけじゃないみたいだし?

 じゃないな。それは後々、こいつにしろリアスたちにしろ聞けば済むことだ。

 やるべきことは、こっちだよな。

 両手に握ったフルボトル。それらを上下に振りながら、目の前の敵に向けて口を開く。

「さっきも言ったはずだぜ」

 ここからは、いつも通り。俺らしく。

「さあ、自意識過剰な正義のヒーローの登場だ!」

 宣言と同時に、腰に巻いたビルドドライバーに2つのボトルを差し込む。

『ラビット!』『タンク!』

『ベストマッチ!』

 気負うことなく、ドライバーに備え付けられたレバーを回す。

 俺自身を挟むスナップライドビルダーが形成されて、赤と青の半身ができあがった。

『Are you ready?』

「変身!」

 形成された半身が俺を挟み込み、ハーフボディ同士が統合されひとつになる。

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!』

 これが仮面ライダービルドの基本形態となるラビットタンクフォーム。

 敵対する堕天使さんは、以前会ったときより大きく映る。まるで、この数時間の間に強くなりましたと言わんばかりだ。

 なにかあると思っていた方がいいな。

 とはいえ、

「いまの俺は、負ける気がしねぇ!」

「あ、それ俺の台詞!! なに真似してんだよ!」

「いいだろ別に! おまえだって俺の台詞真似たことあるでしょうが!」

「なんでおまえが知ってんだよ!」

「あんたたちいい加減にしなさいよ!? なに敵地のど真ん中で言い合ってるのよ! こっちを見なさいよ!!」

 万丈と言い合っていると、敵であるはずの堕天使から怒られてしまった。

「ほら見ろ、おまえのせいで怒られた!」

「おまえが台詞取るからだろ!?」

「はあ!? おまえが突っかかってくるからでしょうが!」

「どっちでもいいわよぉぉぉぉっっ!!」

 怒り狂った顔の堕天使が光の槍を撃ち込んでくるが、左足を軽く地面に打ち付け跳躍することで躱す。

 人の姿のままってのはやりにくいけど、それでも人を傷つけるのだから、手加減はできない。

 天井まで届く高さまで上がったところで反転し、今度は天井を蹴って降りる角度を調整する。目的地は、堕天使!

「なっ、ちょ……ウソでしょ!?」

「くらえ!」

 狼狽する彼女相手に、その土手っ腹に右足が食い込む。

「かはっ!?」

 一瞬の硬直。

 右足に再度力を込め、追撃とばかりに蹴り込む。

 堕天使は轟音と共に地へと堕ちていき、辺りを土煙が包む。

「なにも見えねえ!」

 バカが騒いでいるおかげか、万丈たちのいる方向だけを頼りに近寄っていくと、段々と騒ぐ声が大きくなってくる。

 こういうときは便利だよな、あのバカも。

「おい、なに騒いでんだよ」

「戦兎! 聞いたかよ、こいつらの話!」

「落ち着けバカ。いままで戦ってたのに聞いてるわけないでしょうが。で、なによ?」

 慌てる万丈を押しのけ、祐斗に視線を向ける。

「戦兎さん、気を付けてください。あのレイナーレという堕天使、よくわからないものの力を使って自分を強化しているみたいなんです!」

「やっぱりか……さっきより強いと思ったのはその力のせいで合っているっぽいな」

 けれど、感じるといってもそこまで驚異的なパワーアップじゃなかった。

 確証はないが、万丈ならクローズに変身しなくても生身で殴り倒せる程度……そう、それこそ通常のスマッシュと同等かそれ以下の力といった具合だ。

「なんだよ?」

 万丈を見ながらそんなことを考えていると、万丈が不思議そうな顔をして聞いてくる。

「いや、バカは楽だなぁと思ってな」

「バカにしてんのか!」

「いや、バカだろ」

 律儀に応えてやってるのに、どうして更に不機嫌になっていくのやら。

「あの……」

「うん? ああ、だいじょうぶ。あいつとはいつものことだからさ。それより、立てるか?」

 祐斗が心配そうに聞いてくるので、安心させるためにも言い合いを終え、彼へと向き直る。

「はい、なんとか……けれど、兵藤くんは…………」

「一誠は無理そうだな。意識を失ってる。小猫は平気そうだ」

 彼の言葉を引き継ぐ形で教えてくれた万丈は、抱えている一誠を祐斗に渡す。とりあえず、ひと段落ついたな。なら、話の続きだ。

「それで、結局おまえは祐斗からなにを聞いたんだ?」

「え? あ、そうだよ!」

 たったいま思い出したといった様子だけど、だいじょうぶか?

「ボトルだよ、ボトル!」

「ボトルなら俺もおまえも持ってるだろ?」

「違えよ! あいつも持ってるんだよ、フルボトルを!」

「あいつ?」

「堕天使だよ! なんでわかんねーんだっての!」

 ――なに?

「本当なのか、祐斗」

「は、はい。フルボトル? とは言ってませんでしたけど、確かにライトのボトルと言っていました。僕にはなんのことかわかりませんが、万丈選手たちはわかるんですよね?」

「……ああ、よく知ってる。それを、あの堕天使が持っているんだな」

 ライトフルボトル。

 俺が使用していたフルボトルの一本を、どうして堕天使が持っているんだ?

 あれは新世界の創造と共に消え去ったはず……残っているのは、俺と万丈が所持していたフルボトルが数本のみ…――っていうのが俺の立てた推測だったわけだけど、間違っていたってことか。

「最っ悪だ」

 出処は不明だが、敵の言葉を信じるのであれば、俺と万丈が持っているフルボトル以外の、残りの何十本ものボトルが存在することになる。

「それより、僕も気になることがあるんですけど」

「私も」

 だが、それ以上の思考は祐斗と小猫に止められることとなった。

「どうしたんだ?」

「その姿はいったい、なんなんですか?」

「赤と青の戦士、かっこいい……」

 俺が戦兎とわかっているものの困惑する祐斗と、表情に変化は見えないがどこか楽しそうな声音の小猫。

 新世界では仮面ライダーの名が存在してないみたいだな。エボルトもいない、エグゼイドたちもいないとなれば、俺と万丈以外の仮面ライダーはいないってことか。

「俺は仮面ライダービルド。愛と平和のために戦った、天才物理学者だ」

「そんで俺は、仮面ライダークローズ」

「俺の相棒兼助手のエビフライ頭の筋肉バカだ」

 万丈がなにかを行く前に割り込み、こいつの立場を教えておく。

「かめん、らいだー……?」

「ビルド、クローズ……いい、すごくいいです」

 聞きなれない言葉なのだろう。

 祐斗は予想通りの反応だった。けど、小猫は目の輝きが強まったような……もしかしたら、新世界にもなにかしらのヒーローか、そういった番組でもあるのかもな。佐藤太郎を好いていることからも、小猫の趣味が悪魔的なものでないことは明白だし。

 少し話してみたい気もするが、それは後だな。聞きたいことはあるだろうけど、優先順位が違う。

 余裕そうに見えても、いまは戦いの最中。まずは気を失っている一誠を助けないと。戦うことはいつでもできる。でも、人を助けることは、一度でもできれば奇跡に近い。

「行こう。最優先は一誠の安全確保だ」

 この場で戦いを続けて、追い詰められた堕天使が一誠を狙わないとも限らない。襲ってこないいまのうちに退くべきだ。

「万丈、一誠を背負ってくれ」

「おう、任せとけ! おまえらも早く行くぞ!」

 俺の一言だけで察してくれたのか、万丈は祐斗と小猫を急かしながら階段へと向かう。

「いいんですか!? まだレイナーレが!」

「いいから行くぞ。あいつを倒せば情報は得られるかもしれない。けど、それより大事なのは仲間の安否だろ? このまま一誠を放っておくのは良くない。だから一度、立て直そう」

「でも……」

「戦いに限って言えば、一度退くことは負けじゃないさ。態勢を立て直して次に備える。大切なのは、戦って勝つことだけに心を縛られないことだ」

「――……わかりました」

 残ろうとする祐斗の肩を叩き、先に行く万丈と小猫の後を追わせる。

 殿を務める俺は飛んで行った堕天使がいつ復活してくるかに注意しながら階段に向かうが、意外なことに、俺たちが地上に戻ってくるまで追撃されることはなかった。

「さて、白髪神父くんも連れて行ってやるか……って、いないし」

「あいつもしかして逃げたのか!?」

「おまえの締め付けが甘かったんじゃないの? 大失態だな」

「うるせえ! おまえこそしっかり見ていなかったのが悪いんじゃねえか!」

 一緒に地下に向かってた俺にどう見てろって言うんだよ。

 しっかし、本当によく抜け出せたものだ。

「まあ、生きてるならいいか。さあ、そんなことより一誠をリアスたちの元に」

「はい!」

 背負うのを万丈から代わった祐斗が駆け出すが、気を緩めていなかった万丈が即座に構えた。

「おらぁっ!」

 そのまま正面に拳を突き出すと、飛来した光の槍と衝突。光の槍は破砕音を立てながら砕け散った。

「チッ、いつまでも、いつまでも私の邪魔ができると思わないでよねぇ、矮小な人間ごときがぁぁぁぁぁぁっっ!! 私がなるのよ、このレイナーレ様が、あの方の隣に立つんだからぁ!!」

 激昂した堕天使が飛び出し、こちらへと向かってくる。

 このまま終わるかと思っていた部分もあったけど、そう甘くはないよな。

「確かに前より強くなってやがる」

 以前も光の槍を迎撃した万丈が語る。

 強化された、もしくは強くなったのはこれで間違いない。

 ライダーキックじゃなかったにしろ、あれだけの威力をその身に受けてなお立ち向かってくるのはすごいけどな。

 手持ちのフルボトルは決して多くない。

 大半のボトルは失ったままだし、使い勝手のいいベストマッチもいまは使えない。

「でも、経験はしっかり残ってる」

 ラビット、タンク。そして万丈の元にあるドラゴンにロック。あとはライオンがあるのみ。

 60本もあるフルボトルのうち5本しかないのが現状だ。

 俺が好きに使えるのは3本しかないのも問題だけど。ベストマッチ連発する戦法の取れたあの頃が懐かしく思えるな。

「仕方ない。たぶん必要性は低いだろうけど、少し戦法を変えようか」

 残った1本のフルボトル。

 そのボトルを取り出し、代わりにラビットフルボトルをビルドドライバーから引き抜く。

 空いたスロット部分に入れるのは、もちろんこのボトル。

『ライオン!』

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